2009年9月定例会  10月9日  高村京子

「議第1号 平成21年度長野県一般会計補正予算案」への賛成討論

 議第1号 平成21年度長野県一般会計補正予算案に対して、日本共産党県議団として、いくつかの問題点を指摘し改善を求めながら、賛成討論を行います。

 今会の補正予算は、一般会計388億1,901万6千円で、1999年9月補正以来10年ぶりの大型補正額となっており、財源の76.4%を国庫支出金が占めています。
 予算編成の方針として、経済危機や雇用不安に対応するため、6月補正に引き続き長野県新経済対策事業実施分として、166億2,466万8千円を計上し、環境、産業・雇用、健康・子育て、安全・安心施策の向上を目指す事業と、新型インフルエンザ対策や、7月・8月の豪雨災害復旧事業など、喫緊の対策が盛り込まれています。
 歳出では、各種交付金を積み立てる基金が7つ、その積立金合計額は183億円に達し、補正額の約半分を占めています。この基金を活用する事業の実施は、ほとんどの場合2011年までの2〜3年間と限定しています。主な事業は保護施設や障害者関連施設の耐震化事業、特別養護老人ホーム等の整備事業、児童養護施設の環境改善、地球温暖化対策、高校生の授業料減免や奨学金貸与支援などですが、県民生活の向上に繋がるものは、継続して行う安定的事業となるよう要望します。

 一方、「現任介護職員等研修支援事業」は、失業者が介護施設等で働くことを希望した場合の研修と就職をサポートし、30日以上の雇用を保障するものですが、県が直接実施すべきものを人材派遣会社への委託としており、5,117万円の約3割は派遣会社の手数料となるもので、真に介護職員の雇用の安定に資するものとはならないことを指摘しなければなりません。
 6月補正で承認した、上田と伊那にこの9月開設した「緊急求職者サポートセンター」も、小林伸陽県議が指摘したように2箇所とも同じ人材派遣会社に、1社随意契約により委託しているもので、派遣切りが一つの大きな契機として起こっている事態に、ワンストップでその場から支援できるよう、県が職員を直接雇用して、県の責任ある対応ができる施設として充実を図るべきです。

 中小企業融資制度資金の融資目標額を350億円から200億円追加し額を拡大した事は大いに評価します。大変厳しい経営環境におかれている中小零細企業の支援に資することを願います。特別支援学校の教室増設費4億4千万円余は、児童数の増加に伴い6校20教室をプレハブで増設するものですが、今までも特別支援学校は次々とプレハブでの対応であり、学校環境は年々あきスペースや校庭が狭くなり余裕のない環境の中、さまざまな問題が発生しています。教育委員会おかれては、生徒数の増加に対する自立支援学校の抜本的な環境改善対策を求めます。

 さて、9月補正後の予算の総額は、9,282億円余となり、当初より1,115億円余が増額されました。県債依存度の推移を見ますとピークの1999年の15.6%以後毎年比率を下げ、2006年には9.7%までとなりましたが、今回補正で15.4%と県債依存度が上がり、総額1兆6千102億円となりました。
 特に臨時財政対策債は昨年より536億円増加し2,759億円、また昨年から導入された減収補填債は197億円です。普通債は昨年度から60億円減額しており、見かけ上は県債が減っているように見えますが、臨時財政対策債・減債補填債も、後年度の交付税算定需要額の参考に資するだけで、真に予算へ全額の補填が保障されているわけではなく、あくまでも借金です。
 昨年度は、地方税195億円・地方交付税60億円減収となったことが大きく影響していますし、今年度も既に8月時点で法人事業税と法人県民税が大きく落ち込み108億円の減収が見込まれ、今後も「減収補填債」の発行を決めており、ますますの借金依存財政となり、県民の暮らしと福祉を支える予算は厳しくなって行きます。10月から福祉医療費負担金の値上げを実行し、子育て世代や一人親世帯、障害を背負う皆さんはつらい思いをしています。

 新政権となって、まだ来年度予算付けの動向は定かではありませんが、予算の優先順位を国民の立場に立って見直すという基本姿勢を歓迎し、県の予算編成の一層の、県民の立場に立った努力を希望して、賛成討論と致します。