2007年12月議会 12月21日 小林 伸陽

 第9号長野県森林づくり県民税条例に対する反対討論

 第9号長野県森林づくり県民税条例に反対の討論を行います。
 懇話会の提言では森林の機能評価の中で、日本学術会議の森林の多面的機能評価の試算に基づきき、本県の森林評価額は年間3兆681億円にもなるとしております。いうまでもなく森林は県土の保全、水源のかん養、地球温暖化防止などかけがえのない役割を担っています。
 この間、日本共産党県議団は一貫して森林の多面的機能を評価し、ダムより森林整備を訴えてまいりました。しかし、ダム建設にまい進してきた県は、森林の評価は数値的にはまったく出来ないと否定し続けてきました。こうした評価のもとに行ってきた森林政策が、森林の荒廃を招いてきた要因であることは間違いありません。
 しかし、今回の森林税の導入に当たっては、岡谷の土石流災害の教訓からも県土の保全からも、森林整備は一日も放置できない喫緊の課題と政策の大きな転換を行いました。そのことには大きく評価できますが、まずやるべきことは森林税の導入前に、森林資源の利用促進なども含めた政策と森林の多面的機能からみて国の責任で森林整備を求めるべきであります。

 懇話会の提言でも、新たな財源確保に当たり県民の理解を得るためには、事務事業の見直しや、徹底した経費の削減などの行財政改革に最大限の努力が必要とも指摘しています。県財政の運用のなかで6億8千万円が捻出できないのか、県民が納得できる検討が不十分であり、現時点での導入は今後の里山整備に禍根を残しかねません。
 もう1つは、今、県民の増税感は頂点に達しております。高齢者の控除の廃止、所得税・住民税の定率減税の廃止、介護保険の引き上げ、そして来年4月からは後期高齢者医療保険の導入と増税が相次ぎ、そのうえ石油価格の高騰は県民生活を直撃、今回の森林税は県税千円の納税者も百万円を越える納税者にも一律5百円と言う、低所得者ほど負担が重い逆進性のはなはだしい物です。現在の県民税は低所得者に千円の均等割りとなっている。その人口は13万8千人おり、これらの皆さんからは、もう限界との悲鳴の声が聞こえて来るではありませんか。

 こうした中での新たな増税は慎重にも慎重であるべきです。新税の導入に当たっては県民的合意が必要不可欠です。この間、多くの県民の皆さんや自治体の皆さんからも森林税に対する疑問の声が寄せられています。「森林整備の人材不足は深刻で、税を導入すれば整備が進むほど生易しいものではない」「すでに地域では共有林の整備のために2千円から5千円の区民負担を毎年して頑張っているのにさらに増税はたえられない」「多くの山が立ち入り禁止の看板が掲げられキノコや山菜の収穫をしているのに、そこに税金の投入には理解が出来ない」「森林整備の意欲を引き出す間伐材の利用の促進が見えない」など沢山の意見が寄せられており、市町村長からも疑問の声が上がるなど県民合意は到底得られておりません。
 本議会でも賛成者からも実施するにあたり公表や、均等割り納税者に配慮を求めざるを得ない内容です。どの分野からみても議論が不十分であり、現時点での森林税の導入には反対せざるを得ません。議員の皆様方のご賛同をお願いして反対の討論といたします