2009年2月定例会 一般質問 2月25日 もうり 栄子 

1、雇用問題について

2、外国人労働者について

3、基金事業などについて

4、妊婦健診支援事業について

 日本共産党県議団を代表し、第16号及び第17号の2月補正予算並びに基金について質問いたします。
先日平成20年のGDPが前年比-12.7%の報道は、世界同時不況のなかでも日本は、とりわけ第1次石油ショック以来35年ぶりの大幅なマイナスで、大きな衝撃となりました。県では昨年暮れには、「緊急経済対策本部」を設置し、年末年始、部局横断で窓口をあけ、スピーディーに県民の相談に応じ、1月臨時議会も開いて対応してきていただいているところですが、日を追うごとに厳しさは増すばかりです。今回の補正は、国の第2次補正予算関係と来年度予算の前倒しで提案されていますが、以下4点にわたって質問させていただきます。

1、雇用問題について

 まず、1つ目は雇用と企業の業績悪化の現状認識について知事に通告させていただいておりましたが、先ほどの代表質問の中で一定の答弁がありましたので、その部分は割愛させていただきます。
 ただ製造業などでは、週休3日、4日といった対応で、国の雇用調整助成金なども使いながら、なんとかしのいでいる状態ですが、先行き不安は増大し、自殺者なども出ています。大幅な賃下げや失職となった労働者とともに、深刻な事態が広がっているので、危機感をもって対応をしていただきたいことをお願いしておきます。
 ここでは一方で、雇用確保に四苦八苦しているのに、派遣切りなど大量に違法状態で職を奪われる皆さんが発生している問題について、知事に伺います。知事は長野労働局とともに派遣先企業に法令を守って、一方的な契約解除や解雇をしないこと。あらゆる方策を駆使して、雇用の確保をしていただきたいことなどをしっかりと要請し、指導すべきと思いますが、いかがですか。
<村井知事>
 お答え申し上げます。まず労働契約法あるいは労働基準法、労働派遣法、職業安定法など、現行法の順守、これらは当然のことでありまして、こういった労働法令の順守という事は、もとより重要な事でありますけれども、これ関する指導監督というのは、その法的権限を有する長野労働局が、担当しているものでありまして、私は労働局と一緒になって、企業に要請するというような類のことではないのではないかという感じをもっております。
 ただそのことを申し上げた上で、県としましては、労政事務所でこういった法令の周知、これを労働教育講座、あるいは労働相談などを通じまして企業などを対象にして、労働法令の周知・啓発をやっておるわけでございまして、こういう取り組みを一層強めてまいることがこの際非常に大事だと思っております。
 知事にはご答弁いただきましてありがとうございました。この間の国会答弁のなかで、3年の期限内の中途契約解除は違法、3年を超えて使っていた場合は企業から正社員雇用の義務がある、同一ラインで違う人を派遣で3年以上入れていた場合もその部署は「臨時的・一時的」という派遣法の趣旨から外れるので、正社員対応しなければならないという政府見解が示されているところでございます。先ほど労働局ではないので、県としては指導できないというお話でございました。しかし、1月補正のときに、長野県がものづくり産業投資応援条例で応援している企業がですね、700人の派遣を首切り、14人の正職員の希望退職に応じているということがありました。そういうことを是非長野県としても、先ほどの法令に則って、一般的に首切りというようなことが言われておりますけれども、解雇しないようにということを是非協力を求めて頂きたいと思いますので、特にそういう応援をした企業については、厳格な対応をお願いします。

2、外国人労働者について

 外国人労働者の問題について企画部長に伺います。
 長野県内には昨年10月末で10,292人の外国人労働者が働いていると報告されています。税金を払い住民登録もされている皆さんですが、昨今の状況の中では、真っ先に首を切られるのは外国人です。今離職を余儀なくされた皆さんが住むところがない、食べ物がない、お金がない、医者にかかれない、言葉がわからない、国に帰れない、どこに相談したらいいかわからないと大変な事態です。過日上伊那医療生協で相談会をやったところ60人も詰めかけたそうですがほんの氷山の一角とのことです。県として外国人労働者の現状をどう把握し、どう対応されようとしているのか。子供の問題でも岡谷市にあったブラジル人学校「あしなが学園」は3桁の子供さんがいたのに、親の失業で月7万円の授業料・給食費が払えない、すでに帰国してしまったなどで急減し、とうとう閉鎖の事態になりました。日本の学校にも通えず家にいる子供もいるとのことで、人権問題です。
内閣府は緊急経済対策として外国人支援の「雇用対策メニュー」を示していますが、長野県の外国人に対する対策は不十分と言わざるをえません。県でも総合的な日常生活支援への対応がとれないのか、企画部長の見解を伺います。
<望月企画部長>
 まず現在の雇用情勢のもとでの外国籍県民についてのお尋ねでございます。長野労働局の昨年12月の調査によりますと、昨年10月から、本年の3月までの非正規労働者の雇い止め等の状況でございますけれども、4,000人程度と及んでおります。そのうち外国人労働者の割合は、1割程度と見込んでおるわけでございますけれども、その生活実態をつぶさに把握することは困難でございます。しかしながら、外国人労働者の置かれている状況というのは、極めて厳しいものがあると認識しておるところでございます。
 そこで県と致しましては、従来よりポルトガル語、中国語など、5言語に堪能な多文化共生教育講座を設置し、労働相談、居住相談、在留相談等に対応するほか、雇用保険、労災等に関する無料法律相談の開催。それから、7つの外国によりまして、行政情報を提供する情報誌の発行、日本語指導教室への担当教員の配置、担当プロジェクトによります外国人児童生徒への就学支援、乳幼児医療に対応した多言語の問診票など、様々な分野で対策にまいっているところでございます。
 また昨年末に設置した県の緊急経済対策総合相談窓口のあるいは地方事務所等によりまして、窓口の相談に訪れる県民の声を対処するため県に登録しております、速やかに派遣するなどの対応をとったところでございます。
こうした中で先ほど、委員のお話にもありましたように、国においては定住外国人の支援策といたしまして、教育、雇用、住宅、帰国対策、それから情報提供背策について、1月末に当面の対策を取りまとめるとともに、県内の6か所のハローワークにも通訳者の増員、それから市町村と協力して、外国人出張相談所コーナー等を新たに設置したところでございます。県と致しましても、こうした動きと十分連携の上、引き続き国、市町村などの行政機関、それから関係団体等と、より一層情報交換を密に行いまして、外国籍県民の生活を把握するとともに、必要に応じ対策を講じてまいりたいと考えております。
 外国人労働者の問題について、企画部長に伺います。市町村の窓口には外国籍住民の相談が殺到しています。諸問題を解決する前にまず言葉の壁があり、そのための外国語が話せる相談窓口の充実が求められています。諏訪市では週2日開設していた窓口を3日に拡大し、ポルトガル語ができる人材を配置しています。
伊那市でも市役所の窓口に相談者が押し掛け、とても対応しきれない状況だと伺っております。先ほどハローワークもしくは市町村の窓口で、対応していくようにしたいというようなご答弁でしたけれども、では、長野県の役割はどこで果たすのかという思いがいたします。国では学校や医療機関への支援も提案しているので、「ふるさと雇用再生特別基金」や「緊急雇用創出基金」を活用して人件費も手当しながら必要なところに必要な人材を県として確保してほしいと思いますがいかがでしょうか。
<望月企画部長>
 外国人労働者の関係、町村窓口には大勢の外国人が殺到してるということでございまして、何らかの対応ということでございます。
 国の支援策につきましても、1月末に示されたところでございまして、今市町村等もいろんな協議を進めております。そういった中で、もうしばらく検討を致しまして、外国人、県民の様子を見ながら、国、市町村と一緒に連携をもってやっていきたいと思っております。

3、基金事業などについて

 基金事業について総務部長、商工労働部長、企画部長に伺います。
先の臨時議会で県としての直接雇用を求めたところですが、今回の補正で1905人の雇用を生み出す予算が盛られていることは歓迎します。
ふるさと雇用再生特別基金、緊急雇用創出基金など3年間の事業という事でほとんどが次年度以降に基金として残されたわけですが、企業は3月が決算期ということでいっそう危機的状況になることが心配されます。この基金はためるのではなく、今年度最大限有効に使う事が必要ではないかと思いますし、正規雇用につながる事業にしていただきたいと思います。どの様な事業を考えているか商工労働部長に伺います。
地域活性化生活対策臨時交付金についても基金にするのは交付金の30%以内というのが国の指導のようですがこれもぜひ最大限平成20年度で有効な事業に使ってほしいと思います。総務部長の見解を伺います。
 消費者行政活性化基金について企画部長に伺います。この基金は消費者庁の創設をにらみながら地方消費者行政の活性化のために積み立てられるものです。消費者行政は住民の最も身近なところで行われることが必要で、市町村と連携し、相談体制の充実のための人材確保や専門研修、窓口の設置が求められています。どのような事業に使うのか企画部長に伺います。
<望月企画部長>
 消費者行政活性化基金をどう使うのかというお尋ねでございます。この基金は、国の交付金を財源とする消費者行政活性化基金でございまして、3億円の予算をお願いしているわけでございますけれども、手続き的なことを申し上げますと、今後、国あるいは市町村がそれぞれが確定する平成21年度から23年度までの活性化計画、こういったものを作りまして、あわせて各年度の総合計画につきまして、これも作りまして、これを国の承認を得た上で、3年間にわたり活用する、こういった仕組みになっております。したがって平成21年度には制度上対象になっておりません。そこで県と致しましては、まず21年度当初予算におきましては、当面消費者啓発の充実、それから消費生活センター、消費生活相談の機能強化を重点として、消費生活向上安定事業というかたちで3300万円程の予算を組んでおるわけでございますけれども、その一部に基金を取り崩しまして、2600万円を充当するということで予定してございます。
 また消費者生活の推進にあたりましては、住民に最も身近な市町村が果たす役割というのが極めて重要であると思っております。そうした面から、相談機能を強化するために、市町村における相談員を研修、市町村における相談の窓口の設置、こういった相談体制の充実に向けた取り組み、それからもちろんのこと消費者啓発を充実する取り組み、こういったものに対しましても、今後事業計画等につきまして、調整等がつき次第、新年度の予算も含めまして、重点的に支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。


<荒井商工労働部長>
 雇用関係基金の有効活用に関するお尋ねでございます。現下の雇用情勢を踏まえまして、雇用関係基金の事業につきましては、また早期に着手することは、重要であると考えております。年度末に向けまして、平成20年度の実施できるものは、この2月補正予算に計上したところでございまして、県としての事業を行うとともに、市町村において行われております、緊急的な 臨時雇用等の事業に対しましても、助成をすることといたしております。この基金の事業の実施期間は、平成23年度までとされておりますけれども、雇用情勢を見ながら、できるだけスピーディーにかつ弾力的に対応していくことが重要でありますし、またさらには、この基金の事業の先に安定的な雇用の確保につながるよう、ジョブカフェ信州におけるハローワーク等との連携協力による就職支援、あるいは福祉などの人手不足が続いている分野での職業訓練の実施などにも、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


<浦野総務部長>
 地域活性化・生活対策臨時交付金についての使い方のお尋ねでございます。地域活性化・生活対策臨時交付金でございますけれども、現下の経済状況に対応いたしまして、切れ目なく事業を行って、実需を喚起して、経済の安定と雇用の確保を図るということを目的としまして、その7割をこの1月補正、それから2月補正の財源と致して、それに充てておりますが、3割を基金に積み立て、21年度の事業に充てることと致しております。そうした使い方で、生活密着型の社会資本の整備に用いてまいると、いうふうに考えております。
 消費者行政活性化基金について企画部長に伺います。
21年度以降の事業という事でありますが、国は当初「地域活性化生活対策臨時交付金」は人件費に充ててはいけないという対応を取っていましたが、内閣府特命の野田大臣や国民生活局長から再三にわたって「充当可能」だと、きちんと消費者行政の充実のために確保せよと指示を出しています。
臨時交付金を充てること、また、基金は神奈川のように相談員の4人増員や日額制から月給制への待遇改善に充てたり、埼玉のように市町村の相談窓口を増やす、相談員の報酬単価を増額するなどに使う予定のところもあります。長野県でも相談員の、研修は当然でございますが、人がそこにいることによって、充実できることであります。増員や待遇改善、市町村への支援の充実に使ってほしいと思いますがいかがでしょうか。
<望月企画部長>
 活性化基金につきましては、先ほどお答え致しましたとおり、いずれにしても、今市町村でも今後の事業計画を作っておりますので、そういったものを見ながら、どういった点に一番出ていったらよいか、引き続き検討させていただきたいと思います。
 いずれにしましても、これはそういった計画につき、国の承認を得られないと活性化基金は使えませんので、そういった形で対応させていただきたいとこのように考えております。

4、妊婦健診支援事業について

 妊婦検診公費助成が5回から一気に14回になったことは歓迎します。3年間の事業でハイ終わりというわけにはいきません。3年経過後も、市町村は心配しています。ぜひ引き続いて実施できるよう国に財政措置を求めて欲しいと思いますが、今後の方向性について衛生部長の見解を伺います。
<渡辺衛生部長>
 妊婦健診の公費負担拡充は国の第2次補正予算が成立したことによりまして、本年度から平成22年度末までの間、実施されるものです。厚生労働省は、平成23年度以降の国の財政処置につきましては、市町村における妊婦健診事業の実施状況を踏まえつつ、検討することとしております。県下すべての市町村は、14回まで公費負担を拡充することとしておりますので、県と致しましては、国の動向について注視してまいります。