2006年9月県議会

10月4日 備前光正議員

代表質問
  1. 政治姿勢について
  2. 財政問題について
  3. 災害対策について
  4. 治水対策について
  5. 高校改革について
  6. 場外車券売り場について
  7. 障害者自立支援について
  8. 医療について
  9. 企業誘致について
  10. 農業振興について
  11. 廃棄物政策について
 日本共産党県議団を代表して質問します。
 私は、村井知事就任後初めての定例県議会にあたり、日本共産党県議団を代表して質問させていただきます。
 知事は、昨日の自民党県議団の小林実議員の代表質問への答弁の中で、「6年前に田中県政を選択し、県政改革への思いを当時の田中知事に託した県民の改革への思いを受けとめていきたい」という趣旨の発言をされました。また、選挙中も、選挙後も、「改革の後戻りはさせない。」と、繰り返し述べておられます。「県政改革の後戻りはいや」と言うのは多くの県民の思いでもあります。
 県民の願う県政の改革とはなんでしょうか。田中知事当選後、長野県では多くの主婦たちが、毎朝30分早くおきて、当時の信濃毎日新聞の「知事24時」や県政にかかわる新聞記事を読み、それから家族の食事の支度をするようになったと言われたように、車座集会や現場主義に代表されるわかりやすく身近になった県政、「脱ダム宣言」に象徴される従来型の公共事業のあり方や税金の使い方の見直し、国の制度にはなくても、県民の世論と運動が切り開いた30人学級や乳幼児医療費の無料化、今や300箇所にもおよぶ宅老所の増設や障害者施策の充実などをはじめとする切実な願いの届くようになった県政こそが、県民が願った改革でした。
 田中県政にも弱点や問題点はあったものの、53万人をこえる県民が、ひき続き田中県政の継続を選択した事実を重く受けとめ、村井知事には、今後の県政運営にあたり、是非とも、「改革の後戻りはさせない。」と言う知事自身の言葉を、文字通り、掛け値なしに実行していただくことを、質問に先立って、強く求めておきたいと思います。

1.政治姿勢について

 それでは順次、通告に従いまして質問をさせていただきます。まず憲法について伺います。
 9月28日、南木曽町議会は憲法9条を守ることを求める意見書を採択しました。
 ここにその全文を読み上げます。

 「昭和22年5月3日、先の戦争を反省し、二度と過ちを犯さないとの理念にたって平和主義、民主主義を基本とする日本国憲法が施行されました。この憲法は、先の戦争で310万人の尊い犠牲者を出し、近隣諸国に多大な被害を与えたその痛恨の反省のうえに、二度と戦争をしない、そのために軍隊を持たない、それが世界平和のため日本の生きる道と世界に誓った平和憲法であり、その精神は戦争の放棄を定めた第九条と前文にあります。
 施行以来、平和を希求する国、日本のイメージはこの憲法とともに、世界でしっかりと位置づけられてきました。
 アメリカのイラク攻撃による泥沼状態は、紛争の武力による解決がいかに非現実的であり、暴力の連鎖を引き起こすかということを明らかにしております。
 私たちは、この憲法を守ることで今日の繁栄と平和を築くことが出来ました。
 南木曽町でも先の戦争において満州開拓で433人、満州事変以降の各戦地で318人の計751人の方が亡くなられました。
 南木曽町議会は、日本を再び戦争をする国にしないために、憲法9条を守ることを表明して、関係機関に戦争のない平和な21世紀の社会を創るよう強く要望します。」

 この決議は、南木曽町議会で満場一致で採択されました。
 長野県は満蒙開拓に3万4千(人)とも言われる大勢の県民を送りだし、半数が生きて帰ることができなかったといわれる大変な歴史をもっています。
 この南木曽町議会の決議は、すべての長野県民の気持ちをあらわしたものではないでしょうか。
 知事は長野県の代表者として、この平和を願う県民の先頭にたって、憲法を守る立場に立つことを求めて、見解を伺います。

村井知事
 私の政治姿勢につきましてのご質問でございます。最初に憲法9条に関しての見解と、それから9条を守る姿勢についてお尋ねがございました。
 法治国家である日本で、県知事という公務員である以上、憲法順守の義務があるということは申し上げるまでもありません。憲法9条は、その意味では順守するのは当然のことだと私は思っております。なお、私は自衛隊の存在とか、活動というものは憲法の認める範囲内にあると理解しております。それを申し上げましたうえで、私は通産省に奉職しまして、29歳で在ナイジェリア大使館勤務ということを命ぜられまして、西アフリカの灼熱の地へまいったわけでありますが、そこに勤務しておりますうちに、国内で内戦が勃発いたしました。私が住んであります、といっても大使館官舎でございまして、大使館の敷地内にあったわけでございますが、そこから600メートルのところに爆弾が投下されました。その、確か3週間くらい前に完成式典がすんだばかりのガラス張りの日本大使館が惨めな瓦礫と化したという体験、そして、7所帯はいっている官舎があったわけでございますが、この官舎のガラスが割れまして、実際、私は九死に一生を得る体験をいたしております。そのうえに、当時ナイジェリアの私が住んでおりました   という首都でございますが、首都は   という所に移っておりますが、まだまだ繊維の商売が盛んな時代でありまして、在留邦人250人を数える、その大使館で、在留邦人の生命を守るべく、避難の手立てを講じるために、本当に奔走した体験がございます。それを通じまして一国平和主義というのは、いかに空虚なものかという実体験をいたしました。自分の安全というものは、やっぱり自分で守るしかない、あるいは用心棒を雇うしかない、国も自国の安全を自分で守るという世界の常識に私は直面した次第でございまして、私はそういう意味で比較的若い頃に「目からうろこが落ちる」思いがして、日本国憲法第9条、これは元はといえば、私もいろいろと勉強してみましたけれども、いうまでもなく昭和3年のバンコク不戦条約、これに基づく条文でございまして、憲法9条の改正というのは、私は適切なことではないかと個人的には考えるようになった。そういう意味では私は改憲論者であります。ただ改憲論者であるということと、現在の現行憲法を公務員として守ることとは別のことだということを申し上げておきます。日本は確かに戦争放棄をしているかもしれないが、戦争は日本を放棄していないというのは、いささか、言い方としては、よく考えなければならない、ひとつの世界の現実だと私は考えております。

 ぜひとも憲法というものを順法精神でということを申しておられますが、その立場でがんばっていただきたいと思います。

 次に教育基本法について伺います。 
 教育基本法前文には、次のように書かれています。
「われらは、先に、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。
 この理想の実現は根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」
 また、第一条(教育の目的)には、「教育は、人格の完成をめざし、平和な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と述べています。
 この教育基本法に書かれている理念は国民だれしもが納得するものであると思いますが、村井知事も午前中の答弁で、「知・徳・体の全人教育」を伸ばしたいと言いましたが、第一条の「教育は人格の完成をめざし」という項目に一致するものであります。
 いま、教育基本法を改定しようという人たちは、「教育基本法のここが悪い」ということができず、「いじめ、校内暴力、学力低下」など「みんな教育基本法のせい」だとまったくスジ違いの攻撃をしています。
 むしろ、歴代の自民党政府が、「規制緩和」の名のもとに、「勝ち組・負け組み」の社会、国民誰もが感じている格差社会を作り出し、社会の病理現象といわれる青少年の犯罪が多発し、高い学費や教育費、教育条件整備の遅れなど、教育基本法をないがしろにしてきたからこそ、社会にも子どもたちの間にもこういう事態が起きているのではないかと思います。
 多くの国民は、憲法改定とあわせて、戦争をする国づくりへ教育を再び動員するのではないかと大変な不安をもっています。
 知事はいままでも、市町村の意向を尊重すると言われてきましたが、教育基本法について慎重な審議を求める意見書を採択した自治体は9月議会までに28町村、趣旨採択をした自治体は5市町村あわせて33市町村、県下の自治体の実に4割の自治体にのぼっています。12月議会にむけてさらにこの流れはひろがってくると思います。
 このような市町村議会でしめされた県民の気持ちをどう受け止めているのか、また改定が取りざたされていることへの知事のお考えを伺います。


村井知事
 教育基本法についてお尋ねがございました。教育基本法は、戦後の、我が国の教育の基本を確立するために昭和22年に施行されたものでございまして、学校教育法あるいは社会教育法などすべての教育法規の根幹となるものでございます。新たな教育基本法につきましては現行法の普遍的理念を大切にしながら、現在及び将来の我が国の教育を巡る諸情勢の変化に鑑みまして、先の通常国会に提出され、様々な考え方がだされるなかで、継続審議となって、現在開会中の臨時国会の最優先課題となっていると承知しております。教育基本法改定にあたりまして、国民の充分な共通理解が得られるような議論が国会でなされることを期待いたしたいと存じます。


 次に郵政民営化について知事に伺います。
 日本郵政公社は郵便局の再編リストを6月末にまとめ、その内容が判明しました。これによると、全国4696局の22%に相当する、1048局で集配業務を廃止し、長野県内では集配業務をおこなっている149局の30%に相当する45局が対象とされています。無集配局となる局の郵便物や集金は近隣の統括センターや集配センターが行うことになり、従来に比べて配達距離が長くなり、配達の遅れる地域がでることが心配され、また土・日の時間外窓口が原則廃止となり、利用者は不便を強いられます。特に長野県は山間地に囲まれ、郵便の配達業務とともに、献身的な高齢世帯への安否確認の「声かけ」サービスなどが手薄になることは必至です。
 また、今回は集配業務の統廃合ですが、この次に狙われるのは郵便局の統廃合であるといわれています。来年10月の郵政民営化の前にこうした山村や過疎地や離島など儲からない地方の郵便サービスを統廃合してコスト削減をはかろうとする郵政公社のやり方についての知事のお考えを伺います。


村井知事
 3番目に郵政民営化のことに関連いたしまして、山村、過疎地、離島などでのサービスが、大変落ちていくのではないかというようなご指摘がございました。まあ一言で申し上げれば、昨年、一昨年にかけまして、私が当時の自由民主党の郵政事業改革に関する特命委員会の委員長という立場で、いろいろな検証をいたしまして、問題点として整理いたしました件が、残念ながら法律作成の段階では、充分に消化されないままに民営化が進められた、その結果、当然に起こるべきことが起こっていると、このように私は申し上げざるを得ないと思っております。

 長野県議会も昨年、郵政民営化に反対する意見書を(国に)上げているところです。10月よりすでに廃止されてしまったところもありますが、45局中の東信地区の臼田、浅科、川上、御代田、南信の飯島、中川、など10局は来年3月をめどに集配廃止が予定されているということです。知事は郵政民営化に反対され、国会議員を辞されました。知事となられた今、県民のためにこれを中止させるために行動を起こすべきだと思いますがそのおつもりはないか伺います。

村井知事
 率直に申し上げまして、法律としてすでに決まってしまい、そして現実に民営化される体制というものができて、いろいろな形で進んでいます現在では、企業体としての日本郵政公社、そしてそれが株式会社化された後の運営が、最終的に国民に対するサービスが、できるだけ低下させない体力のあるものにしていってほしいというのが、私の願望でありまして、そういう意味では国民誰しもが等しく享受しているサービスが劣化することがないように、できるだけ関係者の間でご努力をいただきたい。このように思っているところでございます。
 ちなみにすべてのことには光と影がありまして、成功事例としていわれます国鉄の民営化に伴いまして誕生いたしましたJRにつきましても、いわゆるローカル線の間引きでございますとか、あるいは様々な形で行います民業の圧迫でございますとか、そういうような負の側面、影の面というものがあるというのは事実であります。私は現在の経営陣が郵政に関連しまして、私などがいろいろな形で証明しました点につきまして、しかるべき配慮をしてくれることを期待をしておりますし、また、長野県内におけるサービスが仮に、非常に劣化するようなことがあります場合には、知事という立場でしかるべき発言をすることも充分に考えられると思っているわけでございます。


 ただいまご答弁いただきました。北海道等でですね住民運動とやはり自治体の首長との運動があいまってですね、郵政民営化の配局ということにストップがかかったところもあるわけであります。そういった意味でも長野県民の声を聞いてですね、行動をとっていただきたいということを要望させてもらいます。

2.財政問題について

 次に財政問題について伺います。県財政に関わって、この間の財政再建団体への転落を回避するためすすめてきた「財政改革推進プログラム」についての見解を知事に伺います。
 私たち共産党県議団は、県の予算の大枠について、吉村県政時代の公共事業費に最高時、これは96年度ですが、約4800億円に対し、社会保障費は約1300億円という使い方を改めるべきと一貫して主張してきました。それが徐々に改善され、今年度当初予算の推計では、公共事業費は約1340億円とピーク時の3割以下に減り、社会保障費は1404億円となって、社会保障費が公共事業費を上回ることになりました。私達はこれを歓迎するものです。
 使い方の中身をみても、教育費は予算構成のなかで90年代は2割を切っていましたが、2001年度から支出のトップになり、以後6年間トップを維持し続けています。2002年度から30人規模学級がスタートし、今では小学校全学年で実現しました。民生費は、90年代に4〜5%台であったものが、2006年度は9%台へと倍化しました。ちなみに総務省作成の「統計で見る県のすがた」の最新版である2003年度の資料によれば、全国都道府県平均の民生費比率は8・11%で、長野県は8・10%で全国25位です。しかし、95年度は4・52%で全国47位と最下位だったときと比べれば前進していることがはっきりしています。新たな統計がでればさらに前進したことが明らかになると思います。この結果、全国でもトップクラスの宅幼老所も300ヶ所と群を抜いています。また、知的・精神・身体の障害者サービスの充実も評価できます。
 借金問題は次の項でお聞きしますが、できるだけ新規の県債発行を抑え、限られた予算を福祉・教育に重点化したうえで着実に減らしています。
 私達は、「財政改革推進プログラム」を作成する際も、何でも削るだけではなく、予算を県民の利益に役立つ使い方に改めることや、借金にできるだけ頼らないこと、また、県職員の給与削減は最後に考えることなどを提案しました。「プログラム」をすべて評価するわけではありませんが、今後も未来への負の遺産となる借金に頼らず、福祉、教育、環境に予算を重点化していくべきではないでしょうか。少なくともこの方向を続けることが、危機的な県財政の建て直しになると思いますが、知事の見解を伺います。

村井知事
 施策の重点化は大変大事なことと思っております。しかしながら、やはり県の負います負債というものは世代を超えてご負担をいただくことによりまして、ある意味では世代間の公平を確保するというメリットもございまして、そういう意味で今ご指摘の点でございますけれども、メリハリの利いた予算は組んでいく必要がございますけれども、ある程度は県債を活用しながらやっていくということを考えざるを得ない、財政の健全化に向けていろいろ今努力しておりますけれども、いずれにしても私は経済の再生なくして、本当の意味での財政の健全化というものはありえないと考えているところでございまして、そういう意味で産業の活性化でありますとか、防災対策あるいは福祉、医療などの安全・安心なくらしの確保等々、いずれにしても、これは努力していかなければならないことだと思っております。あの、これから返済に立つ(?)県債の範囲内で借り替え債をだしていくということ、それを通じて、借換え債の規模を返済の額より少なくすることによりまして、債務の残高というものは漸次減少をはかっていくことができる、こんなように考えているところでございます。


 それでは借金問題の見解について伺います。知事は代表質問の中でも、「ある程度の債務は世代を超え公共財の負担を担うために当然の仕組みだ。例えば道路を造れば相当長持ちするから、後の世代もメリットを受ける。その意味ではある程度の借金は設けていい」ということを述べてられていますが、私たちもまったく借金をするなといっているわけではありません。公共事業も県外大手ゼネコンよりも地元企業優先で、生活道路の整備など生活密着型の事業は促進してまいりました。
 問題は国の指導で、地方が借金に依存する体質になってしまったことから脱却する立場に立たないと、将来負担を孫子の代まで残すことになる責任を感じなってしまうということを心配するからです。
 長野県は、91年度からの10年間に1兆円を超える借金を増やしました。しかし、田中知事になってからの6年間に1,000億円以上の借金を減らすことができました。公共事業に使われる普通債だけでみれば2789億円減らしました。これだけ減らしているのに全体では1千億円の減にしかならないのは、2001年度からの臨時財政対策債が国から押しつけられたもので、吉村県政時代にはなかったものであります。この残高が2006年度末には1797億円になります。この押しつけがなかったならもっと県の借金は減っていました。
 よく「事業をしなかったから」とか、「基金をくいつぶしたから借金が減った」という意見がありますが、確かに公共投資は減らしましたが、「財政改革プログラム」で決めた目標を達成した結果です。吉村知事時代は借金を1兆円以上も増やしながら、基金も6年間に918億円取り崩しています。田中知事時代は6年間で借金を1千億円減らしながら、基金は720億円の取り崩しです。2005年度決算の見込みでは同年度の基金の取り崩しは16年ぶりにゼロになるといわれています。
 今でも交付税措置されるから「有利な起債」を活用すべきという考えがありますが、公債費の交付税措置とは、公債費を基準財政需要額に算入するということだけで、交付税が増えるということにはならないのは県財政の交付税額を見れば明らかです。あれだけ借金残高が多かった長野県の地方交付税額は2000年度に2865億円となってからは、前年度より毎年減少を続けています。「有利な起債」などというものは幻想であり、あくまで借金は借金であります。
 そこで伺いますが、知事は「有利な起債」という考えがありますか、また、できる限り借金に依存した財政計画はやめるべきと思いますが見解をお聞かせ下さい。

村井知事
 有利な起債という言葉は、過去、元利償還金につきまして交付税措置がされるということで、実質的な自治体の負担が低くて済むということを指して「有利な起債」という言い方をしたと、私は承知しています。
 私は起債をすれば有利だから、だから事業をやろうだとかというようなことではなくて、必要な事業をやるのに、どういう資金の手立てができるのかということで考えていくのがスジだと思っておりますので、要するに一番大切なことは、本当にその事務、事業が大事かどうか、大切なのかどうか、県民に求められているのか、それを適切に判断をして、そして県議会のご賛同を得ながら実行に移していく、その際に、先ほども触れたわけですけれども、償還する県債の額の範囲内で新たに起債を起こしていくというのは、債務を全体として漸減させていくことは可能ですから、ひとつのやり方であろうとこのように申し上げている次第であります。


 必要な事業はやるということで、私たちも借金自体には反対ではないという言い方をしましたけども、やはり借金でみせかけの姿より、身の丈にあった財政運営をしていかなければならないということを言いたいと思います。地方交付税が増えるということは幻想であるわけですので、その点についてですね、ぜひとも胸にいれてやっていただきたいと思います。

3.災害対策について

 次に災害対策について伺います。
 7月19日に発生した中南信を中心とした豪雨災害は、県内各地に大被害をもたらしました。
 特に土石流の発生により8人の尊い命が奪われた岡谷市も観測史上最大の降雨量となり、市内各地で同時多発的な大災害となりました。この豪雨により亡くなられたり、被災されたみなさんに心よりお見舞い申し上げるものであります。

 岡谷市の大規模土石流は諏訪湖の南側、長さ1、2〜1、8キロにわたって山が三方向にすっぽり抜けました。県道岡谷茅野線、国道20号線、中央高速道、JR飯田線など主要な交通網は全面ストップ。大きな支障がでました。現地では行方不明者の捜索を最優先にし、二次被害防止のため避難勧告が出され、避難者数は最大時7箇所604人になりました。
 塩尻市奈良井では、この大量の豪雨にもかかわらず、幸いにも人身災害にこそなりませんでしたが、避難していた公民館の裏山の沢からの大量の土石流で公民館が崩壊したり、また贄川の折戸地区では住民の避難直後に大量の土石流が集落に押し寄せ、家屋5戸が全壊となるなど、危機一髪の状況での避難が行われていました。また、木曽地方の重要幹線道路である国道19号線や伊那とつなぐ国道361号権兵衛トンネル、また岡谷方面につなぐ国道20号線、伊那方面への153号線、またJR中央線も飯田線も寸断されるなど、大渋滞をまねき交通のもろさも露呈しました。

 これらに対し、この間、私どもの2度にわたる渡る災害対策本部や県当局への緊急要望を行う中で、8月初旬には災害関連緊急事業が県内35箇所のえん堤工の事業費73億円が決定され、住民の不安解消に向けて手がつけられつつあり、また、村井知事におかれましては就任直後と、先月25日の定例会前の申入れをさせていただき、県当局の真摯な対応に感謝するものであります。
 しかし、災害復旧・復興のカナメは個人の生活再建です。被災された方々が希望を持って足を踏み出すためには家を無くし財産を無くしている皆さんへの公的支援がかかせません。しかし、国は銀行に対しては70兆円もお金をつぎ込んでいるのに、この問題については一貫して「私有財産の国であるから個人住宅の再建には一切公的支援はしない」という態度をとっています。
 1995年の阪神大震災以来10年余にわたってこのことは被災地でも国会でも大きく議論がなされ、運動になってきました。一昨年の中越地震での新潟県知事の国会でのやり取りは記憶に新しいところであります。
 国の生活再建支援法では所得制限が一家で500万円と大変厳しく、また全壊家屋でも300万円で取り壊しや撤去費、当座の生活用品に使えるのみで、住宅を建てる費用には使えず、ほとんどが所得制限にかかって使えない、実情にそぐわない制度になっています。例えば大災害を受けた岡谷市では、全・半壊28戸中9戸しか適用になりませんでした。
 この問題点を住民のみなさんとともに、わが団の地元の毛利議員をはじめ岡谷市の市会議員団が早くから指摘してくるなかで、岡谷市はこのたび市として所得制限も年齢制限もなく、国の支援法と別に独自の要綱をつくり、全壊300万、大規模半壊200万、半壊100万、一部損壊30万、床上浸水30万、床下浸水30万を支給することを決めました。全国的にみても2000年の鳥取西部地震で300万円が決められて以来、論議にはなっていますが独自施策を持っているところは7県1町あります。今回の岡谷市の施策は大英断といえると思います。そこでこうした今回の豪雨災害で岡谷市が被災者に対して行った施策を長野県として支援するつもりはないか知事にお尋ねします。


村井知事
 岡谷市の被災者支援施策に対する県の支援ということについてお尋ねがございました。実は私自身、防災担当大臣の時に、鳥取西部地震をうけまして鳥取県が住宅の再建資金を県が手当したことに端を発しまして、全国的に何らかの国の制度の充実をはかるべきだという議論になりましてから、いろいろな形で関わった経験がありまして、そういう意味では若干の手直しをするにとどまった訳ですが、少し説明をさせていただきたいと存じます。
 岡谷市の今度の独自支援制度のように住宅本体の建設費を含めた補助支援を行うという制度につきましては、個人資産形成に公費を投入することの是非という問題がございます。これはなかなか難しい問題でして、比較的局部的あるいは数が少ないような時に、何らかの措置が行われることはありうることでございますけれども、そのときにもうひとつ考えなければいけない問題は、同じような災害がもっと大規模な形で起きたときに、それに対応できるかという公平性の問題がございます。
 例えば長野県は糸魚川静岡構造線というのがございまして、大変な地震が、震度7くらいの地震が起きる可能性が20数%という、これはもう地震の可能性としては極めて高い、日本にあります各種の構造線、断層等のなかでももっとも高い部類に属する危険をもっている地域を抱えております。こういうところで震度7の地震が起きました場合に、仮に今ご指摘いただきましたような奈良県でございますか?奈良県ですでに制度化されておりますような適用例をもちいまして、それで起こりうる被害に対する補填額というものを試算しますと約2000億円程度払わなければならないということになってしまいまして、おそらく現在の県の税収ほとんどすべてをそこに投入しなければならないということになってしまって、私はこういう所が本当に、そこまで制度をつくっていいのだろうかというところが率直に申しまして、割り切れないものがございます。やはり公平性というのは考えなければならない。
 岡谷市の今般の制度でありますが、これは市独自のご判断のもとで、市が支援可能な範囲内で制度化をなすったものでございまして、岡谷市以外の豪雨被害にあわれた周辺市町に起きましては特段類似の単独制度の導入はないということも、私どもは着目しなければならないということでございまして、県といたしましてはこれについて特段の補完をするという判断には至らなかったということでございます。
さりながら県としてはどういうことをやっているか、ちょっと繰り返しになりますが、再度申しあげさせていただきますと、今議会に補正予算案を計上しております災害復旧事業を早急に実施する。それから県単制度でやっております災害復興住宅融資への利子補助につきまして、借入者負担利率の引上げや、住宅金融公庫のみならず民間金融機関からの借り入れまで補助を拡大するというような拡充も手を尽くしております。それから災害救助法や被災者生活支援法の適用による支援をおこなうのは当然でございます。災害見舞金制度や災害援護資金貸付制度による支援もおこなっております。それから長野県独自のコモンズ支援金によって地域のみなさんが協働して実施した事業の経費へ支援をしております。それから赤十字社長野支部等と県が共同して実施した義援金の配分等で対応しております。ご理解をいただきたいと存じます。


 例えば、ただいまご答弁いただきました2000億円という算定根拠というものもわからないわけですけれども、やはり県がこういう制度を持つことによって、いま岡谷市ということを例に言いましたけれども、塩尻市でも5戸全壊であります。やはり県が持つことによって底上げになるということを申し上げて、私は被災されたみなさんが助かるということを、どうしても県が援助するということを申し上げたいと思います。


 次に、被害防止のための森林整備の位置付けをどう考えすすめるかについておききします。
 今回の災害原因は今後きちんと調査検証されなくてはなりませんが、降雨量の問題、森林整備や樹種の問題、地質の問題、開発の問題、防災対策の問題など多方面から検討される必要があると考えます。
 9月10日に諏訪市で行われた信州大学自然災害科学研究会の報告会では、「現場はカラマツで間伐の手が入っていない場所であり、モヤシ状態になっていたことを指摘し、樹木の密度や樹種によって根の張り方が違い、根が太く、深ければ木が地面を支える力は強い」これは北原農学部教授です。「湊地域の地質は表面がローム層であり、その下に不透水性の塩嶺塁層があり、多量の水を含んだローム層が表面を滑った」これは大塚全学教育機構助教授です。などが報告されています。今後の対応を考える上で今回の原因についてはきちんと科学的、多面的におこなわれる必要があると思います。そこで、先月29日には土石流災害検討委員会が開催されたようですが、こうした土石流対策に対し、森林のもつ多面的な機能を発揮させることが重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 そして先日私は、大量の土砂に今も埋まったままの塩尻市贄川の折戸地区の贄川沢の上流部を現地の方と見てきました。ここへ緊急事業での砂防堰堤の工事が施されることは期待されていますが、一方で、大量の土砂が流れ込むことによって、埋まってしまうことへの懸念もあります。そこで災害直後に伺った際、現地の方は「最上流部に国有林があって、数年前に皆伐してしまったことが大量の土砂流出になったのではないか」と語られました。土砂災害の原因の究明には時間がかるかもしれませんが、このようなことからも、森林のもつ国土保全機能をいっそう発揮させることと、対応する県機関との部局横断的な連携が不可欠であると考えますが、林務ならびに土木部長の見解を伺います。また、国に対し、知事は災害を誘発する森林整備の遅れをやめさせ、促進するよう強力に働きかけるべきであると思いますがこの点についても知事に伺います。


村井知事
 林務部長からいろいろお答えすることがあろうかと思いますが、今回の災害の発生原因につきましては、降雨の状況、地形地質、土壌、それから森林の生育状況等々につきまして関係部局におきまして林野庁、国土交通省あるいは信州大学等々と連携をとりまして土木工学や森林工学の面から科学的、多面的に原因を究明していただいていると、このように承知しております。土砂災害を防ぐために砂防、治山施設等を適正に配置するとともに樹木の根張りを発達させたり、下層植生を豊にするということによりまして、森林の有する土砂流出や土砂崩壊の防止機能を発揮することは大変重要なことでございまして、そのために保安林や、施設整備に関わる周辺の森林を中心に重点的に間伐を実施し、針葉樹と広葉樹が混在する針広混交林へ段段と誘導していくということによりまして、災害に強い森林づくりをすすめていかなければならないと思っておりますが、申し上げるまでもなく実は農業、土木建設業等といささか林業の置かれている立場とは違いまして、機械化が非常に遅れている。あるいは機械が入れるような林道の整備というのは、ここ数年間長野県では全く怠たられてきたというような問題がございまして、これは実際問題として施業いたしますときに人力に頼らざるをえないという非情に過酷な環境をつくっていることは、少しお調べいただければご理解いただけることでございます。もうひとつ付け加えますとヨーロッパあるいはアメリカ、あるいはシベリアなどで使われておりますような、いわゆる林業機械というものでございますけれども、どちらかというと平地で使われる性格のものでございまして、山がちの長野県でどれだけ使えるか、というところは実は深刻な問題で、ある意味では何といいましょうか、まさに学際協力と申しましょうか、例えば工学部でロボットの技術をどうやって林業に適用していけるかというようなことを、私はご研究いただかなければならない主題だろうと、かねて考えている点でございまして、すでにいろいろな試みはなされておりますけれども、実際問題としてやろうといたしますと、まあ都会の人はボランティアで来て、木をちょっと植えたり、ちょきちょきと切ったりということで済むような性格の話ではない、業としてきちんと成り立つような方向にどうもっていったらいいか、森林県の長野県として真剣に考えなければならない問題だと思っております。

加藤林務部長
 土石流の発生原因の究明についてお答えいたします。この7月豪雨災害におきましては、土石流を伴う山地災害や、林道施設の被災など、森林林業関係でも甚大な被害となりました。今回の土石流災害のメカニズムを解明し、適切な対策を講じていくためには、森林地帯の崩壊の原因を分析することが大切となります。このため森林に関する学識経験者等により災害発生直後から現地調査を行ってまいりましたが、その調査結果に基づいて、災害の発生原因を解明する検討委員会を近く立ち上げることとしております。
 まお、知事が触れました。失礼しました。原因究明に関しては、土木サイドでも検討委員会が立ち上がっておりますが、この検討委員会の技術につきましてはお互いに共有、交流し、関係部局が連携をはかりながら総合的な原因究明をはかってまいります。
 また、国有林に対します要望でございますが、従来より流域全体に対します保全の観点から国有林と民有林とは連携をはかってきたところでありますが、今後、この地域を含めて、さらに県土保全をはかるうえで、国有林を管轄する中部森林管理局と協議をすすめて、森林整備など森林荒廃を防ぐ施設を必要に応じて要請してまいりたいと考えております。

原土木部長
 (略)それから連携する機関との連携ということでございますが、今回の土石流は連続400ミリにも達する異常豪雨、これが塩嶺塁層を基盤とした表土を侵食することにより発生したもので、流木を伴い流下したことにより家屋等により多くの被害を及ぼしたものであります。科学的な視点から発生原因を解明するとともに、今後のハード、ソフト両面の対策を検討するため学識経験者からなる平成18年7月豪雨災害対策特別委員会を設置し、検討を始めたところであります。先ほど林務部長から検討委員会を設置するということで、御説明した通りであります。土木部も委員会で情報交換を行いまして連携をはかってまいりたいと考えているところでございます。なお、県では災害発生時より関係部局を横断しまして、長野県土砂災害復旧本部を設置し、応急対策や本復旧対策の調整をはかってきたところであります。両検討委員会の検討結果を含めまして今後も関係自治体への情報提供をするなど安全な地域づくりに向けまして、復旧本部の使命を果たしてまいりたいと考えております。以上です。


 ただいまご答弁いただいたんですけども、やはり知事が勘違いされているところが1点あり、林道を全然つくらなかったという表現をされるんですけど、私も昨年、農政林務の方ですね、作業路と高性能林業機械っていうものを非常に導入するってことで今始めているってことは、ご認識ないのか、その点もですね、ただ大きな林道だけを広げていくことが新たな不必要とも思えるような公共事業につながっていくのではないかということを付け加えさせていただきます。いま林務、土木部から伺ったわけですけど、やはりそれを統一したですね、組織として対応していかなければ、私はならないのではないかということを付け加えさせていただきます。

4.治水対策について

 次に治水対策について伺います。
 「脱ダム宣言」が、「今後、できうる限り…ダムはつくらない。」と、公共事業のあり方や税金の使い方について提案したのは、平成9年の河川法の改正で「環境重視と住民参加、地域の意向を反映した河川整備計画を総合的に策定する」という国全体の大きな方針の発展の中で、国土交通省直轄の淀川流域委員会で「ダムは最後の選択肢」とする報告が出された流れにも沿うものだと考えます。
 「脱ダム宣言」後、議員提案で設置された治水利水ダム等検討委員会が膨大な時間とエネルギーを費やし、多数の専門家や、県民の参加のもとで検討した9流域の諮問河川で、基本的にはダムによらない方法での治水利水対策がすすもうとしており、「脱ダム宣言」のきっかけにもなった下諏訪ダムが計画されていた砥川流域では、20年後をめざして流域の安全度を河川改修を中心に高めていく河川整備計画が国の認可を得て、この計画にもとづく整備がスタートしています。
 一方、ダム本体の着工契約まですすんでいたことから、「産みの苦しみを経験している」浅川流域ですが、河川改修が流域全体の8割まで進捗し、かつての洪水被害の大きな原因のひとつだった天井川は基本的に解消し、浅川の今後予想される水害の最大の原因である千曲川との関係や内水被害の問題に大きな重点が置かれた検討がされています。
 そこで、知事には、是非とも、できうる限り早い時期に、これらの河川、流域の現状について、総合的で正確な認識を持っていただくことが不可欠でありますので、浅川をはじめとする対象河川の現地調査を行なっていただきたい、直接現場に足を運んで、県の職員の説明はもちろんですが、専門家や異なる立場の住民の意見にも、是非、耳を傾けていただきたいのです。今後の長野県の治水対策の全体像や、個別の方針を検討していただくために必要不可欠だと考えますので、これは年内には、是非ともお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。知事の見解をお伺いします。


村井知事
 少なくても年内には直接浅川に赴いてよく見てこいと、また、話も聞いてこいというご指摘でございます。私も大変これはいろいろな意味で急いで判断をしなければならない課題だと思っております。現地を確認すること、そしてできるだけ住民の皆様のご意見も聞かせていただくこと、これは私の基本的な姿勢としてございますので、やらせていただくつもりでございます。
 ひとつだけぜひ申し上げておきたいと存じますのは、浅川については、やはり治水の基本方針として、長野県当局としては一貫して治水安全度100分の1、基本高水流量を450トンパーセコンドとすることについては、まったく変えていない事実でございまして、私は、この点はきちんと引き継いで押えてまいりたいと思っております。併せて専門家の意見にもよく耳を傾け、一言で言えば現代の知見のもたらす最高の科学的技術的判断に基づいて適切な判断を最終的にはしてまいりたいという決意でございます。ご理解をいただきたいと存じます。


 最近のマスコミ報道によりますと、浅川の今後の治水対策について、知事は、2年前に、県がコンサルタントに検討を依頼した時の案のひとつであった、いわゆる「河道内遊水地」も選択肢の一つと発言されています。もちろん、知事が引用されておられますように、「脱ダム宣言」でも、「できうる限り・・・ダムは造らない」と言うことであって、必要なダムをつくることまで、私も否定するものではありません。しかし、浅川ダムについて、地域住民の根強い反対があるのも、また、コンサルタントの検討案だった河道内遊水地、事実上のダムが否定されたのも、浅川の上流が危険な地すべり地帯であることや、上流部でいったんダムに浅川の水をとどめることで、千曲川への流入時間を遅らせることになり、結果として千曲川の増水時期と浅川からの増水した水の流入時期が重なってしまうことで、むしろ下流地域の内水被害を拡大してしまうと言う重大な問題が発生するからだと指摘されているためです。
 浅川ダム予定地周辺の、ループ橋に向かう浅川右岸では、一昨年の台風災害の際、大きな地滑りブロックが発生し、修復工事が行われてきましたが、今年7月の豪雨災害で、その地すべりブロックに隣接する場所に新たな地すべりブロックが発生し、約1億円の予算措置で対策工事が行なわれることになりました。
 先日、日本共産党県議団として、現地の調査を浅川改良事務所のご案内で行ないましたが、今回新たな地すべりブロックが発生した場所のすぐ下のループ橋が始まる場所の右岸は、やはり、今から10年前の平成7年にも地滑りが起こったところです。浅川ダム予定地周辺の全体が、危険な地滑り地であることを考えますと、やはり同じような地滑り地に、国直轄の奈良県川上村の大滝ダムが、現代の土木技術の粋をこらして建設され、完成したものの、試験溜水しただけで、川上村のなかでも、歴史的に地滑りの影響をいっさい受けてこなかった地域に地割れや地滑りが起こって、ついに部落ぐるみの集団移転を余儀なくされたことが、とても人ごととは思えません。
 浅川ダム予定地周辺の地質、地盤の安全性について、知事は、どのようなご認識をお持ちなのでしょうか。高さ約30メートルの事実上のダムを建設しても、安全性は保障されるとお考えなのでしょうか、知事の見解をお伺いします。
 また、河道内遊水地のような構造物を新たに建設して水をとどめることが、下流の内水被害を拡大することについてのご見解はいかがでしょうか。あわせてお伺いしたいと思います。
 これらの安全性の保障がない限り、流域住民の多くは、決して納得するものではないことを、また、地滑り地の被害の拡大や内水被害の拡大について、人間の力では、到底責任は負えるものではないことも、私は、あらためて強調しておきたいと思います。


村井知事
 浅川の治水対策につきましては、ダムという選択肢も含めまして幅広く検討いたしまして、環境への影響、経済性、効率性等に配慮いたしまして技術的により優れた案にいたしてまいりたいと考えております。予定地におきます地質、地盤の安定性の問題でございますけれども、これは浅川ダム地すべり等技術検討委員会でございましたか、ここにおきましてダム建設に対して地質上影響を及ぼす要因はないとする意見と、それから長野県治水利水ダム等委員会におきまして、より調査確認が必要という意見があったという、こういった意見対立があったということは存じておりますが、今後具体的な対策を検討する際に所要の調査もすすめていく必要があると考えております。いま下流部固有の問題でございますいわゆる内水問題につきましてお話がございましたが、いわゆる浅川ダムの問題という外水対策とは別で、浸水被害を軽減するための別途の対応が私は必要なんだろうという認識でございまして、これにつきましては関係する地域住民の皆様方に、国、市を含めまして、よくご相談をし、ご理解を得ていくしかないだろうと思っております。これがふたつ一緒になってしまいますと、混乱をしてまいります。ふたつを分けて考えていくしかないだろうと思っております。

5.高校再編について

 高校再編について伺います。
 住民理解も得られず、議会の3回に及ぶ決議にも耳を傾けないまま強引に統合を進めてきた県教育委員会のすすめ方は、議員提案で可決された改正「高校設置条例」に基づき、臨時議会で断がくだされました。ここまで暴走を続け、在校生をはじめとした関係者何よりも受験生に混乱を与えた県教育委員会の責任は重大なものがあります。9月26日に開催された教育委員会では飯田工業高校と飯田長姫高校の統合を除き他の5つの組み合わせについては凍結との結論に至ったとのことです。そこで教育長に伺いますが、これからの高校教育のあり方を統廃合先にありきでなく、いったん白紙にもどし、地域におけるそれぞれの高校の役割や、こども達の要望に応え、自由に進路選択が出来る魅力と特色ある高校づくり、地域や関係者の合意づくりを重視して高校教育の将来ビジョンの策定に着手すべきだと思いますがお答えください。
 次に教育委員長に伺いますが、これまでも指摘してきましたが、多部制・単位制についても関係者の合意のないものについては強引にすすめることなく、全国的な実践例をよく研究しつつ、県下4つに集約することは長野県の地理的条件からいってもとても無理であるため、見直すべきであると思いますがお答えください。
 またその際、不登校の子ども達の居場所となるなど現行の定時制・通信制が果たしている役割をきちんと把握し、これまでも議会で何度も述べさせていただいたように、少人数であるがゆえに教師や友人との関係も良好であり、身近にあるがゆえに通い続けられることなどに配慮し、集約化することは避けて存続させるべきだと思いますがどうでしょうか。また、県教委として該当のこども達の意見をよく聞き、果たしている役割をきちんと認識してほしいと思いますが教育委員長に伺います。


山口教育長
 お答えいたします。将来ビジョンに対しますお尋ねでございますが、9月県議会臨時会の審査結果につきましては真摯に受け止めているところでございます。5件の統合を含む7件の計画を凍結したところでございますが、生徒減少を見据えると高校再編は高等学校教育の質を担保するためにも喫緊の課題であり、さけて通ることのできないものと考えております。今回、凍結したものにつきましては、それぞれの地域の事情も異なりますので、今後改めて各方面からのご意見をお聞きするとともに、県教育委員会事務局におきましても、統合や転換の是非、新たな計画策定の必要性、県民の皆様方の意見集約のあり方などにつきまして、さらに検討していく必要がございますので、しばらく時間のご猶予をいただきたいと、こんなふうに考えております。

松田教育委員会委員長
 お答えいたします。多部制単位制高校につきましては、松本筑摩高校は平成19年度から、箕輪工業高校は平成20年度から実施することとし、屋代南高校と野沢南高校につきましては、凍結するといたしましたことから、第1通学区の北信地域、第2通学区の東信地域におきましては、配置を見合わせた状態となっております。今後この2地域におきます多部制単位制高校につきましては、先行する松本筑摩高校と箕輪工業高校の施設、設備など教育環境の充実をはかり、生徒の募集の状況や、満足度などをもとに県民の皆様のご理解を得ながら配置を考えていきたいと思っております。
次に定時制や通信制の果たす役割や存続に関するお尋ねでございますけれども、定時制過程の現状について申し上げますと、現在22校ございまして1600余名の生徒が在籍しておりますけれども、1学級40名の定員につきまして、平均すると14・4人という実態でございます。このような状況の中で長野県教育委員会では、平成7年の定時制・通信制過程の適正配置についての報告や、平成10年の高校教育の改善充実についての報告において、各通学区に単位制の中心校を設置することや、統廃合により適正配置を行うこと、複数学級ある専門学科の学級減や普通科へ転換することを今後の方針として決定し、定時制の再編整備や設置学科、学級数の見直しを行ってきているところでございます。最近の状況を申し上げますと平成11年度には松代高校定時制の募集停止、平成12年度には丸子実業高校定時制の募集停止及び長野工業高校定時制工業科の学級減を行っております。また、平成13年度には飯田長姫高校定時制商業科を普通科に、平成15年度には中野実業高校定時制工業科を普通科に改編いたしました。さらに平成16年度には須坂高校定時制と岡谷工業高校定時制の募集停止をしてまいりました。定時制や通信制の果たす役割は、時代とともに変化し、現在では就労のため夜間に学びの場を求めている入学者だけではなく、不登校経験のある生徒など多様な学習、生活歴をもった生徒が多く入学しておりますので、学びの場であると同時に、居場所としての役割を担っていることも、充分に認識をしております。長野県がめざしております多部制単位制高校では、その柔軟なシステムを充分に生かしながら、多様な生徒の進路希望に対応できる教育課程を編成したり、相談体制の充実をはかりながら、これまで定時制の果たしてきた居場所としての役割について充分に配慮してまいりたいと考えております。


6.場外車券売り場について

 次に県内でいくつかの地域で問題が起きている、競輪の場外車券場などの公営ギャンブル施設の誘致について教育委員長に伺います。塩尻市では今年、北小野地区に競輪の場外車券売り場の民間企業による建設計画がおこり、地元の北小野地区では区、PTAなど地元住民を巻き込んでの議論になりました。そして8月末に住民投票を行い、回収率91.6%で建設反対が実に83.4%、賛成は16.6%と出て、北小野地区振興会は建設に反対する住民決定をしました。同様の案件は上田市にも発生していると聞きますが、このようなギャンブル施設は青少年の健全な成長を促す上で好ましいものとは言えず、実際私たちが6月に塩尻市の同地区全住民に対しておこなったアンケートでも「峠(これは善知鳥峠の国道153号線沿線です)は以前から成人雑誌の自動販売機等があって環境が悪いのに、これ以上環境を悪くするのは問題。ギャンブルのお手伝いは真っ平御免だ」とか「地元に落ちる金のくどき文句に騙されては悔いを千載に残すことになる」など圧倒的の住民は好ましく無いと考えていたことからも、今回の決定は住民の良識を運動で反映したものと思われます。そこで、過去県議会では何度か場外馬券売り場などのギャンブル施設の誘致についての問題が論議されてきておりますが、現在県下各地でおきているこのような事例について教育的立場から教育委員長の見解を伺います。


松田教育委員会委員長
 お答えいたします。近年サッカーのJリーグと連動したサッカーくじが実施されているなど社会通念も変化しているものと思われます。しかしながら一般的にこの種の施設につきましては、周辺環境の変化や、施設を利用する大人たちのギャンブルへの関わり方などによっては、青少年健全育成に関してマイナスの影響があると懸念しております。当該施設の設置につきましては、市町村の判断にゆだねられるべきものですが、実施されるとすれば青少年の健全育成に充分な配慮をお願いしたいと考えております。


 現在、この規制緩和によりまして、自治体の同意は必要でなくなったことによりまして、県内では今後、同様な事件がですね、発生する可能性があろうかと思います。ぜひ県教育委員会としても取り組みを重視していただきたいと思います。

7.障害者自立支援について

 次に障害者施策について伺います。最初に知事はこれまですすめられてきた長野県の障害者の福祉施策をどう評価し、また今後どう充実させていくのかお伺います。
 特に昨年10月の特別国会において、与党の自民党・公明党が、日本共産党などの反対を押しきって可決、成立させた障害者自立支援法は、身体・知的・精神の3障害にたいする福祉サービスの提供の一元化など関係者の声を反映した部分はあります。しかし、同法は障害者福祉にも、“自己責任”と“競争原理”を徹底して、国の財政負担の削減をおしすすめようとする小泉「構造改革」のもとで、多くの問題点を抱える制度となっています。とりわけ重大な問題は、利用料は能力に応じて負担するという「応能負担」原則を、利用したサービス量に応じて負担するという「応益負担」へと転換したことで、障害者、そして事業者にとって大きな影を落としています。
 障害者が人間としてあたりまえの生活をするために必要な支援を、「益」とみなして負担を課すという「応益負担」は、憲法や福祉の理念に反します。障害が重い人ほど負担が重くなり、負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなる事態が起きることは必至です。だからこそ、障害者・家族の反対運動が空前の規模で全国に広がりました。そして法が4月に施行されて半年がたち、この10月からは市町村事務・事業である障害程度区分認定とこれにもとづく支給決定、地域生活支援事業の開始などがはじまり、自治体の責任もいっそう問われることになります。法施行後全国各地の障害者団体などの調査によって、原則1割の応益負担による大幅な利用者負担増、相次ぐ施設からの退所やサービス利用の手控え、施設経営を大本からゆるがす報酬の激減など予想を超える問題点が明らかになっています。厚生労働省自らが都道府県・政令市・中核市に対しておこなった調査でも、多くの自治体から懸念や不安の声が上がっています。将来の生活を苦にした親子の無理心中事件も起き、関係者に衝撃をあたえています。こうした中、今月からはあらたに、補装具、障害児施設も一割負担となり、障害者・家族の負担はさらに増加します。そこで知事はこの状況についてどう認識され、対応をされようとしているのか伺いたいと思います。
 現在、地方自治体で、独自に利用料、これは医療費も含みますが、負担軽減策を実施しているところは、東京都・京都府・横浜市・広島市など8都府県と242市町村にのぼります(5月末現在、千八百二十自治体の13・13%。きょうされん調査)。これらは、応益負担がもたらす影響の深刻さ、および国の「軽減措置」がいかに実態に合わないかということを裏づけるものでもあり、国の責任があらためて問われます。同時に、障害者の暮らし・福祉を守るために、さらに県としての独自の負担軽減策を講じることが期待されます。これに対しての知事の見解を伺います。


村井知事
 障害者自立支援法の施行に伴いまして、利用者の負担の増加というのがあるのはご指摘の通りであります。これは先ほど、本郷議員にもお答えしたことでありますが、定率負担の導入によって大幅な負担増になっているのは、よく理解しておりますが、利用者の定率負担につきましては制度の根幹として導入されたものでありますので、それによる影響の緩和について、これは国に対して必要な措置を要望してまいりたいと思っております。県は当面、利用者への影響調査の結果に基づきまして、一人一人に合った必要なサービスの調整等の相談、あるいは支援をおこなってまいります。
 県独自の負担軽減策としましては、10月から法が全面施行され、市町村が独自におこなう地域生活支援事業が始まっており、障害児へのサービスについても児童福祉法の改正によってさらに利用者負担が生じることになりますので、それらの影響を把握しながら、支援の必要性を市町村と連携しながら検討してまいりたいと存じます。いずれにしましても県が積極的に取り組んできた障害者が地域で安心して生活できる社会の実現めざして、事業の実施主体である市町村と連携・協力し、現在のサービス水準をできるだけ低下させることなく、障害者のみなさんが必要なサービスを利用することができるように努力を重ねたいと思っております。


 それでは具体的に社会部長に伺います。県内でも長野市では知的障害者入所施設の前年度分所得税額14万円以下の世帯について自己負担金6分の1を支給しますし、松本市では社会福祉法人軽減対象を民間事業者にも適用するなどの福祉サービス利用料負担軽減策を行っています。他県では千葉や三重ではグループホーム入所者への家賃補助や、東京都は低所得者のホームヘルプサービスの利用料負担を10%から3%に軽減するなどしています。
 私たち社会衛生委員会の県内の現地調査でも、通所施設ではこれまで無料だった利用者負担が月2〜3万円、これは給食代を含みますけど、このように大幅な負担増となり、多くても1万円そこそこの工賃収入をはるかに上回る利用料負担の支払いに、働く意欲をなくしたり、家に閉じこもってしまい地域移行に逆行する事例や、あるいは昼食は家から持ってくる方、または利用料の滞納も発生せざるを得ないような状況もあると伺いました。
 私たち共産党県議団では法の施行前から実態調査を県に要求すると共に、この間、調査報告がなされてきているわけですけど、知事が午前中、一部の質問にお答えいただきましたが、例えば自己負担額が今までゼロ円だったものが、2万、3万円となってしまう、通所で今まで4万4千円もの負担していたものが、平均1万6千円上がってきている、こういうような状況をどうやってこの方々は利用料を払われているのか、こういった負担増による施設退所やサービスを受けられないことのないように福祉サービス利用料の負担上限額の引き下げを行うとともに、松本市のような社会福祉法人減免制度の拡充やNPO法人など社会福祉法人以外の利用額減免制度の創設など、県としての利用者負担の軽減策を拡充すべきではないでしょうか。サービスが受けられないような状況を生み出すことは、私たちは人権問題であるというふうに思っているわけであります。
 またこの9月の上田市議会では「地域生活支援事業」について、サービス利用者の自己負担を原則5%、住民税非課税世帯は無料とする方針を明らかにしました。市では「障害が重い人ほど、ホームヘルプと移動支援など複数のサービスが必要になり、負担額が増すことを考慮した」と語っていますが、こうした取り組みを行ったり行おうとしている県下の自治体もいくつもあると聞いています。障害をもたれた方々に直面した基礎自治体であるからこそ、こうした施策を工夫しているといえます。
 そこで今月の本格実施にあたり、具体的な利用者負担の改善をおこなうべきであると考えますが社会部長のお考えを伺います。
 また、一方事業者においては報酬単価の引き下げ、日払化によって事業者収入は平均で1割から2割の減収となり、場合によっては3割もの減収になると言われており、職員の労働条件悪化だけでなく経営の継続さえ困難な状況を招いています。このことは、この間私ども社会衛生委員会の現地視察でもどの施設からも訴えられることであります。
 そこで報酬単価を引上げ、障害者の特性や施設の利用実態にそぐわない報酬日払化は実態に見合うようただちに見直すよう国に要望するおつもりはないか伺います。


田中社会部長
 ただいまのご質問に回答いたします。まず、実態調査ということですけれども、利用者負担の影響調査についてでございますけれども、5月におこないました100人に対しますの聞き取り調査に続きまして、より詳細に実態を把握するため、入所、通所、在宅サービスの利用者千名を抽出し、アンケートを行い、623人から回答がございました。利用者負担につきましては、回答者のうち約9割の人で利用者負担が増加しております。平均負担額は3月までが23、484円でしたが、4月以降は40、449円となっており、増加額は16,965円でございます。なお、4月以降の負担額の内訳は、利用料の定率割負担分が12,837円、食費等の実費が27,612円となっております。サービス利用者別にみますと施設入所者の平均負担額が3月までが39,939円で4月以降が59,045円となり19、106円と大きな増加となっております。一方で在宅者は、3月までが4,566円で、4月以降が9、861円となり、5,295円の増加となって、施設入所者に影響が大きく現れております。これはサービス利用料の原則1割負担とともに施設利用者に対して在宅者との均衡をはかるため食費、光熱水費等の実費が自己負担となったものです。なお、施設入所者につきましては、ご存知かと思いますけれども、負担が過重とならないよう所得、資産保有が少ない場合には、月々の障害者年金のうち最低25,000円は手元に残るよう負担額を調整する制度となっております。利用者負担の導入後も9割以上の方は以前と同じサービスを受けておりますが、利用者負担の増加によってサービス利用をやめた人、又は減らした人は56名おるという状況です。また、全県に対しまして入所、通所施設に対する両通所者?の調査を9月末におこなっております。4,300人余の 所者が対象となりましたけれども、施設を退所した方は、入所施設にはおりませんが、通所施設では9名おりました。この9名の方々には、現在、家業を手伝っている方や、家族と過ごしている方がいるほか、再び施設を利用している方もいらっしゃいます。なお、これらの状況を踏まえまして県としてどのような対応をするかということですが、これにつきましては、この調査を踏まえますと、さきほど知事が申し上げましたとおり、利用者負担の導入により、サービスを減らしたり、やめたりした方につきましては障害者総合支援センター等を通じ、実態をさらに把握し、市町村と協力しながら一人一人にあった必要なサービスの調整等の相談、支援をおこなってまいりたいと思います。またこれから、10月より市町村の地域生活支援事業、あるいは障害児サービスの利用者負担も、さらに増加するという状況でございますので、引き続きその状況を把握し、支援の必要性を市町村と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に事業者報酬の件についてのお尋ねでございますけれども、報酬の日額払い方式は、利用実績に応じて利用者の利用料とともに、事業者の報酬を算定する制度として導入されたものです。これにより入所施設において利用者が入院、外泊した場合や、通所施設において通所者が休んだ場合等による減収の影響が大きいことが指摘されてまいりました。県知的障害者福祉協会の資料によりますと、8月の県内知的障害者施設の報酬額は、前年度比で入所更正施設が平均マイナス8.2%、入所授産施設がマイナス6.9%、通所施設がマイナス11.1%、グループホームがマイナス2.5%、デイサービスがマイナス6.8%となっております。これに対しまして国では8月末に施設の定員の消化?利用を5%から10%に緩和するとともに、入所者の入院、外泊時の加算措置を設けるなど、制度の運用面において何点かの改善を行い、これにより減収の影響が一定程度緩和されてくるものと考えております。今後もなお事業者の運営状況は厳しいものと考えられますので、県におきましては、障害者自立支援法のもとにおける新しい事業体系に移行したあとの運営モデルを事業者とともに検討するなどにより支援してまいります。先ほど申し上げましたとおり、報酬の日額払い制度は利用実績に応じて利用料を支払うという制度の根幹となりますので、国の方におきましても月額制に戻すということは大変困難であると考えております。今後も事業者の皆様から実情を伺いながら必要な改善措置を国に要請してまいりたいと思っております。


 先ほど来、データも報告していただきまして、やはりサービスの利用を手控える、あるいはやめてしまうという方々が、自立支援法の施行に伴い、なってしまっている、こういったことを、繰り返しますが人権問題になっていることを指摘したいと思います。ぜひともこの実態をですね、しっかり掴むとともに、やはりこれもそうですが、県が障害をもたれた方々のみなさんへの利用料の軽減策等うっていくということが、長野県全体の福祉、障害者福祉の向上につながるということを申し添えておきたいと思います。

8.医療について

 次に医療政策について伺います。国がすすめる医療制度改悪にたいする知事の考え方について伺います。
 先の県立病院条例の改正についての討論で、わが会派の小林伸陽議員が指摘しましたが、現在推し進められている「小泉医療制度改革」の影響が国内各地で露呈しています。昨年10月1日から導入された特別養護老人ホーム等の食費・居住費の全額自己負担化による退所者は、現在入所者の四割を占める施設からの回答で、入所費の負担ができず、退所を余儀なくされた人は全国で1,326人にも達しさらに増え続けています。
 また、政府・厚生労働省は社会保障・医療費の大幅削減を目指し、この10月から一定の所得のある70歳以上の高齢者の窓口負担を二割から三割負担に引き上げ、高額療養費の額の引き上げもされました。さらには2008年4月から70〜74歳の窓口負担が一割から二割と倍に引き上げる。連続した患者負担引き上げの一環です。こんなことになれば医療費が心配で医者にもかかれない人が高齢者を中心に多数でてきます。これら福祉や医療制度の改悪は、格差社会を生み出すだけでなく、弱者を切り捨て、命すら奪われる深刻な事態を生み出しております。
 さらに深刻なのは療養病床廃止・削減の動きです。政府は2012年3月末までに現在38万床ある療養病床を15万床に削減する計画です。その結果6割の患者さんが退院を迫られることになります。
 昨年12月の調査では、人口10万人に対する療養型ベッド数で長野県は全国最低水準の841ベッド、最も多いのは高知県で4027、全国水準の1532ベッドの約55%しかないのが長野県の現状です。これを全く無視して全国一律にベッド削減が行われようとしています。こんな一律削減に対して知事は反対していくべきではないでしょうか。全国でもベッド数が約半分しかない長野県のベッドを削減させてお年よりはどこに行けばよいのでしょうか。
 一方の病院経営はといいますと、今年7月から医療区分の低い患者は診療報酬が従来の6割にも下がり、病院も経営の見通しがたたず、病院の閉鎖、療養病棟の閉鎖を余儀なくされた医療機関が各地に生まれております。すでに長野県でも療養病床の閉鎖を余儀なくされている医療機関も生まれています。病院は経営の危機を迎える中で患者の選別、「追い出し」がはじまりました。「介護難民」「療養難民」が全国各地で生み出され深刻な事態です。全国の市町村長も「共同通信社」の調査でも6割以上が医療制度の改悪に反対を表明されています。
 月5万円前後の年金の方々が治療に必要な食費が保険から削除・光熱水費まで患者に負担させる、70歳以上の高齢者の負担は月約3万円の負担を強いることなり、一ヶ月入院すれば13万円から14万円にもなり、わずかな年金では到底負担ができません。介護保険の食事居住費の自己負担の導入ですでに1326人が特別養護老人ホーム等の退所を余儀なくされている実態を見ても、病院に入院できない患者が生まれることは火を見るより明らかです。
さらには「医療制度改革」のもと後期高齢者医療制度が創設され、新たに高齢者の方々の保険料負担が発生し、高齢者の介護・医療での負担にさらなる負担増が課せられますが、これらについての知事の見解を伺います。
 やはり知事は、国のやることには無条件で従うのではなく、県民の暮らしを守るためにこの医療制度の改悪に反対すべきであると思います。この療養病床の一律削減についても村井知事は市町村の声を尊重するとの政治姿勢であるといわれておりますけれども、この医療制度の改定、反対していくことを国に対して言っていくつもりはないか、この点についてうかがいます。


村井知事
 医療制度改革の元もとに10月から高齢者への負担増に加えて、後期高齢者医療制度創設されると、一連のことにつきましてのご質問でございます。この10月から70歳以上の高齢者のうち現役並みの所得を有する方の窓口負担金が2割から3割に引き上げられるということでございます。また、療養病床に入院されている方の光熱水費の負担が新たに加わるということでございます。これにつきまして平成20年4月から運用が開始される後期高齢者医療制度には、現在の窓口負担に保険料負担も加わるということになっております。これらの改正はいずれも確かに高齢者の負担を増加されるものでありますが、しかし、その負担割合は所得に応じて定められるということは、私どもやはり、きちんと押さえておかないといけないと思っております。制度改革全体の中では、乳幼児の負担軽減措置が3歳未満から小学校就学前までに拡大され、医療費適正化のための健康増進施策が講じられるなど、全体としてみますと評価すべき側面もあると存じます。制度の運用を通じて県民の医療に対する信頼性が確保され、質の高い医療サービスが適切に提供されるように状況を注視してまいりたいと考えております。これらの制度改正につきまして、市町村の声を尊重せよということでございます。医療制度の設計者は国でありまして、制度改正は基本的には国の責任においてなされるものでありますけれども、制度自体あるいは運用のなかで、改善すべき事項があります場合には、さまざまな機会を通して国に対してきちんと意見を述べてまいりたいと思っているところでございます。


 ただいま国に対してきちんと意見を述べる点については述べていくということを、そして、やはり所得に応じてとはいわれておりますけど、本当にこの所度重なる医療費、そして介護の負担増、これについてこれ以上払えないというのが実際の声であります。ぜひともこの声をですね、国に対して述べて言っていただきたいと思います。そして、療養病床についての見解は述べられていないかと思いますが、知事は選挙戦中や当選後のテレビの番組の中でも「高齢者が安心して暮らせる福祉施策の推進」について、「特別養護老人ホームを増やすなど高齢者福祉を充実することを訴えたい」と特別養護老人ホームを作ることを明言されました。国のこのようなやり方で、老人ホームの経営がやっていけるのか、その具体的なプランについてどうお考えか知事に伺います。

村井知事
 特別養護老人ホームの整備についてでございますけれども、特別養護老人ホームを位置づけでございますけれども、在宅サービスを最大限活用しましても、家庭生活を送ることが困難な方のために生起する必要があるわけでございまして、私も非常に深刻な事例を見聞きしております。長野県では18年度から20年度までの3年間を計画年度とする第3期長野県高齢者プランに沿いまして、高齢者が住みなれた地域で生活が維持することができるように大規模特養と、地域に密着した小規模特養の整備をバランスよくすすめてまいりたいと考えております。大規模特養でございますけど、これまで8,449床を整備済でございまして、必要定員数9、059床を目標として平成20年度までに610床を計画的に整備していく予定でございます。小規模特養につきましては、高齢者プランの今期の整備目標数230床と計上しておりまして、市町村整備計画に基づきまして地域間福祉空間整備等交付金、これによりまして整備していくこととしております。


次にウィルス肝炎医療費助成について伺います。
 2月議会の高村議員の代表質問や、6月議会の藤沢議員もこれについて取り上げ、また、さらに私たち県議団は村井知事就任直後、さらには9月県議会前の申入れでも要請をさせていただきましたが、この10月からの同制度の外来患者の助成打ち切りは、高齢者、低所得者への配慮が無く、これらのみなさんのためへの助成を継続すべきとの質問でも、前知事は「低所得や高齢者の方々への実情について調査したい」と答弁されました。
 そこで調査はなされたのか、「我が県の助成が突出している」と言われていますが、働きながら通院することの大変さ、このような病気にさいなまれた方々は仕事をしても通院のために何度も休んだり、くりかえしの入退院など、不安定就労のため就業もままならない方が多いのです。まだ、仕事をされている方々は良いほうですが、給付をうけている約5000人中の半分は住民税や所得税非課税世帯の低所得の方々です。こういった方々の必死な療養に対してもあまりにもひどい制度の後退であると思います。
 全国でも進んだ制度であり、最低でもこれら低所得、高齢者への配慮をすべきであると思いますが知事のお考えを伺います。
 それと、ウィルス肝炎のフィブリノゲン製剤による感染については、これを認めていくといっていたものが、9月末になっても、対象者の認定法を決められずにいると伝えられています。この状況についての衛生部長の説明を求めます。


村井知事答弁
 それからウィルス肝炎の給付の問題についてお尋ねがございました。この事業につきましては本年10月から原則として入院医療費を対象とする給付に改まりました。見直しの実施に先立ちまして、県では先ほど御指摘のように、医療費受給者の無作為抽出によるアンケートを実施しております。調査の結果によりますと、制度改正に生活費のやりくりで対応する方が多く、治療自体への影響は、そういう意味では総じてわずかであると考えております。低所得層や60歳以上の高齢者に限定した集計でも、ほぼ同じ傾向でございますことから、対応については、まず、状況を注視してまいりたいとこのように考えております。国には県と同様なウィルス肝炎の医療費給付制度はございませんので、本県の制度は見直しの後も、同様の給付を行っている他の4都道県と比べても、もっとも高い水準を保ち続けております。また、国に対しては国においてのウィルス肝炎患者への支援措置を講ずるようひき続き働きかけてまいりたいと存じます。

高山衛生部長答弁
 フィブリノゲン使用者の認定についてのお尋ねです。これに関しましては9月中に専門医の方々、あるいは患者会の代表の方にお集まりいただきまして、ご意見をうかがったところです。これによりまして課題を整理いたしました。それに従いまして使用の認定、あるいは申請等につきましては遺漏なくすすめてまいりたいと考えております。


 ウィルス肝炎につきまして、県が医療機関や患者に配布している通知によりますと、製剤を使用された当時の「カルテ」がない場合であっても、医師の証明があれば通院費を給付すると書かれています。ところが、医師の証明があっても「なお、具体的方法につきましては、現在検討中ですので、後日改めてお知らせします。」とかかれて、実際にはこの約束が守られていません。このために「治療費が自費になると15万円にもなり、もう通院できない」と大変困っている患者さんがいます。このような状態で見切り発車したことは、これでは県が詐欺的なことをやっているといわれても仕方がないと思います。このようないい加減な見切り発車で、患者さんの生命にかかわる問題を扱うことは許されません。これも拙速にすすめてきたことが原因なのではないのでしょうか。いったい検討中というのはいつまでのことをさすのか。このような状況での制度の廃止はあまりにもひどいと県は何をやっているんだと厳しい批判と悲痛な声が上がっています。10月からの通院費補助の廃止を延期すべきであると考えますが衛生部長の答弁を求めます。

高山衛生部長答弁
 お答え申し上げます。フィブリノゲンの使用歴あるいは、それに関わる患者さんの認定につきましては、ただいまお答えした通りでありますが、実際に専門医のお答えのなかでは、申請そのものに時間がなお少しかかるといったご意見もいただいておりますので、そういった点にはきちんと配慮して、耳を傾けてまいりたいと考えております。


 これ、あの時間がかかるといわれて、9月にはいってですね、実際に注射、インターフェロンを使ってくるということで、支払いが発生しているわけでありますよね、そういった意味でですね、私は詐欺的なことをやっているんだということを認識していただいて、ぜひとも謝罪をしていただきたいと思います。知事はガン対策を強化するといっておりますが、このウィルス肝炎の医療費助成はガン対策の一環としての肝がんの発生抑制につながることはわかるでしょうか?ガンが発生してからの治療の困難さを考えれば、発生抑制としてのウィルス肝炎の治療費助成は効果があるのではないでしょうか。多くのガンの発生の原因はまだよくわからないものが多いのですが、とくにB・C型ウィルスの肝炎による肝硬変は肝がんへの移行がつきとめられているのではないでしょうか。このようにある特定のウィルスで2、30年で高率でガンに移行することがわかり、予防手段のあるうえに、国の医療行政の落ち度のために、このように広がってしまった疾患はあるのでしょうか。私も病院現場でB・C型肝炎ウィルスの検査をやっていて、こんなにも陽性者がいるのかと愕然としたことがあります。患者の大半が、これは80%であると思いますが、外来診療で。その半数が低所得者であることから、有料化によって受診抑制につなげてしまうことは、県民の福祉の向上、特にガンの発生抑制からは、発生抑制と新たな感染者を発生させないことから逆行するのではないでしょうか。衛生部長と知事に対してこの見解を求めて、何としても医療費助成を存続していただきたいと思います。ご答弁よろしくお願いします。


高山衛生部長
 再度お答えもうしあげます。ウィルス肝炎医療費給付事業に関しましては、これまでの答弁で御説明申し上げてきたとおりであります。本年10月から原則入院医療を対象とする制度と改めております。で、これに関しましては、この制度そのものは国には本県と同じような給付制度はございません。また、本県の制度は見直しの後も同様の給付を行っております他の4都道県と比べましても、なお高い水準を保っているということは御理解いただきたいと思います。国に対しましても、国によるウィルス肝炎患者への支援措置は講じていただけるようひき続きはたらきかけてまいります。そのうえでただいま御指摘いただきました諸点に関しましても、ただいまお答えいたしましたように、遺漏にないようにすすめてまいりたいと考えております。

村井知事
 肝炎とガンとの疫学的な結びつきということにつきましては、残念ながら私、素人でございまして、よく存じません。そういう意味では、また、よく勉強させていただかなければと思っております。(略)


9.企業誘致について

 知事は選挙戦中に長野県の活性化のためには企業の誘致を積極的に行うことをについて言及されてきたが具体的なお考えを伺います。
 私たち県議団は三重県が誘致したシャープ亀山工場について視察してきました。県市合わせて135億円と膨大な税金が投入されましたが、地元への経済効果として、地元雇用が増えたのか、また税収が伸びたのか等聞いてきました。亀山市にシャープの液晶大型テレビ工場が北山前三重県知事のトップセールスで進められ、事前に議会にも報告もせず県から90億円、亀山市から45億円合わせて135億円もの莫大な補助を決定し、一私企業の誘致にかかわって公費が支出されました。先ず、このような莫大な補助金を一私企業に対して出すことは行政の公平の原則からいっても全く不当なことであると思いますが知事はいかがお考えでしょうか。
 また、県補助金の半分45億円の補助を出すことを余儀なくされた亀山市は年間予算規模が150億円規模ですので、その3分の1にものぼる莫大な補助額を出しています。シャープ立地にかかる固定資産税を毎年9割を減額して総額45億円になるまで負けてやるという補助、優遇策で、シャープからの固定資産税は一割しかないのに、地方交付税の計算上は全額増収として基準財政収入額に参入されるので、実際と異なる見かけ上の税収額が基準を上回り、2005年から地方交付税の不交付団体になっているそうです。
 また雇用については、雇用誘発効果は12000人と宣伝していたそうですが、実際には請負を含め今年5月で4014人で正社員と請負、派遣、パートなど非正規社員はほぼ半分くらいだそうです。また正社員の3割しか市内に住んでいないそうで、さらには地元で採用された高校生は4年間でわずか225人で効果はきわめて限局的であるということです。4人に3人が業務請負で、12時間2交代性、土日も出勤で過酷な労働条件で若者の使い捨てともいうべき職場できびしい労働条件により、10日に1回の頻度で市の救急車が出動するという実態に、地元亀山市議会でも問題になっています。さらには外国人労働者が大量に流入し、自治会活動やゴミだしなどでも大変に困っているということです。
 このような企業誘致が三重県では行われ、県と市の財政を私企業に食われ、しかも肝心な地元雇用も少なく、安い外国人労働者の流入を招くような企業誘致が果たして本県にふさわしいものなのか再度知事に伺います。またこれが本当に地域振興につながるのかもお伺いします。亀山市ではこの9月市議会において、シャープ亀山工場や関連企業は進出したが、多くの労働者が派遣や請負などの非正規労働者であり、しかもほとんどが地元以外ということから、市長は雇用問題の相談窓口を設置することを表明せざるを得なくなったそうです。これは、こうした企業誘致を莫大な税金使って行いながら、こんな非人間的な労働条件が野放しになって、地域振興、特に地元の雇用創出には程遠いものとなっています。これらを含めた知事の企業誘致についての見解を再度伺います。


村井知事
 (略)三重県のシャープ亀山工場の企業誘致の件というのは、全国的にも大変相伴となった事例でございます。それにつきまして、ただいま備前議員からお話がございましたような状況にあるということは、大変遺憾でございますが、私、御指摘をいただくまであまりくわしく存じませんでした。ただ私は率直に申しまして、企業誘致をめぐる自治体間の競争というものは近年激しさを増しているわけでございまして、いろいろな形で誘致企業に対する助成を行わないと企業がなかなか来てくれないというのもひとつの事実でございまして、様々な助成措置というものは企業にとって立地を決める際の非常に有効な高要素であると、全国43都道府県がこれを実施しているわけでございまして、その限度額でございますとか、あるいは交付条件でございますとか、それぞれ各自治体が独自に決めている、それを比較交流しながら、私どもも対応しなければならない、そういう性質のものだと思っております。長野県では信州ものづくり産業投資応援条例というものによりまして、助成金の交付をおこなっておりますけれども、ご案内のことですけれども助成金を認定した15企業の投資予定額は合計502億円、それから新規常用雇用者386人、うち地元雇用331人、このようにいわれておりまして、地域経済の持続的発展と雇用に寄与しようということでございます。今後とも、県内企業の、再三申し上げておりますけれども、県内に現にあります企業、そしてそこに雇われている人たち、あるいは何ともうしましょうか、働こうという意欲をもっている人たちの高い技術力を生かせる企業、あるいは長野県の有する自然環境、気候風土といった地域資源を生かせる企業の立地がすすみますように企業誘致をはかってまいりたいと存じますが、他山の石もってわが玉を磨くべしということわざもございます。いずれにしましても良く対象を吟味しまして、判断をしてまいりたいと考えております。


 このような自治体を食い物にした企業誘致ではなく、むしろ県内企業を重点に育てる内容にすべきであることと、企業のあり方として、正規雇用を中心とした人間らしく働けることを保障した労働条件の確保を企業に要求すべきではないかと思います。どんなに企業の業績が良くても県民の個人所得がのびなければ、本当の意味での景気対策にならないということをつけ加えて提案とさせていただきます。

10.農業振興について 

 次に農業振興について伺います。農業は人の命をはぐくむ源泉であり、自然条件によって生産量が左右されるという厳しい条件のもとでも国土の保全、水源の涵養、自然環境や景観の保全、食文化の形成に大きな役割をはたしてきました。
 今、世界的に人口の増加、異常気象、農用地拡大の制約など様々な要因によって、食糧不足が危惧される中で、日本においても国際的な協調を図りながら、長期的な視野にたって農業の果たしている多面的機能を発展させながら、食料主権を確立し、自給率を高め、安全で安心して摂取できる農産物を安定的に提供することが求められます。
 日本の食糧自給率は40%と異常な低さですが、歴代政府は減反政策を続けながら輸入を拡大するなど農業経営を支援するどころか、農業破壊につながる政策を続けてきました。この政策は小泉内閣の「構造改革」によって一層おしすすめられ、日本農業を担っている中小農家を切り捨て大規模化し、農用地の土地投機に道を開く株式会社の土地所有も可能にする方向ですすんでおり、価格暴落を野放しのまま、主食である米についても自由競争にまかせるなど、このような国の農業政策のありかたこそ長野県農業を困難にしている一番の原因です。
 長野県は農家戸数で全国1位、農業生産額においても全国9位と有数な農業県です。これが県土の急峻な狭い耕地で、技術力を生かし、果樹や野菜などの園芸作物を中心に、しかも農業従事者の7割が60歳以上と、高齢者によってささえられてきています。
 本県の農家1戸あたりの耕地面積は0.9ヘクタールで、所得は全国32位、専業農家での所得は全国30位と、狭隘な耕地での収入面での厳しさを強いられています。
 長野県はこうした中山間地で長きにわたって培ってきた技術や、さまざまな困難を克服してきた先人たちの知恵の蓄積のうえに農業が成り立っています。そして本県は、良質で安心・安全な農産物を生産する県としてさらに将来に向けて、本県のもつ利点や蓄積を生かして農業および農村を守り発展させていく責務があると思います。そこで本県の基幹産業の一つである農業についての知事の認識と、国が食糧農業農村基本計画に示してきているように、国の支援はほんの一部の大農家であったり、あるいは企業の参入を許すものとなっていますが、長野県農業の特徴をふまえた農業振興策を知事はどのようにお考えか伺います。
 また私たちは農業を国の基幹的な生産部門として位置づけ、その再建をはかるために、食糧自給率を計画的に向上させること、農産物の価格支持制度を守り、価格・所得保障を農業予算の主役にすえて農業経営をささえること、とめどもない輸入拡大をおさえるためにWTO農業協定を改定させ、食料主権を回復しすることなどが必要であると考えています。
 長野県の農業を持続可能にさせていくためには、小規模農業と家族経営の農家を守ることがなによりも求められていると思います。そのためには、農家の所得の保障が重要になります。この点についての知事のご認識と今後の施策をどうお考えでいるのか伺います。


村井知事
 農業振興策についてでございますけれども、平成17年3月に示しました食料農業農村基本計画におきまして、国際化への対応、食糧の安定供給、担い手の確保、遊休農地対策などを進め、農業農村の健全な発展をめざすために、比較対照となる担い手の明確化と支援の重点化ということが謳われているのは御承知のとおりであります。県といたしましては、この基本計画のもとで、平成19年度から実施される品目横断的経営安定対策ごとに国の制度の対象となる農業者の育成と集落営農を積極的に進めてまいる所存であります。それから企業の農業への参入につきましては、遊休農地の発生防止とその有効活用をはかるために、企業と市町村などとが協定を結んだものについて農地の利用を認めるものでありまして、県といたしましても遊休農地対策として推進をしてまいりたいと考えております。長野県はいま御指摘のように全国1位の農家戸数12万7千戸ということでございまして、また、野菜果樹花ききのこなど園芸作物を中心とした全国有数の農業県でもございます。他方、多くの中山間地がございまして、農家1戸あたりの平均耕地面積は全国32位の90アールと大変小さいわけでございまして、多様な農業生産をおこなっているという特徴もございます。こういう長野県農業の特徴であります規模の小さな農家や、中山間地農業の不利性ということにつきまして、充分配慮をいたしまして農業農村がもつ多面的機能を発揮できるようにきめ細かい施策の推進をはかってまいらなければならないわけでございますが、これの難しさというのは私も率直に申しまして国会議員として色々な場で痛感をしてきたところでございまして、県知事という立場になりまして、打ちでの小槌があるわけではない、関係する農業団体などとも御相談をさせていただきながら、それぞれの地域で求められる適切な対策を、お互いに工夫しながらやってまいりたいと思っております。その際、市町村の協力というものも私は大事ではないかと思っているところでございます。
 それから所得保障につきましてお話がございましたが、米、一部の野菜、畜産等につきましてはある程度の国の経営安定対策による価格支持の手段がございますけれども、それを除きますとなかなか所得保障というのは現実問題として難しい上に、競争力の維持という観点からしますと、反って体力を衰えさせてしまう危険もあるということは、ひとつ私ども押さえておかなければならない問題だと思っております。そういう意味で長野県の特徴を生かして地産地消の推進でございますとか、あるいは田中知事の時代にすすめられました原産地呼称管理制度というような制度、これは消費者の求めるものに目を向けた新たな農産物のブランド化でございまして、私は長野県らしい付加価値の高い農業の推進に役立つ手段だと考えておりまして、息の長い支援をしてまいりたいと思っております。ちなみに原産地呼称管理制度で先般、日本酒と、確か焼酎でございましたか、それのティスティングの場が、国際21で行われまして、私が参りましたら、「やあ、村井になったら来ないんじゃないかと思った。」という反応が一部からございまして、私は非常に心外でございまして、率直に申しまして私は、いいことはいいと虚心に認めて続けるつもりなんでございまして、それだけの話しでございます。フランスの原産地呼称(AOC)制度ってものは、ナポレオンの時代から始まりまして200年の歴史があって、初めて世界的にもきちんとした評価をうけている訳でございまして、息の長くこういう制度はやっていかなければいけないとこんなふうに思っております。


 長野県は小規模家族農家が多いということ、ここへの支援というものが非常に大切だということ、これがいま国の農政とは相反する立場になっているということを、県の知事はよく認識いただきたいというふうに思います。
 次に価格安定対策です。農家の所得保障するうえで価格保障など農家の経営を助ける施策は重要であります。レタス、白菜、キャベツなどの指定野菜は販売価格が基準額以下になった場合に一定の算定基準により、生産者に対して補助金として交付されるものです。この野菜供給安定基金は食糧自給率の向上、野菜の消費拡大と同時に、この制度の充実は野菜農家にとって欠かせない重要な制度です。そこで農政部長にお聞きしますが、この制度は今後も引き続き実施されるのかお聞きいたします。
 次に生産者やJAはより充実した制度の運用を求めていますが、政府自民党は財政難を理由にこの制度の見直しを検討しています。「小規模農家を除外」するということは自民・公明の政府の方針であります。しかし、野菜価格安定基金の制度上、長野県だけが20%の負担金(補助金)を出さないなどということはありえないはずであります。野菜の安値対策は「野菜生産集荷安定法」により保障されており、この制度の運用内容の変更は生産者団体、県、国が協議し、最終的には国が判断することであり、長野県だけが決めることはありえないはずですが、知事は先の選挙中に「田中県政では野菜の安値対策の補助金を長野県では来年から出さないと言っている」ということを遊説して回ったそうでありますが、このことについての知事の見解を伺います。


村井知事
 野菜の安値対策の、あの安定基金のことでございますが、まず農政部長からご答弁を申し上げましてから、私のコメントをさせていただきたいと存じます。

柳沢農政部長
 野菜価格安定制度についてお答え申し上げます。御案内の通り野菜の価格安定制度は、野菜農家の経営安定をはかるための制度として運用されているところでございます。この制度の中の代表的な事業であります指定野菜価格安定対策事業、これを例にとりますと国が6割、県が2割、そして生産者が2割の負担によって資金を造成しております。野菜価格が暴落いたしました平成17年度に県下においては制度全体で51億5千万余の交付金が交付されたところでございます。平成18年度は、この価格安定事業におきまして県負担分として当初予算で10億円余計上いたしましたほか、本9月定例県議会におきましても長いもなどの特定野菜価格安定資金事業といたしまして、2,350万円余をお願いしているところでございます。今後も引き続き野菜価格安定制度を活用いたしまして、野菜農家の経営安定をはかってまいりたいと考えております。なお、備前議員お話もございましたが、平成19年度に国の価格安定制度の見直しが行われ、認定農業者など安定的な担い手がいる産地に重点的に支援が行われるとされております。県といたしましても国の制度改正の趣旨を踏まえて、関係団体とよく協議を実施するなかで、農家経営の安定がはかられるようすすめてまいりたいと考えております。

村井知事
 ご質問を受けて思い出しましたが、実は農業関係団体と長野県との間の対話が非常に欠けていたことのひとつの兆候ではないかと思いましたけれども、私が信頼するべき、しかるべき権威のある方から、長野県が、要するに野菜価格安定基金に対しましてすべき拠出をしない、その結果、長野県はこの制度を活用できない、大変な危機感にみちたお話しを承ったのは事実であります。それをよく担当から聞きましたところが、そのようなことはないということを確認しましたので、ただいま農政部長から答弁させたとおりであります。ただ、ここで申し上げておきたいのは、やはりそのような形で、どこと申しません。あえて御推測に任せますが、そういう農業関係者のなかで中核的役割を果たす団体の中で、県の施策について非常な誤解を生じるような対話の欠如を生じたというのは、私は大変憂うべき現象だと思っております。


11.廃棄物行政について

 次に廃棄物行政についてであります。
 産廃処分場について私たち党県議団は税金を使っての産廃処分は同意できないが、知事の産廃処理についての県行政のかかわり方についてのご見解を伺います。
 私たち共産党県議団は、産業廃棄物は企業の産業活動の結果のゴミであり、企業は産業活動で利益を得ているのですから、当然の必要経費としての処理費用を負担して、排出者の責任で処理することが基本であると考えています。そうでなければ際限なく税金を使って行政に負担させることになるということを指摘しております。
 さらに行政は、中小業者への支援策として、安全処理が可能な処分場建設のための技術支援や財政支援、住民協定締結を行うことや、情報公開のための指導という形での公的関与は大いに進めなければなりませんが、現在の県の事業団への人的派遣というような形で、結局県が産廃処理そのものにかかわる主体になってしまえば、適正処理のチェックなどが公正になされるのだろうかという県民からの不信も招きかねません。
 そこで産業廃棄物という企業の産業活動の結果のゴミを、結局行政が最後に税金で処理するというさかさまな状態にしないためにも、県は直接処理には関わらず、県の関与は優良業者の育成や支援に努め、財政支援と監視を主体とし、人的派遣などで処理の主体となるのは見直すべきであると思いますが、これについての知事のご所見を伺います。

村井知事
 それから廃棄物対策についてのお尋ねがございました。昨年9月でございますが、公共関与による最終処分場整備につきまして、最終処分量の激減が見られまして、処分場のひっ迫がおおいに緩和されたということから、建設から施設運営まで関わるとしておりました従来の公共関与の考え方を改めております。このなかで県としては優良な民間事業者の産業廃棄物処理事業への参入促進をはかる、それから民間事業者による産業廃棄物処理施設の整備にあたっては生活環境保全のため事業者、地域住民、行政が協働する?処理体制の構築に努めるということを方針といたしております。しかし、この新しい公共関与の考え方につきましては、廃棄物処理事業団を構成する長野県経営者協会など経済団体、それから市長会、町村会に御説明を申し上げてまいりましたが、民間処理施設の立地に住民の不安が強く、整備がなかなか進まないということから、行政の責任において処理施設整備をすすめるべきであるというご意見をいただくなど、まだ、合意ができていないそういう状況でございます。このような状況から県といたしましては、民間事業者による新たな処理施設設置計画の状況を把握いたしまして、処理施設の需要見込み調査を実施いたしますとともに、産業界、市町村のご意見をよくお伺いして作業をすすめまして、長野県廃棄物処理計画の策定の中で、改めて処理施設整備の方向を検討してまいりたいとこのように考えております。なお、付言いたしますと廃棄物処理の問題というのは、いわゆる産業立地の面でも、非常に大きな?要素になっておりまして、そういう点でも積極的に考えていかなければならない大きな課題だと承知しております。