2009年11月定例会  12月14日  小林伸陽  

「児童福祉施設条例の一部を改正する条例案」の反対討論


 議第九号、児童福祉施設条例の一部を改正する条例案について、反対の討論を行います。

 政治改革の名の下に国鉄は民営化され、その後、不採算路線が相次ぎ廃線に追い込まれています。郵政事業の民営化は、へき地の郵便局を廃止に追いやり、国立大学の独立法人化で大学では運営費を企業に求め、教育の有り方にも大きな支障が生まれるなど、国民生活にとって深刻な事態を生み出しています。
 長野県でも、この間、県立病院の地方独立行政法人化や、西駒郷、文化会館、美術館、公園など指定管理への移行が次々と強行されています。その目的は「民間の能力や活力を活用しつつ、利用者へのサービスの維持・向上を図ると共に経費の節減を図る」とされ、指定管理者等への委託は当然の流れのようになっていますが、果たしてそうでしょうか。
 議第九号の社会委員会の審査では、その目的が「全庁的な行政改革のもとで競争原理と費用対効果を図るため」としている事が明らかになりました。信濃学園は知的障害のある児童を受け入れ、発達支援、自立支援を行うと共に、地域生活への移行を推進する施設です。又、諏訪湖健康学園は、親元を離れて集団生活をしながら仲間づくりをし、心のケアや四季折々の行事・遊びを通じて、一人一人の力が十分発揮出来るよう成長・発達や自立の援助を行うことを目的にしています。
 これまで専門性のある職員が力を合わせ、入所児・者の皆さんの生活向上の為に献身的な努力が行われてきました。とりわけ重い障害を持つ入所児・者と職員との人間的かかわりが重要な施設において、指定管理等を導入すれば競争原理や費用対効果を持ち込む事となり、そこに働く人たちは低コストで働かされる事になりかねません。現状でも勤務する職員は疲労困憊し、入所児・者の期待に応えることが出来ないと訴えている声が聞こえているはずです。公園等の管理などとは違い、障害者の支援や、へき地医療や高度な専門性が求められる分野は、競争原理や費用対効果を求める分野ではありません。
 どこの市町村でもへき地医療には競争原理や費用対効果を求めるどころか、維持する大変な努力をしているのが現状です。ましてや、「県の職員ではまともなサービスも提供できず、民間委託でサービスの向上を図る」との評価は、懸命に努力している職員に対しても許されるものではありません。信濃学園の福祉サービス第三者評価を見れば、極めて高い評価であり、その一方で、職員の心性ストレスの軽減等は施設管理者に具体的対策を求めておリ、人員の増員や施設の改善こそ求められております。県の責任を放棄して、管理を民間に委託する議第九号に反対します。議員各位のご賛同を心より訴えて反対の討論といたします。
 尚、自治体への委託を除く、須坂青年家、望月少年自然の家の指定管理にも反対するものです。