2009年6月定例会  6月26日 和田あき子

議題13号 生活保護制度における母子加算の復活を求める意見書(案)の賛成討論

 議題13号 生活保護制度における母子加算の復活を求める意見書(案)の賛成討論をおこないます。
 野党4党が提出していた「生活保護世帯に支給されていた母子加算の復活法案」が本日午前参院で可決されました。
 母子加算は1949年にできて以来、今年60年目にあたります。しかし、2002年度に始まった社会保障予算毎年2200億円削減方針の中で、社会保障のあらゆる分野で制度改悪が次々に行われ、ついには、「母子加算」も削減の対象になり2005年から段階的に減額し、今年4月に全廃されるにいたりました。

 母子加算210億円の全面的廃止で10万世帯のひとり親家庭、約18万人の子どもたちを「いっそうの貧困に落しいれる」事態になっています。 
 様々な事情から生活保護を受給しているみなさんからは、
「小学4年から部活があり、教育費はかかる一方、服もどんどん小さくなる。いろいろ我慢をさせているがいじめにあったらと心配」とか。「学校や保育園で友だちと同じものを用意してやりたい」「育ち盛りの子どもにお腹いっぱい食べさせてやりたい」などの切実な声が寄せられ、「『勉強がしたいのに、進学したい高校へ何故いけないの』と言われたときはつらかった」としぼりだすように思いを語っています。どうして、あたり前の暮しが許されないのでしょうか。

 2007年度から、母子加算廃止の「代替措置」として、ひとり親世帯就労促進費を入れました。これは一時扶助で月1万円、収入が3万円以下になると5000円に減額する厳しい就労指導がされています。しかし、この不況下でますます悪化する雇用情勢のなか、収入の道が絶たれ行政の助けがもっとも必要なときに、矛盾した措置ですし、母子世帯の84%は就労しており、これは母子加算廃止の口実でしかありません。
 4月に廃止して「母子加算を元に戻してほしい」の世論に押されて、来月からは「生活保護制度における子ども健全育成のための支援」、家庭内学習やクラブ活動のための費用として、小学生2,560円、中学生4,330円、高校生5,010円を支給するといっても不十分です。

 国民の批判の前に、政府与党は新たな生活保護の拡充などを検討するそうですが、それ自体は大いにやって欲しいものです。でもそうだとしても、それまでは削減のままで良いということにはなりません。まずは母子加算を復活で冷たい風を止め、その後、さらに暖める人間らしさを回復する制度への改善をすべきです。

 憲法25条で国民が健康で文化的な最低限度の生活を保障することを具体化した生活保護制度に対して「低所得母子世帯の水準と比べ、生活保護の方が高い」という論もあります。しかし、生活保護費以下で暮している世帯が保護を受給できないことの方が問題で、根本の課題のすり替えです。
 社会保障審議会福祉部会の生活保護制度のあり方に関する専門委員を務めた静岡大学の布川教授は、同委員会での議論のなかで「母子加算については廃止という提言をしていない。」と指摘し、予算削減という「間違った根拠と手続きをもとに廃止したのだから溯って復活すべき」と発言しています。

 みなさまのご賛同をお願い申し上げ、賛成討論を終ります。