2006年9月県議会

10月11日 もうり栄子議員

一般質問
  1. 情報公開と住民参加について
  2. 被災者支援について
  3. 諏訪湖の内水対策について
  4. 全国いっせい学力テストについて

*質問の答弁は、後ほどアップいたします。

1.情報公開と住民参加について

 従来県政は住民からは遠いところにあり、自分達にはあまりかかわりがないもの、遠いものとされてきましたが田中知事になって長野県政が住民に開かれた身近なものになったことは多くの県民が認めるところです。村井知事も「車座集会」や「ようこそ知事室」など県民に開かれた県政は素晴らしい手法と評価されています。
 ガラス張り知事室は「開かれた県政」の象徴であったと思います。
 現在知事室は3階にありますが、いったん経営戦略局の部屋を通らなければ入れず、一般の県民にとって気軽に入れる場所とはいえないでしょう。
 そこで知事に伺います。ガラス張り知事室をなくすことで、県民からは密室県政のはじまりかと疑問の声がよせられています。所信表明では「開かれた透明性の高い県政の実現」を述べられていますが、明らかにガラス張り知事室で知事の執務の様子や、人の出入り、部長会議の様子などを自由に伺うことができた県政からは遠ざかっています。県民の疑問にどう答えられるのでしょうか。
 また、住民参加を保障していく基本は、情報をきちんと住民に知らせること、そのためにわかりやすい公報・メッセージを送ることだと思います。様々な情報が伝えられ、その情報に基づいて様々な議論が交わされ、自らの意見も積極的に自由に述べることができ、その述べた意見のたとえ一つでも政策決定のなかで取り入れられれば住民はいっそう県政を身近なものに感じてくれることでしょう。知事は情報公開とわかり易い広報についてどのような対応をされるつもりなのかお伺いいたします。
 さらに、知事は前知事時代にこわされた市町村と国との関係を修復し、連携を強化すると言っていますが、住民要望を反映させ、実現させていくにはそれらの対応ばかりでなく、当然県議会での提言、審議会、協議会、検討委員会など、有識者や県民が加わっての意見も尊重していかなければならないでしょう。また直接県民の意見を聞くチャンネルもあけていくことが大事です。政策決定への県民参加をどう保障していくのか伺います。

村井知事

 いま、知事からご答弁いただいたなかで、私もパフォーマンスや見せ掛けでないということは同感であります。当然のことながら住民からいただいた意見などをきちんと施策に反映させていくことが大事で、そのために情報を発信することが、みせかけであってはならないというのは当然のことです。それを理解したうえでですね。いろいろ見解を伺いましたけでも、県政でいまやられていることは、いま知事がおっしゃったいい分とは少しかけ離れていることもあると思いますので、そのことについて申し上げたいと思います。情報を知らせるということで見ても、県民のみなさんからは「村井知事になってからの県のホームページは非常に面白くない」との声が届いています。確かにすっきりしてしまいました。新着情報がすくない、トップページで新着情報が知らされない、情報量がへった、先ほど話のありました部長会議も自由に伺えない、そればかりではありません。過去のデータや記事が消されてしまっています。田中知事に関わる挨拶などはすべて削除、財政改革の成果も取り出すことはできません。そればかりか、「広報ながのけん」も、バックナンバーは全部消されています。さながら戦後の墨を塗った教科書さえ想起させます。
 知事は過日、「長野県のホームページに何を載せるのかは知事の判断だ。田中知事の見解が多く乗せられている。村井の見解を載せない。それとの並びで今までのホームページも削除した」とおっしゃいました。
 こんな強権的な対応を誰が歓迎するでしょうか。「広報ながのけん」は、評価はいろいろあっても公の情報です。県民の知る権利を奪うことにはならないでしょうか。
 行政の継続性の観点からも問題です。これでは「県政を後戻りさせない」と願った県民の期待を裏切ることにはなりませんか。知事に再度の見解を求めます。
 村井知事になって設置した7月豪雨災害の復旧・復興の手法を検討する「土石流検討委員会」は、最初から非公開の委員会を宣言しています。住民の生命、財産を守るべき対策が、秘密のうちに進められることには納得がいきません。原則公開にするのは時代の流れです。この良し悪しは賢明なみなさんが判断してくれることとは思いますが、なぜ公開しないのでしょうか。また、田中知事時代には、県民から意見・要望があった場合には、原則2週間以内に名前を名乗って返事をだしていましたが、私にも返事をいただいたと喜んで見せてくれた方もいらっしゃいます。いまはどうなっていますか。伺います。

村井知事

 村井知事には県民の期待にそった情報公開の対応を、今後求めていきたいと思っております。

2.被災者支援について

 次に7月豪雨災害について知事並びに土木部長に伺います。被災者生活再建支援について知事に伺います。
あの大災害からすでに3ヶ月になろうとしています。犠牲となられた皆さん、ご遺族の皆さんに心から哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、県下各地、全国各地から多くの義援金や救援物資をお寄せいただき、ボランティアにも県職員をはじめ延べ6000人を越える皆さんにかけつけていただきました。この場をおかりして感謝とお礼を申し上げます。
 被災者はその後も雨が降るたびごとに「土石流が再び襲ってこないか」と不安にさらされています。いま砂防堰堤をはじめ緊急復旧にむけ動き始めたわけですが一日も早い復旧、復興を願うと共に、安全・安心な地域作りに向け、総合的な原因究明と山の手入れもふくめた多面的な防災・減災対策を切に求めるものです。
 さて、被災住民にとって災害復興のカナメはなんといっても生活再建です。土砂に埋まった仕事場、住めなくなった住居、日がたつにつれこれから先どうやって暮らしていったらいいのか、不安と悩みを募らせています。この皆さんに少しでも希望を持って一歩を踏み出してもらうためにも公的支援はかかせません。
 県では災害救助法の柔軟な適用、災害復興住宅資金への民間を含めた利率の引き下げ、土砂だしへのコモンズ支援金の配分など、一定の配慮はしていただいているものの、独自の支援制度の創設、岡谷市独自の支援制度への補助には残念ながら消極的です。
 そこであらためて知事の住宅再建支援への認識について伺います。
国の被災者生活再建支援法では年齢や所得制限があり、ほとんどの世帯が該当にならず現実にそぐわないものになっています。岡谷市でもわずか3割が該当になるだけです。最大の被害を被った湊地区では、13世帯の皆さんが仮住まいを強いられ住み慣れた地域から、離れて暮らさざるを得なくなっています。
 知事は、「私有財産制度のもとで個人資産の形成に向けてどれだけ公費をいれていいのか」と述べておられます。
 そこで、住宅本体に支援をしてはいけないというルールや法的な根拠があるのかどうなのかお伺いします。
 また、「地震が起こった場合には2000億円もかかる。とても無理」ともいっています。これでは膨大な数字を示してあきらめさせようとしているだけではありませんか。もし、そのような時は、県土が壊滅的になったときであり、そのときはそのときであらゆる手立てを講じて全力を尽くして復興をしなければならないのではないですか。
 いま、不況のもとでただでさえ、生活がたいへんなのに、希望をもって一歩をふみだすために、全国8県でやっているのに、なぜ支援できないのでしょうか。県民の苦悩を突き放すのか、寄り添うのかという大事な問題です。ぜひ、考えをお聞かせください。
 合わせて、いまの不十分な支援法を抜本的に改正し、いっそう拡充するよう国にたいしてきちんと意見・要望を上げて欲しいと思いますがいかがでしょうか。

村井知事


 いまいろいろ知事のほうから個人住宅の再建支援に関わって様々なお話しをいただきました。私はいろいろ解釈をしていただくのではなくて、本当に現地に居るみなさんがどのように困って、前途に対して不安を抱いているかと、そういうことをよく受け止めていただきたいと、いうふうに思うところであります。要は苦難に陥っている方々のために真剣に対応しようとする気持ちや、やる気があるのかないのかということではないでしょうか。先ほど個人住宅の再建に公費を入れるのはいかがなものかとおっしゃいましたけど、知事は国におられましたので、いわせていただきたいんですが、政府は銀行の不良債権処理などに70兆円の公的資金を投入できる枠組みをつくりました。被災者は自らの責任でない自然災害によって被害を受けたのに、公的支援もうけられず、一方銀行は私的な利潤追求で失敗したのに、膨大な公的支援を受けている。このような矛盾は大変許しがたいものであります。
 是非、長野県の知事としての県民の立場に立った、対応を強く求めるものであります。併せて先ほど冒頭で情報公開の問題についてありまして、土石流検討委員会のことで頭どりということをおっしゃいましたけど、この問題はですね、県の広報で頭どりだけではなく、今後この委員会については非公開でやりますということが、正式な広報としてされておりますので、ご確認をいただきたいと思います。

3.諏訪湖の内水対策について

 次に土木部長に諏訪湖の内水災害について伺います。
 過日の豪雨災害で諏訪湖周辺では、諏訪市を中心に2500戸におよぶ浸水被害がおこりました。諏訪湖の計画高水位は2、2メートルですが、最高水位は2、33メートルに上昇し、最大流入量は毎秒733トン、放流量は過去最大の413トンでしたが、58年以来の大災害となりました。繰り返される内水災害の解消は諏訪市民の悲願です。そこで、土木部長に伺います。今回の諏訪湖周辺の内水災害の原因は何ですか。
 また、今回、内水災害防止のためということで、総額176億円で激甚災害特別事業と災害復旧助成事業が国によって採択され、釜口水門で430トン放流が可能になると伺いました。
 事業が完成すれば今回並みの諏訪湖周辺の内水災害の被害防止のために対応ができるのかどうか伺います。


原土木部長


 今、部長から答弁をいただきましたが、これで今回規模の内水災害が回避できるかといえば、保障はありません。先ほど計画洪水位以下に抑えるとおっしゃいましたけれども、計画洪水位は2.5メートルあります。そういうなかで諏訪湖の放流量が洪水位との関係で決められているわけですけども、水位が1.29メートル以下だと230トン放流、1.56メートルですと300トン放流、1.92メートルで300トン放流、2.2メートルで400トン放流ということをやっておられます。今度改修すれば430トンの放流ができるということでありますが、諏訪市の内水災害は、水位が1、6メートルになった時に起こるということは、県も自分達の資料の中で明らかにしていることでありますし、諏訪市の住民もそのようにいっています。
 ですから釜口水門の操作規則を変えなければ、お金をかけて放流量を増やしていっても諏訪市の内水災害は解消できないと思いますがいかがですか。


原土木部長


 100分の1確率、つまり600トン放流ができる天竜川の河川改修が、完成するまでには膨大なお金もかかりますし、非常に時間もかかります。そのようななかで今できることがあるわけで、例えば操作規則の第11条この部分のただし書きがありますけど、気象、水象、その他の状況に特に必要があると認められる時には従来の操作規則の限りではないといっております。しかも下流の大洪水になって困るという規定ではなく、400トンまでできることになっているわけですから、私はそれをぜひやって諏訪市の長年の内水災害に苦しむみなさんに対して応えていってほしい、そのことを申し上げたいと思います。

4.全国いっせい学力テストについて

 次に全国一斉学力テストについて教育長にうかがいます。
 政府文科省は来年4月14日、教育基本法改正とのからみで「全国一斉学力テスト」を小学校6年生と中学3年生全員を対象に実施することとしています。基礎学力の定着度合いを抽出で調査することに異論はありませんが、悉皆調査であり、かつ都道府県ごとに平均点を公表する今回のやり方は、過去に問題となり、中止した経緯もあり、競争主義教育がいっそう進み混乱をもたらすことが懸念されます。教育長の見解を伺います。また、県に判断がゆだねられている市町村別、学校別の成績を公表するのかどうかについてもお考えをお伺いいたします。


山口教育長


 かつての「学テ裁判」では、成績のかんばしくない子供は当日出席しないようにということもあったと伺っております。競争をあおり、差別選別をいっそうすすめる教育困難を助長する教育ではなくて、教育基本法で定める人格の完成をめざし、一人一人の人間的な成長を助ける教育であってほしいと切に願って、私の質問を終わります。