2006年12月県議会

12月25日 高村京子議員

議第12号
「認定子ども園の認定の基準に関する条例」案について
 議第12号「認定子ども園の認定の基準に関する条例」案についての討論を致します。
 全国では、現在必要に迫られて、幼稚園と保育園併設の施設がすでに335箇所以上にのぼっています。
このたび、「認定子ども園条例」は、幼稚園と保育園が合体して運営できる道を作りました。しかし「認定子ども園」には、多くの問題点が含まれています。
 一番の問題は、国と保護者の直接契約制度をはじめ、国や自治体が持つべき公的保育制度の責任を崩す方向に進む可能性があることです。
 二番目の問題は、国は設置基準を法律で明記せず「国の基準を参酌して、都道府県の条例で定める認定の基準」とされ、明確な施設の設備及び運営の基準は地方自治体に円投げです。職員配置基準も問題です。現在3歳児は幼稚園では、国基準35人県は30人に1人の配置が、保育所では20対1となっており、保育園と幼稚園では職員配置に大きな差があります。保育園ではその基準でも無理があり、15人に1人の配置へと加配している自治体や私立保育園も多くあります。最低の基準が緩和され、最低基準以下の配置でも保育所予算が保障されるかなど、保育される環境の悪化が懸念されます。
保育料を施設が自由裁量で決める事ができるようになり、保育内容の低下と貧困家庭の子どもが保育から排除されないか、など多くの問題を含んでいます。
 このように多くの問題を抱えた不安定な制度となった事の大きな原因は、関係者の意見を取り入れながらの幼児保育一元に向けた制度変更の検討がなされなかった事であり、「保育現場の実態を無視した乱暴な制度変更」との声が上がっています。

 今回の条例で示された県基準は、

  1. 3・4・5・歳児について国は35人に1人としている配置を、30人に1人としたことは前進でもありますが、しかし保育園の20対1以下であり、実際に独自に加配がおこなわれている実態とはかけ離れています。
  2. 施設面でも給食調理施設について、外部搬入の例外規定を設けましたが、保育食としての安全安心楽しい食を確保するため、実効ある内容にすべきです。
  3. 子育て支援には、大切な役割があります。国の基準以上の内容になったことを評価しますが、活動を安定的に保障する財源措置が必要です。
  4. 無認可保育所も地方裁量型で認定できる事になり、県がこれを認めない事はできませんが、県として、最低の基準は担保されるような独自支援策が必要です。参議院では「幼保連携型を促進する」との付帯決議を尊重すべきです。
  5. 管理運営では多くの課題が顕在化してきます。公平な入所の選考、一人親が不利益にならないように、また利用料の滞納問題への対応などが県に求められます。

 課題山積の「認定子ども園条例」ですが、保育園と幼稚園の一元化は、一概に否定すべきものではなく、垣根を取り払い、行政と関係者が共に連携して、地域で子どもの成長発達を保障する方向を進めることが大切です。
 すでに県内で認定を待っている施設もある中で、今回この条例を否決することはできません。
 しかし、国においては「認定子ども園」制度が関係者の声を充分拾わずに制度化された経過を踏まえ、今後さらに県としてできうる限りの改善を薦めていただくことを強く求めて賛成の討論と致します。