2006年12月県議会

12月25日 毛利栄子議員

議第6号
「勤労者福祉施設条例の一部を改正する条例案」への反対討論
 県は昭和38年の建築以来43年にわたって多くの県民から「長野勤福」(キンプク)の名で親しまれ有効に利用されてきた「長野県勤労者福祉センター」を老朽化が激しく多額の改修費用と運営管理費が必要であること、近隣の公共施設で受入が可能なことを理由に廃止しようとしています。
 
 この施設は文字通り勤労者の福祉増進に寄与することを目的に設置され、県下の他の6施設と比べても恵まれた立地条件にあることともあいまって非常に利用者も多く、平成15年度43万8000人、平成16年度38万2000人、平成17年度37万7000人と常に40万人ちかくの皆さんに利用されてきました。
  また、利用者の割合でも勤労者や企業が約6割をしめ、企業の研修や、面接、勤労者の学習や交流、娯楽などに手軽に便利に利用されてきたことは周知の通りです。
 ですから、利用者からぜひ無くさないでほしいと切実な声がよせられ、議会としても判断を継続し、検討を続けてきた経緯があります。
 
 党県議団としても館内をくまなく案内していただきながら、現地を調査してまいりました。確かに、老朽化がすすみ、利用に耐えうるものにしていくには今後耐震診断とそれにともなう改修費用をのぞいても、3億6000万円余が必要となると試算されており、継続して利用していくのは難しいであろうことは理解せざるを得ませんが、であるなら、なぜ県としていままで計画的に維持補修をしてこなかったのかの疑問を感じます。
  平成13年に1500万円かけてエレベーターを設置していますが、その後は給水管の赤錆除去工事やガス管の取替えに数百万円かけてきただけです。エレベーターの設置や平成15年に駐車場のゲート設置工事をしたときには、もっと有効に利用することを視野に入れていたのではないでしょうか。何も手をかけてこないまま、老朽化したからもう使えませんではあまりに無責任であり、労働行政への県の姿勢が問われます。
  今回社会衛生委員会でも現地調査をし、現況のまま運営を継続して行くのは困難との判断を示され、その上にたって今後の方向付けを求め決議を提案しています。私どもも委員会の判断は尊重し、「県勤労者福祉センターに関する決議」にも同調するものですが、現施設は使えないにしても、即条例を削除して、長野市における勤労者の福祉施設をなくしてしまうことには、賛同できません。
 
 ワーキングプアをはじめ勤労者の働き方がますます厳しくなっているもとで、労働行政の充実に対する県の責任がなおいっそう求められている情勢下にあって、逆行する対応であり、また、近隣の公的施設があるといっても、同じような条件で使える施設があるわけではなく、県的バランスを考えたときにも均衡を欠くのではないでしょうか。したがって本議案には反対いたします。