2007年12月議会 一般質問 12月13日 石坂千穂

1 特別支援学校の今後のあり方について

2 浅川の穴あきダムについて

3 助産師の支援・妊婦健診の公費助成について

1 特別支援学校の今後のあり方について

 いま、全国的にも、長野県内でも、養護学校の児童・生徒数が増える一方で、盲学校・聾学校の児童・生徒数が減少しています。また、長野聾学校は校舎の老朽化が進み、改築が急がれています。このようななかで特別支援学校の今後のあり方をどうしていくのか、教育長の見解をお伺いします。

山口教育長
 特別支援学校の今後のありかたについてのお尋ねでございます。
 本県の特別支援学校に学ぶ児童生徒の状況につきましては、知的障害の児童生徒が大幅に増加している一方で、視覚・聴覚障害の児童生徒は減少傾向にございます。
 特に長野地区においては、長野養護学校の過大化、また長野聾学校の老朽化した校舎の改築など、喫緊の課題があると認識しているところでございます。
 こうした課題に対応するために、今年度から、特別支援教育連携協議会を設置しまして、特別支援学校のあり方を重要課題の一つとして取り上げ、協議しているところでございます。その協議の中で、長野地区4校のあり方を具体的に検討することによって、県全体の方向性も見極めていきたいと、こう考えているところでございます。
 同時に、特別支援学校の校長会、教職員や保護者のみなさまなど、さまざまな立場での話し合いもしていただいており、そのご意見、ご提案については、年度内を目処にまとめ、検討に生かして参りたいと考えおります。
 なお、今後具体的な方向性を定めていく過程におきましても、関係者の理解を得ながら、障害の長期化や多様化等に対応できる特別支援教育の環境作りに努めて参りたいと考えております。

 タイムケア事業の充実について社会部長にお伺いします。
 11月25日に、日本共産党長野県委員会主催で障害者自立支援法を考える懇談会を行ないましたところ、障害者団体や施設運営者、障害者ご本人やご家族など約80名の皆さんにご参加いただき、様々な実情をお聞きすることができました。
 そのなかで、施設入所の方が夏休みで帰宅し、プールの介助に業者を頼んだところ、1時間で4000円もかかり、とても負担が重過ぎるというお話がありました。
 タイムケアは、現在施設入所者は対象外となっていますので、帰宅するために外泊した時や夏休みなどの長期休暇に、利用したくても利用できません。しかし、自立支援法施行後の現在では、施設利用者の給付費は日割りの日額制になっており、施設に対する重複払いは生じないはずですので、地域生活移行、社会参加の促進のためにも、施設入所者であっても、施設を利用していない時は適用対象とするように、改善をはかっていただきたいと思いますが、社会部長いかがでしょうか。

藤巻社会部長
 タイムケア事業に関する質問にお答えいたします。
 タイムケア事業は、現在の障害児・者の方を介護する保護者に休息を提供するため、障害児・者の方を一時的に預かる事業でありまして、実施主体は市町村でありまして、それに対して県が補助となっているものでございます。
 この事業、利用規模が大変に多ございまして、厳しい財政状況の中で予算で伸ばしておるというか伸ばして頂いておりますけれども、現在市町村からの要望にもまだ十分応えられないという状況にございます。
 従いまして、このような状況の中で、県といたしましては、限られた予算の中で施設から一時的に帰宅された世帯よりも、従来どおりより必要性の高い、日常的に在宅で介護されている世帯を優先してサービスしてまいりたいとこのように考えております。

再質問
  社会部長。タイムケアのことなんですけど、障害者自立支援法の施行に伴って、今までと変化が起こって、制度の狭間でなかなかサービスが受けられなくなっている矛盾が起こっております。私がお願いしました事項につきましては、長野市等でも改善の方向が検討されているようですので、ぜひ前向きな検討をお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。

藤巻社会部長
 このタイムケア事業は昨年からできました障害者自立支援法ができる前からやっている事業でございますけれども、障害者自立支援法の施行に伴いまして、市町村の地域生活支援事業というのがご承知のとおりできまして、その中に、タイムケア事業とほぼ同じ内容の、日中一時支援事業というのができまして、そちらの方が設けられましたので、その機会にタイムケア事業を廃止するかという話もございましたけれども、まあ、使い勝手がいいということで、それともうひとつは市町村に参りますこの地域生活支援事業の国の補助金が、トータルとしてはかなり厳しいものがある、ということがございまして、だぶっているような事業でございますけれども、そのままつづけさせていただいているというようなこともございます。
 従いまして、今お話のものにつきましては、できましたら市町村の日中一時支援も、併せてご利用いただきながらやっていただけたらというふうに思います。よろしくお願いします。

 社会部長に、大変歓迎されておりますタイムケア事業ですので、ぜひ引き続き、使い勝手のよいものとして、柔軟な対応をお願いをしておきます。


 連携協議会の議論のなかでは、聾学校の改築にともなって、同じ敷地に盲学校も併設し、移転した盲学校の校舎を養護学校に使ったらどうかという意見も出ているようですが、教育長は、まさか、本気でそんな方向を進められるお考えではないと思いますが、いかがでしょうか。

山口教育長
 お答えいたします。
 連携協議会の中で、ご指摘のような意見を述べられた委員さんも複数いらっしゃることは事実でございます。ただそれに決定したというふうなことではもちろんなくて、さまざまな考え方が出されておりますので、先ほど申し上げたような、長野地区、障害種によりまして4つの特別支援学校がございますけれども、その全体を視野に入れて、どういった考え方で、どういうふうに進めていったらいいかということを、文字通り議論しているわけでございまして、そういう中で今後検討していくということでございます。よろしくお願いします。

 日本共産党県議団は、先日、長野聾学校、長野盲学校の現場をお伺いして調査してきました。
 長野聾学校は、かつて最高時は200名の児童・生徒がいたと言うことですが、現在60名に減少しています。しかし、ひとりひとりの聴覚障害の程度に応じたきめ細かな教育がされており、現在の人数で、むしろ教室数や校舎はちょうど良いと言う印象でした。200名の頃は、むしろ過密状態だったのではないでしょうか。
 この聾学校の敷地は、長野盲学校の敷地の約3分の2と言うことですので、いくら生徒数が減っているとは言え、狭いほうの敷地に一緒にすると言うのではひどいことになると思います。

 視覚障害と聴覚障害はまったく異質の障害で、これを分離して教育しなければ効果が上がらないという考え方で、日本で初めて、官立東京盲唖学校は東京聾唖学校と東京盲学校に分離独立たのが、明治42年。
 しかし、長野県では、盲・ろう同一校の形式、校舎・寄宿舎・校庭を同じにして長野盲唖学校が、当時の保護者や教育関係者から教育的困難さが訴え続けられ、盲・ろう分離教育がようやく県の方針として打ち出されたのが昭和25年とお聞きしております。
 2006年、国連は障害のある人の権利に関する条約の中で、「盲・ろうまたは、盲・ろうの人(特に子ども)の教育が、その個人にとってもっとも適切な言語並びにコミュニケーションの様式および手段で、かつ、学業面の発達および社会性の発達を最大にする環境で行なわれることを確保すること」とうたっています。
 くれぐれも、特別支援学校の将来が、昭和25年以前や明治以前に歴史を逆戻りさせたり、国連の理念、世界の流れに逆行することのないような検討を心から要望しておきます。

2 浅川の穴あきダムについて

 浅川の穴あきダム計画についてお伺いします。
 東京電力は今月5日、新潟県柏崎刈羽原発の設置許可申請時に、活断層ではないとしていた柏崎沖の断層を活断層だったとして、経済産業省総合資源エネルギー調査会の作業部会で報告しました。問題の断層は、この原発から約18キロ離れた海底にありますが、あの大きな被害をもたらした中越沖地震の震源断層との関連も指摘されています。
 東電は、2003年に活断層に対する新しい考え方や評価基準で行なった再評価で「約20キロの長さの活断層の可能性がある」と認識していたにも関わらず、これを公表せず、今回の中越沖地震を受けて再調査した結果公表したといっております。
 浅川のダムサイト予定地のF―V断層については、活断層であるかないかで議論が分かれています。刈羽原発の断層調査で採用された新しい評価基準での再調査を行なったのでしょうか。土木部長の見解をお伺いします。

 また、模型実験は公開で行なうとされていますが、具体的にはどのように実施するのでしょうか。
 一説には、実験場所は京都で、公開といっても試験結果の映像を後から見ることができるだけだというような話も聞こえてきますが、それでは、都合のよいところだけを編集して見せられる可能性もあります。実験と同時進行で、実験の様子を県民が見ることのできる広報でなければ公開とは言えないと思いますが土木部長にお伺いします。

原土木部長
 順次お答えいたします。
 まず柏崎の刈羽原発においてでございますが、これは従来から認識されておりました地質構造であります活褶曲、これも活断層と同等に取り扱うとの地震学の新知見を取り入れまして、平成15年に再評価を行い、日本海海底における長さ約20キロメートルの褶曲を活断層の可能性があると認識していたものと聞いております。
 平成18年9月に改定されました、原子炉施設の新指針「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」では、「活動性があり、地震活動と関連した褶曲を活褶曲とし、活断層と同等に取り扱うこと」とされたところであります。これは調査困難な海底などにおいて、地震の要因となる地下構造を入念に把握し、地震における揺れの強さを評価することを目的としたものであります。
 なお、ダムの設計においては、揺れに対して従来より耐震設計により考慮し、安全な構造とすることとなっており、問題となるのは活断層が地表面におよぶズレであります。従来からのダム建設に際しての調査では、活断層有無を確認するために、空中写真判読などを行いますが、この判読に際しては、地表、地形の変異を確認することとなるため、結果として断層だけでなく褶曲についても網羅することとなります。
 浅川ダムに関しましても、活断層に関するこれまでの調査の過程で、活褶曲も存在しないことが確認されております。したがいまして、ご質問をいただいた観点からも再調査の必要は無いものと判断しております。


 次に、模型実験についてのお尋ねであります。
 水理模型実験につきましては、貯水棟常用洪水吐きからの放流量の関係、減勢工による減勢生効果などを確認するため、一般的に行なわれておりますが、それに加えて浅川ダムでは河床部に常用洪水吐きを設けることから、流木や土砂による閉塞が起こらないことを、擬似流木や砂利等を用いて確認するものでございます。
 具体的に申しますと、貯水池及び停滞全体について、25分の1スケールの模型、これによる貯水池上流部にでの流木の捕捉、それから貯水池内の土砂堆積状況を考慮した排砂機能、減勢工による減勢効果などを検討する全体模型実験と、さらに常用洪水吐きの部分を抽出した10分の1スケールの模型による常用洪水吐き部の放流能力、スクリーン等の流木対策、土砂等による閉塞の有無などを検討する、抽出模型実験を予定しております。
 現在ダムから貯水池上流までの地形にかかる部分の模型制作に着手しておりますが、ダム本体の各部形状は並行して進めております「ダム本体概略設計」での結果を受け、制作に取り掛かることとしておりますので、水理模型実験につきましては、平成20年度の早い時期となる見込みでございます。
 水理模型実験の一般公開の方法でありますが、実験の時間やスペースなど検討すべきことが多々あり、制約等を設けざるを得ない場合もございますが、公開実験のほか、ビデオでもご覧いただけるよう工夫して参りたいと考えております。

 東電の資料によりますと、先ほど土木部長からお話のあった褶曲による判断の他に、平成15年2003年以降、変動地形学的調査等の要求や、活断層の認定基準の年代の考え方、その変更が行なわれるという新しい基準の変更があったそうです。
 県民の命と安全にかかわることですので、再調査ができなくても、この新しい基準で再評価する、それはほんとうに最低限必要なことと思うんですけど、お考えをお伺いしたいというふうに思います。

 私たちは、先日、国土問題研究会副理事長で、元和歌山大学教授の宇民正先生を講師に、浅川の穴あきダム学習会を開きました。
 この学習会では、ダム湖の水位がピークに達した後の浅川穴あきダムでは、貯水池の水位が急降下し、貯水池の周りの地すべりや崩壊を誘発する可能性が極めて高い危険性が指摘され、1.1メートル四方、60数メートルの細い放流菅の中を水位の変動に伴って流れていく水と土砂の様子を横断面で観察する簡易模型実験の映像を見ました。水位の高い時には、砂は水とともに勢いよく押し流されるが、水位が低くなるにつれて、水の勢いは弱まり、砂は細かいものから下のほうにたまり始め、詰まる可能性があることがわかります。
 その映像を見て、これでは、洪水の無い平常時のほうが、もっと穴は詰まる可能性が高いのではないか、と感想を述べた参加者もいました。
 県民の命と安全に関わることであり、多額の県費の出費を伴う事業でもあります。是非とも、県民が納得できる公開実験を要望しますがいかがでしょうか。

原土木部長
 先ほどの新しい評価基準という中でわたしが申し上げましたのは、活褶曲、いわゆる従来は断層を扱っておったんですけれども、活褶曲も断層と同じような動きをするということで今度の指針に取り入れられまして、それを具体的に、中越沖地震もありましたが、従来その調査は東京電力で行なっておりましたが、それを地震が起きたことによりましてさらに詳細に調査をしておるというところでございます。
 そういう面で何ら私どもがやります浅川ダムにつきましては、その褶曲構造ではございません。裾花凝灰岩が深くまで堅い層を成しております。たまたま断層はございますけれども、その断層自体は地表面まで到達していないという、非常に規模の小さいものであります。
 そういう面で私どもは、この褶曲については考慮する必要は無いし、またボーリング等でそれは褶曲構造ではないということは確認してございますので、そのように判断しております。

 さらに公開実験につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ時間とかスペースとかございます。当然私どもがその実験に際しては、公開でやりまして、また見れない方にはビデオとか、そのような形ででも確認をしていただこうと思っております。
 新しい穴あきダムでございますので、ご理解いただけるような実験の方法、それからまた対応を整えて参りたいと思います。

 ちょっと議論がかみ合わない部分もあるんですけど。その褶曲によるその運動量のことではなくて、活断層の認定基準の年代の考え方の変更なども行なわれていますので、その新しい基準で再評価する、東電も建設した後も、繰り返し繰り返し再評価してるんですよね。ということは最低限する必要があるんじゃないですかっていうことを申し上げてるんですけれど、ぜひちょっと心に留めていただきまして、ご検討をお願いしたいと思います。

3 助産師の支援・妊婦健診の公費助成について

 それでは、長野県中期総合計画案の7つの挑戦プロジェクトのテーマのひとつに、「出産・子育てにやさしい県への挑戦」とありますが、まさに、県民みんなの切実な願いです。
 ところが、現実の長野県は、この願いには逆行して、昨日の高村県議の質問にもありましたように、お産のできる病院が次々に無くなっていく、里帰り出産も断られる、ついには、県が集約化をめざした基幹病院となるはずの飯田市立病院や上田の国立長野病院でも集約化そのものが成り立たない事態です。

 私たち日本共産党県議団は、安心してお産ができる長野県になることを願って、このパンフレットを発行しました。(壇上で掲げる)
 是非、知事はじめ理事者の皆様、議員の皆様、広く県民の皆様に読んでいただき、ご一緒に考えていただきたいと考えていますが、私たちの繰り返しの提案は、もちろん必要な医師確保の努力は強めながら、医師が足りないのだから仕方ない、というのではなく、この機会に、お母さんや赤ちゃんにやさしい、本来のお産のあり方についても考え直し、医師と助産師のよりよい連携を強め、助産師の役割に、もっと思い切って光を当ててほしいと言うことです。
 ニュージーランドでは、妊娠した女性には国の責任で、妊娠中、出産、産後をトータルでケアしてくれる医師か助産師を女性が選択できる制度があり、約8割の女性が助産師を選択しているそうです。オランダでは助産師は「正常産の産科医」と呼ばれており、助産師の社会的地位は非常に高いものになっています。
 9月県議会で、毛利議員の質問に対し、衛生部長は、長野県地域医療対策協議会に助産師の代表を入れることを検討すると答弁されましたが、その後どのような検討がされたでしょうか。


 先日、日本共産党県議団として、助産師の研修に力を入れ、潜在助産師の再就職率も高めている神奈川県や横浜市の調査に行ってきました。
 神奈川県では、平成19年度、県が神奈川県看護協会助産師職能委員会に委託して、潜在助産師の助産力再開発研修を行ない、30代から40代が主体の予想を上回る参加者があり、再就職にもつながっているそうです。医師や助産師による最新の知識・技術の講義・研修のほか、診療所での実地の助産研修、就職先の紹介など多彩です。
 横浜市でも、今年度は約800万円の予算で、横浜市助産師会と市の共同で潜在助産師研修会、勤務助産師の研修も行なっています。
 長野県でも、12月2日、日本助産師会長野県支部が松本市で、会陰切開をしないで安全なお産ができる実技研修会を開催したところ、50名の予定に100名近い希望者があり、急きょ来年2月と2回に分けての開催になったとお聞きしています。参加者の中には、病院勤務の助産師も、潜在助産師もいたそうですが、長野県の深刻な現状の解決のため、潜在助産師の活用や助産師の能力向上のための研修に、県としても一層本腰を入れて支援を強めていただきたいと思いますが、衛生部長いかがですか。


 奈良県で、妊産婦が救急車で病院をたらいまわしされたあげく、死産となった事件がありました。先日NHKテレビで「ワーキング・プア」の再々放送がありましたが、高齢者世帯だけでなく、若い世代の経済的困難も深刻です。ついつい、くらしの大変さから、2人目、3人目の子供の1回数千円になる妊婦検診に行かない、行かれない家庭もあるため、健診に行かない、かかりつけ医がいない、そのため救急車でも受け入れてくれない、という悪循環です。
 子育て世代への経済的支援として、妊婦健診の費用に県の支援を検討するべきとの9月県議会の毛利議員の質問に、衛生部長は「県費での助成は困難です。」と答弁されましたが、なぜでしょうか。困難な理由を説明していただきたいと思います。

渡辺衛生部長
 地域医療対策協議会の委員に助産師に参加していただくことへの質問にお答えいたします。
 地域医療対策協議会は、医療関係者、大学、市町村などで構成いたしまして、医師の確保や地域医療の充実につきまして、検討・協議を行なう場でございます。現在の深刻な医師不足の状況の中では、助産師の活用が不可欠と考えておりますので、助産師の視点からもご意見を頂くことができるよう、現在委嘱手続きを進めているところでございます。

 また助産師の支援についてお答えいたします。県といたしましては、本年度助産師支援検討会を設置いたしまして、助産師と産科医師との役割分担や、助産師外来、院内助産所開設に向けた研修会について検討をしてまいりました。検討会のご意見を元に、産科医療を取り巻を取り巻く状況を知るための講演会や、助産師を対象とした、知識・技術習得を目的とした研修会を今年度開催することといたしまして、現在準備をすすめているところでございます。

 また、潜在助産師の活用につきましては、従来潜在看護士に対しまして、再就職支援研修会を実施しておりましたけれども、助産師に着目した研修を実施したいと考えております。議員ご提案の通り、県でも助産師の役割は重要と考えておりまして、助産師の活用促進の検討や能力向上のための研修会開催など、支援策を充実して参ります。

 また妊婦検診費用への助成についてお答えいたします。
 妊婦検診は、母子保健法に基づき市町村が実施しております。検診費用の公費負担の状況につきまして、本年8月に調査しましたところ、妊娠前期・後期、各1回の2回を負担する市町村が62ともっとも多くなっております。
 公費負担の拡充を求める厚生労働省通知を受け、このうち44市町村が、平成19年度中または平成20年度中に、公費負担の拡充を予定しておりまして、そのほとんどが、5回以上の公費負担、もしくは相当金額以上の助成を行なう事としております。
 8月の時点で未定とした団体も含めまして、平成20年度においては、多くの市町村において支援の拡充が見込まれることから、県といたしましてはこれらの状況を注視してまいりたいと考えております。

  地域医療対策協議会に助産師の代表を入れることについて、委嘱の手続きを進めていただいているということで、大変嬉しく思います。直接ぜひ、助産師さんの代表が加わる協議会の中で、かつてない深刻な事態だと思うんですね、どんなにスローガンを掲げても、現実がどんどん離れていく。ほんとうにこの長野県で安心して子どもを生み育て続けることができるんだろうかと、里帰りのお産もできないと、そういう長野県になっていくことは、子育て世代だけでなく、ほんとうに県民が挙げて悲しんでいる事態だと思います。
 次々にお産ができる病院が減っていく、このことを一日も早くなくしていかなければならないと思います。ぜひその点で、知事も前に私、この問題最初にご質問申し上げましたときに、知事もお母さんが助産師さんとして活躍されたということで、助産師の役割についてはとりわけご理解の有る方だとわたしも認識しておりますので、ぜひ助産師の今行なっております県もご努力していただいていることについては今衛生部長の答弁もお聞きいたしまして、私も非常に理解するところであるんですけれども、さらに抜本的な、先ほど神奈川県や横浜市の事例をご紹介いたしましたけれども、今までの議論の中でも、助産師さんの役割は必要、重要といいながら、やはり結果的には医師の補完的な役割としてしか見ないとか、研修の中身も超音波を聴診器で見れればいいんだよみたいな、そういうことではなくて、実際の助産師さんの能力はかなり高いんですよね、また高くレベルアップは必ずできます。そういう意味で本腰を据えたシステムの構築を、ぜひ知事が先頭に立ってやっていただきたいと思うんですけれど、その辺のご決意についてお伺いできればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから市町村の妊婦検診の公費助成の制度が非常に充実してきているので、県として支援しなくてもよいのではないかというかのように聞こえる衛生部長の答弁だったんですけれど、それは違うと思うんです。
 先ほど経済的な支援も、これから子どもを産んでいこう、育てて行こうという世代に必要だということを私申し上げました。例えば近隣の県でも、福井県では2006年度から県として妊婦検診の無料化事業が実施されておりまして、3人目以降の子どもさんを産む人を対象に、所得制限無く、一回の検診費用5800円を上限に14回までの無料検診のチケットが渡されております。今年度の福井県の当初予算は1135名分、9500万円で、県と市町村が2分の1ずつ公費負担になっております。
 他の県でも支援がされているところがたくさんあるとお聞きしていますので、長野県もさらに踏み込んでほしいと思いますが、これも知事の決意をお伺いしたいと思います。

村井知事
 二つお尋ねをいただきました。まず助産師の皆さんにもっと働いていただくような形にするべきじゃないか、私も思っているわけであります。ただ同時に、大変お産ということにつきましてのリスク、これにどう対応するかという問題もございます。結局、医師との協働といいま、協働作業というものをどういうふうに構築するかということが、一つの鍵になっていると思っております。ご趣旨は理解しているつもりであります。

 二つ目は、妊婦検診の公費助成についてでございます。率直に申しまして、他の県で市町村で行なう検診につきまして公費負担を行なっている例がある、あるいは、その回数を増やす例があった、あるいは第3子からとかいろんな形で支援をしている例があることは承知をしております。
 お産に、ようするに、妊婦の検診という大事なプロセスをできるだけ充実させていくということは大変に大切なことでありますけれども、県内市町村がどのような対応をしていくかということもよく見まして、それで県としてするべきサポートを考えて参りたいと存じます。

 ぜひいっそう本腰を入れていただくように、心からお願いを致しまして、質問を終わりたいと思います。