2006年6月県議会

共産党長野県議団は、次のような条例案を提案しました。
高等学校設置条例の一部を改正する条例(案)

 高等学校設置条例(昭和39年長野県条例第64号)の一部を次のように改正する。第2条の次に次の1条を加える。

    (統合又は廃止)
    第3条 別表に掲げる高等学校を統合又は廃止する場合及び高等学校の統合又は廃止につながる当該高等学校の生徒の募集停止を行う場合は、議会の同意を得なければならない。

    附 則
    (施行期日)
    この条例は、公布の日から施行する

(提案理由)
 児童生徒に行き届いた高等教育を保障するために教育条件を整備することは教育行政の責務である。少子化の進行により高等学校の統廃合が現実的課題となっている中、統廃合は当事者である高校生をはじめ地域住民の声を反映させ、住民理解を得た上で丁寧に進めることが求められる。高等学校の廃止には議会の議決が必要とされているところであるが、現実的に廃校同然になった段階で議会が存続の可否を決する事態とならないよう、高等学校の統廃合と統廃合につながる募集停止について議会の同意を得ることとする条文を加えることにより、高等学佼の統廃合に関して慎重な審議を保障し、統廃合が県民的議論と理解の中で実施されることに資するため。

★7月6日の文教委員会で可決しました★

高等学校設置条例の一部を改正する条例案に対する修正案

 高等学校設置条例の一部を次のように改正する。

     第3条中「統合又は廃止する場合及び」を「統合又は廃止する場合は、」に「高等学校の統合又は廃止につながる当該高等学校の生徒の募集停止を行う場合は、」を「統合又は廃止に係る当該高等学校の生徒募集定員を決定する前に、」に改める。


(提案理由)
 議会の同意を得る時期をより明確なものとするため。



2006年6月県議会

7月3日 毛利栄子議員

「高等学校設置条例の一部を改正する条例案」についての趣旨説明
提案趣旨

 議第10号「高等学校設置条例の一部を改正する条例案」につきまして提案説明をさせていただきます。
 今回の提案にあたって、最初にはっきり申し上げておきたいことは、児童生徒が減少してくるなかで、現状の高等学校を1校たりとも減らしてはならないということを考えているわけではありません。
 今、県教育委員会が進めようとしている「高等学校改革プラン実施計画」は、「統廃合先にありき」で、地域住民や関係者の意見を無視し、合意のないまま拙速に進めようとするものです。2007年4月から一律に「統廃合」しようとしていますが、統合される学校の教育目標や教育課程などが明確に示されないままでは、何よりも来年受験しようとしている新入生にとって、あまりにも無謀すぎて、到底容認できるものではありません。住民理解が得られないどころかむしろ強い反発を招いています。
 このようななかで議会として、ギリギリの判断をし、提案をさせていただくものです。

 昨年6月に県教育委員会案として再編対象校が一方的に発表されて以来、県内には大きな衝撃が走り、反対や批判の声が沸きあがってまいりました。反対署名は40万を超え、陳情・請願も100を有に超えて寄せられています。
 県議会としても3回にわたる決議を上げそのつど、県教委案の白紙撤回や推進委員会の十分な検討、来年度一斉実施のとりやめ、合意できたところからの実施などを進言してまいりました。
 しかし、県教育委員会はこれらの動きにいっさい耳を傾けることなく、廃止のための高等学校設置条例改正を議会に諮ることもないまま、募集停止をおこなって事実上の統廃合を既成事実として重ねながら強引に進めようとしています。このようなやり方は職権乱用、議会制民主主義の否定につながるものであり、県教育史上に大きな汚点を残す許しがたい行為で到底認めるわけにはまいりません。
 県教育委員会はさかんに再編対象校では順調に検討がすすんでいるかのようにいっています。
 しかし、学校現場では、教育課程の短期間での作成を強要され、学校ごとの検討、また対象校一緒になってのすり合せなど、頻繁に会議を重ねていますが、1学期を目途に新しい学校の姿を明らかにするには調整しなければならないことが多すぎて、時間的にも無理があり、この日程では中学3年生や地域に責任ある学校像がしめせず、「魅力ある学校づくり」を十分検討する余裕もないと悲鳴をあげています。
 一方、中学生や保護者は校名もなく、教育課程も、入試条件も定まらないまま進路を考えなければならず、どうやって希望校を選んでよいのか、不安と動揺のなかにさらされています。
 どのような学校になるのかわからない状態のなか、十分な説明や準備がないまま強行されれば大きな混乱を招きます。

 このようななかで議会に対し、高校生をはじめ県民の皆さんからこの暴走を止めさせるために、「議会の皆さんは僕達のために何をしてくれるんですか」などと強い期待がよせられています。議会としてこの声に真剣に応えていきたいと思います。
 そもそも、県教育委員会が高等学校設置条例の改正を議会にかけず、承認を経ないまま学校を廃止することはできませんし、新たな学校を条例で定めないまま生徒募集をすることもできません。
 県教育委員会は、今回提案している条例改正で募集停止にまで議会の同意を求めることは職務権限を侵す恐れがあると言っています。規則で定められている教育委員会の権限とは生徒の「定員」を定めることであり、その場合でも法令や条例に基づかなければならないと定められています。
 募集ゼロを定員というのでしょうか。逆にいえば新しい高校を設置する場合に定員をゼロとして新設校の設置を議会に提案するつもりなのかということです。このような言い分は法律論としても成りたちません。
 私どもの提案している改正案は、本来議会の果たすべき議決事項「廃止」につながる募集「停止」であり、定員の数に何ら踏み込むものではなく、権限を侵すものでもありません。
 現情勢のなかで、中学生への混乱を避け、議会としての権能を発揮し、住民の付託にこたえるためにはこのような手立てしかありません。
 教育は国家100年の計といいます。
 高等学校の「統廃合」にあたって、慎重な審議を保障し、県民的議論と理解の中で実施できるようにするためにこの条例改正を提案いたします。

 以下、それぞれの内容についてご説明いたします。
 第3条は高等学校を統合または廃止する場合および高等学校の統合または廃止につながる募集停止をおこなう場合は議会の同意を得なければならないという条文を新たにつけ加えるものであります。付則は今年の夏休みの体験入学が既成事実としての高校統廃合を前提として実施されることのないよう、一日も早く効力が発揮できるようにするために公布の日から施行するとするものであります。

 以上、全議員の皆さんのご理解、ご賛同をお願いし提案とさせていただきます。よろしくお願いいたします。