2008年9月議会  和田あき子

平成20年度一般会計補正予算(案)に対する賛成討論

 提案された補正予算額16億9961万5千円の約9割の15億円が昨年度の法人県民税・事業税の確定申告額が昨年度の中間申告納税額を下回ったため、収め過ぎたところに還付するための補正であり、やむをえないものです。
 そもそも国の「構造改革」政策の結果、極端な「外需・輸出頼み、内需・家計ないがしろ」の脆弱な体質になってしまい、地域経済の衰退、貧困格差が広がったことから、昨年度からすでに県内経済の悪化が深刻になり、さらに今年度予算は当初見込みを190億円以上の税収不足が生じると言われる事態になりました。長野県経済の根幹を支える、農業・中小企業への支援を強めることや、県民生活を応援し、経済の体質を改善することと、今後、国において「内需・家計」に軸足をおいた経済対策への転換を強く望みます。また、下伊那・降雹(こうひょう)被害にも早速の対応がされましたが、今後のいっそうの支援を望むものです。
  
 今回の補正予算案の中で1点、
 長野県国民保護共同実働訓練のため、補正予算の総務費に766万3千円、これには残念ながら賛成できません。当初予算と合わせて1,564万円余の予算が計上されています。昨年度の図上訓練の成果と課題を踏まえ、国と共同の実働訓練を行い、県計画の検証と職員の対処能力の向上と関係機関との連携を図ることを訓練の目的としています。「ビッグハットのテロリストによる化学剤散布」と「長野駅のテロリスト立てこもり」で、どちらもテロを想定して、約1,000人の参加で行うものです。
 この訓練は有事10法のうち、唯一、国民生活にかかわり、自治体に「条例化」を義務付け、平時から発動できる国民保護法で「避難訓練」等で「平時」の「有事」化をし、「見えない敵」を想定した計画を作成し、「敵と向き合う臨戦社会」に国民を巻き込むものです。今年、国民保護共同実働訓練を実施するのは全国でわずか4県だけです。
 
 アメリカの国防総省とも深いかかわりがあるシンクタンク「ランド研究所」が、テロ活動が終わった経験を歴史的に分析した報告書を発表しました。それによりますと、「政治的解決」が43%、「警察などによる取締り」が40%、「軍事力でテロ組織を壊滅に追い込んだ」はわずか7%にすぎない。「対テロ戦争よりも、警察活動などに重点をおいたテロ対策こそが有効だ」としています。
 県は、国民保護に関する基本理念として、平和と安全を確保するには、不断の外交努力が何よりも重要であるという立場で、憲法9条の精神を生かす努力をこそ国に求めるべきと申し上げ、補正予算案の賛成討論といたします。