2007年12月議会 一般質問 12月12日 びぜん光正

1 信州こまやか教育プランの見直しについて

2 教職員の採用について

3 原油高騰対策について

4 森林づくり県民税について

1 信州こまやか教育プランの見直しについて

  県教委は、30人規模学級編成を柱に導入された信州こまやか教育プランについて、来年度から市町村の裁量を広げる方向で見直すことを発表しました。この中で、30人規模学級編成で市町村が負担している、「任意協力金」制度については段階的に廃止し、県で負担していくことになることは評価したいと思います。
 見直し案はこまやか教育プランの3つの事業すなわち、小学校30人規模学級編成、中一ギャップへの対応などの学習集団形成支援、少人数学習集団編成の枠を取り払い、児童生徒適応指導などを含めて市町村の裁量に任せるというものです。先日学校現場に伺いましたが、30人規模学級編成は学習効果も明らかに上がっています。が、見直しにより「あの学校に先生が加配されたのでこちらは30人規模編成ができなかった」というようにならないのかなど学校、保護者間同士で危惧されている声を聞きます。
 そこで、これらの裁量を市町村に任せる場合、30人規模編成が行われなくなってしまう場合がありうるのか教育長に伺います。


 次に、不登校について本県は昨年、小学生が0.49%で滋賀、島根県に次ぎ3番目に高く、また中学生は過去最高を更新し、3.18%と全国で8番目に多いという結果がでています。中1サポータやスクールカウンセラーの配置で対応されておりますが、増加傾向に歯止めがかからない状況であることが分かります。特に中学生は全国平均に対し、2004年からは逆転して本県の不登校生の割合が上回り、しかもその差が拡がっています。
 これらのことに合わせ、先日は北海道大学の医師のチームの調査で、“中1「うつ」1割超え”と報じられていますが、このような疾患の多さも内因している可能性もあると思われます。生徒たちへのきめ細やかな配慮がよりいっそう必要になっているのは確かであると思われます。
 そこで是非とも30人学級を段階的に中学に拡大すべきであると考えますが、教育長の考えを伺います。

山口教育長
 順次お答えいたします。信州こまやか教育プランにつきましては、学級・学習集団の規模を小さくして基礎学力の向上や児童生徒の個性の伸長に取り組んで参りましたが、事業開始から5年が経過しましたことから、今年度、成果や課題について検証を行なったところでございます。本プランにつきましてはおおむね好評を頂いていますが、市町村教育委員会や学校現場からは、教員の配置目的を細かに限定せず、現場の判断で課題に柔軟に対応できるようにしてほしい等の要望も多く出されているところでございます。
 そのため、学力向上のみならず、不登校や発達障害のある児童生徒等への対応も可能となるよう、事業をメニュー化しました。市町村教育委員会や学校現場の判断で、配置教員の活用方法を決められるようにするなど、制度の見直しを検討しているところでございます。
 したがいまして、議員のご指摘の通り、市町村教育委員会の自主的な判断によりまして、30人規模学級編成を行なわずに、学校の課題に対応して、より効果的であると考えた活用メニューを選択する場合がありうると考えております。
 なお本年度、30人規模学級のために配置した教員を、30人規模学級でなくチームティーチング等に活用している小学校が6校ございます。


 続きまして、不登校にかかわっての中学校への30人規模学級の導入についてのおたずねでございます。
 中学校に進学した際、授業が教科担任制に変わったり、あるいはこれまでの小学校生活より友達の関係が広く、また複雑になるなど、急激な学習環境の変化のために不登校が急増する、いわゆる中1ギャップが課題になっております。
 この課題を解決するために、中1サポーターとして教員を配置しまして、小学校6年生から中学生1年生への生活習慣や学習習慣の改善に活用していただいているところでございます。
 今回の見直しにおきましても、学校現場のさまざまな教育課題に柔軟に対応できるよう、不登校等の支援のメニューに加えまして、さらに実情に応じた教員配置のしくみ作りを検討しているところです。
 中学校への30人規模学級の段階的な導入についてでございますが、多額の予算が必要でありますので、県財政の非常に厳しい折、現時点ではきわめて難しいと考えております。
 以上でございます。

 30人学級編成への要求の高さはこの間のアンケート調査でも評価が高いのですが、先般文科省のいじめの実態調査が発表されました。相次ぐ学校の認知していなかったいじめによる自殺が発生する中、定義がより現実的になったことで、全国では一気に6倍になったことが報じられました。
 長野県はなんと昨年比14.8倍と全国の倍以上の増加で、小中高で認知していたいじめは1981件ということです。その内訳は小学校が42.9%、中学校が45.9%、高校が10.8%です。全国では小学生に多い傾向ですが、長野県では中学生に多くなっています。学校別での認知の割合は全国も本県も中学校の7割以上でいじめがあり、これへの対処が求められております。
 小学校の30人規模学級が始まって5年ですが、長野県が小学校でのいじめ件数が中学に比して少ないのはこうした少人数学級、すなわち少しでも教師の目の行き届いた教育環境が整えられてきていることも一因として考えられるのではないでしょうか。
 そこで再度伺いますが、30人規模学級編成を基本とし、その上に学習習慣形成支援、少人数学習集団編成などを付加して中学校へもこの30人規模学級の拡大し、とくに中1ギャップの職員配置は充実させるべきだと思いますが教育長の再度の答弁を求めます。

山口教育長
 お答えいたします。この中学校への30人規模学級の導入につきましては、ひじょうに多額の経費を必要とするものであります。確かに委員ご指摘のような30人規模学級に対する評価、あるいは効果もそれがすべてであるかというのはなかなか検証しにくいところがございます。
 いずれにしてもこのいじめについてのご指摘がございましたけれども、調査方法、それから基準、これ随分今までのものと変わりまして、一挙に上がったと、あるいは県によって相当の開きがありまして、その実態とちょっと乖離しているのではないかというご指摘もあるわけですけれども、いずれにしてもそういう木目細やかな教育条件の整備というのは一つの大きな流れであることは承知しておりますけれども、現時点で申し上げて、先ほど申し上げたように、中学校までの導入というのは、きわめて困難であるというふうに思っております。
 先ほど申し上げたように、中1ギャップとか、非常に効果的な報告もいくつか頂いておりますので、その辺を柔軟に対応できる形で、今回の見直しもそういうものを視野に入れて見直しも図っているとこんな風にご理解いただきたいと思います。

 今、30人規模学級を基礎にということの考え方についての答弁が無かったわけでして、その上に、学習習慣形成、あるいは少人数学習集団形成などを付加していく、この考え方についての御答弁を再度お願いしたいと思います。

山口教育長
 お答えいたします。まず、最初の30人規模学級編成事業をベースにというふうなご理解でございますが、ご承知のように平成14年度からこのこまやかプラン、スタートしたわけでございまして、導入した学年はだんだん拡充していきましたのであれですけれど、この三つの柱になっています「少人数の学習集団編成事業」「学習集団編成事業」「30人規模学級」、この三つがセットといいますか、3本の柱としてスタートした制度でございまして、この30人学級編成がベースにならなければ、その上の少人数指導、あるいは学習習慣が効果的でないというふうな認識はもっておりません。

2 教職員の採用について

 次に来年度の職員採用計画について教育長に伺います。
 先の9月議会文教委員会で資料提出のあった来年度職員採用計画をみると、退職予定者269人に対し、生徒数の増減による23人の減員と「将来の学級数の増減見込み等」で80人の減員を加算し、来年の採用は166人としています。
 そこで教育長に伺いますが、何故前倒しして80人の減員を行おうとしているのか、その算出の根拠について伺います。また、こうした形での減員を行いながら「こまやか教育プラン」等を行うということは、非常勤や臨任教員をいっそう増やすことになるのではないでしょうか。これで子ども達への行き届いた教育が保障できるのでしょうか答弁をお願いいたします。

山口教育長
 次に教職員の採用についてのお尋ねでございます。
 教員の新規採用の数につきましてでございますが、これはまあ退職者数、それから少子化に伴う児童生徒数の減、および学校統合による学校学級数の動向等を踏まえまして、総合的且つ長期的な視点に立って決定しているところでございます。
 児童生徒数の減少に伴い、特に平成26年度以降、教員定数の大幅な減少が見込まれるところでございまして、今後一定規模の安定的な教員採用を行なっていくために来年度から数年間の教員採用数につきましては、退職者数に見合った新規採用を控えざるを得ない状況でございます。
 従いまして、退職者と新規採用数の差につきましては、臨時的任用教員を充てるなどいたしまして、学校現場で支障の無いよう、適切な対応を図って参りたいとこう思っておるところでございます。以上でございます

 今年の採用状況を見ましても、本採用は義務で、私の概算ですけど14.2%、高校3.12%となり、常勤講師や非常勤などの非正規採用が圧倒的です。
 ところで昨年の12月議会で、私は若年者の非正規雇用の調査を提案し、本年、調査が実施されているところですが、県行政自ら「人を育てる仕事」に非正規雇用を増やしているのではないでしょうか、これを改め正規雇用を増やすよう求めますが、教育長の答弁を求めます。

山口教育長
 繰り返しになりますけれども、ある程度毎年一定数、まあ今年160余名を義務の場合採用しました。高校の場合も前年度比較しますとかなり増やしていますけれども、確かにその数そのものが少ないんじゃないかというご指摘は承知しております。承知しておりますけれども、先ほど申し上げたような観点から、毎年ある程度の安定した数を採っていくことが、将来的に亘って学校の職員の年齢構成とか、学校全体の教育的な指導力を確保するために、あまりでこぼこがあってはまずいと、こういう認識をもっておりまして、先ほど申し上げたように平成の半ば過ぎに一つの大きな生徒減の時期が入りますので、ここ数年ぜひ先ほど申し上げたような観点での採用についてご理解いただきたい、こういうふうに思います。

 県行政自らがですね、非正規を増やすようなことでは、私はやはり特にそれが教育の現場で人を育てるというところにこれを多くしていくということはやはり、責任を持った教育運営をしていくその立場でも、再度本採用を増やしていくその立場でお願いしたいと思います。

3 原油高騰対策について

  今、国民のくらしと営業、日本経済を原油価格の高騰が襲っています。原油価格は国際指標とされるニューヨーク商業取引所の先物価格で1バレル=99ドル台を突破し、史上最高値を更新しました。2004年初頭に比べて全国平均でガソリンが5割高、軽油が6割高、灯油・重油が2倍超えなどと軒並み上昇しています。
 県内でも灯油1リットルあたり94円台、18リットルで1700円を超えています。またガソリンも1リットルあたり157円を超えています。ハウス栽培農家、トラック運送業者、ガソリンスタンド、銭湯、クリーニング店、など大量に灯油、重油を使う事業所などは価格転嫁もままならず、しかも従業員の仕事確保のために無理をして赤字覚悟でも仕事をせざるを得ない事業者も現れ、「これでは経営がたちゆかない」と悲鳴が上がっています。このままでは長野県の地域経済や雇用に及ぼす影響も大きく早急な対策が求められます。

 そこで、
(1)、生環部長に伺いますが、原油高騰から県民生活を守る「緊急対策本部」を設置し、全庁的な総合対策を行うべきではないでしょうか。また、市町村と県が協力して、県民が気軽に相談できる窓口を創設すべきではないでしょうか。

白井生活部長
 お答えいたします。県民生活全般における原油高騰対策についてのご質問でございます。
 生活環境部におきましては現在月一回石油製品の価格動向について調査をいたしまして、結果を公表しておりますけれども、今後の状況に応じて調査回数の増などを検討して参ります。
 全庁的な総合対策をというお話でございますが、現在社会部、商工部、農政部、生活環境部等で情報交換をしまして、連携を図りながらそれぞれ対策を講じておりますが、今後の状況によっては対策本部の設置も検討をしてまいりたいと考えております。
 また相談窓口についてのお尋ねもございましたが、県民の消費生活全般につきましては、市町村の消費者相談窓口と協力しながら、現在県下5箇所の消費生活センターで相談に応じております。今後とも消費者のみなさんにいっそう気軽に相談していただけるよう努めて参りたいと考えております。

(2)、また商工部長には中小零細企業の影響調査や、制度融資の返済猶予「営業つなぎ資金」の創設など検討すべきではないでしょうか。

荒井商工部長
 まず中小零細企業の影響調査についてでございます。現在県の商工部で実施している中小企業の経営動向等の調査といたしましては、四半期ごとに県内製造業330社を対象とした景気動向調査と、小売り飲食業など600社を対象とした小売業景況調査、さらに下請け企業200社を対象とした中小製造業経営動向調査がございまして、定期的に情報を収集しているところでございます。
 調査の対象企業がさまざまな業種・業態からできるだけ幅広く抽出をいたしまして、郵送によるものと、訪問による聞き取り調査を交えて実施をいたしております。
 特にこの中小製造業経営動向調査におきましては、従業員50人以下の中小企業が75%を占めておりまして、そのうち従業員20人以下の小規模企業が、約半分を占めるなど、中小零細企業の状況把握に努めているところでございます。
 直近では11月に調査を行ないまして、その結果を見ますと下請け企業におきましては、この経費の上昇ということが経営上の大きな問題となっていると回答した企業が20.4%を占めております。この数字は2年前に比べますと約3倍に増加をしてきておりまして、また聞き取り調査におきましても、軽油高による輸送費の上昇、あるいは重油高による生産コストの上昇等が、課題として浮き彫りになってきております。
 こうした調査結果を踏まえまして、過日原油、原材料高騰に伴う中小企業への緊急支援を実施したところでございまして、今後も木目細かな実態の把握に努めてまいりたいと思います。
 次に、制度融資に関するお尋ねでございます。県の制度資金は広く中小企業者の皆様にご利用いただけますよう、長期、低利かつ固定という有利な条件となっております。その面では計画的に返済しやすいという制度でありますことから、返済猶予の制度は設けておりません。しかしながら県の制度資金での借入金を中小企業であれば目的を限定せずに一般的に利用可能な面もございます中小企業振興資金に借り替える制度がございまして、これにより返済期間の延長が可能となっております。
 議員のお話のありました営業つなぎ資金のことでございますが、中小企業振興資金の中に、貸付期間が1年未満の短期資金のメニューを設けてありまして、金融機関を窓口といたしておりますので、早ければ数日で資金需要に対応できるそのような仕組みとなっております。
 さらに今年度の制度資金につきましては中小企業振興資金を中心に利用が伸びておりまして、今後も原油高、原材料高により影響のある中小企業のみなさまの需要が見込まれることから、この12月7日に、融資目標額を125億円追加いたしまして、1055億円といたしたところでございます。
 今後、さらに原油高、原材料高の影響が現れてくる部分がないかと思っておりまして、中小企業者に対する金融の円滑化にいっそう努めてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

(3)、社会部長には共同作業所や介護施設などの実態をどのように把握しておられるのか。また、生活福祉資金の充実と弾力的運用や「生活つなぎ資金」の創設や北海道などで取り組まれている「福祉灯油」について、現在国でも導入の方向のようですが、長野県でも導入すべきではないでしょうか。

藤巻社会部長
 まず福祉現場の実態でございますが、原油高騰による灯油やガソリン代の値上げは、社会福祉施設の運営にも少なからず影響が及んでいるところでございます。その実態につきましては、実は十分把握しておりませんが、例えば障害者の就労支援施設等におきましては、クリーニング機械など設備の運転に要する燃料代、また訪問介護事業所を始めとする訪問系の事業所におきましては、利用する際のガソリン代、灯油代、あるいは高齢者、障害者、児童等の社会福祉施設につきましては、採暖のための灯油代、そういったものの負担が増加しているところでございます。ただ十分な実態を把握しておりませんので、このため社会福祉施設等への影響がどの程度進んでいるのか、今後実態調査をしていきたいと思っております。

 次に、生活福祉資金の充実と弾力的な運用につきましてでありますが、この生活福祉資金は、低所得者、障害者、高齢者世帯に対しまして、県の社会福祉協議会が貸付を行なって、県はその原資と事務費の補助を行なっているものでございます。その中で冬期間の暖房用燃料の購入費用等、低所得者の日常生活上一時的に必要な経費も、貸し付け対象となっているところでございます。また、生活つなぎ資金ということばがございましたけれども、生活福祉資金の中に、緊急小口資金というものがございまして、これは低所得世帯が緊急かつ一時的に生計困難となった場合に利用できるものでございますので、このご利用をお願いしたいと思っております。
 いずれにしましても、生活資金の貸付原資は十分にございます。また、償還猶予の弾力的な運用も可能となっておりますので、これらについていっそう周知を図りまして、必要な方々に利用していただくようにして参りたいというように思っております。

 それから福祉灯油のお尋ねがございましたが、現在政府におきまして、緊急原油高対策が打ち出されており、その中に灯油高騰で生活が圧迫されている寒冷地の低所得者に対する財政的な支援策が盛り込まれています。で、今後この国の動向を見守るとともに、また市町村の対応なども見ながら検討して参りたいとこのように考えているところでございます。

(4)、さらに、生活保護予算の削減が言われていますが、今後対象者が急増することを予想して予算の補正を組んでいる自治体もあるといいますが、灯油の高騰によって生活保護世帯への灯油加算を行うべきではないかそれぞれ伺います。

藤巻社会部長
 次に、生活保護世帯への灯油加算についてのお尋ねでございます。生活保護の基準は、生活保護の規定によりまして、厚生労働大臣が利用保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在の地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮して、一応全国一律に定めることとされておりまして、お尋ねの冬期需要に対した光熱水費につきましては、11月から3月までの間、生活扶助費に加算して支給されているところでございます。
 例えば、長野市で申し上げますと、この3ヶ月間の一ヶ月当たりの冬期、16250円が加算をされるということになっているところでございます。
 県といたしましては、生活保護の基準は生活保護の規定によって厚生労働大臣が定めることとされておりますので、県の判断で生活保護費に特別な加算をするということは困難だろうというふうに考えております。
 ただ、原油高対策の影響に対する生活保護世帯の援助につきまして、先ほども申し上げましたけれども、政府において緊急原油高対策が検討されておりますので、その動向を見守りながら考えていきたいと思っております。以上でございます。

(5)、教育長には学校給食や学校現場での原油高騰の影響の実態調査を行い、不足の場合は補正も組んでいく、そして必要な暖房費の確保をはかるべきではないか伺います。

山口教育長
 学校給食や暖房費についてのお尋ねでございます。
 学校給食につきましては、学校給食法によりまして、食材費は保護者負担とされております。学校給食の実施者である市町村教育委員会等が年間の見通しを立てて、給食費の徴収額を決定しまして、計画的に予算を執行しながら給食を提供しているという形でございます。
 主食の米、パン、牛乳等は年間契約をしております。物資価格の高騰の話は聞こえてくるわけでございますが、それぞれの現場で食材を調節しながら給食を提供しておりますので、今のところ大きな影響は出ていないと聞いております。
 県立学校の暖房費についてでございます。今年度もすでに灯油等の購入価格を調査しておりまして、学校からの報告を受けて、予算の追加配当を検討しているところでございます。
 今後も必要に応じて実態を調査し、児童生徒の教育環境に影響を及ぼさないよう必要な措置を行なって参りたいと考えております。

(6)、農業者においても石油高騰の影響は非常に深刻です。
 農業用ディーゼルエンジンなどに使う軽油引取税は免除される制度がありますが、近年の農業者の申請数、金額の推移についてどうなっているのでしょうか。この制度を受けられるのは33業種ですが、特に農家は高齢化が進み、事務の体制を取れないのが他の業種と異なります。先日、高齢の農家の方から、この免税軽油の手続きが煩雑で、活用が非常にしづらいといわれました。また若い農業者であっても消費実績の記録等の手続きの煩雑さから「利用する気になれない」と敬遠していました。原油高騰と米価暴落で経営が一層厳しいなかで、関係申請書類の簡略化などすべきであると考えますがどうでしょうか。総務部長に伺います。

浦野総務部長
 軽油引取税の課税免除に関するお尋ねでございますけれども、農業等にかかわる免税軽油の使用者数でございますが、平成16、17、18年度でそれぞれ申し上げますと、16年度が2729人、17年度2929人、18年度2337人という状況でございます。
 また免税額はそれぞれ4410万円、4280万円、4460万円となっております。
 免税証の交付にあたっては、免税軽油の使用状況等の確認に厳正を期する必要があるために、使用見込み数量を記載した申請書や使用状況にかかる実績報告書の提出など、全国統一の取り扱いをしております。税の公平性を確保するためにこうした手続きを採っておりますので、ご理解を賜わりたいとこのように思います。

 一方で、申請書、実績報告書等の受付にあたりましては、地方事務所の担当者が書類作成等の相談にあたっておりますので、気軽に交付を申請していただきたいと存じます。

(7)、また抜本的な対策を政府が行うよう、国に対して消費者、地方への影響を緩和するため、ガソリンなど石油製品や食料品・日用品などの便乗値上げの監視を強化し、生活必需品である灯油量の確保と価格の引き下げのための緊急対策を行うことを政府に要望し、さらには高騰の要因である国際的な投機マネー抑制のルール確立を要望すべきであると考えますが、これについては知事のお考えを伺います。

村井知事
 原油高騰対策につきまして、いろいろお尋ねがございました。県の当面の対策、対応につきましては、只今関係部長と教育長から御答弁もうしあげました。
 私に対してご指摘のございました灯油の量の確保、あるいは価格引き下げのための緊急対策、それから国際的な投機マネーの抑制のルールなど、こういったことについて国に対して要望をというご指摘でございますが、ご案内の通り、国は昨日「原油価格の高騰に伴う中小企業各業種、国民生活等への対策の強化について」という基本方針を原油高騰下請け中小企業に対する緊急対策関係閣僚会議というところで決めておりまして、ここでだいたいのことはカバーしているのではないか、そういう意味で県としては年内に決定される国の具体的な対応を見極めながら、県民生活の安定と向上のために、さらに必要な手立てを講じるようにしてまいりたいと考える次第でございます。
 国際的な投機資金のコントロールというのはなかなか難しい問題でございますけれども、これも12月7日に甘利経済産業大臣が閣議後に記者会見をしておりまして、その中で、IAEAに対しましてその要請をしまして、投資ファンドの動き等につきまして調査をしていく、と。調査をする資金を日本で出していいというようなことを行っておられるような状況でございまして、私はこれは大変有意義なことだと思っております。
 いずれにいたしましても、私どもも関心を持ってなりゆきを注視して参りたいと思っております。

 只今はいくつか提案をさせていただき、御答弁もいただきましたけれども、ひとつ免税軽油の問題ですね。只今部長は、平成16年が2729人ということで18年が2337人といわれました。実はこれ、平成14年が3300件を越えておりますので、実にこの5年ほどで30%申請する人が減っているわけですね。申請者は実は9割近くが農家であるわけですけれど、その使用量は6〜7%と小口利用が圧倒的に多いわけであります。国の制度ということでありますけれども、各県の申請書類等を見ましても、様式が少しずつ違っていることからも、長野県独特の取り組みをしていっていただきたいなというふうに思います。

 また今知事からも、政府も昨日あたりから原油対策に着手しつつあり、灯油代支援を地方自治体が行う助成を国が特別交付税で支援しようとしています。北海道などの寒冷地が対象と報道されていますが、この場合長野県は対象となるのでしょうか。これから真冬に入ります。長野県の灯油、ガソリン、軽油の平均価格は、私も調べましたが、北海道や東北などよりも高いことからも、国に対しての支援要請を早急に行うべきであると思いますが、知事のお考えを再度伺います。

村井知事
 私の理解していますところでは、これ詳細今も調べてみますけれども、市町村がさまざまな手立てをしましたときに、国が特別交付税であと面倒を見るというこういう話だと理解をしております。そういう意味では市町村がどういう判断をするかというところが一つのポイントではないかと思っております。

 市町村がやはり対応を始めたときに、県としても後押しをする、そういった県政をぜひともお願いをしたいと思います。

4 森林づくり県民税について

 引き続きまして、4番目のこの問題については、先の9月議会でわが団の小林議員・毛利議員も質し、去る11月21日に私どもはこの新税の導入に反対の表明を行いました。
 それは、国による定率減税廃止など一連の増税で、3年で納税者一人当たり約20万円の増税が襲っています。この時に新税導入で、特に個人県民税の均等割だけを納めている13万8千人の方は、税額の1000円に500円の上乗せというのでは1・5倍と低所得者に負担が増える逆累進税となり、これ以上の負担増は許されないということです。昨日の質問でも今日もこの逆累進税について答えられていません。この点についてどのような検討がなされたのか林務部長に伺います。

 また、公益性の高い森林に税金を使ってもいいではないかという意見の一方で、個人資産への税の投入についても県民からも強い不満が出されています。昨年9月県会で、あの犠牲者を出した豪雨災害で岡谷市などの被災された方々の住宅の再建に対して県も支援を行うよう何人もの議員が「喫緊の課題として」支援を求めましたが、知事は「個人資産への税金の投入は不公平である」と答弁されています。その後国は法整備しましたが、本来ならば納税もしていただけるはずの県民の住宅などの再建に支援せず、私有林には税での支援を行うという、これは矛盾していないでしょうか。これらも含めて再検討されることを求めるものですが知事いかがでしょうか。

加藤林務部長
 低所得者への配慮の検討についてのお尋ねでございますが、必要負担の方法につきましては、さまざまな収法を十分に比較検討した結果、一定規模の財源として継続的安定的に確保され、県民全体で広く公平に負担いただく課税方式であり、低所得者等への配慮もされている県民税の均等割り超過課税方式、現税制を総合的に検討した結果、この方式が現時点で導入する最も妥当な課税方式であると決定しましたので、ご理解の程お願いいたします。
 総合的に判断した結果でありますので、ご理解をお願いいたします。

村井知事
 昨年の10月の議会で備前議員にお答えをした私の答弁をお引きになってのお尋ねでございます。
 個人資産に税で支援をすることの関連でございますが、私はこの前申し上げましたのは、岡谷市が被災者に対しまして独自の支援整備を行なうと、それを県がさらに岡谷市に対して支援をすべきかどうか、こういう話でございました。
 私が申し上げましたのは、災害の際に住宅本体の建設を含めた支援、これを個人資産形成に公費を投入するという考えますときに、災害が大変局部的である場合には何らかの措置が行なわれることは有りうる、これは私はあのとき確か鳥取西部地震のことを引用して申し上げておりました。しかし大規模な場合に対応できるかという、もう一つ公平性の問題を考えなければならない。そういう意味で昨年の豪雨災害においては、県独自の支援策は導入をあえてしなかったということであります。

 しかし森林というのは一方で、土砂災害や洪水を防ぐ、水や空気を育むなどの広域的な機能があるわけでありまして、近年地球温暖化の防止機能も注目されているところであります。こういった森林の広域的機能の面は、森林を適切に整備することによって発揮されるものであります。森林は個人の財産でもありますけれども、県民の生活に不可欠な公共財として、これまでも森林整備には、非常に大きな公的な支援を実施してきている経緯があります。
 現在ひじょうに危機的な状況になりつつある本県の貴重な森林につきまして、早急に間伐を中心とする森林づくりに取り組む必要があることから、お願いを申し上げていくということをぜひご理解を賜わりたいと存じます。

 森林の公益性や有効性を否定はしませんけれども、やはりそもそも里山の森林荒廃を放置してきたのは、国が責任がひじょうに大きいわけであります。特にこの間9月でも秋田県議会では森林税条例は6月議会に引き続いて継続審査されたと言われています。
 しっかりと、先に税ありきではなく、再考を求めて、質問を終わります。