2006年9月県議会

9月28日 小林伸陽議員

療養病床負担に反対の討論
 議第七号長野県立病院条例の一部改正に反対の討論をいたします。
 日本の社会は深刻な格差社会を生み出し、厚労省が昨年10月1日からの実施された特別養護老人ホーム等の食費・居住費の全額自己負担の影響による退所者を全国に報告を求めた結果。現在入所者の四割を占める施設から回答があり、入所費の負担ができず、退所を余儀なくされた人は全国で1,326人に達しさらに増え続けております。
 また厚労省の調査でも、ワーキング・プア」といわれる、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない世帯が400万世帯を超え、20代では年収150万円以下が20%を占めている。介護に疲れた老夫婦が無理心中をするなど痛ましい事件も多発しております。
 こうした中で、福祉や医療制度の改悪は、格差社会を生み出すだけでなく、弱者を切り捨て、命すら奪われる深刻な事態生み出しております。
 政府・厚生労働省は社会保障・医療費の大幅削減を目指し、この10月から一定の所得のある70歳以上の高齢者の窓口負担が二割から三割負担に引き上げ、高額療養費の額の引き上げもされる。また2008年4月から70〜74歳の窓口負担が一割から二割と倍に引き上げる。連続した患者負担引き上げの一環です。こんなことになれば医療費が心配で医者にもかかれない人が高齢者を中心に多数でてきます。
 さらに深刻なのは療養病床廃止・削減の動きです。平成17年12月の調査では、長野県の人口10万人に対する療養型ベッド数は全国最低水準の八百四十一、最も多いのは高知県で4027、全国水準1532ベッドを大幅に下回っているのに現状をまったく無視して全国一律に38万ベッドを15万ベッドに削減するというものです。
 今年七月から医療区分の低い患者は診療報酬が従来の六割にも下がり、病院も経営の見通しがたたず、病院の閉鎖、療養病棟の閉鎖を余儀なくされた医療機関が各地に生まれております。すでに長野県でも療養病床の閉鎖を余儀なくされている医療機関も生まれています。病院は経営の危機を迎える中で患者の選別、「追い出し」がはじまりました。「介護難民」「療養難民」が全国各地で生み出され深刻な事態です。全国の市町村長も「共同通信社」の調査でも六割以上が医療制度の改悪に反対を表明されています。
 今回の条例改正の根拠は政府の医療費削減、患者の切捨てを目指すものであり国の方針だから仕方がない等といえるものでは有りません。患者の治療に必要な食費が保険から削除・光熱水費まで患者に負担させる、70歳以上の高齢者の負担は月約3万円の負担を強いることなり、一ヶ月入院すれば13万円から14万円にもなり、わずかな年金では到底負担ができません。介護保険の食事居住費の自己負担の導入ですでに1326人が特別擁護老人ホームの退所を余儀なくされている実態を見ても、病院に入院できない患者が生まれることは火を見るより明らかです。県は国のやることには無条件で従うのではなく、県民の暮らしを守るためにこの医療制度の改悪に反対すべきです。村井知事は市町村の声を尊重するとの政治姿勢を示しています。全国の六割以上の市町村が反対しているこの制度の改悪に反対することを強く求めます。長年日本の発展のために働き続けてきた高齢者に暖かい手を差し伸べておられます議員の皆さんに反対することを心よりお願い申し上げ討論といたします。