2009年11月定例会 一般質問 12月2日 もうり栄子

1、特別支援教育について

2、ひとり親家庭の支援について

3、高校生の就職支援について

4、岡谷塩嶺病院の心臓血管外科閉鎖問題について

1、特別支援教育について

(1)将来ビジョンについて

 <毛利県議> 特別支援教育について教育長に伺います。
 県内特別支援学校の児童・生徒数は平成12年から平成21年の9年間で579人、32.5%も増えており、過密化しています。県教委はその都度プレハブを建てたり、特別教室を教室に変えるなどしてしのいできていますが、校庭もプレイルームも教室に変わり、思い切って体を動かすところもないなど教育環境は劣悪です。
 この10年間をみても、9月補正も含め、プレハブでの対応は長野養護で12教室、松本養護で13教室、伊那養護で8教室、上田養護で7教室、安曇養護で7教室と、冬は底冷え、夏は30度を超える暑さで、果たしてこれが障害を持つ子どもたちに対する教育的対応なのかとやりきれない思いです。
 そもそも長野養護の244人、松本養護の254人、上田養護の188人、小諸養護の207人、安曇養護の191人など過大で規模としても適正なのか疑問です。
 通学方法ひとつとってみてもスクールバスを利用する児童・生徒の割合は3分の1で最も多いわけですが、安曇養護では片道90分、小諸養護では片道95分もバスに揺られて通う子どもさんがいるわけです。毎日毎日こんなにも時間をかけて早い子は朝の7時から乗車し、往復する子どもたちに心身の疲労やストレスがかからないはずはありません。養護学校が身近にありさえすれば、こんな負担を子どもたちに強いなくても済むのではないでしょうか。
 なぜ、こんな事態になっているのか。県教委に養護学校の本来の在り方に対する明確なビジョンがかけているために、その都度付け刃的に対応してきたことに問題があるのではないでしょうか。県教委は分教室で乗り切る方向ですが、これだけ毎年毎年増えてきているのですから、小手先の対応ではなく必要なところには新たな学校や分校を早急に設置することが求められていると思います。県教委の特別支援学校に対する将来ビジョンを伺います。

<山口教育長> 特別支援学校の過密化の解消と今後のあり方についてのお尋ねでございます。
 県内の18校の特別支援学校におきましては、この10年間で議員ご指摘の通り、579人の児童・生徒が増加しており、とくに知的障害校での増加が顕著となっております。このような状況に対応するため、教室が不足している学校において、教室増設を進めております。また、長野地区特別支援学校の再編整備計画に基づく長野養護学校朝陽教室や、地域化を推進して取り組んでいる分教室につきましても、既設の4教室に加えて、新たに伊那養護学校中学部分教室、安曇養護学校高等部分教室の平成22年4月開設に向けた準備を進めているところでございます。

 特別支援学校の今後のあり方につきましては、本年度設置いたしました特別支援教育連携協議会におきまして、小中学校や高等学校での支援体制のあり方、さらには地域における相談体制の整備等をはじめ、特別支援教育全体について中長期的な視点からご協議いただいており、このなかで議論がされるものと考えているところでございます。

<毛利県議> いま教育長からお答えをいただきましたけれども、連携協議会の議論は、平成21年、22年と2年間にわたって行われることになっておりまして、その協議を経て中長期的な方向を示すということであります。それが出てから、例えばどうするかといったことを考えてきたときに、それから実際に手がつくのはほぼ3年ぐらいかかります。ということになれば、今の過密状態がこのまままた生徒が増える事態があるにもかかわらず、数年は放置されるということでありますから、早急な対応を求めます。

(2)教員配置について

 <毛利県議> つぎに教員配置について教育長に伺います。
 県教委も現状を認識して標準法とのかい離を縮減すべく対応していただいていますが、現場の要求からは著しくかけ離れています。標準法から323人不足しているということで21年度に39人増員していただきましたが、自立活動専任ではなく担任を持てる教員をもっと増やしてほしいという要望も出ています。22年度は何人増員するのでしょうか。児童が増えれば不足の323人は既定の数字ではなく、変化するものです。今後縮減に向けてどの様な目標や年次計画を持っておられるのか伺います。

<山口教育長> 教員の配置についてのお尋ねでございます。児童・生徒の増加への対応といたしまして、21年度までの10年間に230余名の教員の配置・充実を行ったところでございます。21年度の教員配置数につきましては、保護者および学校現場からの要望を受け、改善に努めたところでございます。しかしながら、特別支援学校の児童・生徒への教育指導上の課題であります、例えば自閉症や発達障害などの障害の多様化、車いす使用などの障害の重度・重複化、あるいは高等部の生徒数の増加にたいする多様な進路希望の実現等々、一人ひとりのニーズに応じた指導がますます重要になってきていることも認識しているところでございます。
 来年度の予算編成に向けた作業を進めているところでありますが、特別支援教育の充実は、教育委員会が取り組むべき柱の一つとして、位置付けておりまして、教員の配置・充実につきましても、障害の状態の改善を支援する自立支援担当教員などを中心に継続的に努力してまいりたいと考えておるところでございます。

<毛利県議> 特別支援学校に対する教員の配置については、その重要性や必要性ということでは、決意は伺いましたけれども、平成22年度に一体何人増やしていくのかということについてはお答えがございませんでしたので、再度お願いいたします。
 08年度の文部科学省の学校基本調査によりますと、特別支援学校の教員一人当たりの児童・生徒数は全国平均が1.6人ですが、長野県は1.83人で全国5番目に先生方に負担がかかっている県です。また「地方教育費調査結果」から言えることは、在学者一人当たりの教育予算は全国平均858万円なのに、長野県は799万円と全国37位で59万円も格差があり、ここでも県内の特別支援学校がいかに政治の光があたらず冷たい待遇をうけているかがわかるのではないでしょうか。県教委にはぜひ現状を前向きに変えるために施設整備の充実を図るとともに、人的配置の充実を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

 <山口教育長> 教員定数の標準法とのかい離の縮減についてのお尋ねでございますけれども、この標準法とのかい離が大きいということは十分認識しておりまして、計画的な視点を持って改善していきたいとこんな風に考えております。現在そういった作業を進めておるところでございまして、具体的な数字というものは控えさせていただきたいと、こんなふうに思っております。
<毛利県議> いまのご答弁で「はい、よし」というわけにはいきません。現状で大変な事態を強いられているわけですから、ぜひ早急な善処を求めます。

(3)スクールバスについて

 <毛利県議> 次にスクールバスについて伺います。20年6月議会でも備前議員からスクールバスが定員オーバーで乗れなくなり、急遽親の送迎に変えざるを得ず、勤務を変更することを余儀なくされている保護者が出ている問題の指摘がありましたが、私のところにもそのようなお話が届いてきております。
 諏訪養護学校は現在3台のスクールバスが直営もしくは委託によって運行しています。新年度1年生に入学してくる子どもさんや、新たに地域の中学校から養護学校高等部へ来る子どもさんを想定すると10数人が、乗車を希望してもはみ出してしまい、親が送迎せざるを得なくなる懸念があるということです。そうなれば仕事を辞めざるを得ず、家庭の生活サイクルもくるってしまい、親の負担も大きくなるので困る、なんとかならないかというものです。

 同じようなことは伊那養護や安曇養護にもあります。少ない台数でやりくりすればはみ出す児童も出てきたり、あちこちまわるので、運行時間も長くなり、乗車する児童・生徒や面倒をみる先生にも大きな負担がかかります。

 この際、さしあたっての問題解決のために、ぜひ増車もしくはキャパの大きなものに変えて、保護者の願いにこたえてほしいと思いますが、現状をどうとらえ、どの様に対応していくおつもりか伺います。

<山口教育長> 次に特別支援学校におけるスクールバスについてのお尋ねでございます。
 本県では特別支援学校に通う児童・生徒の通学の利便性向上のため12校に計33台のスクールバスを配置し、現在約750名の児童・生徒が利用してる状況にあります。通学手段につきましては、将来の社会的自立に向けた生活訓練と位置付け、自力通学を基本とした上で、障害の状態、家庭の状況、住宅からの通学距離や公共交通手段の有無など、一人ひとりの児童・生徒の状況に応じて保護者の意向も確認しながら、各学校において、決定しているものでございます。
 スクールバスにつきましては、これまでも児童・生徒数の増加や利用者の状況に応じまして、毎年計画的に増車や更新を進めてきたところでありますが、児童・生徒数の将来的な推移を踏まえますと、現状のままでは十分とはいえないと認識しておりまして、バスの増車や大型化につきまして、今後も充実に努めてまいりたいと考えております。

(4)寄宿舎について

 <毛利県議> 寄宿舎について伺います。寄宿舎の果たす役割は遠距離で、自力または保護者の送迎が困難だから利用するだけでなく、集団生活を通して他人とのかかわりを学び、家族と離れ、指導員の手を借りながら規則正しく、自立のための訓練をしつつ、人として成長を一歩一歩培っていくところにあります。保護者からも「洗濯から布団の出し入れ、自分の身の周りのこともできるようになってうれしい」「家だけでは育ちにくい社会性について集団や仲間の中で育てていただけてありがたい」と感想が寄せられるなど、一人ひとりの成長にとって大事な役割を果たしています。県教委は寄宿舎の持つ教育的役割をどう認識しているのでしょうか。

 その大事な寄宿舎への利用を希望しても、今の人的配置の中では重度の子どもたちはなかなか受け入れてもらえない現状があるようです。もちろん一人ひとりの子どもたちの障害の度合いに即して先生・保護者・指導員が相談しながら状況を判断しているわけですが、寄宿舎の人出が足りないことが保護者の要望にこたえられない理由の一つでもあるようです。
 現状は少ない人数で回しているために、指導員の方々にも大きな負担がかかっているとお聞きしています。児童・生徒に食事をさせ、お風呂に入れて、寝かせ、朝は起こして食事をさせ、学校に送り出してやるわけですが、最近はなかなか寝付けない子どもさんも増えていて、時間がかかったり、夜中に大声を出して叫んだり、飛び出して行ってしまうなど、ご苦労も多いと伺っています。
 寄宿舎の指導員の人的配置も含めた勤務条件の改善・充実を求めますが、どう改善していくおつもりなのか教育長に伺います。

<山口教育長> 特別支援学校の寄宿舎についてのお尋ねでございます。県内18校の特別支援学校のうち、病院併設等の肢体不自由・病弱の学校を除く15校に寄宿舎を設けております。寄宿舎は児童・生徒の通学保障のために設置しておりますが、家庭から離れた生活は、精神的な自立を促すとともに、日常生活に必要な力の育成の支援する役割も果たしていると考えております。

 寄宿舎指導員につきましては、寄宿舎を利用する児童・生徒の生活指導を行うため、児童・生徒数に応じて配置をしております。特別支援学校全体の状況と同様に寄宿舎においても障害の重度・重複化、多様化にともないまして指導上の困難があり指導員の人的配置を含めた勤務条件の改善等に引き続き努めてまいりたいと考えております。 

2、ひとり親家庭の支援について

(1)就学一時金支給の創設について

 <毛利県議> ひとり親家庭の支援について教育長ならびに社会部長に伺います。
 06年度厚生労働省の「全国母子世帯等調査」によりますと、母子家庭の平均年収は213万円で子どものいる世帯の年収718万円の約3割の水準です。県が平成19年度におこなった「母子家庭実態調査」でも母親の9割は就業していますが、正社員は32.7%で、46.3%がパートやアルバイトなどの非正規雇用に追いやられています。年収200万円未満が59%であり、ダブルワーク、トリプルワークを行って体を酷使しながら家族の生活を維持するために必死の頑張りをしているのが実態です。日本の貧困率は15.7%、つまり7人に1人が貧困と公表されましたが、ひとり親世帯の貧困率は54.3%にのぼり、過半数が貧困状態だということが明らかになりました。

 最初に教育長に伺います。念願だった「高校授業料の無償化」が新政権のもとで実現できる見通しとなったことは、たいへん喜ばしい限りです。しかし、高校学費は授業料ばかりではありません。「給費制奨学金」の創設で入学金と教科書代などは年収350万円以下の世帯には支給される見通しですが、制服代や運動着代、教材費など、入学にあたって最低限必要なお金が公立で10数万円、私立で30数万円かかります。「これだけまとまったお金をどうやってねん出するか、頭が痛い。何とかならないか」と関係団体から要望をいただきました。

 ひとり親家庭や就学が困難な世帯にたいし、入学準備のための就学一時金支給は創設できないか、教育長に伺います。

<山口教育長> 高校入学準備のための一時金支給創設制度のお尋ねでございます。現在国の来年度概算要求におきまして、世帯の収入が350万円以下の経済的理由により、就学困難な生徒に対しまして、入学料および教科書費を対象とする給付型の奨学金を創設することが検討されているところでございます。この制度が創設されれば、一定収入以下の世帯の生徒の入学準備への対応も可能になると考えられます。従来からあります県の奨学金制度の活用に加え、この給付型の奨学金により経済的に厳しい家庭の生徒への就学支援への拡大が図られるものへと期待しております。今後とも制度の詳細を含め、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

<毛利県議> 高校の就学費に関しましては、当初制服代や運動着代、教材費などということも含めて低所得世帯には支給をするということで、話がありましたけれども、「事業仕分け」の中でこれが切られて入学金相当ということになってしまいました。ぜひ教育長におかれましては、国の動向を注視していくだけではなくて、国に対してこの問題につきましても、実情をしっかり把握していただいて、反映できるように強力に国に対して意見を申しいっていただきたいと思います。

 (2)大学、専門学校への進学予定者への貸付制度について

<毛利県議> 続いて社会部長に伺います。大学や専門学校に進学する場合、初年度納付金が莫大で準備できず、せっかく合格してもあきらめなければならないケースがあります。生活福祉資金の就学仕度費、母子寡婦福祉資金などを借りようと思ってもあまりに額が少な過ぎて必要額を満たせません。教育ローンも条件が厳しくなかなか借りられないのが現状です。100〜150万円のまとまったお金を貸し付ける制度を検討できないか伺います。

<和田社会部長>  大学や専門学校の初年度納付金の貸付についてでございます。現在就学支度金として生活福祉資金では最高50万円、母子寡婦福祉資金では最高59万円を、また授業料等に充当する資金といたしましては、月額最高65,000円または64,000円をいずれも無利子で貸与しております。
 また入学時には就学支度金と合わせて、3か月分または6カ月分の授業料資金を一括して貸し付けるため、生活福祉資金では最高で約90万円、母子寡婦福祉資金でも最高約80万円を借り受けることが可能であります。大学における入学金や前期授業料などの初年度納付金には幅がありますが、例えば私立大学文系を見れば平均で約85万円ということでございまして、十分ではなくても一定程度の充足を図れるものと考えております。これらの貸付金額につきましては、物価等も考慮して数年おきに見直しもされておりますし、奨学金や授業料の分納などの方法もございますので、これらの既存の制度を有効に活用していただきたいとこのように考えております。

<毛利県議>  初年度納付金の問題で、社会部長から答弁がございましたが、文科省の調査でも私立大学に通う場合は、平均で初年度納付金が145万円、専門学校に通う場合には127万円という結果も出ております。そして新しく大学等に行く場合には住居も確保しなければならないということで、その入居費だけでも数10万円、現状ではかかるわけでありまして、そのことを考えれば、いまおっしゃっていただいた母子寡婦福祉資金とか生活福祉資金の制度を利用しても、圧倒的に足りないと。倍くらい足りないというのが現状です。ですから、ぜひ保護者の願いにこたえられるようにぜひ検討していただきたいと思います。

(3)民間住宅の借上げと貸付けについて

 <毛利県議> 住居の問題で社会部長に伺います。県の調査でも28.9%が民間アパート、22.2%が公営住宅に住んでいることになっています。民間は家賃が高く、家計を圧迫しており、できれば公営住宅に入りたいと希望するひとり親世帯はたくさんいます。しかし、募集戸数も少ないため優遇制度があっても抽選に当たらず入居することができません。そこで、ぜひ民間の住宅を県として借り上げ、ひとり親世帯に安価で貸せるような制度を作ってほしいと思いますが、いかがですか。

<和田社会部長> ひとり親家庭の住宅支援についてでございます。本年の8月現在のひとり親世帯数でございますが、約25,000世帯ということでございます。平成19年度に実施いたしました「長野県母子家庭実態調査」によりますと、約半数が持ち家、残りが公営住宅や民間アパートなどに入居しております。このうち県営住宅へのひとり親家庭の入居は、約2,100世帯。県住全体に占める割合は14.7%ということでございまして、優先入居の取り扱いも実施した結果、世帯数・割合ともに年々増加している状況でございます。また市町村の公営住宅におけましても、ひとり親家庭のために入居枠を確保する等の対応がとられまして、いくつかの市にお聞きしたところ、入居者の1割前後がひとり親家庭となっております。まずはこうした住宅を活用していただきたいとこのように思っておりますが、ご提案の制度につきましては、関係団体からの要望もいただいておりますので、他県等の取り組みなども見ながら研究してまいりたいと、このように考えております。

3、高校生の就職支援について

(1)就職支援について

 <毛利県議> 高校生の就職支援について知事並びに教育長に伺います。
 長野労働局は9月末現在の来春卒業県内公立・私立高校卒業生の就職内定率が40.5%で前年比13.7%下まわり、記録が残る1992年以来最低のかつてない厳しさになっていると発表しました。地域的に見ても差があり、なかでも厳しいのが東信地域で、わずか、27.7%とまさに深刻な事態です。
 希望に満ちて新しい第一歩を踏みだせるはずなのに、行くべき職場がなかなか決まらない、進むべき道が定まらないという厳しい試練に直面させられている、高校生の葛藤や気持ちを考えたとき、「一人の未就職者もつくらない」行政の固い決意が求められていると思います。未来ある高校生の新たな門出を失望させてはなりません。また、保護者にしてみればやっと高校を卒業させ、これからは自分の足で歩いていってほしいと願っているときに、仕事にも就けずこの先どうなるかわからない現実は暗澹たる気分にさせています。

 そこで教育長に伺います。学校としても進路指導の先生方を中心にしながら、商工労働部や労働局、緊急雇用で配属された就職活動支援員の方々とともに頑張っていただいていると思いますが、就職支援の取り組みはどうなっていますか。また、就職も決まらないままやむなく卒業させざるをえなかった場合、その後のフォローをどうするのか伺います。

<山口教育長> 高校生の就職支援に関する取り組みと、就職浪人性への支援についてのお尋ねでございます。10月末現在の県内公立高校生への就職内定率は、62.7%で昨年同期と比べまして、-10ポイントと大変厳しい状況が続いておりまして、大変心配しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、この間経済団体への要請や20名の就職活動支援員の配置、さらに8月末には知事ならびに労働局長の連名で県内約7,000事業所に新規高校生の採用枠の維持・拡大の要請をいたしました。また就職支援員がハローワークの高卒就職ジョブサポーターや商工会議所や商工会の経営指導員の方と協力しまして、求人開拓に取り組むなど、関係機関と連携いたしまして、さまざまな取り組みをしてきたところでございます。今後は人材育成の充実を図る意味からも、長野労働局やジョブカフェ信州などと協力いたしまして、職業講座や労働講座を各校で行うよう指導するとともに、1月からは就職の決まらない生徒を対象にハローワークが就職説明会を実施する予定でございます。また卒業しても就職が決まらなかった生徒が出た場合、そういう生徒を支援するために、学校に相談窓口を設けるとともに、何らかの支援ができるよう、関係機関と検討しているところでありまして、今後も一人でも多くの高校生の就職希望が実現できるよう最大限の取り組みをしていきたいと考えております。

(2)資格取得の財政支援等について

<毛利県議> 秋田県では、厳しい雇用情勢の中で、県内での就職を希望している高校生に対し、就職に有利に働くように、各種資格取得や企業が求めている普通自動車運転免許取得を促し、そのための費用の一部を助成する「緊急高校生県内就職支援事業補助金」を9月補正で設置し、県内就職の確保と定着の促進を図っていると伺っています。
 内容は、日商簿記、販売士、危険物取扱者、ボイラー技士などの資格取得をする場合、一人1回に限って受験料を補助し、生活保護受給世帯、授業料減免者には自動車教習所入校金相当額の45,000円を補助するというものです。長野県でも積極的にこの様な財政支援を含めた独自支援を検討するお考えはないでしょうか。企業に協力をお願いするだけではなく、一歩踏み込んだ知恵や取り組みが必要だと思いますが、教育長の見解を求めます。

<山口教育長> 財政支援についてのお尋ねでございます。生徒が様々な資格取得を目指すことは、その専門性のあるスキルアップや職業観の育成にとって大変重要なことでありまして、県教育委員会といたしましても、魅力ある活動支援事業の一環として「ライセンス取得事業」を位置付けておりまして、希望する学校に対しまして、財政支援を行っているところでございます。これは就職を目前に控えた卒業予定者だけを対象とするのではなく教育課程に位置付けまして高校3年間を見通したキャリア教育の中で計画的に行っている事業でございます。
 具体的に一例を申し上げますと、毒物劇物取扱責任者やアークガス溶接技能者、フォークリフト運転手、第2種電気工事士・技能者、各種簿記検定、ホームヘルパー2級など高校生が希望する進路希望に応じた様々な資格取得を対象としておりまして計画的に実施している県立高校40校に対しまして、資格取得に必要なテキスト代や外部講師料を県で補助しております。今後とも長引く不況の中で、高校生の就職支援にかかる施策としまして、この魅力ある活動支援事業の充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

<毛利県議> 資格取得に対するご支援をと、お願いさせていただいたところ、教育長からは全県下40校にたいしてテキスト代及び外部講師料を負担をして応援をしているということでありましたけれども、先ほど私が提案させていただいたものと違って、これは学校教育上必要なことですので、当然公費負担で出していく部分でございます。
 私が求めているのは、子どもたちが本当にこういう大変な時に、新たに資格を取りながら、個人負担も増してくるわけですから、それに対して負担をしてほしいということでございますので、ぜひ御一考をお願いしたいと思います。

(3)部局横断による全庁的な取り組み体制づくりについて

<毛利県議> 続いて知事に伺います。新卒高校生の就職は生徒の未来がかかっている大事な問題であり、一般の雇用問題以上に重要視しなくてはならない問題だと思います。県でも教育委員会と連携をとって、対応されてはおりますが、他県では雇用緊急対策本部をつくり全庁あげて取り組んでいるところもあります。
 企画・商工労働・教育委員会さらには新たな雇用創出の可能性がある林務、農政、社会部、NPOなど部局横断で全庁的な取り組み体制を作り、就職支援をいっそう強化していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

 <村井知事> 事実上高等学校というのは現代では義務教育化しておりまして、それを終わって社会に出る。そのとたんに就職できないという大変厳しい現実に直面するこの子どもたちのいまの状況、これは本当に深刻な問題だと思います。これに対しましては、ただ今教育長から答弁がありましたように、教育委員会と連携しまして経済団体や関係団体に度重なる採用拡大等の要請を県としても行ってきたところでございますが、さらにはジョブカフェ信州におきまして、高等学校から要望のありました出前講座などの積極的な実施による就職準備の支援を行いますとか、あるいは工科短期大学校および技術専門校の来年度の入校受け入れ人数を1割程度増やすというようなことで受け入れの体制をとりましたり、あるいは厚生労働省に対しまして新規高校卒業者の就職支援策を求めましたり、いろいろ取り組んでいるところでございます。今後とも教育委員会はじめとした関係部局とともに、議員お示しの各部局の総力を挙げまして、また長野労働局と関係機関と一層の連携を密にしまして、高校生の就職支援に努力をしてまいりたいと、このように考えるところでございます。

 <毛利県議> 知事におかれましては、必要な連携をとりまして、頑張っていただいている思いはわかりますが、他県の取り組みを比較しましても、やはりもう一歩踏み込んだ取り組みが必要だと思われます。例えば高校生の就職をめぐっては、先ほどの秋田県のみならず、各県も大変な努力をしております。宮城県では、12月以降に高校生向け新規事業を出し、採用を内定した企業に対し学生一人当たり15万円の奨励金を出す方針を決めました。新潟県では就職未定者を医療・介護分野に就職しやすくするため、県内の介護保険施設に就職したうえで、介護福祉士養成コースを学べる制度を新設するそうです。緊急雇用創出事業を使い、入学金、学費、人件費の支給を受けれるようにとのことです。県が高校生のために、本気で取り組む決意を示して、求人への動機づけが大事ではないでしょうか。 知事には、いま私が申し上げましたように、県が本当に自分たちの財政もそこに補助をしながら、この大変な時期を乗り切る覚悟があるのかどうかということで、一層の取り組みの強化を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

 <村井知事> 高校生の就職の難しさをなんとかしなければならないという思いは、私も同様でございます。再度のお尋ねでございますけれども、いま議員が具体にいろいろお示しになりました他県の例なども参考にしながら、なお検討してまいりたいと思います。

 

4、岡谷塩嶺病院の心臓血管外科閉鎖問題について

<毛利県議> 岡谷塩嶺病院の心臓血管外科の閉鎖問題について衛生部長に伺います。
 岡谷塩嶺病院は「日本経済新聞社」発行の「心臓病治療の実力病院」の本の中で心臓手術全国有数の優れた病院として上位にランキングされ、全国に誇るべき実績を上げてきた基幹病院です。しかしながら、9月初旬、岡谷市立病院との統合・施設集約を検討している中で、医師を派遣していた日大が6人全員を引きあげる方針を示したことから、来年3月末で、心臓血管外科は閉鎖せざるを得ない事態に追い込まれています。塩嶺病院の心臓血管外科があったからこそ、命が救われ、今があると感謝している患者は数知れません。受診されている患者、救急で担ぎこまれる患者は岡谷市民ばかりでなく、諏訪地域はもとより、近隣の伊那や塩尻を始め県内各地に広がっております。今回の事態は地域医療の後退に大きくつながる問題であり、県としても看過できない問題ではないでしょうか。年間数十例から多い時では100例もの手術を行ってきた塩嶺病院が、その機能が果たせなくなれば、他の基幹病院にしわ寄せがいく事が危惧されます。結果として患者は受け入れきれず、たらい回しになることも懸念されます。直接命にかかわる問題だけに事態は深刻です。

そこで衛生部長に伺います。県として今回の事態をどうとらえているのか、県の地域医療政策に影響はないのか。岡谷市当局とも連携しつつ、医師の慰留や医師確保に努めてほしいと思いますがいかがでしょうか。

<桑島衛生部長> 岡谷塩嶺病院の心臓血管外科についてお答え申し上げます。
 まず県としての受け止めと地域医療政策への影響というお尋ねをいただいておりますが、岡谷塩嶺病院で心臓疾患の難しい手術を受けられました大勢の患者さんや塩嶺病院の心臓血管外科を万一のときの安心の支えとされてこられました市民の皆様方にとって、日本大学医学部が関連病院を解消し、派遣医師を引き揚げることを決定しましたことは大変大きな衝撃でございまして、県としても残念でならないという思いでございます。最近の医療をめぐる厳しい状況の中で地域医療を支えるキーワードとして、機能の分担と連携ということを掲げてございます。そうしたことの中で、県の第5次医療計画においても岡谷塩嶺病院は急性期の心筋梗塞に関する医療を担う病院として位置付けられておりまして、同じ諏訪医療圏内の諏訪赤十字病院で相当数手術が行われている現状がございますものの、高い水準の専門医療を提供する診療科がなくなるということは、諏訪医療圏内の医療体制に少なからず影響を与えるものというふうに考えてございます。

 次にこの問題に関する岡谷市との連携等についてでございますけれども、この問題には最近の地域医療をめぐる課題が複雑に絡んでございます。例えば公立病院は民間の病院ではなかなか担うことができない医療分野をになうという使命もございます。一方厳しい経営環境から病院存続のための抜本的改革をせまられているという状況にもございます。また多くの病院では、大学等中核的な関連病院という位置付けのもとで、医師の派遣を受けて医療体制を維持しております。今回の問題の背景の一つとして、年間の手術件数が100例を割ると。そうした場合専門医の育成機能を失うということがございますが、岡谷の事例ばかりではなく、いまや派遣する側にとっていかに魅力ある環境を派遣を受ける側の病院や自治体が提供できるかが医師派遣の大きなポイントになっているといる状況にもございます。

いずれにいたしましても、大変難しい問題でございまして、県といたしましても、解決につながる道筋を必ずしも持っているわけではございませんが、岡谷市と情報を共有しながらドクターバンク事業による医師確保などの様々な形で支援をしてまいりたいと考えてございます。以上でございます。

<毛利県議> 岡谷塩嶺病院の心臓血管外科の閉鎖の問題につきましては、先ほど部長からもご答弁がございましたように、県の第5次医療計画の中でも基幹病院に位置付けられている大事な病院でありまして、今後ともぜひ岡谷市民のみならず、諏訪圏域の住民のみなさん、そして県内のみなさんにとって行き場がなくて困ることがないように、きちんと連絡を取り合いつつ、善処を求めたいと思いますので、よろしくお願いします。


 今回4点にわたって取り上げさせていただいた問題は、住民の命とくらし、そして希望ある生活にとって必要不可欠なものばかりです。年の瀬が迫ってまいりました。非正規労働者の雇い止め全国3位、製造業の倒産件数全国7位、負債総額全国2位の長野県であるという状況を考えたときに、昨年以上に厳しい事態が予想されます。昨年は県は年末年始、部局横断で西庁舎に相談窓口を設けて県民の相談に乗っていただきました。今年も昨年以上の体制で臨んでいただき、県民の苦難にこたえていただきたいことを強く申し上げ私の一般質問を終わります。