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2006年 2月議会 高村議員の代表質問(3/2)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 政治姿勢について
  2. 財政問題について
  3. 豪雪対策について
  4. 社会保障について
  5. 医療について
  6. 教育について
  7. 人権について
  8. 子育て支援について
  9. 長野以北の新幹線について
  10. 治水対策について

1、政治姿勢について

 日本共産党県議団を代表して順次、質問をさせていただきます。
 まず、政治姿勢について伺います。
 県民の皆さんの生活困難・将来不安がかつてなく広がっています。まじめに働いても暮らしてゆけない貧困層が広がり格差の拡大が進んでおり、戦後初めての異常事態・大きな社会問題になってきました。憲法25条に示された「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活をいとなむことを保障する」とした生存権が脅かされ、命と暮らしがままならない深刻な日本となりはじめているのではないでしょうか。
 全国では、生活保護世帯が100万世帯を超え、就学援助をうけている児童・生徒は12.8%、貯蓄ゼロ世帯が23.8%に急増するなどの深刻な実態が広がっています。
 小泉首相は、「構造改革」の名の下に、国民に次から次ぎへと痛みを容赦なく押し付けてきました。多くの国民や労働者の犠牲のもとに、一方では史上空前の利益を得ている大企業の利潤追求を応援する「新自由主義」の政治を進め、国民には「自己責任」「小さな政府」で我慢を強いています。非正規雇用の急増など人間らしい雇用の破壊、中小零細企業への貸し・渋り貸しはがしなどによる経営難・倒産・廃業の広がり、庶民増税と社会保障の連続改悪などがまじめに働き、つつましやかな生活を営む県民にも容赦なく押し付けられてきました。庶民生活破壊の「構造改革」をさらに押し付ける財界と大企業・政府の責任を長野県行政としても厳しく問わなければならないのではないでしょうか。
 BSE、耐震偽装、貧富の差の拡大、「弱肉強食」の財界・アメリカの要求に従って「儲け第一」の路線は破綻し、ゆきづまっています。こうしたなかで住民福祉の機関として地方自治体の存在意義は重要になっています。小泉「構造改革」への所見と長野県のめざすべき方向について知事のご見解をお伺いします。
 あわせまして、今年は憲法公布60年を迎えました。61年前の終戦までに日本が起こした侵略戦争はアジアの人々2000万人、国内310万人ものかけがえのない命を奪いました。この事実を正面から反省し、憲法前文と9条では武器を持たず、政府の交戦権を認めず、対話によって世界平和へ努力を求めています。国民主権・地方自治を掲げ、特に12条では憲法の保障する基本的人権は犯すことのできない永久の権利として国民に与えられるとした世界に誇る憲法です。
 いま井上ひさし氏・大江健三郎氏・澤地久江さんなど9人が呼びかけた「憲法9条の会」は全国で2000を越えています。県内でも考えや立場の違いを越えて、安保闘争を大きく上回る216の「会」が結成され、県民の人口の9割を越える市町村を網羅しています。先の大戦での悲劇を二度と繰り返してはならないと、戦争体験を聞く会や署名活動が展開されています。
 若いお母さん達の手づくり平和バッチの普及をはじめ創意・工夫された取り組みをしている各地の「会」が広がり、戦争体験を聞く会では、中国に出兵し旧日本軍上官の命令には抵抗できず、命令に従わなければ自分が殺されるかも知れない想像に絶する凄惨な所業を、今まで語れなかったつらい経験を震えながら話された方もおられます。「戦争は人を狂わす、決してあの時代をよみがえらせてはいけない、憲法9条を守らねば」と今ご高齢になられた戦争体験者の皆さんが発言し、中学・高校生も参加し、ある若者は「日本の起こした歴史の真実を知らねば他国の人々との心からの友情は生まれない」と憲法9条にこめられた歴史の真実を学ぼうとしています。
 21世紀の日本の進路を左右するばかりでなく、世界とアジアの平和秩序にかかわる歴史的な問題です。知事は、このような憲法9条に学び、9条を守る、県民の多様な取組みの広がりに対して、どのように受けとめているのか、知事自らの決意について伺います。
 続きまして、国民保護法の成立のもと、都道府県にも保護計画の策定が義務づけられ、長野県としての素案が発表されました。その基本理念には「わが国の平和と国民の安全を確保するには、政府の平時からの不断の外交努力により、これらの発生を未然に防ぐ事が何よりも重要である」とまず日本政府の役割を明記されました。また「人々の安全を守るには公共機関のみでなく県民が有機的に自立的自発的に動くことが大切である」として、国民の行動と報道においても、自由と権利を尊重するものであることを踏まえられており、憲法の精神が生かされています。
 そこで知事に、「長野県国民保護計画」素案の基本的な立場について、県から政府に対して「国際間の平和と安全を保つには、国の平時からの外交努力を通じてこそ」と、提言をされてはどうでしょうか。
 また、市町村の計画策定や指定公共機関、指定地方公共機関に対する県の立場を合わせて伺います。

      【答弁 田中知事
       まず、一番目のご質問の点でございます。実は新規国債発行額は29兆9千7百億円に公約を守ったと言われておりますけれども、ご存知のように借換え債を108兆円も発行せねばならないわけですから、さらにダミー国債の27兆円を加えると06年度の国債発行額は165兆4千億円に達するのです。ご存知のようにダミー国債というのは特殊法人が活動するために、国が保障して市場から調達する財投債、財投機関債これは広い意味で国債なわけでございまして、このように特別会計というものが一般会計の3倍あって、ここの議論がほとんど行なわれないまま来てしまっています。
       道路公団が民営化されたといいますけれども、民営化されて一体どうなったのか、ETCカードの機械を付けない限りハイウェイカードまでなくなって、値段は下がっていないわけです。ETCカードで時間帯で少し下がったと言われていますけど、私は前から申し上げているのですが、イタリアと日本ともに民営化いたしましたが、イタリアと日本の高速道路の1キロあたりの建設費用というのは山あり谷ありを均すと平均40億から45億と呼ばれているんです。これに対して東京から神戸の距離とローマからミラノの距離は520キロほどでほぼ一緒でございます。イタリアの民営化されている高速道路のこの間の料金は3,100円です。日本円に直すと。日本はこの4倍の1万2千円です。土地の収用代あるいは人件費と言うことを考えれば建設費用はむしろイタリアよりも日本が努力しているのかもしれません。これを全体の総費用が半額になったからなどと豪語なさっている道路公団民営化に賛成していた方々もいらっしゃいますけれども、実際に使用者にとってどうだったかというと、全く民営化された意味がない、むしろ民営化されたという土地を今後巨大なショッピングセンター等になっていけば、ますます地元の産業というのは駅前が駅ビルになってしまって、商店が逆にさびれてしまったように同様のことが起きかねないわけです。
       あるいは郵政の民営化ということも、私は何等解決にならないと言ってまいりましたけれど、もともと郵政公社の職員は税金で食べていたのではなくて自前の稼ぎで食べていたわけです。税金で禄を食んでいる役人を減らしたことには何等ならないです。他方で公務員に適応される厚生年金だけは温存されるわけですから、まさに一般の国民からすれば「なんのこっちゃ」という話だと思います。
       あるいは外交問題も国連常任理事国入りしたいと言っておりました。常任理事国になることが私は目的となってはいけないと思いますけど、これがなれば歴史に名を刻んだかもしれませんけれども、ご存知のように最も信頼関係にあると言われたアメリカの心変わりによって、まさに常任理事国入りは果たせなかったわけです。今後行革推進法を公務員の5%純減、政府系金融機関の再編特別会計の見直しというようなことを言っております。
       しかし、時代の役目を終えた、例えば農林水産省系の広大な職員の方を環境省に移るとか、60まで身分は保障されているのですから、そうした形ならばまだわかりますけれども、単に5%純減と言いますけれども、もとより日本は公務員の数で言えば欧米各国に比べれば「小さな政府」化しているわけです。ただそこで公務員が甘えるのではなく、まさに時代にあった分野に企業も事業本部の具合は変えていくわけですから、そうしたシフトをする形の流動化を公務員の中でもたらす計画にならないといけないと思います。実は特別会計の問題というのも自由民主党の堀内光雄さんがすでに2002年の段階で一般会計の約80兆と特別会計が一般会計の約4倍もあるわけです。一般会計のご議論はするが国会で特別会計のご議論はないと、すると2つ合わせてGDPの約6割もが国のお財布に入っているという形です。約4割がいわゆる民といわれる可処分所得なわけでして、この構造を変えないと不況が変わらないと、ちなみに欧米の国家予算は2割から3割だとこの堀内さんはおっしゃったわけです。そして堀内さんは石油公団を廃止をして、その株の売却益の1兆3千億円を国庫に納入したんです。ある意味ではこの堀内光雄さんはお隣の県の代議士であられるわけですが、まさにこれこそ実のある構造改革だったんです。
       ところがこの堀内さんはその後、君は構造改革が分かっていないといわれて、郵政民営化で推薦も支持も支援も受けないというような形になって、そして郵政が解決すれば外交問題まで解決すると言う何か手品師のような理論がまかり通って、いまだに解決していないということかと思います。
       一番の問題は、三位一体の改革ということです。前から言っているように、三位一体の改革は国の財政が破綻していることの破綻を先送りするがために、地方の都道府県あるいは市町村への財政を縮小させたわけです。それはまさに補助金はやめましょうと、時代の要請を終えた補助金を止めましょうと、時代にかなった補助金体系に変えることこそが私、前から申し上げているように、どういう日本を創るかという目での、いい意味での垂直指示ではない水平補完としての政策誘導になるわけです。
       ところが、この補助金を止めていきますという、そして実際には財政が厳しいので、臨財債を出しなさいと言うような形で借金になっていっているのですから、交付税は激減しているわけです。前から言っているようにこれはマトリョーシカ人形だって言いました。一番上に国って書いてあったマトリョーシカ人形が今度は地方自治体の都道府県と一番上に書いてくれますよといったけれども、ふたを開けて見たらそのサイズが小さくなっている、そしてその中でも使い勝手が悪くて、プロデュース to by総務省とか財務省と横に書いてあるようなものだと思います。本県はこれはもう提案説明で繰り返し述べましたけれど、高齢社会、少子社会が本県は日本の中においてもいち早く02年から人口が減少に転じているわけですから、今までのような量の拡大ではなく、質の充実と、そのことによって幸せの利益率を高めると発想の転換をしなくてはいけないと述べて、しかも財政が未曾有の危機的状況だから、これを行ないながら様々な転換をしてきているわけでして、今回の予算というものもまさにその意味では、真の県民益のための、幸せの利益率を高めると言う形の予算にしていると思います。いずれにしても本県はそうした垂直依存をするような形でなく、水平補完の形、まさにインターリージョナルなコモンズというものをつくっていくと、いうことだと思いますし、すでにそのことを行なわせていただいているわけです。

       2番目の憲法の問題でございます。実はこの憲法の問題に関しまして、昨日、安倍晋三官房長官が午後の会見で、「わが国に関しては専守防衛に徹し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を整備する」という言い方をしているんです。
       私は、実は先日辻井喬さんという堤清二さんという方と対談をいたしまして月刊現代にその対談が載っておりますが、堤さんは同時に辻井喬さんというのはペンネームでありまして、詩人であり作家でありますが、田原総一朗さんともオフレコという田原総一朗さんの出している雑誌の中で対談をしていらっしゃいます。ここで大変素晴らしいことをおっしゃっていると私は思うんです。彼はどういうことを言っているかというと、田原さんは「常任理事国になりたいと言ってもアジアで日本を支持したのはモルジブとアフガニスタンだけじゃないの」と言っているんです。「ドイツの常任理事国入りはドイツの位置しているヨーロッパの2桁の国が支持したのでこのことを深刻に何故なのか考えないといけない」と言っているんです。それに対して辻井さんが「国際紛争を武力で解決しない憲法を持っているのはおれのとこだけだ、だから世界中がテロという変な戦争で悩んでいる今こそ日本が常任理事国になれば未来に希望が持てるはずだと何故言わなかったのか、日本はそれを言う資格に何で誰も考えないのか」と言ってるんです。
       ところがこの辻井さんは憲法改正論者なんです。と言うと皆さん以外に思われるかもしれません。辻井さんは憲法9条の精神と言うものを非常に尊んでいる数少ない経営者ですが、辻井さんはどういうふうに言っているかというと、今の憲法には明らかに誤訳があると、この誤訳が衆議院と書くところを国会はと書いてしまっていると、その結果参議院の果たすべき役割が分からなくなってしまったと、これは白洲次郎さん、白洲さんというのはご存知のように、吉田茂の側近で大変な東北電力の会長も務められて、レイバーのサングラスをしてジープに乗って山の中を視察したという立派な方ですけれども、彼が辻井さんがここの部分で憲法改正に賛成だと言うとみんなびっくりして貴方転向したのかと、いやいやそうじゃない、誤訳を直すんだと、自分の国の憲法が明らかに良くない日本語で書かれたらまずいとおっしゃっています。彼は憲法9条は、もちろん変えたほうがいいと言うと、おまえは改憲派かと言われちゃうと、私は違うんだと、憲法9条をもっと明確にして徴兵制度はしかない、核武装はしない、海外派兵はしないとはっきり明記しなさいと、それこそが私は改憲派のようだけれども、改憲派でなくて護憲派みたいだけども護憲派でもないと、だけど私は観念的護憲派や観念的改憲派というものしかでてこないというのはおかしい、それに非常に田原さんも賛同しています。
       私はいまこそ、そうした意味、観念的護憲派と観念的改憲派の域から観念的護憲派が脱せられないと、これは修正しましょうというときになし崩し的に変えられていってしまいます。ですからその意味においては、もし観念的なご議論だけで護憲派の方々がそこから越えられないのであれば、9条を守りましょうということには何らかの意味があると思っています。
       ただ私はやはり、良い意味で創造的に実は、94年に読売新聞が憲法改正試案を出したときも、このとき皆さん大変驚いたと思うけど、今読み直してみると第10条で戦争の否認、大量殺戮兵器の禁止ということを書いてあって、そして、第11条は実は自衛のための組織、文民統制、参加強制の否定とあって、この中で国民はいわゆる自衛のための組織に参加を強制されないと読売新聞は書いているんです。そうするとこれは今国民保護法制のような議論になってきたときにも、先祖がえりしたと言われている渡辺恒夫さんですけれども、靖国神社へ参らない、このこうしたところまで踏まえて護憲をなさる方々も良い意味でのお題目を越えて、やはりその単に情念的改憲を言っている人たちに越えられるためには、情念的護憲を越えたプラグマティック現実的ということでなくて、こういう歴史観を持った形のものが必要じゃなかろうかと私は感じております。
       基本的に私は、憲法9条というものがむしろソフトパワーになるべきだと、その意味で言うと今回、先日書きましたけれども、例えばフィリピンのレイテ島という歴史的にも日本が様々なことがそこで行なわれた場所で何千人という方が生き埋めになってお亡くなりになりました。日本は何をしたか、2,500万円物資を送っただけです。アムダであったりそういう民間の方がお出かけになっているだけです。恐るべきだと、これは一筋縄ではいかないと思ったのは、中国は1億5千万円以上の支援も行なって、そして人まで出しているわけです。台湾もそうしたレスキュー部隊を政府が出しているわけです。マレーシアも出しているんです。そしてアメリカも中国が出したからかもしれませんが、それに見合うだけの金額を復興の資金を出すだけでなく、海兵隊が上陸をして必死の救助活動をしているわけです。
       私今回の豪雪でも思いましたが、日本の自衛隊は世界の中で最も災害救助ということに関してノウハウを持っているし、その心意気もあるわけです。何故自衛隊の方々を、あるいはまさに今こそ日本はサンダーバードのようなそうした世界を救うための隊を明確につくれない、あるいはそこの部分で憲法を改正しても、そうした自然災害であったり、そうしたもののためには日本は出て行く、そのことこそ何か血を流すことができなくて、どこが勇気ある国だとおっしゃっている方々はこのことを考えるべき、日本のマスメディアも含めて何故ライブドア問題がう〜たら、か〜たら言っている前に、レイテ島というところに日本が何故出すことができないのか、私はその思いがありますし、翻って考えれば、本県が中越地震のときに職員を派遣させていただいたのも、それはまさにそうした思いにつながることだと思っています。まさにこれこそが国を考えると言うことだと私は思っておりますし、これに対して、まあいいやなどということをおっしゃるような方々に果たしてこの信州を考えるだけの意志や資格があられるのかと私は敢えて申し上げたいところです。

       そして3番目の点であります。長野県国民保護計画の案でございますが、まさにこれは戦争が起きないようにするという事が政治ですし、それがジョセフが言うソフトパワーですし、この点がアメリカの中でも今急速に揺り動きとして出てきているということは、日本が真のアメリカの友人にすらなれなくなって切り捨てられるということじゃないかと私は思っております。そうした考えに基づいてソフトパワーとしての長野県の国民保護計画案というものがあるわけでして、それが今お話がありましたように、平和と国民の安全を確保するためには不断の外交努力が何よりも重要であると申しているところにあるわけでございます。この点に関しまして、18年度中に全市町村の国民保護計画、また全指定地方公共機関、これは例えば電力会社でありましたり、鉄道会社でありましたりといった極めて公共的な役目を担っているところでございます。ここの国民保護業務計画の策定作業が完了していくわけでございます。この中において、すでに指名し、提示しております市町村国民保護モデル計画に沿った計画作りを市町村に求めていくことになります。このモデル計画を骨格として、市町村の地域的、社会的特性等の個別事情を加味した計画の作成を求めていくことです。そしてさらに市町村地域防災計画の避難所や私どもの社会部が中心となって進めている災害時要援護者のための住民支えあいマップ作りといったものとの整合性をきちんと具体的にとっていくという形であります。そのための助言を行なうということであります。
       これも逆にいえば市町村の方々に是非深く自覚を持っていただいて、市町村名のところだけを変えてただ同じ雛形で作るというようなことではなく、地域のとりわけうちは地勢的にも、あるいは南箕輪村のようなまだ若い方が多いところから、天龍村のような5割になる高齢社会というところもありますから、それぞれの実情に応じた形を作っていただけるようにお願いをしていく、その際において水平補完として私どもがお手伝いできることは行うということです。
       ただ、市町村にこの計画はまさに平和のためにこそ、戦争のためにではなくて作るべきであるという自覚を是非持っていただきたいと思っております。この中で県が策定している国民保護計画との整合性をとっていくわけです。また今申し上げた指定地方公共機関に関しては全国レベルの指定公共機関の計画作りというものが先行して行なわれねばなりませんから、これをモデルとして作成するように求めていくということであろうと思っております。
       いずれにいたしましても、本県が自主自律自己責任というふうに言っているのも、構造改革あるいは三位一体の改革という言葉がまさに言葉だけに終わっていて、マトリョーシュカ人形のようにどんどん縮小されていく中ですべての自治体が予算規模も縮小しているわけですからこの5年連続、都道府県においても、災害が起きている新潟を除けば、その中で私どもは本当にソフトパワーとしての強みを持たねばならない、それがゼロ予算事業ですし、ゼロベース予算というところにつながっているかと思います。以上です。

 これからの日本と長野県民の幸せのためにたくさんのご答弁をいただきましたけれども、県民の皆さんのそれぞれの当事者の皆さんの思いに、くらしぶりに寄り添って国の制度ありきではない、長野県からの県民の幸せのための発信を是非お願いしたいと思います。



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2.財政問題について

 次に財政問題について伺います。
 平成18年度当初予算案のポイントでも、地方財政計画では、地方交付税・地方税等を合わせた地方一般財源総額は前年度と同額が確保されたものの、本県では県税の大幅な伸びが見込めず財源不足が拡大しているとして、県税でプラス66億円となるが、地方交付税はマイナス90億円、臨時財政対策債はマイナス29億円で差し引きマイナス53億円といわれています。
 また、義務教育費、介護給付費、児童手当など税源移譲に結びつく国庫補助負担金の削減による本県への影響額が160億円、その他に統合補助金、交付金化の影響額3億円などとなっています。
 このように自民・公明政権は、地方の財政をさらにしめつける一方で、あいも変わらず空港などの大型開発や、米軍基地への移転費用とか、思いやり予算は見直しをしないまま無反省に進めています。
 新年度の予算編成にあたっても、「三位一体の改革」の影響をどう受けとめているでしょうか。ただいまもご答弁の中で少し触れられましたけれども、そのことへの見解と、国へ提言することは何かにつきまして知事に伺います。

 今回の長野県の予算編成については、経済、福祉、医療などの社会システムを地域中心に変えていきます。また、付加価値の高い産業を地域から育てていきます。という2つの方向性が打ち出されました。
 施策の中身を見ても、できるだけ借金に頼らないで、少子化社会に対応したものや、医療の充実、県民応援減税の創設、生活密着型の公共事業のあり方など、福祉・医療、教育重視の姿勢が反映した「県民のくらし応援予算」だと受けとめています。
 しかし、今後の財政見通しは、地方交付税等の削減などにより引き続き大幅な財源不足が見込まれ、平成21年度には財政再建団体への転落も想定される状況です。
 そのため財政改革プログラムが来年度で終了し、新たなプログラムの策定が求められています。策定にあたっていくつか提案したいと思います。
 ひとつは、借金にできるだけ頼らないことです。この間の努力を続けるとともに、臨時財政対策債についての考え方を確認する必要があると思います。
 法律の定めは「地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入する」となっているだけです。実際のこの間の県の事例で考えて見ますと。
 県は2001年から2005年まで普通債を2054億円減らしてきました。ところが臨時財政対策債の2005年度末の累積額は1558億円にもなり、この間の努力の大部分が帳消しにされてしまったことになります。
 問題は、臨時財政対策債の返済にあたって、果たして国が責任を負うでしょうか。地方交付税配分額は、2000年度の21兆7千7百64億円をピークに今日まで例外なく毎年減少しています。元利償還金を基準財政需要額に算入しても、実際には地方交付税は増えず、むしろ減らされる一方です。臨時財政対策債も単なる借金に過ぎません。
 財政改革プログラムの見直しにあたっては、
 1つに、臨時財政対策債に幻想をもたず、また、財政健全化債にも頼らないこと。
 2つに、財政難でも予算を削るだけの対応でなく、30人規模学級など信州モデル枠予算を創設し、県民の福祉、医療、教育、環境に重点投資した姿勢を継続することです。
 そして、職員の給与問題では、今回一旦提案したことも、労働組合側の声に応えて提案を撤回し、職員との合意づくりの努力を評価するものです。今後も実態に合った見直しは必要と思いますが、これ以上の給与削減はできるだけ避ける努力をすることなどで、財政再建の全国モデルとなるよう発信してはどうかと思いますが知事のご見解を伺います。


      【答弁 田中知事】
       まず1点目です。先ほど申し上げたように、「三位一体の改革」というのは地方財政をカットするだけの話だと、そしてマトリョーシュカ人形で、これはずっと私述べていたんです。でも一昨年の新潟で行なわれた全国知事会のときにも、あるいはその前の都道府県会館で行なわれたときにも、私あるいは東京都の副知事だった浜渦たけおさんがあるいは新潟では石原慎太郎さんが同様のことを述べたのです。鳥取の片山善博さんも述べたんです。知事会の中でほとんど異常だと言われたんです。「三位一体の改革」にいまこそ協力せずして地方の未来はあるかと私はほとんど小選挙区制のときのバスに乗り遅れるな、あるいは戦争に乗り遅れるなと翼賛政治と同じことが起きていると思ったんです。でも私の意見、石原さんの意見、片山さんの意見は変だといわれたんです。今になって、地方6団体の人たちがこんなはずじゃなかったと言ってるんです。だから、あまり先を見通すということは良くないことだなって石原さんと思っています。
       簡単に復習の意味でご説明しておくと、地方交付税の削減は、地方交付税プラスしかも臨時財政対策債という起債を強いるものを含めても、対17年度の当初比でなんと18年度に関しては119億円マイナス4.5%うちは減らされているんです。全国ベースでいうと1兆3千65億、パーセンテージで6.5%のマイナスになっているんです。国庫補助負担金の見直しということに関して言うと、義務教育費や介護給付費や児童手当など税源移譲に結びつく、本当かいな?国庫補助負担金の削減による本県への影響は160億円です。全国ベースでは税源移譲に結びつくと言われているその部分が1兆2千844億円です。あるいは、救命救急センター運営費補助金など国庫補助負担金や交付金化は3億円で全国ベースでは交付金化の改革と呼べるんですか、一応、財政改革チームのリーダーの関昇一郎が書いたのは別に間違っているわけではなんですけど、改革と称するものは3183億円の減です。中小企業技術開発費補助金など国庫補助負担金の廃止では0.3億円の本県影響があって全国ベースでは2640億円の影響があるわけです。ですから、まさにこれは国庫支出金の削減と地方への税源移譲の按分が下がるという二位一体の改革だと思います。とりわけ、昨日出納長の青山篤司も申し上げましたが、先ほどの臨時財政対策債というのは借金をしろと、いままで交付金、交付税できていたものが借金になるわけですから、ですから全国の県債残高がこの平成12年からの4年間で113.6%増えているわけです。その中で本県と東京都だけが減らしているわけでございまして、これを先ほどらい、昨日も申し上げましたが、基金を減らしたからだろうなんていう論外なことをおっしゃる方々もほとんど同じ議論の土俵に乗れない、県民の付託を果たして果たし得ているのだろうかと、私はこの議場の方々に今一度、もう一度深くご自覚を頂きたいと思っています。
       私どもの県は旧自治省ご出身の方々が知事を務める兵庫県は地震があったとは言え基金がいまやゼロです。千葉県もゼロです。あるいは京都府や鹿児島県や佐賀県といったところも基金は12年度比で3掛けから5掛けくらいにまで落ち込んでいるんです。うちの県はそうした中で、鳥取県と同様に6掛けになんとか踏みとどまっているわけでございまして、こうした中で国への提言ということに関して言うと、私は以前から申し上げていますが、補助金をやめることが改革と思っていません。林野庁の予算で繰り返しますが8%しか森林整備の予算がない、手元不如意だから市町村は森林を整備したいと思ってもできない、92%が施設整備であるということは果たして林野庁と呼べるのかということです。つまりシャウプ勧告依頼の60年間補助金を見直してこないから、港湾をつくるというようなことにいまだにお金が使われて、日本海側は皆フル企画の港湾になって、水深は深いかもしれないけれども皆船が釜山に行って、そこで荷物を積み替えていると、韓国のために行なっているのかと、もっと集中と選択と「構造改革」でおっしゃるのだったらその部分をミニマムな部分の港の造り直しが終わったならば、集中と選択をしなくてはいけません。補助金をなくすといえば、これは霞ヶ関の人たちは仕事がなくなると恐れますから、身構えまるということです。その身構えている霞ヶ関の人たちにゼロベースで5年毎に、これからの5年間に必要な補助金、あるいはその按分というものを出させて、それを経済財政諮問会議のようなイエスマンのところではなくて、きちんとしたそれこそ土光敏男氏やともにお亡くなりになりましたけれども、小倉まさよし氏のような人たちを起用したような三者機関が補助金を決める、すると省庁は時代にあった補助金を出せなければ、お金が急減します。自分達の仕事なくなります。その代わりに、時代にあった補助金を出したところもそれは5年間であるという形によって、次の形をつくらなければ日本の地域が金太郎飴になってもコモンズになりません。日本の富国強兵というハードパワーでなくて、ソフトパワーとして国のあるべき姿を、政策誘導を良い意味でするという水平補完の思想に立ってのリーダーシップと言う中で補助金を5年毎に作り変えるくらいなことが私は必要だと思っております。
       こうした中でいえば、提案説明の中でも読みましたが、宅幼老所というような既存の建物を用いて行なう場合にこの既存の建物を改修して、しかも持ち主になっていれば金が出るのに、持ち主ではなくてたまたまそのしもた屋を持っている方から借りて宅幼老所をやるようなことにお金が出ない、あるいは今言ったように森林整備の予算は8%でしかない、こうした点を変えると、あるいは変える気がないのかと言うことに関して、これは不肖新党「日本」でもって質問趣意書を出して、個別にこのようなことを聞いていくところです。代々木の方々もかつてからご努力なさっいると思いますけど、こういう形で個別に三位一体というお題目の下でいかに中身が空洞であるかと、改革すべきところは別のところにあるということを伝えていかねばならないのではないかと私は思っています。

       財政改革の推進プログラムの見直しということでございますが、今申し上げましたように、私どもは県債発行の抑制をしてきた唯一の県であります。そしてプライマリバランスを6年連続黒字にいたして参りました。しかしながら、今申し上げたように地方交付税の大幅な削減によって非常に引続き苦しい財政運営をしているわけです。今後のプログラム策定にあたっても、県債発行を抑制する、そして借金を返済しながら財政を健全化して、そして高齢社会・少子社会に相応しき予算事業、ゼロベース予算というものを他の都道府県に先駆けて行なっていくと、このことによって産業を活性化させ、雇用を確保して、人々により移り住んでいただけるような場所になっていくと、それには同時にそうした方々を分け隔てなく受け入れるという県民意識のさらなる醸成も求められるわけであります。こうした中、県債に頼ることのない財政運営というものは名前が行政改革推進債に財政健全化債が代わろうと、これは魂は同じで私どもが取り入れるべき魂だとは思っておりません。選択と集中ということで言いますと、義務的経費をやはり改革をしていくと、これは同時に職員がゼロベース予算という人件費こそが事業費なんだと、営業費なんだという意識を持ってくださったことは大変ありがたいと思っています。そのことを学ぶために松林憲治が説明したコンシェルジュ業務を部局長が行なうということも同様でございます。あいさつがまず朝できるような職員であること、これは修身とは違う意味での大事な魂ですし、そしてそのあとトイレ掃除も含めて自分でこの本庁舎内で必要な仕事を見出していくということが、与えられた国からの仕事をこなすのではない、創造を自らしていくという形でございます。人件費総額に関しまして、今高村議員からもご助言をいただいたわけでございますが、しかしながら、これは議員諸氏が最も心を砕いているか弱き県民から比べれば、はっきり言って公務員は恵まれているわけです。私も非常勤特別職の議員の皆さんも恵まれているわけでございます。収入的にも、あるいは60歳までの一般公務員は身分的にもです。やはりこれは今後政府が100人以下あるいは10人の規模の企業の給与体系をも勘案して人事院が考えるべきだと言っているような形があります。これは私は決して切り捨てなどではなく、むしろやはり量の拡大、あるいは量の維持ではなく、質の充実、サービスの充実、そのことによって皆さんから喜んでいただける言葉や表情をいただけることでの喜びのお互い利益率を職員とともに高めることは必要であろうと思います。こうした中で地公労の方々にも、ただ私は提案説明でも述べましたように、この3年間大変に努力してくださった。姨捨山のスイッチバックの例を挙げましたけれども、一生懸命根を詰めて登っていると段々見える視界が狭くなってまいります。一旦スイッチバックに入ることでホッと一息をつくことで、しかし、そこで安住するのではなく、更なる県民のためのまさに変革を行なう上にもう一度視野を広くして、スイッチバックからさらに登っていくということをお願いするために今回妥結いたしました内容になったわけであります。しかしながら、その中でやはり県民の方々にご理解いただけるような手当てであったり、調整額というものを5月末まで引続きお話し合いをして、決定をさせていただくということに関しても地公労の方々がまさに真摯に受けとめてくださったことを私はこの場を借りて大変感謝をいたしたいと思っております。そうした中で人件費に関しても、シーリングとかそういうことではなく、本当に県民に理解されるものにしたいと思っています。国への働きかけは、今まで述べていることで、ただ私は感じますのは、知事会とか私どもが個別に言っても提案をしても、それに対して返答がありませんので、それは是非議員が所属の政党もそうであると思いますし、やはり質問趣意書というのは実は長野県のご選出の現役の大臣の方は、かつて質問趣意書というようなものは事務が煩雑になるという趣旨をおっしゃられて野党から大変なご批判を浴びた記憶が蘇りますけども、こうしたものを今のあるルールの制度の中で活用することが必要であろうと思います。そして無論、福祉・医療・教育・環境といった県民生活に必要な部分、こうしたまさに新しい労働集約的産業として雇用を地域の中で確保していく部分に関してきちんと財源配分を行なうということだと感じております。なお、実は今回、行政改革推進債を導入するのにあたって、昨年の11月に北関東甲信ブロックの地方財政連絡会議というのがあったんでございます。この場で総務省の側が平成17年度を基点として21年度までの人員の削減といった数値目標を掲げていくと、行政改革推進債というものが活用できるというお話があって、私どもから出席いたしましたのが経営戦略局長と財政改革チームリーダーとが出席しましたが、うちの県は17年度よりも以前から行なっていることです。そうすると今まで努力いていなかったところが17年度から始まればそれは21年度比は大変に努力しているようになるわけで、今まで努力していたところにインセンティブもなくて、このような遅れた飴と鞭を与えるというのは、そもそもが地域というものを中央官庁である総務省が理解しきれていないというお話をいたしました。
       いずれにしても私どもは、こうした問題を先送りするような、出納長が言いましたように後世に負担を先送りするような形のものは行なうつもりはございません。いずれにしても私たちの代で(おうどう?)なしという形で健全化していくということだと思っております。



 
膨大なご答弁をいただきましたが、やはり「三位一体改革」ですが改革ではなく地方自治体の財源をますます逼迫させていくということに対して、長野県では県民の皆さんの細やかな施策を推進していくという立場を堅持していただきたいと思います。



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3. 豪雪対策について

 つぎに、豪雪対策について伺います。
 かつてない豪雪に見舞われた北信地方の皆様に特に除雪作業等不慮の事故で尊い命をなくされた方に心からお悔やみを申し上げます。毎日毎日の豪雪と格闘されておられる皆様にお見舞いを申し上げます。
 日本共産党県議団は、豪雪が少し落ち着いた1月27日、栄村・飯山市・中野市・野沢温泉村・木島平村へ伺い実状を視察させて戴き、かつてない豪雪対策災害対策の実状とご要望を伺ってまいりました。
 地元の日本共産党市町村議員や国会議員団との連携のもと、災害救助法の適用の豪雪事業の範囲の拡大を確認するなど豪雪対策に取り組んできました。
 県としても危機管理室や社会部・衛生部をはじめ各部局による豪雪地域の実情を踏まえた対応や支援がおこなわれ、関係者のご努力に感謝をするものです。また、自衛隊の出動要請もおこなわれ、なだれや家屋の損壊などの2次被害が少なからず防げたものと思います。

 今回の豪雪対策からあらためて、現状に即した支援の見直しを求めたく、豪雪地域の日本共産党の市町村議員から寄せられたご要望を、危機管理室長を中心として関係課長にお伝えし、懇談の場をもって戴きました。
 この中で、長年の切実な要望だった秋山郷への冬期間の村内交通確保のために北野ー屋敷間11キロを県道に格上げし、長瀬・横倉停車場線の月岡・田野沢間については当面1.5車線道路での改良整備を始めることや、集落の小型除雪車の購入に引き続きコモンズ支援金の「安全共同の村づくり」で対応できる事などが確認されました。災害救助法で市町村が行った除・排雪の重機も適用される範囲を確認しました。豪雪対策に奮闘する市町村住民をはげますものです。
 そこで危機管理室長に伺います。
 県の救助員制度では排雪や雪ふみにも対象にする事が確認されましたが、日当が1万1千円では現状にあっておらず、飯山市では、シルバー人材センターに委託しており、単価1万5千8百円、信濃町も同様の単価、町村によっては1万8千円、最高3万円という所もあります。栄村では県基準と同じ1万1千円ですが、これは冬期間の雪害救助員を村の臨時職員として雇用し、出動日数に関わらず50日間の人件費を村として保障しているからです。ちなみに平成16年度の村の決算では、雪害救助員の人件費支出は2千6百万円で、県からの補助は200万円となっています。多くの自治体が持ち出しをしており、実態に合った増額を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
 飯山市の視察でご説明を受けた際、市が20年前から独自に豪雪地である岡山地区での観測をしておられますが、その岡山での積雪量は報道によく出てくる津南町よりさらに積雪が多く記録されていました。今年1月前半の最大積雪で見ますと、アメダス飯山観測所の測定値は255センチ、津南観測所では397センチで、飯山市岡山では451センチが記録されています。この地域には飯山市2割に当たる約2000世帯が住んでおられます。冬場は常にアメダス観測所最高積雪地津南町以上の豪雪地であります。常に豪雪災害対策が必要な地域ではないでしょうか。飯山市岡山地点での積雪観測を県として常に視野に入れると共に、国のアメダス観測地に指定するよう政府に要請してはどうでしょうか。危機管理室長にお伺いします。

 さて、この度の豪雪の農業に及ばした被害は甚大であります。中野市のりんごの木が太い幹が真っ二つに割れるなど今までなかった被害や、ハウスがつぶれるなど、春まだ遠い北信濃の人々は大きな不安に包まれています。
 そこで農政部長にお伺いします。
 甚大な被害を受けた高齢農業者は「20年30年と果樹を育ててきたがもう回復は無理やってゆけないこれからどうしたらよいか」と途方にくれ農業意欲をもてないでおられます。また、自然融雪を待っていれば、農作業道が使えず春先の作業にかかれませんので、積極的な融雪によって農作業道を使えるようにここにも支援が必要です。深刻な事態に見合った農家支援が必要です。当面の対策と長期の視野での支援が必要と考えます。2月20日の要望・懇談した際にも確認したことですが、市町村が実施した残雪事業に対しては、県が支援すると述べられましたが、基本的方針としてそのように対応されるのでしょうか。
 今後の融雪により河川・道路への被害も拡がると思います。山地での被害も深刻となると思いますので、土木部長、および林務部長からも対策を伺います。


      【答弁 鎌田危機管理室長】
       お答えをいたします。雪害救助員の補助単価についてでございます。昨日服部議員のご質問に知事からお答えしておりますけれども、1日あたりの補助基準額11,000円の2分の1以内を市町村に対して補助をしております。現在の補助単価を決めました10年前と今の賃金水準を比較しても低下傾向にございます。従って補助単価を上げる情勢にはないと考えております。
       それから事業を実施している9市町村の補助単価を見ますとお話がありましたように、11,000円から20,000円というふうにわたっております。県と同じ基準額で実施しているのは飯山市、白馬村、小谷村、山ノ内町、野沢温泉村、長野市の6市町村でして、また栄村は11,500円、信濃町は15,900円、木島平村は20,000円というふうに3町村につきましては町村が独自に上乗せ補助をしているところもございます。一律に県の補助単価を上げるだけではなくて、そうした独自の判断による対応も合わせてご検討いただきたいと思っている次第でございます。
       次の、アメダス観測地の指定についてでございます。アメダス観測地点につきましては、気象庁が一定の基準を定めまして設置しているわけでございます。今回の豪雪にあたりましても長野気象台観測点の増設の可能性につきまして問い合わせをいたしました。それによりますと、すでに全国で観測点の設置は完了しているために新たな設置は考えていないという回答でございました。しかし、この冬のような豪雪災害に鑑み観測データは災害の防止や軽減に必要な役割を果たしておりますので、国に対しまして飯山市や栄村などの観測点の追加を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。以上です。


      【答弁 田山農政部長】
       お答えいたします。融雪災害についてでございます。県と市町村は常に情報を共有するとともに連絡体制、監視体制を強化していきます。また融雪災害が発生した場合には市町村と連携をし、災害復旧事業の手続きを迅速に進めまして、農業者が早期に営農が可能になるように対応してまいります。
       次に、農作物の残雪対策でございます。2月20日に申入れの際にご説明をしました、農作物残雪対策事業は市町村が融雪材の購入や、除雪事業等を行なった場合に県がその経費の2分の1を支援するものであります。また、雪解けとともに明らかになってくるりんごなど果樹の枝折れ等の被害に関しては、農作物等災害緊急対策事業により必要な支援をしてまいるつもりでございます。以上でございます。


      【答弁 原土木部長】
       お答えをいたします。
       この冬は59豪雪を上回る記録的な大雪であり、住民の生活を守り、交通の確保を図るため、道路の除・排雪に注力をしてまいりました。しかしいまだに積雪量が多く、今後は気温の急激な上昇や、降雨に伴う融雪による災害対策に備えることが肝要であると考えております。融雪時には道路斜面の雪の滑落、また集落周辺の地すべりやなだれ、雪解けによる河川の増水や雪の塊による河川の閉塞、これらの災害発生が予想されております。このため、関係現地機関におきましては点検パトロールや地域住民への注意喚起など警戒態勢や連絡体制の強化に努めております。以上でございます。


      【答弁 高野林務部長】
       林業被害対策でございますけれども、今年は例年にない記録的な豪雪でございます。これまで雪崩危険箇所のパトロール等雪崩対策を重点に実施してきたところでございます。今後は春の雪解けによる地すべりや林道施設災害等の発生が懸念されておりますことから、このような対策に重点を移してまいりたいと考えております。このため、災害危険箇所のパトロールを強化するとともに、融雪による山頂崩壊、あるいは林道の災害等、発生した場合には災害関連緊急治山事業やあるいは林道施設災害普及事業等によりまして速やかな復旧を図れますよう万全の対策をとって参りたいと考えております。
       また、豪雪による倒木、あるいは雪折れなどによる森林災害につきましては、雪解けとともに速やかに調査を行いまして、被害木の伐倒、あるいは搬出、災害跡地への復旧造林等、健全な森づくりが進みますよう支援をしてまいりたいと考えております。以上でございます



 
昨日もまた少し雪が積もりまして、なかなか雪解けがこれからでございます。被害の実際はこれからが深刻になる農家の皆さん、こちらの皆さんへの思い重ねながら、また土砂崩れとか雪崩等が発生する危険もありますのでそのことについての課題についても私どもも、市町村議員や国会ともタイアップしながら、引き続きこれからの対策にも力を尽していきたいと思います。



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4. 社会保障について

 次に、社会保障について伺います。
 地方自治法、第1条2項で「地方自治体は住民の福祉の増進を図る事を基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」としています。知事は「職員一人一人が目の前で展開する情報に過去の経験や知識を重ねて温性と勘性を働かせ、さまざまな制約を乗り越えて「人」に尽くしてゆく「安心・安全・安定」を県民に届ける県政を目指す」と、この度の議案説明で示されました。その心は地方自治の精神をさし示し、県民への公約として述べられたものとして歓迎するものです。
 一方国政では、年金改悪をはじめ、医療・介護保険、障害者自立支援法、減税廃止など次から次へと暮らしに痛みを押し付ける政治が進んでいます。先人が作り上げてきた医療や福祉が破壊され、弱者にとって耐え難い事態となってきました。もはや国の制度では「福祉が人々を救い励ますものから福祉が人々を救うことなくさらに苦しめるもの」になりつつあります。
 今年になって1月から2月にかけて共産党が上田地域で取り組んだアンケートには約500人の方々から切実な暮らしの声が寄せられました。最近の暮らしぶりが悪くなった52.5%、あまり変わらないこれは悪いまま変わらないを含み37.3%と合わせてお寄せいただいた約9割の皆さんが「生活が苦しい」との思いを寄せています。国保税や介護保険料の引き下げや高齢者福祉、子育て支援を3割4割の方々が望んでいます。
 介護保険制度が始まって5年が過ぎようとしています、当初介護の苦労を社会的に支え担い、サービスを自由に選択できる制度を目指すとその理念を掲げましたが、現状はどうでしょうか、相次ぐ保険料の値上げと年金からの有無をいわせぬ天引きで利用料の負担は重く、せっかく認定を受けても利用限度額の4割に利用を抑えている事、施設整備の遅れで、入所者が全国で30万人以上の方々が特別養護老人ホーム入所を待っていますけれども、高齢者その家族が不安な思いでいる事、昨年10月から食費・居住費の全額自己負担は、多くの利用者家族負担の限界を超えるものになっています。
 昨年の9月までは老人保健施設利用料6万円で済んでいた方が10月から同じところで13万円に負担が増えました。一旦退所し個室しか空いていなく今度は18万円にも負担が跳ね上がりこれ以上は入所は経済的に無理で、特養に入り直したくても特養は400人も待っている状況で途方にくれている方がいます。ご本人は年金月4万円、ご家族は住民税課税世帯であり、利用料の減免はありません。普通の世帯で保険料を払いながら、実際の介護サービスはお金がなくて受けられない、「保険負担ばかりで介護なし」国家的詐欺とも言える冷酷な制度になっています。食費・居住費の負担の重さから、在宅で介護をせざるを得ない世帯が増えてゆくのではないでしょうか。介護をめぐる悲劇も起こっています。この上さらに4月から多くの市町村で保険料の値上げが行われます。新上田市では基準額が3000円から約4000円に33%も値上げする予定です。
 介護で苦しまない、泣かない長野県にするために思い切った施策のご検討をお願いしたいと思います。
 食費・居住費も含めた利用料が、年金受給額を上回る場合に利用料への支援策を検討すべきではないでしょうか。全国では600もの自治体が独自に利用料減免制度を実施し必要な支援が受けられるように工夫をしています。県内においても松本市や上田市などで独自の軽減策を講じています。こういった市町村との共同支援事業も是非ご検討下さい。社会部長に伺います。
 また、家族介護者にはまったく介護保険は光を当てておりません。家族介護世帯に対する減税制度の創設を提案します。社会部長、是非ご検討をお願いいたします。
 また、介護保険の認定者には、税金申告の際に障害者控除が適用されることになっています。しかし、この周知徹底が十分になれていないと思います。このことを知らない高齢者や利用者の方も多いと思います。制度の徹底を図るよう市町村等に徹底すべきではないでしょうか。

 また、県が支援している小規模の宅幼老所は高齢者にとって心安らかに憩える場となっています。職員の多くがボランテイア的にがんばっておられ、小規模の施設運営はたいへん厳しいものがあります。
 介護保険制度「改正」により、市町村の小規規模密着事業として経営が安定するまで、運営費への支援を検討すべきと考えます。この点も社会部長のご見解を伺います。


      【答弁 田中社会部長】
       ご質問に順次解答させていただきます。
       まず1点目ですけれども、ご指摘のとおり本来年金は老後の生活費として給付されるべきものです。介護保険に要する自己負担額がこの年金で賄いきれないというのは社会保障全体として問題があると思っております。また介護保険制度は保険料設定や、自己負担限度額の設定など世帯単位で捉えております。このため同じような年金収入の単独世帯である一人暮らしの高齢者と市町村民税を納めている家族と同居している高齢者と比較しますと、同居世帯の方が高い保険料のランクになったり、低所得者対策の対象にならないなど経済的負担に差が生じていることはご指摘のとおりです。これら年金支給額と介護保険にかかる自己負担額との関係、世帯単位での捕捉のあり方につきましては在宅重視の観点からも改善の余地があるのか研究した上で国に対して提言を行なってまいりたいと考えております。一方、年金受給者をはじめ、低所得者等に対します県独自の負担軽減策についてですが、これは議員ご指摘のとおり、保険者である市町村の判断で様々に行なわれておりますので、現時点におきましては、県独自での対応ということについては難しいものと考えておるところです。

       2点目の家族介護世帯への減税制度を創設すべきではないかということですが、介護保険制度は介護に携わる家族の方々の負担を軽減し、国民皆で支えあう制度であります。ご提案のような減税をいたしますと、保険料を納め、介護サービスを利用していない約85%の方にとってサービス利用者は保険給付を受け、さらに減税の恩恵を受けることになります。つまり二重の給付となり不公平感を生じる恐れがあります。また、同様な医療保健における在宅療養者や在宅障害者等との均衡の問題もあります。このようなことから減税により家族介護世帯の負担を軽減させることは現時点では難しいものと考えております。しかしながら、この家族介護者の負担を少しでも軽減させることは大変に重要であり、24時間安心して生活が送れるまさに地域が施設の機能を担えるような施策を展開していくことが必要であり、宅幼老所や新たな地域密着型のサービスなど在宅サービス基盤を着実に整備しております。また家族介護者の相談等に応じ課題を解決していく地域包括支援センターが4月から市町村ごとに設置されますが県としても相談に応じる職員の研修や先進事例の紹介などを行い、より実効ある総合相談窓口となるよう支援していきたいと考えております。

       3点目の、介護認定者には障害者控除が適用されることの周知徹底を図るべきではないかということですが、これは議員ご指摘のとおりでございます。65歳以上の高齢者が障害者に順ずるものとして市町村長から認定された場合、障害者控除の対象とされることにつきましてはこれまでも市町村に通知いたし、市町村課長会議等におきましても制度の周知を図ってきておりますが、いまだ十分でないということもありますので重ねて3月下旬におきます市町村介護保険担当課長会議を予定しておりますので、広報誌、ケーブルテレビ等を活用した住民への制度の周知につきましては重ねてお願いしてまいりたいと思っております。
       最後のコモンズハウスへの支援ということでありますが、地域のニーズに柔軟に応じ、小規模で多様な機能を持つコモンズハウスは、これまでの制度にとらわれない取り組みでしたが、現在国が介護保険制度の中で小規模多機能施設として取り入れるようになるまでになっております。しかし、国の制度では運営主体が建物を所有していることが条件です。この点につきましては先ほど知事の方からも答弁ございましたけれども、強く国に質していきたいと考えております。県としましては、引き続き空き家や空き店舗など地域の資源を有効に活用し、借り受けて運営もすることができる質の高いコモンズハウスの整備を進めてまいります。介護保険制度改正の運営面への影響ですが、昨日服部議員のご質問にもお答えしましたとおり、通所介護事業を行なう宅幼老所は4月以降既存の介護サービス事業と新たな介護予防事業を合わせて行なうことが想定されます。中・重度者の介護報酬の増額、軽度者の減額ということで全体でのバランスの問題となりますが、4月以降各事業者の状況を注視してまいります。なお来年度予算では既存宅幼老所の耐震改修を新たに補助対象としております。また、運営面につきましてもアドバイザーの派遣や職員研修事業を引続き実施し質の高いコモンズハウスの実現を目指して参ります。以上でございます。


  在宅介護者に視点を向けていただいた点は感謝をしたいと思います。しかし、年金からまた介護者自らも介護保険料を納めながら在宅でがんばっている場合には何の恩恵もないわけでございます。お金がなければ受けられないと、こういう方も実際にございますので是非その点、もう少し視野をしっかり持っていただいて国に対しても提言、あるいは県独自の支援策、真剣に私は検討していただきたいと思います。


 次に障害者自立支援制度について伺います。
 障害者自立支援法がこの4月から実施されることに伴い、認定が行われています。しかし障害福祉年金では暮らしてゆけない、働いても月に数千円の作業料しか得られない、家族に迷惑をかけていると悩む人々から、介護保険と同じように福祉サービスに一割の利用料を求める事や食費の自己負担は、自立どころか、暮らし命が脅かされる事になると、大きな不安、制度の実行反対の声が沸き起っています。事業所にとってもまだ報酬基準額が国において示されておりません。今まで切り詰めながらも守ってきた福祉法人や施設が立ち行かなくなるのではとの声も聞かれます。障害者自立支援制度の実施を前に危惧する点を社会部長に伺います。
 たとえば東京荒川区の場合は、在宅サービス利用者の激変緩和策として、利用者負担の10%を3%に、通所施設利用者に対しては激変緩和策として食費を50%に軽減する計画があります。横浜市では所得の少ない障害者には市が全額助成、京都市では国基準の負担を半分にする独自の軽減や負担額の合計額に上限を設定して負担の軽減策を講じています。こういった福祉のあり方に逆行する「応益負担」に対して、県は市町村とも協力して、独自に負担額の軽減策を設け、障害者や受けたい福祉や必要な医療を補償することが必要ではないでしょうか。
 また、自立と社会参加におおきな役割を果たしている小規模作業所に光を当てた財政支援も求めたいと思いますがいかがでしょうか。社会部長に伺います。

      【答弁 田中社会部長】 
       ご質問に順次お答えいたします。
       まず、障害者自立支援法の施行に伴います懸念事項ということですけれども、これにつきましては、議員ご指摘のとおり、自己負担のアップというのが我々にしても一番懸念しているところでございます。この県としての低所得者への利用者負担の軽減策ということにつきましては、法施行後に速やかに実態調査を行なった上でその軽減策の必要性等につきまして実施主体であります市町村のほうと協議していきたいと今連日考えております。また、県では制度が利用者負担の変更が、法施行、4月から同時に実施されるということもありまして、やはりまだまだ利用者、ご家族、関係者の皆様にご理解が十分でないと認識しておりますので、昨年来総勢7千名以上の方々を直接説明会あるいは出前講座を通じまして、周知を行なっておりますので、これにつきましては引続き鋭意進めてまいりたいと考えております。
       2点目の小規模作業所の件ですけども、現在、ご存知だと思いますけれども、障害者の小規模作業所というのは県内145箇所ありまして、2,042名の方が利用しております。この小規模作業所というのはこれまで国においては法定外の施設という位置づけにありましたので、県として地域に密着した障害者の働く場、日中活動の場として必要であると判断して県単独の事業として運営補助してきているところです。このたび障害者自立支援法が成立することによりまして、法定施設になるための要件が緩和されてきます。従いまして、小規模作業所の就労支援に特化した事業、あるいは就労が困難な方の日中活動を支援する事業などを行なう法に基づく施設へと移行することが可能になってきています。県といたしましては小規模作業所につきまして今の運営費補助の増額ということを進めるのではなく、この法に基づく施設への円滑対応を支援していきたいと思います。これによりまして小規模作業所の運営の一層の安定化というものを図っていきたいと考えております。そのために現在も進めておりますけれども、必要な情報提供および相談にきめ細やかに対応していきたいと考えております。また、小規模作業所の利用者の作業工賃のアップを図るということが本当に大変重要と認識しておりまして、作業所営業技術パワーアップ事業というものを充実強化するとともに専任の県職員を配置して働く場の活性化ということを18年度には進めていきたいと考えております。以上でございます。


 今ご答弁いただきましたけれども、父母のみなさんがそれぞれ子どもさんたちのために共同作業所等を立ち上げてきている経過があります。今度の新しい障害者自立支援法では、そこにもやはり認定されても1割負担ということでは、いままでの障害者福祉の積み上げがかえって利用できない施設になるという不安もございますので、是非県の職員のみなさんのご努力も大変評価するものですけれども、当事者のみなさんの声にももうちょっと寄り添っていただきたいと思いますし、4月から始まる、あるいは今年の10月から始まるのに当事者のみなさんは今説明を受けている、そういう中で私どもの方にも非常に切実な声が、不安の声がたくさん寄せられていますので、是非その点しっかりとみなさんの不安の声にも耳を傾けていただきたいと思います。


 次に国保滞納問題について伺います。
 国民健康保険料が払えない世帯が増えています。全国では約361万人約20%が一年以上の保険料滞納となっています。長野県ではH16年度に5万5875世帯、国保世帯の13.8%を占め、5年前の3万3290人と比較すると176%も増えています。市町村は滞納世帯に資格証明書を発行する事となっており、H16年度では県内で492世帯に事実上の医療費全額負担が押し付けられています。保険料が払えない人が高額となる医療費の全額を払う事は到底無理でありましょう。正規の保険証が取り上げられた人々は、具合が悪くても、明らかに病気であっても、医師の診察を受けることができずに患者になれないまま命を失った悲惨な実態も全国で出ています。
 自己責任、格差拡大の一端がここにも現れています。それが健康格差、生存格差にまで広がっています。
 そこで市町村国保の滞納が増えていることについて社会部長のご見解を伺います。合わせて保険料が高すぎて払えない世帯であっても、具合が悪い県民には必要な医療を保障するための対策を市町村と共に講ずる必要があると思いますがいかがでしょうか。
 1984年以降政府は、国保負担を45%から38.5%まで引き下げ市町村の国保財政を困難にしてきました。保険料の値上げが余儀なくされています。
 「国保は社会保障」という国保法第一条の精神に立ち返り、国庫負担率を元の水準に戻すよう国に提言をすべきではないでしょうか。社会部長に伺います。

      【答弁 田中社会部長】
       ご質問に順次お答えいたします。
       まず、滞納の件ですけれども、私どもの認識としましては滞納している世帯こそ支援が必要な方が多いことから、個々の状況をきちんと見ていく必要があるという認識を持っています。そのためにも先ほど議員がご指摘がありましたとおり、滞納が1年以上の方に対して発行します資格証明書の発行に対しましては、一律に発行することなく、事前に滞納者と納付相談を行ない、納付できない具体的な個々の事情を把握した上で発行するよう市町村にお願いしているところです。また、その結果だと思うのですけれども、先ほどご指摘のありました資格証明書の発行件数492件というのは滞納世帯に対する資格証明書の発行率でいきますと0.8%となっております。これは全国の平均の6.5%を5.7ポイント大きく下回っているところです。これは全国順位で申し上げますと、沖縄県に続いて46位ということで非常に低い発行率になっておりますので、こうしたきめ細やかな対応ということを今後とも市町村とともに続けていきたいと思っております。また、やむを得ず資格証明書を交付した場合におきましても、訪問ですとか窓口を設けまして常に滞納者が個々の生活事情に応じた相談ができるようにしておるところでございます。今後はさらに事情によってはいつでも被保険者証に切り替え病気の被保険者が医療にいけないといったことがないよう市町村に引続きお願いしていきたいと考えております。
       また、2点目ですけれども、国庫の負担を上げるように、戻すべきではないか、ということですが、市町村国保につきましては小規模健者が多くまた被保険者におきましては、高齢者や低所得者が多いなど構造上の問題があり、市町村国保の財政は非常に厳しい状況にあると認識しております。今後も引続き県が市町村と歩調をあわせまして国に対し国庫負担の強化というものを要請してまいりたいと思っております。以上でございます。


 医療は最低の福祉で、必ず受けられるべき福祉でなければならないと思います。是非社会部長さんから県民のみなさんへ寄せる思いを伺いましたけれども、実際に市町村の窓口で本当にお金がない、保険料が払えない、こういうみなさんの思いを汲み取った、必要な方に必要な医療が受けられるこの保障を是非実現を図っていただきたいと思います。全国で46番目の交付率だから心配ないとこういうことのご認識は是非改めていただきたいと思います。




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5. 医療について

 次に医療についてお伺いをいたします。
 県民の健康を守り、県内どこに住んでいても医療を受けられる長野県を目指した具体的で細やかな施策が次年度事業に盛り込まれました。衛生部長に伺ってまいります。
 まず、かつてない豪雪によって孤立した秋山郷には、薬や治療が中断しないようお一人お一人の状況をよく把握している主治医との連携のもと、県立病院の医師・看護師が、処方されたお薬をヘリコブターで伺い、持病を抱え孤立し不安な気持ちでおられる方々を直接訪問して診察するなど、迅速で心ある対応をされたことを県民としてうれしく思い、関係者の皆様のご苦労に感謝いたします。
 長野県は、2004年度の医療調査では、10万人対比で一般診療所が67.9で全国37位。病床数は1135.2で全国36位。いずれも低い水準にあります。療養病床も全国の273.7に対し県は156.7床と10万人あたり71ベッドも少ない県です。
 また、10万人あたりの医師数も全国平均からは21人も少ない現状であります。医療環境が整っていない中で、県民のみなさんの入院待ちや早期退院などが起きている事が予測されます。
 共産党県議団では、医師不足、医師養成確保の問題、無医地区の解消、に向けて具体的な提言をしてきました。また看護師確保についても問題を提起してまいりました。そのことを踏まえてお伺いをいたします。
 本県は「がん診療連携拠点病院の指定病院」がない全国で7つの県の一つであります。この点で県としての方向性がこの度示されました。国の指針では、都道府県に一つとされている癌がん診療連携拠点指定病院と合わせて、第2次医療圏域での地域がん診療病院と連携した整備・充実する方向が示されましたが、あらためて県の整備計画の基本的な視点を衛生部長にお伺いします。
 また、がんを抱えるご本人やご家族には計り知れない不安と苦悩があります。患者の精神的不安に対応できる相談センターと合わせて、がんを抱えながら生きる人々の医療と生活にかかわる相談支援センターも整備するなどのご検討をお願いしたいと思います。

      【答弁 高山衛生部長】 
       お答えいたします。がん診療拠点病院の指定がない7県の1つとしての基本的な視点というご指摘です。一昨日の宮澤敏文議員への答弁どおり長野県には地域がん診療拠点病院が現在ございません。この2月1日、厚生労働省から新たながん診療連携拠点病院の整備に関する指針が示されたことを契機に地域がん診療連携拠点病院と県がん診療連携拠点病院の指定整備を進めたいとご指摘のように考えております。


 長野県は大変遅れていると思います。やはり最高のがん治療のケアを受ける、そういう県に1日も早く整備を進めていただきたいと思います。


 次にウイルス肝炎助成事業について伺います。
 今回の事業見直しでウイルス肝炎者の外来通院医療費の助成を縮小する提案がされていますがその理由をお伺いします。長野県は1980年から25年間ウイルス肝炎医療費助成制度を設け、針さし、輸血、感染の危険がわかっていた非加熱製剤を用いられての医療行為によって感染が起きた事がはっきりしている「医原病」として支援を続けてきたのではないでしょうか。放置すると肝硬変や肝がんに進行します。高価で副作用の強いつらい治療であるインターフェロン治療を受けざるを得ませんでしたが、最近は治療効果の高い副作用が穏やかでほとんどが外来治療できるようになりました。自己注射もでき、長い間予後に不安を抱きながらつらい治療に耐えてきた患者さんには働きながら外来通院で頑張れば治るとの希望がようやく見えてきたところです。
 早期発見、治療の継続で治癒への望みが見えてきたときに、また事業評価も高く長野県が全国に誇るこの優れた事業をどうして縮小するのでしょうか。
 患者、関係者の声を聞いて、現在の対象者ができるだけ継続して助成すべきと思いますがどうでしょうか。フィブリノゲン製剤使用の履歴者の確認をどのように保障されるのかも含め衛生部長にご説明を戴きたいと思います。


      【答弁 高山衛生部長】 
       お答えいたします。ウイルス肝炎助成事業に関してのご質問です。今般、ペグ、インターフェロン、という治癒率の高い治療法がでてまいりましてウイルス肝炎給付事業の導入当初と状況が変化してきたことから、患者さんにとりまして何が良い医療費補助かということを改めて考えました。25年前、1981年、昭和56年から難病対策としてB型肝炎の医療費給付が始まりましたが、現在、ウイルス肝炎の治療法は大きく様変わりし、治療法が確立されていない難病とは違い治療効果がぐーんと上がっています。また、週3回病院に通い駐車をしなければならなかった初期のインターフェロン治療と比べ週1回の注射で済むようになり、仕事を続けながら治療を続けることはできるようになっています。国にはウイルス肝炎にかかる医療費に対する補助はありません。また、この給付は全国で5つの都道県、北海道・東京・富山県・愛知県・長野県のみが実施し残りの42府県に医療費給付事業はありません。給付を実施している5都道県の中でも長野県の給付制度は際立って手厚く、今回見直しを行なった後でも、人口1人あたりの給付額は引続き最も高い水準であり続けます。現在のウイルス肝炎に対する医療費給付は特別な医療費給付制度のない他の病気と比べて突出した内容の給付となっています。そのため、県では治癒率の高い治療法がでてきたことから、患者さんにとって何が良いかということを改めて考え、患者会の代表、肝臓専門医、医師会、政策立案の専門家、衛生部から構成される「長野県ウイルス肝炎検討委員会」を昨年10月に設置し、委員のご意見をお聞きし、検討をいたしました。委員会で頂戴したご意見ですが、まず患者会のご意見といたしまして、「治せる患者はめどがついてきたので、しばらくは原稿制度を続けるべきだ」「患者がインターフェロンなどのこんち療法をするときの問題は、経済的問題、治療の副作用に対する不安といった問題がある」「近くに診療できる専門医がいない」といったご意見を頂戴しました。また専門医からは「治療は昔と違って今は働きながらできる」「5つの都道県の中で長野県の給付は手厚い」「患者はウイルス肝炎患者以外にもいる」といったご意見を頂戴しました。また政策立案の専門家からは「新しい治療法は仕事を続けながらできる、治療によっては仕事を続けられなくなる人に対する経済的補助という部分では必要性は失われている」といったご意見を頂戴しました。このようなご意見から長野県は診療体制の整備と入院費に対する補助を考えました。これは専門医と掛かりつけ医との連携強化、また治癒率の高い治療を開始するための最初の入院部分についての医療費補助と、肝硬変の合併症の入院や肝がんの治療の入院など、重い病状の方の入院医療費補助を考えたわけです。今回の見直しはこれまで25年間続いてきた給付内容を、治療法の進歩に応じて見直し、治療開始の際の見極めや、重い病状の際の入院に関わる補助を継続することとし、通院については給付を見直します。そのうえでフィブリノゲン製剤等の収容歴のある患者さんには別に十分に配慮を行った改正案と考えています。
       また、フィブリノゲン製剤の使用の確認方法についてお尋ねですが、このフィブリノゲン製剤等の使用の履歴の認定方法は、カルテにより医療機関で証明していただくことが原則です。しかし、これらの製剤が10年以上前に使用を中止されていることを考えますと、過去のカルテ、製剤を使用した当時のカルテでははっきり証明できないこともあると考えられます。ですから過去のカルテがなくても今肝炎を診ている医師のカルテに今回の制度見直し前の時点でフィブリノゲン製剤や非加熱血液凝固因子製剤の使用があるとの記載があれば、これを証明の根拠と考えたいと考えています。認定のための詳細な基準については制度改正前までに決めてまいります。以上です。



 ただいまご答弁いただきましたけれども、原因が分からない方もいらっしゃいます。フィブリノゲン製剤でウイルス肝炎になったのか特定できない患者さんもかなりおられます。そういう点では、ウイルス肝炎における製薬会社の無責任な状況とそれから厚生行政をやはり長野県は患者様の皆さまを応援しながら、一緒に病気と闘いながら今までの厚生行政のあり方にもしっかり国に対して意見を言っていくというためにも私はこの当事者の皆さんを前と同じように支援を申し上げていくということが大切だと思います。患者さんは60歳、70歳の方が大変多くなっておりますので、このみなさんがまた医療改悪等、行なわれてまいりますれば、せっかく治り始めた、希望が持てた治療も中断する方がでてくるのではないかと危惧するところでございます。


 医療に関する質問の最後になります。
 
小泉内閣は今国会に「医療制度改革」法案を提出しました。この法案は高齢者にさらに2割3割もの医療費の負担を求め、療養病床では食費・居住費が自己負担になり1ヶ月3万円もの負担増が見込まれます。高額療養費も負担が増えます。保険の利かない「混合診療」も拡大されます。その上75歳以上は「高齢者医療保険」に組みこまれ、介護保険と同じように年金からの「天引き」とされます。ところが全国38万床ある療養病床を今後6年間で23万床も減らす方針を立てています。これは昨年政府与党が決定した「医療制度改革大綱」に示された方向を具体化するものですが、この国が示す方向について長寿健康県長野を守る立場からご意見を伺いたいと思います。高齢者・県民に大変な負担と犠牲を強いる今回の国政における医療改悪に対して政府に意見を述べるべきではないでしょうか。それぞれ、社会部長および衛生部長にご見解を伺います。


      【答弁 田中社会部長】  
       ただいまのご質問にご解答いたします。福祉・医療は、ナショナルミニマムでありまして、県民が等しく必要な医療を受けられることが大変大切だと思っております。そして、一連の介護保険の改正、障害者自立支援法の制定、そして今回の医療制度に伴います高齢者の医療費の増加ということが、これが先ほど申しました福祉・医療がナショナルミニマムであり、県民が等しく必要な医療を受けられることが肝要かということに相反しないかということを、またこれにつきましては、度々申し上げていますが、10月以降の制度施行を注視しまして、県としまして国に対して物を申すことはきちんと申し上げて行きたいと考えています。


      【答弁 高山衛生部長】 
        医療制度改革大綱の基本的考え方ですが、まず大綱の安心信頼の医療の確保と予防の重視という項目の中に生活習慣病は国民の健康の確保の上で重要であるのみならず、治療に要する医療費の減少にも資することとなる。そのために健診と保健指導を義務的に行なうといった旨の記載がされています。しかし、この方法で医療費の抑制ができるというエビデンスは私の知る限りはありません。また、結果として抑制されなかった懸念等も検討されてはいないようです。昨年12月に開催された厚生労働省での医療制度改革の説明会や2月10日に厚生労働省関東信越厚生局の健康福祉部長がおいでになった際の意見交換におきまして、当方から厚生労働省に対しまして見解を求めましたが、この点には明確にはお答えいただけませんでした。結果として医療費が抑制されなかった場合、これは健診にも投資が行なわれるわけですから、本来医療に使うべき原資への影響と合わせて医療そのものの中身にマイナスの影響を与えることのないよう願っています。以上です。


 社会部においては昨年の10月からの食費・居住費の負担について県民アンケートをいまとりまとめをしていただいているとこだと思いますけれども、やはり同じように医療費をご負担をさらに求めていくと、こういうことで高齢者のみなさん、長い間ご苦労しておいでになったみなさんの健康、くらし、医療、介護こういうところで非常に危惧をいたします。それぞれ、そのみなさんの実態に即しての状況に思いを寄せて是非国に対してそれぞれのお立場からお願いを、意見を申し上げていただきたいと思います。
 それで、最後に医療とか福祉のこの国の制度改正につきまして、ぜひ田中知事におかれましては国に県民の現状を鑑みて、ぜひ意見を提言していただきたいと思いますが、ご所見を伺います。



      【答弁 田中知事 
       基本的に様々な医療改革はこれ、元気な方も含めた国民のためにあるべきなんですけれども、ありていに言えば、保険会社と製薬会社のために行なわれていることでして、これに関しても日本医師会は植松会長はそうしたことにもっと声を上げられるとおっしゃったにもかかわらず、声を上げると政権与党との関係がというようなことの調整をおっしゃる方々がいらっしゃると言うのは大変悲しいことであります。先ほど高山がご説明をいたしましたところでも、国の側からの私どもへの説明というものも、単なる費用ということです。ただ費用対効果に国民に対してなっていない、ということです。効果がなくて費用だけ削ると、そしてまさに保険料だけが上がり、保険会社と製薬会社だけが潤うということは新たな人の体を使ったハコモノ行政でありますから、この点に関してきちんと具体的な点を関ほど申し上げました質問趣意書のみならず、あるいは私どもとしても述べていくとろころであります。



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6.教育について

 次に教育についてお伺いしてまいります。
 まず、長野県は30人規模学級が長野市を含め市町村の協力の下、6年生まで充実することができるようになりました。自立支援教育や病児教育などを充実し、すべての子どもたちに教育の保障をめざす事業などの細やかな教育予算が県予算の24%を超えるまでに前進し、予算の姿からは教育県長野と誇れるものです。
 しかし、今高校改革の進める方向をめぐっては、教育委員会の一方的とも思える進め方、各推進委員会の強引な「報告書」のまとめ方など、およそ教育的配慮また民主的なすすめ方とは、かけ離れたものになっており、関係者から異議抗議が続出しています。
 そこで教育委員長に、改めて長野県教育がめざすべき教育の基本的視点をどこにおくのかお伺いを致します。
 また、教育基本法ついて、日本共産党はその理念をいまこそ教育改革の視点に据えることこそが求められているのであり、教育基本法の見直しはしてはならないと考えますが、教育委員長の教育基本法に対するお考えを伺います。

      【答弁 松田教育委員会委員長】 
        お答えいたします。長野県教育が目指すべき教育の基本的視点をどこに置くのかのお尋ねでございますが、昨日高見澤議員のご質問にもお答えいたしましたように、長野県教育が不易の教育理念としておりますのは、知・情・位の調和の取れた人間教育を目指す全人教育でございます。この全人教育を推進していくためには次の3つの視点が肝要であると考えております。まず、はじめに子どもありきの考えに立ち、学びの主体者である児童生徒を中心に据え、一人一人に力を付ける教育を行なうという視点が必要であります。また、児童生徒の身近な生活や自然から教材を掘り起こす土着性という視点を大切にし、それぞれの発達段階に応じた学びを保障していくことが重要であります。さらにめまぐるしく変わる社会の中で教育の不易と流行を見つめながら、児童生徒や保護者の期待に応えるために教師がたゆまない研鑽をしていくという視点は欠くことができないものと考えております。
       次に、教育基本法についてのお尋ねでございますが、現在、文部科学省におきましては平成15年3月の中央教育審議会からの答申に基づき、与党における議論を踏まえながら、改正に向けた取組みを行なっている状況であります。改正論議の主な論点として、新たに規定する理念として示された日本の伝統文化の尊重、国を愛する心や宗教教育、また全体の問題として教育の諸問題は現行教育基本法に起因するものではないという意見や内心の自由の侵害を危惧する声などが上げられております。現行の教育基本法に規定されている個人の尊厳、人格の完成、平和的な国家および社会の形成者などの理念は憲法の精神にのとった非常に大切なものと考えております。教育基本法の議論にあたってはこれらの現行教育基本法の崇高な理念が尊重されるとともに、国民の十分なコンセンサスが得られるよう慎重な議論を期待したいと考えております。以上です。


  教育委員長は2日ほど前に、子どもたちに学ぶということをおっしゃられたように思います。私は、子どもたちに学ぶと、一人一人の自らの思いを表現することが出来る。こういうことが、そこを応援していく長野県教育委員会であっていただきたいと思います。
 長野県の高校改革の進め方について教育委員長にお伺いします。
 各推進委員会の報告書が提出されましたが、地域の声が反映された結論にはならず、むしろあくまで県教育委員会の土俵の上で強引にまとめられたように見受けられる結論も多く、納得できるものではありません。多くの市町村議会から意見書が挙げられ、県議会が求めた「当事者である高校生をはじめとする県民の意見を充分反映し、県民的合意が得られるよう慎重な検討を求める」決議も2回上げてきましたが、考慮されてはいません。
 各推進委員会の論議と平行して県民的な論議や署名活動などかつてない運動が湧き上がっています。この多くの県民が高校改革に寄せる真剣な願いをこそ教育委員会が正面から受け取ることが何よりも大切ではありませんか。
 高校統廃合は、地域の皆様の合意が得られたところからは進めながら、合意が得られていない統廃合再編は強引に進めるべきではありません。
 実施計画の策定は実態にあったより柔軟なものにし、来年度からの実施のみを急ぐことなく、段階的な実施となるよう求めますが、教育委員長にご答弁をお願いします。

 次に定時制高校が今日果たしている役割について教育長に伺います。
 現在、県内の定時制に通う生徒は1600人を上回り、最近は希望者が定員を上回る状況も出ています。定時制に学ぶ生徒の比率も増えています。定時制に学ぶ生徒の多くは小学校、中学校の義務教育で何らかの理由で登校できなかったリスクを背負った生徒が入学希望をしています。教育基本法の恩恵にも預かれない、こういう生徒さんがいるのではなでしょうか。 また最近は家庭の経済状況の悪化で働きながら定時制を希望する生徒も増えています。長野県はこのような生徒に寄り添った定時制高校を存続し、学習環境を整える事ことこそ大切ではないでしょうか。
 昨年、上田高校の卒業式に定時制卒業生が答辞を読みました。大変感動的です。一部をご紹介させて戴きます。
 「4年前の4月5日それぞれが傷をかかえ不安を抱え、ほかに行き場がなかった私達。そんな私達を定時制はあたたかくうけいれてくれて、今日まで見守り続けてくれました。この場所があったから私たちは4年間笑って過ごす事ができました。仲間たちは人の心が解かる心の優しいやつばっかりだったし、先生方は困らせてばかりの私達を誰一人見放さずに大きく深い心で受け止めてくれました。不登校だった人、他の学校を中退してきた人、身体の弱い人、仕事で疲れている人、年齢も性格もばらばらな生徒たちが同じ一つの教室に集まって受ける授業では、そんな私たちを一人一人のことを思って下さり、皆がわかるようにペースを合わせてくださる先生方。まわりの高校生には到底かなわない私達だけど、ここで受けた授業からは、教科書には載っていない大切なものをなにより心で学びました。−中略―
4年前うつむきながらくぐった正門を、今日は顔を上げ自信をもってこの4年間がぎっしり詰まった卒業証書をしっかりと手にして、胸を張って出てゆく事ができます。そしてこれからの人生もここで学んだことを忘れずに、自分らしく胸を張って生きてゆきます。この仲間と出会い今日ここに共に立っている事を私は心から誇りに思います。最後に今までお世話になった方々に感謝の気持ちを込めてこの言葉を送りたい本当にありがとうございました」こういう卒業された生徒さんの言葉から、定時制高校の果たしている今の教育の姿がつづられています。
 高校改革プランや推進委員会の報告では、多部制単位制高校へのシフトが盛り込まれていますが、全国一番の不登校生徒を抱える長野県は定時制高校こそは、今の長野県にとって、また子どもたちの豊かな教育の場を保障するとして必要な存在となっているのではないでしょうか。多部制単位制高校を否定するものではありませんが、自分のリズム・自分のペース・自分で学習計画を進めること等が特徴です。ホームルームさえ持つ時間は保障されないのではないでしょうか。より自立をめざす高校であり、定時制を希望する今の生徒の多くがまた行き場を失うのではないでしょうか。勤労学生への仕事と勉学の両立への配慮、仕事を終えての夕方そして下校も交通機関があることが大切です。上田に出るだけでも大変なのにさらに坂城・屋代へなどと第一通学区に第二通学区の子どもたちを通わせようというのでしょうか。さまざまなリスクを背負い、家庭的・経済的・時間的制約を受ける子どもたちこそ、まさに教育的配慮をするのが長野県教育の心ではありませんか。
 現在の定時制高校の果たしている役割は、単位制・多部制に統廃合するだけでは今の役割を置き換えることにはならないと思いますが教育長のご見解を伺います。


      【答弁 松田教育委員会委員長】 
       お答えいたします。合意が得られた高校から着手し、合意がない地域や高校については強引に進めるべきではないのではとのお尋ねでございますが、これまでも平成15年度から3ヵ年にわたり様々な段階で説明会を開催したり、ご意見を聞きする機会を設けるなど、地域の皆さまのご理解を得られるように務めてきたところであります。代表質問にお答えしてまいりましたとおり、少子化社会の進行の中で喫緊の課題である高等学校の再編整備は日本の人口が減少に転じたこの時期がまさに取り組まなければならない時期であると考えているところであります。なお今後さらなるご理解をいただくために早い段階に再編整備などの実施計画をお示しし、地域や学校関係者のご意見をお聞きしながら細部を詰めてまいりたいと考えておるところでございます。



      【答弁 丸山教育長】  
       お答えいたします。定時制高校は単位制・多部制に統合するだけでは今までの役割を置き換えることはできないのではないかとのお求めでございます。
       各通学区に1校ずつ配置をしてまいります単位制・多部制高校は午前・午後・夜間の3部制をとることにより、生徒がそれぞれのライフスタイルに応じて学べる柔軟なシステムでございます。多部制・単位制高校では少人数講座の編成や相談体制の充実を図るなど、一人一人の個性を尊重しながら、生徒が自らの目的や希望進路に合わせて学べる学校となるようにしてまいります。また、現在定時制には様々な生活歴や学習歴を持った生徒が在籍し、生徒の多様化が進んでいることから、必ずしも夜間でなければ学べない生徒だけではなくなってきております。これらを考えますと、現在検討しております多部制・単位制高校はこれまでの定時制の役割を十分果たしつつ定時制に通う生徒にとってさらに魅力ある学校になるものと期待しております。


 教育委員長さんは、学びの主体者として子どもたちを尊重する、それが全人教育がまずは一番の視点だとお話いただきました。この改革について、私はどうしてもその思いを汲み取っていただいていない、当事者である高校生も声を上げています。それぞれの関係者、当事者がこれだけ長野県教育を真剣に考えた提言をされています。そのことをしっかり汲み取っていただきたいと思います。改めて申し上げますが、多部制・単位制を否定するものではありません。定時制の果たしている大きな社会的役割を教育的役割をきちんと見据える、このことをお願いしたわけでございます。


 次に子どもの人権を守る県政について伺います。
 不登校児童が増えています。県の資料によりますと、平成16年度は小学校で126人、中学で1,673人、特に中学では学年をおう毎にまた年をおう毎に増えています。不登校の理由のトップは「その他本人に関わる問題」となっています。小学校、中学校ではダントツの50%前後を占めています。このような子どもたちの悩みに寄り添うことが求められています。
 県教育委員会では、子どもの側に立った問題解決への支援を通じて、子どもの権利が守られる環境作りをめざすとして、昨年の5月に「子どもの権利支援センター」が開設されました。
 この取組みに関して教育長にお伺いします。
 日本共産党県議団では1月18日に子どもの人権オンブズパーソン制度を実施している兵庫県川西市役所を訪ねました。専門的知識を持った第3者のオンブズパーソン3名と相談員3名を任命し、電話や面談に拠る丁寧な相談に取り組んでいます。市の子どもの権利条例を子どもに解かりやすく説明し、「一人で悩まないで!何でも相談して!秘密は守るよ!」とカラーのパンフを作成し学校など配布しています。この制度は子どもに寄り添い、子どもの代弁者として、教育委員会からは独立した機関として専門性・独自性を持ち、調査勧告・公表が行える機能があります。
 長野県でも、子どもが自ら命を絶つ切ない事件も起きています。県教育委員会も大変なご努力をなされたと思いますが、このような川西市の実践と、現在の「子どもの権利支援センター」の取り組みからさらに充実を図り、県内のどこでも子どもの悩みに寄り添い共に考え支援するセンターの充実が必要だと思います。
 相談専門員の育成も大切です。県内10圏域でのセンター機能の充実、市町村が子どもの虐待やいじめへの対応に取り組めるよう「子どもの権利支援センター」を充実・強化すべきではないでしょうか。
 また、兵庫県川西市では、「子どもの権利条約」についての実感調査を、児童・生徒に行い、それぞれの子どもがどんな思いでいるのかのアンケートもとっています。このようなアンケートを取り組むことをご検討いただけないでしょうか。教育長に伺います。


      【答弁 丸山教育長】  
        子どもの権利支援に関するお尋ねでございます。昨年5月、いじめ体罰などの問題について子どもや保護者に寄り添って、悩みや悲しみを共感しながら一緒に問題解決にあたる、子どもの権利支援センターを子ども支援課内に設置をいたしました。これまで103件の相談がありましたが、その約4分の3にあたる78件が小中学校の子どもに関するものであり、市町村教育委員会と関係機関と連携しながら問題解決にあたってきました。今後も市町村教育委員会、教育事務所、児童相談所等の関係機関と一層連携深めるとともに、これまでの活動成果や子ども達の生の声をまとめた報告書を作成するなどPRに努め、市町村への訪問をしながら、県と同様な取り組みが行なわれるよう働きかけて参る所存です。議員からご指摘がありました子どもの実態調査につきましては、今後研究してまいります。

 子ども達は自分の思いをどう表現していいか、そういう能力が備わっていないと思います。長野県がその子どもたちにこちらから「安心して話していいんだよ」、そういう中で話し合いを積み重ねる中で自分の思いを表現したり、また他者のみなさんへの思いを共感する思いが子どもたちの中に出てくる。こういうことでございます。まさに子どもたちが自立する初期段階を応援していく大切な機能が担えると私は期待しておりますので、よろしくお願いいたします。



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7.人権について

 次に、人権について伺います。
 長野県は、同和対策事業を終結し、すべての事業は、県民に等しく対応するものとなりました。しかし、まだ市町村では、同和特別事業が行われています。日本共産党長野県委員会が独自に行なった調査によれば、部落解放同盟への団体補助金が確実に減少はしているものの、東・北信の7市の合計だけでも7千8百万円を超えて支出されています。
 ある市では住宅新築貸付金の未納額が8億円以上になり、一般会計からの繰り出し金は4千万円以上となっているとか、ある町では個人給付事業として下水道整備に上限50万円で、半額補助が行なわれています。
 一般施策とは異なる特別な支援をその地域や世帯を対象にする事は、事業の公平性から逆差別となっています。
 国が終結し、県も終結した同和行政を市町村段階でも終結に向けて努力されるよう、県がイニシアチブを発揮される考えはありませんか。知事に伺います。
 次に1月27日の小諸市民新聞によれば、同月19日に開催された部落解放同盟小諸市協議会の旗開きに、市内の小・中・高の校長も出席していたとの報道がされていますが、県教育委員会は掌握しているのでしょうか。また、出席者からはどのように報告がされているのでしょうか。いずれにしても特定団体の会合に学校長が出席することは、行政の中立性の観点から改めるべきではないでしょうか教育長に見解を伺います。

 次に男女共同参画について伺います。
 長野県男女共同参画審議会が2月8日に、2006年度からの新男女共同参画計画の中間報告案が、そして28日に答申案として公表されました。短期間であったとはいえ、精力的に審議され、ここまでこぎつけたことの努力を大変評価するものです。
 答申案にも述べられていますが、県内の学校長、教頭への女性の登用状況は、女性教員の比率が小学校で55%、中学校で30%を越えているものの、女性の小学校長の比率は8.1%と極端に低く全国46位です。中学校長は何と0%と全国最下位という不名誉な状況におかれています。
 農業分野では、農業委員の圧倒的多数の88.8%が男性であり、女性農業委員がゼロの市町村もあります。このように教育、農業といった分野を見ただけでも、これからの男女共同参画の推進は県民を挙げて大変な努力がいると思います。
 そこで、新たな男女共同参画計画の策定にあたっては、ぜひとも数値目標を設定して女性の社会進出を促進し、労働環境等の改善など実効ある対策をとるべきではないかと思いますが副知事に見解を伺います。
 また、県の女性職員の登用については、一向にすすまず、部局長のなかでは任期付の職員を除けばゼロであり、本庁の課長も1名のみです。この現状を今後5年間でどのように改善するのか副知事に伺います。
 地域の意思決定の場への女性の参加については、農業委員会やPTA、自治会への意識啓発はどこへどのように行なうのか。企画局長に伺います。
 働きやすい環境の整備については、女性がいまだに仕事を続けながら子育てをすることが困難な実状にあり、病児・病後時保育や学童保育など多様で柔軟性のある保育サービスはもちろんのこと、男性も家庭を営みながら共に働く、男性の働き方の見直しをすすめることが大切であります。そのため県としては何をするのか副知事に伺います。

      【答弁 田中知事】 
       この問題、私どもがユマニテ人間尊重課といっておりますように、あらゆる従来から言われた差別と呼ばれるものは同じ次元、同じ土俵の上で対応すると考えているわけです。また、これは国においても地域改善対策特別措置法が14年3月末で終了いたしました。これにともなって16年度までに同和対策事業というものをすべて終了するという形だったわけでございます。同時に15年度から私どもはみんなで進める人権尊重プログラム支援事業というものがスタートしたわけでございまして、まさにその人権ということは220万の県民すべてにとっての多種多様な人権課題に対応する施策を推進するという形になってきたわけです。隣保館運営等事業費補助金というものも17年度から人権共生まちづくり事業補助金として見直しをしたわけです。ここに至るまでは私も自ら地公労の交渉と同様な形で出席をしてこうした形を全国でも先駆的に進めてきたわけでございます。この隣保館と呼ばれるものがより広く住民の方に利用しやすい施設に向けた取組みへと推進していくと、そして障害児等の子育て支援事業やDV相談などの推進をしていくという形になっております。残念ながら、上田市における隣保館の一つはこうした流れとは裏腹に、いわゆる同和問題に関する運動団体が占有をすると、結果は広く住民の方々にご利用いただくことができないという形が続いてきておりましたので、この点に関して来年度から補助対象外とすることにいたしました。まさに本県のこうした人権の問題というのは、国際課という課もございますが、外に向っての国際だけでなく、内なる本県のなかの様々な国際、その差別なるものの内なるものとして男女の別、あるいは障害の有無、あるいは他所から移り住んだ者であるか否か、年齢等に関わらず、特定の課題に関わることなく、まさに人間性というものをより尊重していく、充実させていくということからユマニテ人間尊重課という名称がついているわけでございます。こうした本県の取り組みというものはとりわけ他県の同様の問題に広い視点で取り組んでいらっしゃる方々から大変なご評価をいただいているわけでございまして、こうした県の姿勢が同様に県内の市町村の行政の方々にもより深くご理解いただいて、私に個別に大したことをやったと、でもうちの自治体でまだなかなかできないなどとおっしゃるのでは首長というものの資格すら問われるわけでございますから、是非本県の取り組みが全県下の自治体において広がることを願っておりますし、ある意味ではこの問題は私が知事になってからの大きな一つの改革の成果だと思っておりますから、地元のメディアの方々におかれてもこのことをきちんとお伝えいただくということが大事なことでありまして、これに関して本県の取り組みの成果として残念ながらほとんど触れられていないということこそ、まさに自主自立、自己責任のメディアというものが問われることかと思います。私の「新党日本」の滝実(まこと)は奈良の選出だったわけでございます。水平社ができた頃というものはまさに著しい人間としてのアパルトヘイトのような状態があったわけでございます。この議会において私にはアパルトヘイトが続いておりますけれども、そのときには奈良においてもかなりな篤志家の方、良い意味で教養を越えて教養を修めた方々がいらっしゃってその方々がそれがあの水平社宣言の格調高い文書になっているわけでございまして、やはり人権という問題はそういう広い視野を広い識見を持って考えねばなりませんし、そうした自治体でありたいという思いがまさにユマニテという生きとし生ける人間性というものを扱う部署の名前になっているわけでございます。


      【答弁 丸山教育長】 
       特定団体の旗開きへの学校長の出席についてのおたずねでございますが、教育事務所に確認したところ小中学校長は出席していないとのことですが、高校長の代理が出席した事実は確認しております。学校は公教育を担うものとして学校教育における教育活動と特定の政治運動や社会運動等を明確に区別し、参加については教育の公正性、中立性を損なうことのないように充分配慮する必要があると考えております。今後さらにその趣旨を徹底してまいりたいと考えております。



      【答弁 澤田副知事】  
       高村議員から私あてに、3つご質問ございました。真ん中に企画局長への質問が入っておりますけれども、3つ続けて私がお答えさせていただきます。
       男女共同参画の社会づくりについてでございますが、新たな男女共同参画計画の策定につきましては、現在、男女共同参画審議会が答申をまとめていただいておりまして、今年度中、つまり今月中をめどに答申をいただく予定になっております。答申案は、県が具体的で実効性のある行動計画を策定するように求めており、県はその趣旨を尊重して平成18年度中にその計画を策定することになっております。それに先立ちまして県は今年の初年度予算に議会に上程しておりますが、行政パートナーとして100名の純増、特に母子家庭のお母さん達を県として行政パートナーして雇用すること、あるいは応援減税といたしましてそういった家庭のお母様方を雇用していただいた企業にたいしての何らかのインセンティブをつけるといったこと、あるいは病児保育、子どもを保育すること、また保育園や幼稚園制度を見直し、また就学前児童の医療の無料化といったことも提言し、より働きやすい環境をつくるように努力をしてまいります。議員ご指摘のように、計画に実効性を持たせると言う意味では確かに数値目標を掲げることも一つの手段であると考えます。ただし、数値目標というものはあくまでも実現への道筋を示した上で設定されなければ絵に描いた餅ということになるおそれが多分にあります。そうした意味では、私自身は必ずしも数値目標の設定が万能とはいえないと思っておりますし、基本的には男女共同参画社会の指標には数値目標を設定することが馴染まないのではないかとも考えております。つまり、男女共同参画に関して数値を設定するといった考え方自体が男女共同参画という趣旨に反するものではないかと私は考えております。答申案では審議会と県の担当部局が協働で新たな計画を策定するよう求めておりますが、その課程で数値目標といったことも含めまして男女共同参画の具体的な方策を立てて実行してまいりたいと思っております。
       県の女性職員の登用についてのご質問でございます。この問題に関しましては、昨日松林憲治経営戦略局長が高見澤敏光議員の質問にお答えしたとおりです。職員は平成14年の4月1日の106名から平成17年の4月1日で159名と増えており、次第に男女参画といったことが具体化されてきていると考えております。また、今後5年間には順次現在の職員が課長補佐級、課長級へとキャリアアップするよう新しい能力開発制度の中で人材育成に努めていきたいというふうにも考えております。ただし、一昨年から始まりました課長級、そして今年から始まりました部長級への登用を目指すポストチャレンジ制度といったことをふまえて、多くの女性職員にも課長へ部長へといったチャンスは開かれているにもかかわらず、例えば今年は課長級へのポストチャレンジ者は100名おりましたが、そのうちの女性はわずか6名、部長級へのポストチャレンジは13名ございましたが0名ということでございます。現在の職に安住することなくより上を目指した、職場作り、環境作りへと一層励んでいきたいと考えております。
       男女共同参画の社会作りに関しての、特に男性の働き方の見直しを進めることが大切であり、そのため県としては何をするのかというご質問でした。ここで「男性の働き方の見直しを進めることが大切であり」と断言されておりますが、私自身は男性の働き方の見直しを進めることが大切あり、それが男女共同参画社会づくりに対して積極的に進むことであるとは考えておりません。本当に男性の働き方の見直しを進めることが大切であり、私ども、男どもの社会での働き方を変えるべきなのかということは、これはもっと慎重に論議するべきことであり、しかもそれはこういった本会議で議論すべきような問題ではないのではないかと私は考えております。したがって、そのために県は何をするのかといわれますと、これは大変答えに窮するところでございます。例えば私どもは今年から水曜日は6時退庁ということを進めておりますが、ひょっとするとこれが男性の働き方の見直しの一つかもしれませんし、あるいは楽しんで食を食べようということで食育から楽食という運動を始めておりますが、男性がひょっとしてもっと積極的に台所に入るといったことも進めるか、それもひょっとしたら働き方、あるいは生き方の差かもしれません。ですからひとえに働き方の見直しではなくて、ひょっとすると男性としての生き方の見直しを論議すべきことではないかと考えております。以上です。

      【答弁 太田企画局長】  
       まず、女性の農業委員につきましては、その割合は長野県は平成17年度で10.3%とこの数字は全国でトップです。しかし、ご指摘にもありましたように、女性委員のゼロの市町村も12市町村ございます。さらに多くの女性委員の選出も受けまして市町村と協同して取り組んでまいりたいと考えます。PTAの役員につきましては、女性の副会長これは多くおりますものの、会長につきましては県下小中学校583校中9人という非常に少ない状況にございます。女性のPTA会長の選出こういったものにつきまして、教育委員会あるいはPTA連合会とともに学校現場における男女共同参画の推進を進める中で取り組んでまいりたいと考えております。地域の意思決定の場への女性の参画の例ということで松本市のある自治区では女性区長がリーダーシップを取りまして事業化した  助け合い活動によります住みよいまちづくりが進められているところでございます。また、上田市では女性の役員登用を図った自治会を表彰したり、他の自治会でも女性役員を登用したいという動きができております。こういう事例を様々な機会に紹介いたしまして、他の市町村にも広げて行きたいと考えております。市町村に対しましては男女共同参画の条例あるいは計画の策定に向けた実務のサポートを県が行なうほか、地域の方々を対象とした出前講座を実施したいと考えております。この他、男女共同参画センターあるいは生涯学習センターにおきましても地域の人材の育成を進めまして啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 差別の無いことが大切だと思います。毅然とがんばって全国的に発信している同和行政の終結について引続いてイニシアチブをお願いしたいと思っております。
 それから、男女共同参画ですけれども、副知事からご答弁いただきましたけれども、まさに私たち一人一人がどう生きていくか、どう家庭を営んでいくか、どういう社会を作っていくか、どういう職場を作っていくか、そういう本当に大きな課題だと思います。そういう点では私ども県民一人一人がこのことについて自覚しながら、しかし、県政もそこに迎合していくと、考え方の視点を常に示していくというところで県民と協働、少し先に進んだ提案を是非できるように私どもも一緒に取り組んで行きたいと思っております。



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8.子育て支援について

 次に子育て支援について申し上げます。
 子育て支援の観点から、産婦人科対策及び助産師への支援について伺います。
 県内での産婦人科医師確保難による産科閉鎖、お産を取り扱わない診療所、病院が出ており、深刻な問題となっています。
 上田市では、昨年秋に突然、市の産院を閉鎖せざるを得ないと母袋市長が表明しましたが、上田地域年間2000件のうち約400件以上のお産を取り上げ、ユニセフから「赤ちゃんに優しい病院」に認定され、自然分娩母乳育児でがんばってきた産院をなくしてはならないと立ちあがった母の会の皆さんの運動は市民運動へと短期間に発展し、目標の6万を大幅に超える9万5千筆以上もの署名が集まり、市長は当初閉鎖の方向を引き下げ、産院の存続を表明しました。心を寄せる医師も決まりお産の予約が再開されています。「存続が決まって嬉しい」「またひとり出産がんばりたいと思う」こういうお母さんもでてきました。母の会の皆さんは、この取組みから学んだ「いいお産とは」を今後も学びつづけ、安心してお産ができる地域を目指してゆくとしています。
 2月4日、共産党県議団は厚生労働省に出向き、産婦人科医師確保のために診療報酬の見直し、医学生への特別対策、助産師の活用など安心してお産ができるよう要望懇談をしてまいりました。この中で全国的にも長野県と神奈川県の産科医師不足が特に深刻である事がわかりました。厚生労働省としても少子化は喫緊の課題として対策を検討しております。常勤医師不在でも病院併設で助産所が開設できることや県が助産師活動を支援するための研修事業に来年度予算をつけることなど説明がありました。そこでどこでも安心してお産ができる長野県に向けて、県が現在検討している方向と対策を衛生部長にお伺いします。
 また共産党県議団として、2月16日鹿児島県助産師会が運営する鹿児島中央助産院を訪ねました。7人の助産師さんが嘱託医との連携で、優しく自然で、安心のお産を年間約60件取り上げています。昭和初期から開設されていますが、事故等は一切起きていないようです。また鹿児島市の児童福祉課からの依頼を受け産後ケアや育児訪問活動を展開されていました。妊娠から出産・産後、子育てまで助産師さんが、母と子に寄り添うあたたかい援助活動を展開されていました。産後ケアは県内では長野市や中野市も補助制度を設けて実施しています。このような助産師の活動を子育て支援事業として、県としても独自に検討する時期にきていると思いますが衛生部長いかがでしょうか。


      【答弁 高山衛生部長】 
       まず、安心してお産ができる長野県に向けての検討の方向ということです。県内の出生数は年々減少しています。過去三年間の対前年度比は97%台となっております。また産科・産婦人科の医師や施設も減少しておりまして、地域で安心してお産ができる体制づくりは早急な課題です。県では地域のお産の体制作りの支援をするとともに医師確保のための具体的な対策、施策を進めていきます。現在、飯伊地区の産科体制の支援が一つの急務です。県としても産婦人科医を探しているところです。
       また、日本赤十字社本社長野支部にもこれを要請しています。当面は飯田市立病院を中心とした地域の機能分担への取り組みを支援したいと考えています。また、全県下で産科・分娩施設の不足が懸念されている中、安曇野市の県立子ども病院には6名の産科医がおり、平成16年度には190件の分娩を扱っています。子ども病院は現在主に高度小児医療を担っている病院ですが、県の産科体制が不安定な今、県立病院として一般的な産科診療を行なうことはその使命にかなったものと考えています。
       また、助産師の活用を県としてどのように支援していくかというご指摘ですけれども、ご指摘の方向はまさにそのとおりと考えています。現在、少子化を越えた少子社会の只中にあります。子育てに関する専門知識を持っている助産師の方々にはこれまで以上に子育ての支援の一翼を担っていただきたいと考えています。現在は助産師の方々には子育て支援の目的で例えば不妊専門相談事業や、産後ケア事業にご協力をいただいています。今後は子育て中の親子の悩みの相談の場ともなり、子育てサロン事業などへも参画していただき、専門性を一層発揮していただくことを期待しています。以上です。



 医師不足の中で医療制度だけから考えますと、医療集約化、産婦人科の集約となって地域からお産をする病院がなくなるわけですけれども、助産師活動を応援することによって、助産師さんたちの活動が地域の中に広がれば地域の中に安心・安全の温かいお産ができる、そういうところを是非長野県で応援していただきたいと思います。



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9.長野以北の新幹線について

 次に、長野以北の新幹線について、知事に伺ってまいります。
 私達は先ごろ九州新幹線・西九州長崎ルートの開業により、並行在来線沿線自治体としてJRから長崎本線が経営分離されることで地域が衰退することや、新幹線そのものへの疑問から、同ルートの着工に命がけで反対をしている佐賀県鹿島市長と江北町長さんに直接、懇談をしてきました。
 両首長とも「新幹線は国策というが、なぜ我々が犠牲にならなければならないのか。」、「子や孫への責任を果たす。」という気概で、佐賀県やそれぞれの議会、推進グループなどからのさまざまな圧力にも屈せず、新幹線の着工に同意をしていません。
 ところが長野以北の並行在来線沿線自治体は、1997年9月に「長野以北信越線沿線市町村長会議」において、当時の知事と沿線5市町村長との間で、県が責任を持って存続をはかるとの確認がされ、今日に至っています。この当時にきちんと費用対効果や、需要予測あるいは輸送密度を調査し、分析したうえでの確認であったか、はなはだ疑問のところです。
 この点で新潟県が2000年に実施した調査によれば、長野以北の輸送密度は長野県内が4,072人、新潟県内では2,643人という結果がでています。「しなの鉄道」は約8,000人、長野県とJR東日本とで調査した篠ノ井・長野間26,800人と比較しても、経営の厳しさははかりしれません。ましてや豪雪地帯を走る区間の困難さもあります。
 新幹線に投資する費用と、並行在来線維持存続の費用を考えるなら莫大な予算がかかります。そんな投資をしても地域経済が衰退するならば、とりかえしのつかないことになります。
 この際、県財政をはじめ沿線自治体への過重な負担や犠牲が予想される新幹線長野以北の問題については、並行在来線の経営分離を押しつけた「政府・与党合意」の枠組みの見直し、JRの責任について国へ意見を強く述べるべきではないでしょうか、知事に見解を伺います。

      【答弁 田中知事】 
       ただいまの問題、この並行在来線の分離を平成2年の「政府与党の申し合わせ」によって、軽井沢―長野間の建設の時から新幹線着工の条件となってきたんです。これはご存知のようにしなの鉄道は井上雅之社長の下で大変な努力をしておりますが、まさに並行在来線として、あるいは3セク鉄道として最も乗降数が多くても非常に四苦八苦しているわけです。新幹線建設の3分の1を地元が負担するというにも関わらず、他方で並行在来線の経営分離の負担をすべて地元が請け負うと、このなかで先ほど議員がおっしゃったように、様々な取り決め、財政改革はじめ私今思い出したのは、就任直後に松本と諏訪の私立大学に関しての多額の創設に関して助成をすると、これが当時の書類を見ると、単に「する」という書類しかなくて、あとは地元の有力者の方の陳情の書類しかなくて、その間のどのような議論が内部で県で行なわれたかという書類が求めても一切なかった。すべてそうした、良くも悪くも尻拭いを皆様と一緒にしているわけでございます。この中でこの在来線の問題も、まさに減損会計という形をしなの鉄道がとるまでに大変な皆様のご協力もいただいたわけです。これ昨年の10月31日に上高地で中部圏知事会議を開催いたしましたが、この際にも構成メンバーの中に富山県、石川県、福井県もおりますので並行在来線の自立的経営のための支援措置を求める緊急提言を私の方から行ないまして、これが承認をされております。これを踏まえて国およびJRまた関係道県に対して、北海道も同様のことが起きてきておりますので、支援措置の必要性を訴えております。副知事の澤田が出席をいたしました1月16日の豪雪に関しての参議院の国土交通委員会の現地調査の際にも、このことのご説明をいたしております。わけてもこの問題は本県だけでなくて、長野以北の新幹線が開業時に分離されるということは既定事実になっておりますので、長野県選出、あるいは比例選出の国会議員の方、あるいはこの県議会議員の方々、さらには関係の自治体の長の方・議員の方、また経済の団体をはじめとする様々な方々にも自らの問題として是非とも批評民主主義、観客民主主義ではなくともに行動民主主義として国およびJR側への働き掛けを切にお願いをいたしたいと思っております。



 以北のことにつきましては、これから非常に国ともあるいはJRとも毅然として、沿線市町村とも、また新潟県等とも力を合わせて是非この点で知事がイニシアチブをとっていただきまして、ご答弁いただきました内容に沿ってご努力いただきたいと思います。私たち、日本共産党もこの立場で国会議員のみなさんとも連携を取りながらがんばってまいりたいと思います。



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10.治水対策について

 最後に、浅川の治水対策について伺います。
 浅川の治水対策ですが、日本共産党県議団として、1月24日、国土交通省河川局の河川計画調整室の津森課長補佐や、治水課の桑島企画専門官、関東地方整備局の渡辺調査官にお会いして、浅川の河川整備計画認可に向けての国土交通省の見解もお伺いしてきましたが、河川整備計画策定はあくまで県の主体的な判断であり、河川局や整備局は、県との協議を通じて指摘やアドバイスをしていく立場であることを強調されました。浅川については、まさに、現在、その協議のやりとりの最中であるとのご説明でした。
 浅川の河川整備計画案について、国との協議の進行状況はいかがでしょうか。また、計画の認可に向けてのタイムスケジュールについて、土木部長にお伺いします。
 最近、一部マスコミで、浅川流域に100年確率の雨が降れば、浅川のあちこちで決壊、越流するという、決壊・越流箇所に×印をつけた報道がされました。浅川の現在の川の姿を知っている人なら、この間の河川改修により基本的には掘り込み河川になった浅川で、決壊という事態が起こりえないことは常識です。おととし秋の100年確率にほぼ匹敵する雨でも、実際に浅川の流量は、想定よりもはるかに少ない流量で、このマスコミ報道のような事態は起こらなかったのです。
 この報道は、いわゆる浸水想定区域図を材料にしていると思われますが、ここに長野市当局作成の浸水想定区域図があります。(マップを掲げる)
 これを見てもわかりますが、浅川と切っても切り離せない関係にある千曲川の浸水想定区域について、千曲川河川事務所の資料によれば、100年確率の雨で、千曲川沿川では床下浸水までは許容する、とされています。つまり、このような浸水予想図を掲載するなら、千曲川沿川が、床下浸水する区域の想定図を並べて掲載するべきであり、ちなみに、同じレベルの浸水想定区域図を掲載することになれば、長野県中のすべての中小河川の沿線はどこも浸水区域だらけとなります。
 このような一方的な報道は、多くの県民を惑わすものと言わなければならず、たいへん残念です。
 知事は、提案説明で、現在策定中の浅川河川整備計画に盛り込む内水対策は、「旧ダム計画では到底対処し得なかった、昭和58年の既往最大規模の床上浸水を根絶しうる内水対策」だと述べています。長年にわたる流域住民の皆さんの不安やご苦労を考えても、また、今後予想される浅川流域の洪水被害の特徴を考えても、この方向に、大いに期待するものですが、この間、流域住民の皆さんや長野市に対する説明の状況や、その際出されている意見には、どんな反応があるのでしょうか、最近、長野市長へのご説明もされた青山出納長にお伺いします。

      【答弁 原土木部長】 
       浅川整備計画案についての、国との協議の状況あるいはタイムスケジュールはいかがということでございますが、長野県の治水・利水対策推進本部において外水対策に関する基本的な考え方これを昨年11月22日に、また内水対策に関する基本的な考え方を本年の2月8日に決定をいたしました。これをうけまして国との協議でございますが関東地方整備局と昨年12月16日、および本年の2月15日に行なっており、あわせまして内水対策につきましては排水先である千曲川を管轄する国交省、北陸地方整備局千曲川河川事務所にも説明を行なってきています。浅川を含む河川整備計画でございますが、今後施設の構造等の詳細や流出計算の結果をもって国に説明し、3月末をめどに原案に関する了解が得られるよう最大限の努力をしてまいります。
       県としては、まず第1歩でも安全を確保するために出来る対策、事業規模で整備計画の認可を得て、着実に治水対策を推進することが住民の安全を守る上で最も重要であると考えております。今後も説明会を通じて地元の皆様に説明をし、さらなる合意形成が得られるよう務めてまいる所存であります。以上でございます。


      【答弁 青山出納長】 
       内水対策に関する住民のみなさんの反応なり、長野市長さんの反応なりというご質問だと思います。
       内水対策につきましては、先般、流域協議会それから住民のみなさんに説明会ということで大きくは2つに分けまして説明をやってまいりました。住民のみなさんのご意見等でございますが、総括的に申しますと、内水対策につきましては概ね一定のご理解をいただいたのではないかと私は思っております。具体的に申しますと、早く内水対策を実施をしてほしいというご意見、要するに一刻も早く内水対策として事業を実施してほしいというご意見がございました。一方、それに対しての疑問点と申しますか、要望として、床上浸水という防止目標というものにつきまして、やはり床下まで対応できないのかというご意見もございました。これにつきましては、私どもの方で予測しますと、数軒、限りなくゼロに近い状況に今回の内水対策は対応できると思います。58年9月の洪水ということを目標にすればですね、そういう状況ですから、床上浸水を目標にしていますけれども、ほぼ床下までも対応できると予測しています。
       各論を申しますとポンプは44トンから70トンまで上げるということですが、これにつきましてのご意見は、一番初めに、今44トンの農地防災ポンプがございます。それで14トンの昭和43年に設置されまして、非常に古いじゃないかと、このポンプどうするんだというお話ございました。この辺につきましては私どもとしましては、その更新も含めて今回ポンプを70トンまで能力アップしますというご説明して、ご理解をいただきました。
       それから2つ目の対策として、二線提がございます。輪中提でございますけれども、これはどこかに水を溜めるとか排水するのではなくて、一定のくぼ地に入ってくる住宅に輪中提を作りまして水が入らないようにする、それによって他に影響するのではないかというご意見ございました。これにつきましては、私どものとして、それも含めて二線提を設置することを前提にして予測をした結果、そう多くの影響はないという状況でございます。その状況の説明をすると同時に、一つは二線提の設置はポンプの能力アップなり、遊水地をつくった一番最後に二線提を設置すると、はじめからやると影響ありますから、ポンプ能力というのは上げたうえで二線提を設置するとそういう工事の順序をしていきたいということで理解を求めた次第でございます。
       それから、遊水地ですが、これは48万5千トンの貯水能力を持たせようという案でございますが、これにつきましては一番大きな議論を呼んだのは、現在の農地、田んぼと果樹園でございますけれども、そのまま農地の利用をしていただいて、いざ洪水になったときの貯水池、遊水地としての機能を権利として持たしてしてほしいと地役権の設定方式というご説明を申し上げました。それに対しまして、果たして地役権設定方式で住民のみなさんと納得いかないだろうというご意見ございました。それにつきましていろいろ意見交換するうちに、用地買収だったら同意ができるかもしれません。というご意見もいただきました。従ってその点につきましては、私どもの方とすれば住民のみなさんと意見交換を詳細にこれからやっていきたいと思っています。決して今回の説明ですべての問題が解決したとは思っていません。概ね、大体の方向とすれば先ほど申し上げましたようにご理解をいただいたんではないかと思います。
       その際に、もう一つ出た意見というのは、100年に1回の基本高水、100年確率、それと現実に出ている水の量というのはあまりにも乖離しているのではないかと、その点をきちんと県民に説明することが必要になるのではないかということが出ました。これは内水対策とは別かもしれません。そして具体的には一昨年の10月の台風23号の時の、あのとき若干内水被害が起こりましたけれども、そのときの水はどうなんだということですが、中流地域の富竹ではご存知のとおり、何回も言いますけれども、260トンに対して44トンの水、260トンというのは100年に1回の100年確率の基本高水、それに対して実際44トンということで、そういう状況を見ながら、果たして今の設定されている高水というのはどういうものかと疑問点が出されましたし、そしてさらに私ども方の説明の中では、しからば58年9月の今言った目標にしている内水被害が起こったときの千曲川合流地点の流量160トンでございました。450トンに対し、160トンという量でございました。その説明もしましたし、それからいま申し上げました、一昨年の10月の台風の時の水は合流地点では120トンという測定です。そういうお話を知る中で、今申し上げましたような乖離がある中で県民のみなさんに対してちゃんと説明が出来るのかというこういう質問もございました。それにつきましては、今後私どもとすれば充分検討する余地があるのではないかと思っております。以上でございます。


  大変ご努力を頂きまして、内水対策のこのことが大切であるということが住民合意ができつつあるというご答弁ございました。国においては、河川整備計画策定はあくまで県の主体的判断であるという中では、住民合意ということを国土交通省の方もおっしゃっておられました。この点で長野市におきましては、あくまでも長野市は「100分の1」にこだわっておられるように思います。この点、どう田中康夫知事、この点の合意をつくっていくのかお考えを伺います。


      【答弁 田中知事】  
       ただいまのご質問、長野市長の鷲沢正一氏がいわゆる100年確率、100分の1を満足する計画を示さない限り、外水対策に関して一切説明は受けないというご意見を表明されたとお聞きしております。この点に関して、私どもは敢えて市長がご指摘の100分の1まで到達するメニューとしては、さらに放水路を組み合わせるという方法がきちんとあるわけでございます。こうした中で私たちは、諏訪圏域の場合同様に今後20年の対策としての河川整備計画においては今お示ししている内水および外水を一つのパッケージといたしました方法がまさに至高のプランであると、最良のものであると感じているわけでございます。先ほど青山がご説明を申し上げました。もう一度、私も幾度でもご説明をいたします。富竹の地点においてこれはまさに、100年確率に等しい雨が一昨年の台風23号のときに降ったわけでございます。そして、この場所は想定されている流量が260とこれに対して44というのが実数字でございますから、まさに6分の1でございます。6分の1しか想定しているものに対して流量であったということです。そしてこの場所は私どもの今回の計画では200という数値をカバーできる、これはカバー率としては77%でございます。これに対して44でございますから、そういたしますと私どもはこの場所に関しても実流量の4.5倍に対応できるという形のものになっているわけです。ぜひこのところをきちんとご理解いただいて、何年確率という言い方のみならず、実際の私どものカバー率というのは前回の雨量が降ったときの4.5倍の雨量が降ったとしてもカバーができるという点をきちんとご理解をいただきたいと思っております。実は私どもは今申し上げたように方水路を組み合わせて100分の1にすることができるメニューというのもありうると言う中で何故今回の内水と外水をあわせたものを今後20年の対策として河川整備計画として確率したいと申し上げているのか、この点でございます。実は全国で河川整備計画が策定されている圏域の中で治水安全度がいわゆる100分の1を目標としているというところはむしろ相対的のみならず、絶対的に極めて少ないわけでございます。実は私どもの、例えば奈良井川水系のところになりますものもこれは治水安全度80分の1です。治水安全度でまず申し上げますと中野の篠井川も、あるいは須坂のやぎさわ川も30分の1です。あるいは諏訪の鴨池川や大町ののうご川はこれに至っては10分の1です。須坂の松川とて50分の1でございます。そしてこの奈良井川水系になります女鳥羽川と薄川も将来は80分の1にするということで現在30分の1もしくは50分の1という形で事業がすでに進められてきているわけでございます。そして例えば、新潟の市街地を流れております通舟川はじめとするもの、これらは50分の1あるいは30分の1でございますし、これはみな信濃川水系でございます。あるいは高崎の市街地を流れております烏川を始めとする川も30分の1から50分の1という形でございます。あるいは今回私どもが遊水地を計画しております。これらはすでに北海道や東北で国土交通省が多くの地役権を設けて実施をしておりまして、この規模は私どもが計画しているものの十数倍というようなものがございますが、こうした鳴子町の宮城県のただ川をはじめとするところでも10分の1という形でございます。現在、国土交通省のホームページの上でも確認できる57の圏域に限っても半数以上が10分の1から30分の1という形になっているわけでございます。従いまして、私どもはこの20年間の中できちんと現在示しているものを、先ほど土木部長から申し上げたようにスケジュールどおりに実現していくべきに行なうとこでございます。
       なお、逆に常に長野市長もあるいはこの議場でも、現在、不規則発言をなさるような方々は、100分の1という、ある意味私からすると奥歯に物は挟まったようなご遠慮の形でご発言なさいます。もしこれは私どもは、今申し上げたように放水路というような形もある中でこの20年確率を行なおうとしているわけですから、是非とも皆様も正々堂々と「ダムが欲しい」のだと仮に100年確率などと奥歯に物の挟まった言い方ではなくて、そしてこのようにはっきりおっしゃられる、そしてこのようにダムが出来ないと様々な喜びを我が物とすることができないということをおっしゃってこそ、まさに私ども平場での腹蔵なき議論ができ、それが結果としてスケジュールに従って、今回の河川整備計画を申請し、認可と、そして実行をしていくということにつながると私は考えています。

 知事の科学的な根拠に基づいて精力的に問題解決されようとされている姿勢は大変尊重いたしますが、しかし、対立は良くないと思います。対立ではなくて、国が求めているのは市民、長野市を含めた合意でございます。この住民合意、納得と合意によっての浅川の治水対策が1日も早くみなさんとの合意によって進んでいく、このことを国が認めれば、全国初の長野モデルでございます。そのことを知事、合意と納得に基づいて進めていく、丁寧な対応を心からお願い申し上げます。

 それぞれご答弁を戴きました。
 新年度の長野県のきめこまやかな予算案の全体は、国が増税、社会保障切捨てのくらし破壊の政治のもとで「県民のくらし応援予算」ともいえる中身として私どもで歓迎いたします。
 日本共産党県議団は、県民の皆さんこそ主人公を貫いて、県民生活重視の県政を提案してまいりました。いま政府は国民の生活を省みず、次から次へと、精一杯働き暮らそうとする人々を、お年寄りや子どもたち、また障害をお持ちの皆様など生活弱者を苦しめています。残念ながら国において踏まえるべき日本国憲法や教育基本法が生かされていません。心無いゆきづまった国政の下、県民一人一人が大切にされ、安心して暮らしてゆける長野県を目指して、県政改革の主役である県民の皆さまと力を合わせて奮闘することをお誓い申し上げて、共産党県議団を代表しての質問を終わります。



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