2008年2月議会 一般質問 2月28日 高村京子

1 地域医療体制について

2 後期高齢者医療制度について

3 薬害肝炎患者救済について

4 農業大学校の充実について

1 地域医療体制について

 長野病院の麻酔科・産婦人科の縮小や日赤上山田病院が4月から病棟閉鎖など上田小県地域及び隣接する戸倉上山田地域にかけて、一次及び二次医療体制が坂道を転がるように悪化しています。住民や自治体・議会などもなんとしても医療体制を維持してほしいとさまざま取り組んでいますが、何ら解決の方向が見えずむしろ時がたつにつれてなお深刻な医療崩壊の方向に進んでいます。県に対しても医療体制存続の要請が多く寄せられていると思います。県はこの間、どのようなご努力をされたのでしょうか。地域医療計画に照らしてどのように地域医療を守るのか衛生部長に伺います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。長野病院の産科医師の引きあげ、長野赤十字上山田病院の閉院等の問題につきましては、大変深刻に受け止めております。
 長野病院につきましては、関係機関とともに昭和大学病院に医師の派遣継続を要請するほか、ハイリスク分娩などの受け入れについて周辺病院に対しての協力要請を行なっております。
 上山田病院の閉院につきましては、長野赤十字病院の熟慮の上での判断と受け止めております。引き続き地元市長や関係者と連携を取りながら対応をしてまいります。
 今後とも本年度策定予定の第5次長野県保健医療計画の趣旨に沿いまして、地域の実情に応じた各医療機関の機能分担と、連携体制を構築いたしまして、医師及び医療提供体制の確保に向けて取り組んでまいります。

 知事を始めといたしまして、それぞれの関連病院や地域のみなさんと検討してご努力いただいている。これはわかるわけでございますけれども、具体的な実現が図られていない。大変危機感を感じるわけであります。

 上小地域及び千曲市南部地域の患者が佐久地域や篠ノ井長野地域へ流れる事で、佐久総合病院や篠ノ井総合病院では、重症患者の受け入れが増えて、時には空きベッドなしでの対応や医師・看護師・助産師の疲弊が深刻となっています。医師不足が解消されないまま広域での集約を進めると、集約病院が機能を果たせなくなる危機的事態になるのではないか。県の見解を衛生部長に伺います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。上小地域等からの救急患者の流入に伴う受け入れ先の病院への影響は多大で深刻なものと受け止めております。なお、県の施策として救急医療の集約化を行なっているものではございませんけれども、救急搬送の増加と医師不足の影響で、結果としてご質問のような状況が生じているものでございます。
 今後とも県といたしましては、救急医療に関する問題など、地域の課題について、地域医療検討会の開催を通じ、診療所、病院の役割分担を推進することなどによりまして、中核病院の負担を軽減し、地域の医療体制維持につなげてまいります。

 共産党県議団は佐久総合病院や篠ノ井総合病院にうかがい、救急は搬送が、非常にこの間、上小地域の搬送も含めまして増えているということでございました。年間約3000件以上を篠ノ井、あるいは佐久総合病院が担っていただいておりまして、引き続き、なお上小地域の医療体制が縮小する場合には、ドミノ倒しとなって、頑張っていただいている佐久や篠ノ井にも影響がおきるのではないかと危惧しております。

―昨年の秋に消防庁通達にておこなわれた産科・周産期傷病者搬送実態調査では、全国及び長野県はどのような実態でしょうか。またその結果を受けて、病院と消防署、危機管理局において、どのような危機管理体制を取るのか、危機管理局長に伺います。

松本危機管理局長:
 昨年9月、消防庁によりまして産科・周産期傷病者搬送実態調査こういうものが行なわれております。これは平成16年から18年までの三年間について、調査が行なわれたところでございます。全国的にはたいへんきびしい状況も浮きぼりになりましたけれども、本県ではこの間1526人の搬送実績がございますが、消防機関からの紹介に対しまして、医療機関で受け入れに至らなかった回数、これは5回という事案が1件。それからその他は2回以下でございまして、いずれの事案も現場滞在時間は60分未満ということでございました。なお、受け入れに至らなかった回数が5回という事案につきましても、現場滞在時間は、30分未満ということでございました。
 県では救急搬送受け入れ態勢の確保に向けまして、周産期母子医療センターと消防機関関係者による、長野県周産期医療対策会議、こういうものを2月18日に開催しておりまして、検討を行なっております。
 医師不足の解消など、医療機関の受け入れ態勢の整備につきましては、衛生部長からお答えをしておりますとおり、県として全力を挙げて取り組んでおるところでございますけれども、救急搬送体制の強化という、消防側の取り組みにつきましても、病院側とのさらなる連携の強化ですとか、救急救命士の養成配置ですとか、消防機関と連携を図りながら、これからも進めて参りたいと思っております。

 消防本部が2007年に行なった救急搬送受け入れのまとめでも、深刻な事態があるように思います。処置困難が145件、ベッド満床で対応できない80件、手術中・患者対応中76件等出ております。佐久総合病院ではすでに今年1000件のお産を扱っております。里帰りを断らざるを得ない状況もあるようです。また篠ノ井総合病院でも800件を越えておりまして、それぞれ4人の医師で頑張っていただいておりますけれども、非常に厳しい事態になっておりまして、医師や看護士の疲弊が大変心配でございます。
 また本来長野病院は母子救急医指定病院でありますので、ハイリスクのお産を含めて年間400件のお産を東信地域で受け入れる保障があるのでしょうか。この点につきまして、もう一度衛生部長にお伺いしたいと思います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。今の状況ですと、何とか吸収は可能だというようなお答えをいただいております。ただ長野病院の産科医がいなくなって、ひじょうに問題であるのは、二次医療ができなくなるということだと思います。今までは、一次ができなくなるというような形での状況が地域としてはあったところもあるんですけれども、長野病院の場合は、ほんとうにあそこは二次医療ができるのは長野病院だけであるという形で、今まで以上の深刻さを感じております。

 上小・東信地域におきまして、婦人科等の二次救急、ひじょうに危惧されるところでございます。

 医師不足は、最前線でともに奮闘する看護師や助産師にも過酷な労働とストレスが生じ、現場を去ってゆく人は、12.3%と看護職員不足が病床閉鎖につながるなど、地域医療悪化の事態を招いています。
 医師確保対策と同じウエイトで、同じ視点で、看護職員確保対策を強める必要があると思います。県内病院の看護師確保の実態と対策について、衛生部長に伺います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。平成18年4月に、入院基本料が7:1に申請された影響によりまして、看護職員の県内有効求人倍率が、19年10月に4.53倍となるなど需給が逼迫しまして、中小規模病院ほど確保が困難な状況にございます。県といたしましては、従来より看護職員の確保を図るため、新規養成数の確保と、離職防止、再就業の促進を施策の柱として実施しております。新年度予算では、新規養成数の確保のために、看護大学を始めとした県立校の運営費として10億2千万円余、看護学生に対する就学資金の貸与や、民間養成所の運営費・施設整備費への助成といたしまして、3億8千万円余を計上しております。また離職防止、再就業促進のために病院内保育所への運営費補助や、ナースセンター運営事業として約6千万円余を計上したほか、新たに夜間緊急時の子ども預かり支援事業を実施することとしておりまして、看護職員確保対策費全体では14億7千万円余となっております。
 これらの施策を総合的に推進いたしまして、看護職員の確保に努めてまいります。

 患者7対1の看護配置基準を確保するために病院間の看護師確保競争が激化し、中小病院はいっそう看護師が確保できない事態が広がっています。「看護師の絶対的な不足」です。月8日の夜勤協定が守られず10〜12日も夜勤をこなし、自らの健康や家庭を犠牲にして頑張っている看護師を救って戴きたいと思います。7対1看護が始まる以前の看護職員需給計画は調査をやり直し、抜本的に現状に見合った需給計画に向けての確保対策をとるべきと、強く国に求めたいと思います。

 総務省は、来年度中に「公的病院改革ガイドライン」を活用した自治体病院の再編・縮小・廃止を目的とした「公立病院改革プラン」の策定を求める通知を出しました。都道府県の地域医療計画策定を義務づけています。長野県において第5次保健医療計画をどのような基本的視点で策定するのか伺います。過日の報道では現行の第4次医療計画よりも547床を削減するとのことですが、今現在ベッド不足で受け入れ困難の事態が発生しているのにどうしてそんなに削減するのかその根拠について衛生部長に伺います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。基準病床数につきましては、医療法に基づき、二次医療圏ごとに療養病床と一般病床の病床数をそれぞれ積算し、それを合算して算出しております。一般病床につきましては年齢別人口、退院率、平均在院日数を乗じまして、必要な病床数を算定いたします。また療養病床についても同様な算定をした上で、そこから介護施設で対応可能な数を差し引いて算定いたします。
 今回の基準病床数は19815床と算定いたしましたが、その算定にあたりましては、地域ケア再生整備構想において療養病床から介護施設に転換する予定の670床を、介護施設で対応可能な数として差し引いている影響で、547床の減少となったものでございます。

昨年10月時点での病床数より377床少ないということなんですが、そうすると昨年もうすでに東信ではベッドがひじょうに不足すると閉鎖するという事態もあるわけです。その中で上小地域が520ベッドも削減をするということについて、もう一度東信地域に絞りまして根拠をうかがいたいと思います。

渡辺衛生部長:
 只今申し上げましたとおり、一定の積算根拠に基づいた結果でございますので、ご理解いただきたいと思います。

 公立病院改革ガイドラインは三つの視点、経営の効率化・病院機能の再編とネットワーク化・経営形態の見直しで、国と地方の財政支出を減らすことが目的ではないでしょうか。モデル例として、拠点となる病院を設定して医師を集約し、その他の病院は機能を限定した診療所に縮小しサテライト化するなど、他地域から医師や病院を奪い、地域の医療格差を広げ、医療崩壊を加速するものではないでしょうか。
 それはすでに国が10年前、上山田病院と東長野病院を統廃合し、420床とした新設長野病院の今の実態と、私は重なるのであります。
 今までお答えいただきましたように、地域医療の急激な崩壊現象は、県民に大きな不安を与えています。二次三次救急機能病院の医師・看護師・助産師の激務は更なるベッド削減や病院縮小閉鎖などの連鎖を起こしかねません。
「長野県民から誰一人として医療にかかる機会を得ずして命をなくす事がないよう」私はもう、危機管理のエリアに入っているのではないかと思います。安全安心の長野県を実現するために、医療の最前線で日夜奮闘されている医療職員の皆さんへ、励ます立場からも、地域医療を守る知事の決意をお伺いしたいと思います。

村井知事:
 知事就任以来、この地域の医療の問題、私もある意味では県政の最重要課題だと位置付けまして、再三申し上げておりますけれども、これまで一番力を注いできた課題だと思っております。そういう意味で、私は県民の安心安全ということを確保するために、もとより、医療はきちんと必要な医療は提供されなければいけない。そのような体制を広域で保障していくのはやはり県の任務だと、このように覚悟しています。その方向で、精一杯の努力をしてまいりたいと存じます。

  舛添厚生労働大臣は、26日衆議院予算委員会で高橋千鶴子委員の質問に対して「今の医師数で充分だとは思っていない」と答えられ医療をめぐる長期ビジョン研究会を立ち上げ検討すると表明されました。
絶対的な医師不足だと思います。週48時間の医師労働を保証するには、9000人以上が必要だとされています。長野県の病院協会では608人、不足すると一昨年の12月アンケートをまとめておられますけれども、医師の確保を病院責任,自治体責任に押し付けるだけでは解決されません。再編を急ぐ事より、まず国が責任を持って医師確保に緊急に乗り出すことを国に強く求めてください。 その点をもう一度、ご決意をお願いします。

村井知事:
 しばしば私は、医療費を抑制するという、ある意味では国の課題、それに対応するために医師の要請も抑制的に推移してきたところで、平成16年における研修医制度変更ということで問題は噴出したというような事情を申し上げておりますし、また、医学生の奨学金の給付などを通じまして、たとえば信州大学がこのたび増員されます折につきましては、きちんと県としての協力体制を組むなど、増員についても協力をいたしておることはご案内の通りであります。
 そのことをもうしあげました上で、医師の増員増加ということを国にさせることは大切なことでございますから、もとよりそれを働きかけをいたしますけれども、同時にこの議場でさきほども述べたことでございますけれども、高度な医療は日に日に求められているような現実があり、それから、それに対して当然相当な費用がかかる、その費用負担についてきちっとした国民的な合意がなかなか形成されていないというのも大きな問題であって、ともかく、金はかからない、しかしサービスだけは十分得られるという、そんな夢のような話はなかなか現実には起こらない。そういう意味では、国民のコンセンサスを同時に作ることも前提しながら、そのような求めをしていく必要だがあると考えております。

 国の責任としての医師確保について強く緊急の対策を求めていただくということと、それから第五次医療計画については、一部の専門のみなさんだけではなく県民を巻き込んでその地域の医療計画をどうしていくか、そういう観点をぜひお願いをしたいと思います。

2.後期高齢者医療制度について

 2月18日長野県後期高齢者医療広域連合議会は、4月からの高齢者医療制度開始の予算を決めました。長野県行政としても来年度予算に181億円余が計上されています。県として後期高齢者医療制度に拠出金などの義務付けがされています。県が果たすべき役割について、衛生部長に伺います。
 また連合議会から要請が合った後期高齢者の特定検診への支援をなぜおこなわないのかも衛生部長に伺います。
さらに、「すべての高齢者から毎月平均で5,400円もの高額の医療保険料を年金から本人の許可なく勝手に天引きする」に値する充分な医療が保障されるのかどうかも衛生部長に伺います。
 特定健診は、規制されることなく今までどおり受けられるのでしょうか

渡辺衛生部長:
 県の役割、および支援についてお答えいたします。
 県は法律に基づきまして広域連合に対しまして、この制度が健全かつ円滑に行なわれますような助言等を行なうこととなっております。
 具体的な支援といたしましては、現行の老人保険制度と同様に、保険給付に要する費用の一部を負担いたします。
 次に新たな支援といたしましては、法律の規定によりまして、低所得者の方などの保険料を軽減した場合の経費や、高額な医療費の発生により保険料の負担が増加するのを緩和する為の経費の一部を負担いたします。
 さらに県に財政安定化基金を設けまして、見込みを上回る保険給付が発生した場合などに必要な資金を貸し付け、または交付することとしております。
 なお、平成20年度も、本年度に引き続きまして県職員を広域連合に派遣して、事業が円滑に運営されるよう支援していきます。
 次に、検診費用に対する支援についてお答えいたします。後期高齢者の検診にかかる費用につきましては、国は当初保険料でまかなうことが原則であるとしておりましたけれども、平成20年度予算の政府案で検診費用の一部を助成するとしたほか、市町村に対しましてこの検診に要する経費分を地方財政措置いたしました。このことは国が後期高齢者の検診費用の財源構成を広域連合、国、および市町村としたものと理解しております。県といたしましては、このような状況を踏まえつつ、検診制度の公的な位置付けや、市町村の果たす役割などを考慮した結果、後期高齢者の検診に対する助成につきまして、事業化しないことといたしました。

 次に後期高齢者の医療についてお答えいたします。平成20年度の診療報酬改定では75歳前後における医療の連続性に配慮いたしまして、後期高齢者医療制度における診療報酬の基本的内容については、75歳以下の者に対して行なわれた場合の診療報酬を適用するといたしておりまして、年齢により提供される医療の内容が変わることはないと思います。また、検診につきましても、今までと内容としてはそれぞれの市町村が考えることでございますけれども、基本的には変わりがないと考えております。以上です。

 老人保険制度から新たな後期高齢者医療制度に変わるために、準備をすすめていき、長野県が拠出金等あるわけですけれども、先ほど衛生部長がおっしゃっていただきましたように、医療は基本的には継続性があって変わりがないというご答弁をいただきましてありがたく思うんですけれども、それでは実際に特定検診、ほんとうに高血圧・糖尿病・高脂血症の方が、差別、そういったみなさんが、差別されない制度になっているのかどうかということと、月6000円の負担までの包括医療ということにつきましては、どういうことなのかということで、突然ですみませんがお願いをしたいと思います。

渡辺衛生部長:
 老人保険制度は今まで年齢制限は多分無かったと思います。基本的には、どこかに治療として通っている場合は、対象にしないという、基本的にはしないという市町村もございましたので、この場合もそのようなことがでてくる可能性はあると思います。ですけれども、基本的には今までの老人保険制度と同じような内容と考えていただいて結構だと思います。
 包括医療についてはわたしもちょっと調べないとわからない点がございますので、後ほど調べまして答弁いたします。

 今ご答弁いただきましたけれども、基本的に差別、格差をつけないということを、連合議会のほうでもご答弁いただいておりますので、ぜひ長野県としてもその点を応援していただきたい。それにつけても、どうして長野県が特定検診に応援をしてくださらないのか残念に思います。次に進みます。

 68歳69歳の老人医療費給付事業を廃止するとしていますが、後期高齢者医療制度が70歳から75歳に改められるのが理由ですが、今までどおり世帯非課税の前期高齢者も含めて高齢者全体を対象に広げ福祉医療給付を拡充するべきではないでしょうか。衛生部長に伺います。

 そもそも、70歳からの高齢者医療や健診には国や自治体によって、高齢者の負担軽減の配慮がありました。それが、小泉内閣による社会保障構造改革によって、後期高齢者医療制度が委員会混乱の中、自民党公明党の強行な採決を経て1昨年6月に成立しました。
 2月はじめに全世帯に配布された広域連合のパンフレットでは、県民は何がどのように変わるのか、また高額な保険料が介護保険料とあわせて一ヶ月平均で約1万円もが天引きされるなど、現在より制限されることになる医療内容がどのようになるのか皆目わからない現状です。
 今衛生部長も包括医療について「ちょっと調べないと」ということでございましたけれども、新たな保険料負担者は、半年間猶予されますが、制度そのものがスタート時点で手直しするなど異例です。また保険証が3月に発行されますが、医療機関側でも対応に苦慮しており、厚生労働省から具体的にこないということを言っておられましたが、準備はまったく整っていません。このようなズサンな制度をこのままスタートさせて良いものでしょうか、知事にお伺いしたいと思います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。まず68、69歳の老人医療費給付事業に関しましては、70歳以上の高齢者を対象としていました老人医療費無料化制度に準じまして、昭和53年から実施してまいりました。しかしながら、その後の法律改正によりまして、老人医療、来年度からの後期高齢者医療の対象が75歳になったことによりまして、医療保険制度との整合性が図れなくなりまして、当初の事業目的がはっきりしなかったことから、経過措置を設けて、廃止する事といたしました。低所得の方につきましては、後期高齢者医療制度では保険料を軽減する制度がございまして、県はこれに要する費用の一部を負担いたします。県といたしましては、この制度を通じて、低所得の方々を支援してまいりたいと考えております。

村井知事:
 いわゆる75歳以上の後期高齢者を対象とする後期高齢者医療制度でございますが、これは75歳以上のいわゆる後期高齢者の医療費が、高齢化の進展に伴いまして、人数が増えていくわけでございますから、当然今後ますます増大する。そういう環境の中で、現役世代とそれから高齢者、この負担を明確にしていく、また世代間で負担能力に応じて公平に負担するということを仕組みまして、それを通じて国民全体できちんとした医療制度を支えていこうと、こういうことで立案された制度だと理解しております。
 制度が始まります段階で、いろいろな経緯もございましたので、若干理解が十分に行き届いていないという問題がございますけれども、年寄りだからといって、すべてが負担能力がないというわけではありませんし、そういう意味では、率直に申しまして、現役世代に過重な負担を負わせることのない仕組みというのは、高齢時代を控えて、私はきちんと構築していく必要があると思っております。そのことを申し上げました上で、制度の運用を通じまして、改善すべき事項などがありましたら、これはもう県として県民の理解が得られるように、さまざまな機会を捉えて、国にきちんと意見も述べ、制度の改善を図るのは当然だと思っております。

 高齢者人口が増えるということですが、これは一人ひとりの高齢者の方の責任ではありません。ゆがんだ日本の歴史、そこにあるのではないかと私は思うんです。知事には今の知事と同じ年代のみなさんのことに、もう少し年上の方かもしれませんが、その皆さんに対して、日本の歴史、過去の戦前・戦中・戦後の歴史で、今の高齢者のみなさんがどういうご苦労をされてきたのか、そのみなさんに対するお言葉をいただきたいとわたしは思います。
 県内の自治体で、2月20日現在ですが約47の議会が、中止撤回等の意見書を上げております。全国では515自治体、三分の一以上が上がっているのでございまして、この点を受け止めまして、知事もう一度、具体的にわからないことはありますが、75歳以上の皆さんを差別するような、あるいは財政的に苦しめるようなこの制度について、もうすこしよく見ていただきまして、高齢者の県民の皆さんの気持ちを代弁して国に意見を上げていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

村井知事:
 わたしは別に、この制度がいわゆる年寄りいじめだとは思えないんです。やっぱり年金の給付もあるというようなことを見ておりましてもですね、反面現在年金を受給している世代というのは、これは率直に申しまして、年金が成立してくる過渡期でもございましたから、いろいろな恩典を受けているという事実もあるわけです。かならずしも掛けた金額だけではない、それ以上のものを受けている高齢者もたくさんいらっしゃるわけでございます。それが良い悪いとは申しません。
 そうではなくて、そういうふうでしかし、今の日本の年金というのは、現役世代に対しまして負荷を出しまして、要するに現役世代から集めたものを今年金を受給しておられる方々がいわば分かち合うという形で、世代間での思いやり、仕送りというのが行なわれているのが、今の年金の仕組みであります。そういう中で医療費の負担を、すべて現役世代に担わせてしまう。そうして、比較的恵まれた世代ともいえる高齢者は負担をしない、例えば老人医療費無料というようなことで、みてきたことが本当にいいのかどうか。いろんな議論がありまして、今度の制度になったわけであります。私はそこを、負担が増えるからいやだと、あるいはこれまでに比べて負担が増えるからいやだというようなことを言っていたのでは、この今の日本の財政状況やらいろいろを考えて参りますと、制度自体が成りたたなくなってしまう。そこで、どのような負担をそれぞれにお願いし、どのような便益・福祉というものを分かち合うか。ここはやはりいろいろ議論を尽くしてコンセンサスを形成していくという過程が大事で、そこにやや足らざるところがあったのかもしれません。しかし、そこはわたくしは今できあがりましたものは一つの制度だと思っておりまして、それに欠けるところがあれば、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、運用上のいろいろな意見というものはこれをきちんと申して参りますけれども、やはりこうしてできました制度というものをそれなりに定着させていく努力は必要だろうと、こんな風に受け止めているところでございます。

渡辺衛生部長:
 さきほど、議員から質問のございました包括医療6000円の件でございますけれども、正式名は「後期高齢者診療料600点」ということでこれは6000円にあたりますけれども、月1回請求できるという形になっております。具体的な内容といたしましては、患者の同意を得た上で、定期的に診療計画を作成いたしまして、総合的な評価や検査等を通じて患者を把握して、継続的に診療していますよということを評価するという、そういう内容でございまして、対象疾患だとか、それが請求できる医療機関はこういう医療機関であるという、かなり細かいところで決められておりますので、どこでも請求できるものではないということでございますけれども、そのような診療報酬上に新設されました医療に対する報酬ということでございます。

 ただいまご答弁いただきましたけれども、包括医療担当医制ですけれども、これはまだ医師会の方にもお伺いしまいて具体的にきていないと、4月から始まるのに、ということでございます。こういうことも含めますと、ひじょうにずさんな後期高齢者医療制度についてはぜひとも県においては白紙撤回を強く求めます。

3.薬害肝炎患者救済について

  非加熱製剤フィブリノゲンなどの治療を受けてウイルス肝炎となった患者の皆さんは、全国で裁判に立ち上がり、苦しい戦いを頑張りぬいてついに昨年12月、ずさんな薬事行政によるものであることが実証され、国と製薬企業に責任を認めさせ、福田総理が原告の皆さんに謝罪を行い、一月の国会で議員立法にて救済制度がようやく実現しました。
 長野県は県独自にウイルス肝炎者医療費補助制度をおこなってきました。
しかし1昨年の10月から村井知事の下で制度を中止し、約5,000人のウイルス肝炎の皆さんを苦しめましたが、昨年の10月からまた輸血や薬害の証明を得られる人に治療費の補助を復活されたいへん喜ばれているところです。

 2月24日に県肝臓病患者協議会が、支援弁護団を招き、薬害肝炎救済法の説明会が開かれ多くの皆さんが熱心に参加しました。国の救済を受けるには、裁判所で判断を受けなければならず、非加熱製剤を治療に用いられたことが証明されなければなりません。県の助成を受けている方も、国の救済法の対象にならないケースも出ることになります。県は保健所などに相談窓口を設けるなど、長い間いわれなき薬害肝炎に苦しんできた皆さんが、国の救済制度を受けられるよう親身になって支援をして戴きたい。−知事に伺います。

村井知事:
 薬害肝炎患者に対する県の支援についてご質問を頂戴しました。
 薬害肝炎患者への救済につきましては、給付金の支給に関する特別措置法により、国の救済制度として厚生労働省で対応が行なわれたことはご案内の通りでございます。保健所におきましては、感染の心配がある方、あるいは感染された方々の健康相談、あるいはウィルス肝炎検査、こういったことは無料で実施させていただいております。
 また、国の救済制度に関するお問い合わせもいただいております。
 国の制度における救済を受けるには、C型肝炎ウィルスに感染した者、または相続人自ら訴訟手続きを行なう必要があるということでございまして、制度の仕組みをご説明した上で、弁護団などの紹介をさせていただいておるところでございます。

4.農業大学校の充実について

 食の安全へのニーズがこれまでになく高まっている中で、安全で信頼できる豊かな長野農業をいっそう推進しなければなりません。また食料自給率の向上が望まれる中、長野県農業の将来を展望し、若き農業後継者を多く育成するために、農業大学校を抜本的に充実させるときに来ていると思います。農業大学校の長期的な視野を持った検討を、県民参加でおこなうべきではないでしょうか。―農政部長のご見解を伺います。

白石農政部長:
 農業大学校の充実についてのおたずねでございます。昨年9月に策定いたしました長野県食と農業農村振興計画の中でも、農業生産を担う担い手の確保育成を最重点課題として位置付けておりまして、意欲と熱意ある若い後継者はもとより、多様な担い手の確保育成対策を進めております。
 農業大学校におきましては、農業後継者をはじめとする就農希望者等に対しまして、農業関係試験場と連携した高度で専門的な技術習得、先進的農業者からの実践的農業手法の研修や、市場調査実習などを実施して参りました。今後とも本県農業の教育・育成拠点として、引き続きカリキュラムの充実を図って参ります。
 現在県の現地機関の見直しにつきましては、行政機構審議会においてご審議をいただいているところでございますが、農業大学校につきましても、県全体の組織の見直しを行なう中で、パブリックコメントなど県民の皆様から広くご意見をいただきながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。