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2006年 2月議会 毛利議員の一般質問(3/8)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. タクシー問題について
  2. 諏訪湖健康学園について
  3. まちづくり条例について
  4. 臨時教員問題について
  5. 就学援助について
  6. 教員の研修について

1、タクシー問題について

 タクシー問題について まず企画局長に伺います。
 2002年新道路運送法施行以後、タクシーの規制緩和が行われ、地域一律だった初乗り運賃が所定の範囲内で自由に決められるようになり、営業する業者数や車両台数も規制がなくなりました。業界はまさに供給過剰状態で、長時間、低賃金が横行し、厳しい労働環境が安全運行に重大な影響を及ぼしかねない事態となっています。
 大阪、東京、仙台などでは規制緩和による過当競争で低賃金労働を強いられ、生活保護水準以下になっていると国に損害賠償を求める裁判もおきています。
 タクシーは地域内の交通を担う公共輸送機関であり、そのあり方と発展方向は地域の総合的な交通施策の中で重要な位置を占めるものです。
 長野県として事業者や車両台数の実態や動向をどのように把握しているのか企画局長にお伺いいたします。

      【答弁 太田企画局長
       平成14年2月1日、道路運送法の改正によりまして、タクシー事業への参入は需給調整規制を前提にしている免許制から、資格要件をチェックする許可制に緩和されたところでございます。平成13年3月末現在の県内のタクシー事業者が149社、車両数が3,348台であったのに対しまして、平成17年3月末現在は157社、3,478台でありまして8社、130台増加しております。また、個人タクシーは平成13年3月末現在が100台であったのに対しまして平成17年3月末現在は107台でありまして、増加は7台でございます。規制緩和によりまして著しい供給過剰が生じ輸送の安全確保が困難になることのないよう、国では平成15年に特別監視地域、こういった指定制度を設けました。本県では飯山市、北安曇郡、安曇野市、栄村の4地域が指定されておりますが、違反や利用者からの苦情等が生じていないため重点的監査等の措置は取られていません。県では国土交通省北陸信越運輸局長野運輸支局と連携いたしまして、今後とも実態把握に努めて参りたいと存じます。

 次に社会部長に伺います。
 私のところに届いている訴えによると、景気の低迷もあり、タクシーの利用が減ったことや競争激化のために売り上げが伸びず、一日あたり2万円売り上げるのは至難の業ということです。しかも給料は歩合制をとっていてある会社では月40万円売り上げれば40%の足きりとなり16万円の収入になる計算ですが、それから税金や社会保障費を差し引いていくと手元に残るのはごくわずかで10万円そこそこでしかないといいます。
 国からは累進歩合制を取ってはいけないと指導されているのに一切守られていず、40万円を下れば歩合もさがり、一層収入は減っていき、年収は200万円そこそこと伺いました。
 夜勤は長時間になることや飲み屋街での客もあることから何とか足きりまで稼ぐことが出来る運転手もいるようですが日勤では、なかなかタクシーを使う人も少なく、先日長野駅で乗ったタクシーの運転手は、客待ち2時間、私が4番目のお客だと言っていました。それもみんな初乗りばかりだと。
 生活できる賃金が得られないためにやめていく人も多くどんどん入ってくるがどんどんやめていくのが実態だそうです。
 出勤時間はきまっていても、売り上げが伸びなければ客を待つしかなく13時間、15時間働くのは当たり前になっていると伺いました。労働破壊と言いますが大変な実態です。
 労働環境に対して県として何が出来るか難しい面はありますが、時給650円の長野県の最低賃金さえも守られていないのが実態ではないでしょうか。こうした実態をどのようにとらえどう対応されようとしているのか。社会部長に伺います。
 続いて知事に伺います。
 安全・安心な輸送は公共交通の使命です。しかし、規制緩和の影響で事故も多発しており、大変心配です。小泉さんの構造改革路線のもとで規制緩和万能論が横行していますが、この路線がどんなに日本社会をゆがめ、弱肉強食の寒々とした人間関係をつくり、命と安全を軽視したものであるか明らかではないでしょうか。
 なかでもタクシーの規制緩和は究極のひどさです。長野県民を危険にさらすことを避けるために是非タクシーの規制緩和を見直すよう国に意見を上げて欲しいと思いますがいかがでしょうか。

      【答弁 田中社会部長
       最低賃金法の所管は厚生労働省となっております。平成16年、労働基準監督署の定期監査で立ち入りしました全国のハイヤー・タクシー事業所678のうち、86事業所12.7%で最低賃金法の違反があったということ、長野県内にはその違反が認められる事業所はなかったとの結果をお聞きしています。今後とも労規則の情報交換を密に行なっていきたいと考えております。また、全国的にはタクシー運転者の賃金が地域の最低賃金を下回るという問題が発生しておりますので、県としましても個々のタクシー運転手からの労働に関する相談に丁寧に応じていくと共に、広報誌などにより最低賃金法等、労働法規の周知に努めてまいります。
       なお厚生労働省と国土交通省は4月からタクシー事業社に関する合同監査を行い最低賃金を積極的に調査する等しているところでございます。以上です。

      【答弁 田中知事
       ご指摘のように、まさに公共交通としての安全性の確保というのは大変大事な問題でございます。タクシーの場合には営業停止というような形はありますが、例えば飛行機であったり、鉄道であったりというものは、どんな大きな大事故が起きても営業停止ということはなくて、ある意味ではこうした公共交通機関を経営している方々はより高い倫理観や使命感を持たねばならないと私はこの場を借りて改めて申し上げたいと思います。こうした企業においても、非常に経営効率主義になっております。
       このタクシーの問題でございますけれども、安全性を確保するということはとても大事なことです。ちなみに県内においてタクシーによる交通事故は規制緩和がなされる前の平成11年から13年の3年間の平均が年間で148件でございます。これに対して、緩和後の平成14年から16年の3年間の平均が1年当たり142件という形でございまして、この事故の発生ということに関して言いますと、その死傷者の数も含めて緩和前と緩和後で増加をしているというような形は数値上では現れておりません。ご存知のように本年2月1日から国土交通省は勤務時間の規定やノルマの禁止等を道路運送法に基づく監査をタクシー会社に対して抜き打ちで行なうと言うことを述べております。いわゆる新規参入で多くの会社が入ってきておりますが、同時に良い意味での新規参入というものを認めませんと、これは当然ギルド化、カルテル化していくというところもございます。いずれにしても、犠牲になるのは経営者というよりもむしろそこで労働されている運転手の方々であろうと思います。議員がおっしゃるように、まさに県内に限らず、全国的に見ても私もタクシーをよく利用いたしますけれども、非常に運転手の収入的な面、あるいは労働条件ということが非常に過酷になっているわけでして、これは私どものような常勤特別職あるいは一般職の公務員の給与と比べても、更には非常勤特別職であられる皆様の待遇と比べても大変に格段の差があるわけでございまして、安全性の確保とともにこうしたタクシー運転手の適切な労働環境が確保できますように本県はまさに労働相談というものも従来より門戸を開いて行なっておりますので、こうした中でむろんそうした方々のプライバシーは守るところでありますから、運転手の方々からも率直なご意見やご相談をいただけるようにさらに務めたいと思いますし、そうした中で不適切があれば適切に、厳しく対処するところでございます。

 ぜひとも実態をきちんと調査しながら、安全安心を守るために県内の動向にも目を配っていただきたいとお願いをいたします。



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2.諏訪湖健康学園について

 次に、諏訪湖健康学園の問題について社会部長に伺います。以前私は諏訪湖健康学園の施設があまりに老朽化、狭隘化しており、環境が悪く非人間的なので、早急に改善して欲しいとこの議場で訴えさせていただきました。
 平成17年度は修繕費がわずか50万円ですが増額され、トイレのカーテンとお風呂場のシャワーの増設が行われましたが抜本的な解決にはほど遠い状況です。
 その後施設の移転新築の話があまり進まないまま今日に至りましたが、新年度予算では分園型グループホームということで隣接の民家を借り上げ5人の子供たちが集団生活をしながらケアを受ける方向が示され、たいへん嬉しく思います。
 しかし、入所児童のほぼ半分は軽度発達障害ということで家庭的な雰囲気のもとで、メンタルケアをうけながら成長を支えていく方向は歓迎しますが、施設の全体方向をどうするのか、施設整備や改築をどうするのかなど構想があまりよく見えてきません。
 県としてこの間精力的に検討してきたわけですのでその内容についてお示しください。
 きれいにリフォームされたグループホームに入所する子供達と現状の施設のまま入所しつづける子供達ではあまりに落差がありすぎます。ぜひ早い時期に事業に着手して欲しいと思いますがいかがでしょうか。
 また、施設の運営費についてもパニックなど子供達の予期せぬ行動によりガラスなど破損することもあり、修繕に多大な費用がかかることも悩ましいことの一つであるようです。
 ある程度余裕のある運営費を確保してほしいと思いますがいかがでしょうか。


      【答弁 田中社会部長】
       諏訪湖健康学園には現在、小学生11人、中学生5人の子どもが生活しておりますが、特に小学生では狭い部屋に2名から3名の相部屋であることから、子どもたちの心に良い影響を与えているとは考えておりません。この過密な居住環境を改善することが子どもたちの心を癒し、回復することが緊急の課題となっております。そこで、議員ご指摘のとおり、県では平成18年度に施設に隣接する民家を借り上げ、入所定員5人の分園型グループホームを全国に先駆けて実施する予定です。子どもたちは木の机やベッドが用意された個室、生活に合わせた改修された浴室、日当たりの良い広いリビングなどの中で一人一人が尊重されていることを実感しながら、落ち着いた生活が送られるようになります。また、このグループホームの開設により、現在の諏訪湖健康学園に残る子どもたちにも概ね個室が用意でき、居住環境が改善が図られることになります。さらに今後は第二、第三のグループホームの開設についても検討して行きたいと考えております。なお施設全体の整備構想についてですが、従来は現在と同じような大規模施設形態での建替えを前提に検討しておりました。しかし、先ほども申し上げましたとおり、今後は家庭的な落ち着いた空間で一人一人が尊重されていることを実感できるような小規模グループホーム型の施設を中心とした整備構想の策定を目指していきたいと考えております。複数のグループホームを子どもたちの生活拠点とし、併せて子どもの心の診療を行なう医療機能や教育機能を有する総合的な支援体制づくりに向け議員ご指摘のとおり、具体案を早急に固めていきたいと考えております。
       また、施設整備費についてでございますけれども、平成18年度には修繕費や消耗品費の予算を増額するなど、子どもたちの生活が一層安心で落ち着いたものとなるよう、必要な予算の確保に努めているところです。以上です。

 今社会部長からお答えいただきましたように、全体的な構想の中身の中では、グループホーム型ということで、いくつか今後逐次整備してまいりたいというお話でございました。全体的には、この問題が起こってからすでに3〜4年以上経っております。具体的な着手という点で私は充分検討されているということは良いと思いますけれども、例えば、今お話されている問題につきましても、全体構想はすでにできているわけですが、どのような形で実施に移していくかという点ではなかなか目に見えてこないものがあるわけです。その点について、具体的なスケジュール等わかりましたらお伺いしたいと思います。


      【答弁 田中社会部長】
       諏訪湖健康学園の改築に関しましては、先ほど申しましたとおり、グループホーム型での運営という、全国には例のない形態を考えております。これにつきましては、児童養護施設につきましては、グループホーム型での運営という事例がありますので、それをふまえつつ今回の諏訪湖健康学園でのグループホームでの運営という状況を見極めつつ、早い時期ということで検討を考えていきたいと思っています。それは当然早い時期ですので、来年度というのがひとつの大きな時期には考えておりますので、その期間中に策定できるような形で、現在のグループホームの運営型の運営ということを見極めていきたいと考えております。以上でございます。



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3. まちづくり条例について

 次に、街づくり条例について商工部長にうかがいます。
 昨年2月議会で私は県下各地の大型店のルールなき出店に対し、既存商店を守るために商調法の活用など実効ある手立てを検討すべきと提案させていただきました。その後事態は進み、長野市への日本最大級ともいえるイオンの進出に対し、商店会連合会や商工会議所、住民の間から大きな反対の声がわきおこり長野市長はついに進出にノーの判断をくだしました。私ども日本共産党はシンポジウムを行って幅広い住民の皆さんとともに大型店の出店が地域社会にどのような影響を及ぼすのか共に考えながら反対運動を展開してきたところです。
 大型店の歯止めない郊外出店が中心市街地を空洞化させ、さびれさせているもとで、何らかの規制が必要だという住民世論と運動に押されて、政府は街づくり三法の見直しをせざるを得なくなり、今国会に改定案を提案しました。
 また福島県では全国初の店舗面積6000平方メートル以上の大型店の広域的な立地調整が出来る「商業街づくり条例」を制定したところです。
 昨年12月議会で知事は「中心市街地に人をよびもどし、景観に配慮し、生活者の立場に立った、誰もが安心して暮らせる新しい街づくり条例の早期制定を検討します」と答弁されています。
 そこで、商工部長に伺います。検討はどの程度すすんでいるのか。取り組み状況や検討内容、スケジュールなどをお聞かせ下さい。

      【答弁 山極商工部長】
       街づくり条例に関するご質問でございます。少子高齢化に伴う社会構造の変化に対応した、財政負担の少ない、持続可能な社会と景観に配慮した街づくりを図ることで、生活者の立場に立ち、誰もが安心して暮らせる新しいコンパクトな街づくりを推進するとこういう基本的な考え方にたって、庁内の関係各課長による検討委員会や担当者によるワーキンググループの他、関係各課による打ち合わせを随時開催をし、検討を進めてきたところでございます。今後、県といたしましては、先ほど議員ご指摘ございましたように、同様にコンパクトな街づくりを目指しております。国のまちづくり三法、これは先月国会に提案されたわけでございますが、この運用の細部がまだ明らかになっておりませんので、その内容を見極めながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。


 ただいま部長の方からご答弁がありました。県としても関係課長も加えたり、またワーキンググループなどを作りながら検討していただいていると、全体的には国のまちづくり三法の行方を見ながら連関させつつ検討するということでございました。しかし、先ほど私も申し上げましたように、昨年の12月以降、即座に立ち上げていただいているとは思うわけですが、この検討経過の中で具体的には何が問題になっているのか、何が課題になっているのかという点についてお伺いをいたします。
 併せて知事に伺います。
 福島県の条例は大型店の出店に際し、県への事前届出や書類、資料の提出を義務付け、市町村や近隣自治体への説明会をさせつつ広範囲に意見を聞くこと、地域貢献計画も提出させ、まちづくりに支障を及ぼす恐れがあるときには知事が必要な措置を勧告でき、勧告に従わなければ工事着手を制限し、それでも従わなければ20万円以下の罰金に処すという強い内容を持ったものです。
 長野県で制定する際には商業施設のみにとどまらず広く街づくりに役立つものにして欲しいと思いますし、商業関係者や市町村、住民の意見をよく聞いてぜひ実るようにして欲しいと思いますが如何でしょうか。

      【答弁 山極商工部長】
       検討の過程で何が問題になって、どういうことを検討しているのかという内容についてのご質問かと思います。
       まず、現在では庁内の検討段階でございますが、国のまちづくり三法の改正案の中でもいわれております、大規模な集客施設への郊外へのいわゆる立地を抑制するということでございますが、こういった観点で福島県の条例にもございますように、いわゆる事業者から届け出をしていただいて、それについての事前の調整、あるいは広域的な調整をするということになっております。こういったことについて、どうすれば、その調整の内容、あるいはその方法について、どういったふうにすれば先ほど申し上げたような基本的な考え方にそった効果的なものができるかという、そういった内容についての検討をしているところでございます。


      【答弁 田中知事】
       今議会でも繰り返し述べていますけども、まさに少子社会・高齢社会になったときにいわゆる街が単にアメリカ型のようにスクラップアンドビルドで市街地が空洞化・ゴーストタウンになって、車社会で、そして市街地がいたずらに拡大していくという発想を変えなくてはいけないことは当然でございます。こうした中で、まさに本来、ご商売を営まれている方もそこに住む、そしてご老人の方々もその地域のまさにそのリージョナルコモンズの中に住んでお買い物をしていただけるような、従来型のアメリカ型の都市政策の反省に立った新しいまちづくりへの取り組みというものが非常に必要でございます。まちづくり三法の補完とこれが現在議論されておりまして、5月ごろに審議が始まるということでございますので、この補完を前提に県民の意見や市町村の問題意識を把握して、市町村と県のそれぞれの役割に基づいて本県らしいまちづくりというものを進めないといけないと思います。その際に、同時にやはりご商売をなさるような方々が単に既成の上に安住するのではなくて、逆に魅力ある仕入れであったり、魅力ある接客であったり、こうしたことを個々の方々が実質的に営まれるということもとても大事なことでございます。出納長の青山篤司がよく私どもに話すんでございますが、この近くに魚屋さんがあられると、この魚屋さんが例えば、お年を召した方がお買い物に来られたときにも、その方に応じた切り身であったり、サイズであったりしていくと、これはやはりスーパーマーケットの大量購入のパックとは違う形でして、そしてその中で今日のお薦めを語られると、なので近くにそこよりも安価なお店があったとしても、そこに買い求めに行かれると、こうした意欲を個々の方がお持ちいただくということも大事なことだと思っています。そしてこのまちづくりということは商業施設のみにとどまらないと議員がご指摘になった点で、例えば、私ども現在、安曇野においても万水川のわさび田の近くのあり方というようなことを議論して、これは私どもの豊科建設事務所と地域の方々がご参加いただいております。ただご参加いただく方々が必ずしも大変多くの人数というわけではありませんし、付近の方々が商業施設のみならず、そうしたまちづくりという景観に関してもっと関心を持っていただく、わけても基礎自治体の方々がこうした問題に関してきちんと情報公開と情報選択の説明責任ということを一緒にやっていただくという意識が必要であろうと思うんです。私ども、本県においては、県も市町村も一緒だと述べているわけでして、都合の良いときだけ県に何か長男だからとお申し出になるのではなく次男の方も三男の方も一緒にあるいは県と同じ総領の甚六を越えて長男なんだというくらいの中核市なり基幹市が出てきて一緒にこういう問題を議論していくと、個別の問題のモグラタタキではない形が非常に必要であろうかと思っております。



 
今知事の方からも、街づくり全体を商店街、大型店の問題だけに限らず対応していきたいというようなお話がありまして、その中で個別のモグラタタキにならないというようなお話もありました。そのこと自体は意味としてはわかるわけですが、しかし、この間の街壊しの一番の中心、幹を握っているのは何かといえば大型店のルールなき出店が大問題になってきたわけであります。街づくり三法の見直しはされつつありますし、また、長野市での中止もありますけれども、この見直しの中では大型店の需給調整禁止条項を持つ大店立地法については手をつけていないままでありますし、私の理解によりますと、今度の見直しの中では郊外型から中心市街地へ商店を呼び戻すというふうな中身が非常に色濃いということでありますので、そのへんの問題についての一定のルールがなければまた郊外から市街地へということで出店と撤退を繰り返すということがまた際限なく続けられるのではないかということが心配されますので、是非それらも含めて多面的なご検討をお願いしたいと思います。



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4. 臨時教員問題について

 次に教育問題について、公立学校における臨時教員の問題について教育長に伺います。
 過日のOECD調査によると日本の貧困率つまり全世帯の可処分所得の半分以下しか所得のない世帯を貧困としてその人口比率を出したものは15.3%、また金融公報中央委員会の調査では貯金ゼロ世帯も22.8%と約四分の1を占めているそうです。
 国会でも格差社会の問題が話題になりましたがこの根底には人間らしい雇用の破壊があります。
 近年企業は中高年のリストラと新規雇用の抑制によって正社員を減らしながら、派遣やパート、アルバイトなどの非正規雇用に置き換えてきました。
 今、労働者の3人に1人、若者の2人に1人が不安定雇用であり、年収が100万そこそこの極端な低賃金にさらされ、とても人間らしい暮らしが営めない事態です。
 このような不安定雇用の教育版が臨時教員問題ではないでしょうか。
 学校基本調査で見てみると全国的に1996年から2004年までの間に異常に講師数がふえています。教員の全体数はほぼ横ばいですが常勤・非常勤を合わせた講師数は小学校で約2倍、中学校で28.6%の増となっています。
 臨時教員の皆さんはつねに来年はどうなるか、今の仕事が終わればどうなるかといった不安定な状態におかれていて、不安な中で教育活動を続けています。旧第7通学区諏訪地域の教育7団体が示している資料によると義務教育関係者の2割ほぼ200人が講師で、経験3,4年の若者が3割を占めているとのことで、志を持ち、教師を目指しながらなかなか正採用にならない実態が浮かび上がっています。
高教組がとった講師へのアンケートには「使い捨てのような使い方をしないと言う方針がないと安心して働けない」「任用の話が期限の一週間前であせった。生活にも関わるので早めに連絡が欲しい」「次年度の保障もなく任用決定が3月中旬。だめだった場合、それ以降の職探しは難しい」などリアルな実態が寄せられています。
 そこで教育長に伺います。長野県の臨時任用教員の配置状況はどうなっていますか。
 教育に臨時があってはなりません。すくなくとも定数内講師は本人の希望に添ってできる限り正規教員にして欲しいと思いますがいかがでしょうか。


      【答弁 丸山教育長】
       まず、臨時的任用教員の配置状況についてのお尋ねですが、平成17年度は産・育休代替を除いた臨時的任用教員は小中学校あわせて589名です。これは昨年度と比較しますと47名の増加となっております。また、高等学校では258名で同じく昨年度と比較しますと88名の減です。これは生徒数、学級数の減少に伴うものと考えております。小中学校の臨時的任用教員が増加した理由として、3点が考えられます。
       第1点は年度末において、児童生徒数が1〜2名程度減少・増加することにより、学級数が変動する可能性が極めて高いいわゆる不安定学級の扱いであります。このような不安定学級が毎年全学級の3%にあたる約220学級あり、そのような場合、正規教員を配置することが困難なケースがございます。
       第2点は国からの特別追加配置教員、いわゆる加配教員をもって行なっている児童生徒支援加配での対応がございます。これは不登校児童生徒への支援やことばの教室等、通級のための指導教員の配置、外国籍児童生徒等のための日本語指導教員の配置など約120から140名ございます。これらの配置は国の加配を活用しておりますので、単年度ごとの配置とならざるを得ず、正規教員をすべて充てることは困難な状況であります。また、信州こまやか教育プランの中で実施しております、学習習慣形成や少人数学習集団編成につきましては増加する事業時間数に応じて配置されるなど170名程度は制度上講師での対応となるものでございます。
       第3点は国からの加配教員数が文部科学省から示される時期は2月中旬から3月上旬であり、来年度に向けた新規採用を実施した後となりますので、これらに正規教員をもって充てることは実質的に困難な状況であります。しかしながら、義務教育関係では、30人規模学級の拡大に伴いまして学校現場や保護者から教員の資質向上という視点から正規教員を配置して欲しいとの要望が強くあります。このようなご要望に応え平成16年4月採用では当初予定より約110名増の新規採用者を確保し、17年4月でも同様に約100名を増員しており、今年4月では約80名を増員するなど段階的ではありますが、新規採用を増やしてきているところでございます。
       次に、講師をできるだけ正規職員に採用すべきではないかとのお尋ねでございますが、教員採用選考の改善には毎年取り組んでおりますが、平成16年4月採用から年齢制限を撤廃し、社会人枠を拡大し、一次選考の教養の筆記試験を免除しております。さらに本年4月採用の教員採用選考では社会人枠を民間企業と経験者枠と学校等の講師経験者枠に分け、即戦力として期待される人材の採用にも意を用いました。今後定年退職者が増加する見込みですので、計画的に新規採用者数を確保すると共に、現在の実施しております人物重視の選考する中で質の高い教員の確保に努力してまいりたいと考えております。


 今のお話を伺っておりまして、正採用に任用されていくのは臨時教員のほぼ7分の1ということであると思います。そこで是非教師の原点を考えていただきたいと思います。
 教育基本法第6条2項には「法律に定める学校の教員は全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期せなければならない」と書かれています。身分不安定な教職員をそのままにしておくことは、教員の資質向上の障害になるとともに、教育内容を高めることへの支障ともなり、結果として被害をこうむるのは県民や子供たちになります。
 今後解消のためにぜひ前向きに取り組んでいただきたいことを強く要望いたします。



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5. 就学援助について

 次に就学援助の問題について教育長に伺います。
 先日現場の先生からこんな話を伺いました。生徒がノートも持ってこないので「ノートくらい持ってきて勉強しろや」と言ったところ、「先生ごめん。給料日が28日だからそれまで待って」と言われ、子供達の置かれている生活実態が思いのほか深刻になっていることを改めて認識し、愕然としたということです。
 親の生活の苦労がこのような形で子供達の心に影を落としているという実態を見据えて教育活動に携わることが大事ではないでしょうか。
 先ほど貧困の問題についてふれましたが児童の生活実態が急激に悪化しているもとで就学援助をする要保護生徒が増えています。県平均で7.5%、10%を越えている自治体が6つあります。
 文科省の調査でも小学生1年間の平均経費29万2千円、中学校で43万4千円です。このうち学校へ払うのが小学生9万2千円、中学生16万3千円。保護者にしてみればどんなに家計が苦しくとも、我が子が学校へ持っていくお金だけは何とか工面したいとやりくりしていますがそれでもままならない状況があります。
 義務教育費は本来無償です。
 生活が厳しい児童には学用品費や給食費、部活費や修学旅行費など当然援助をするべきですが、これからもれて苦悩している子供はいないか、制度の周知はきちんとされているでしょうか。
 平成17年度から小泉内閣の「三位一体改革」の強行で就学援助にたいする国の補助金が大幅に削減されました。削減の内容は国庫補助を要保護世帯に限り、それ以外の準要保護世帯については用途を限定しない交付税交付金にし、一般財源化しました。
 お金に使い道は書いてありません。財政難の折、それぞれの自治体が就学援助のための予算を縮小するようなことがあってはなりません。どんなことがあっても必要な対応はするよう市町村に働きかけて欲しいと思いますが如何でしょうか。


      【答弁 丸山教育長】 
        まず就学援助制度の周知についてのお尋ねでございますが、就学援助につきましては市町村の自治事務であり、市町村におきまして広報誌など活用し、保護者等に周知を図っております。また、従来就学援助制度の補助対象者として、生活保護法で規定する要保護者と市町村教育委員会が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める準要保護者とがございました。しかし、今年度からいわゆる「三位一体改革」の中で準要保護者にかかる補助金が市町村に交付税として一般財源化されております。その際も市町村に対し就学援助の適切な実施について年度当初に文書で通知したところでございます。
       つぎに市町村が就学援助の予算を縮小することがないよう要請すべきではないかとのお尋ねでございますが、就学援助につきましては、学校教育法におきまして経済的理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対して市町村は必要な援助を与えなければならない。とされており、国はこの市町村に対し2分の1を予算の範囲内で補助することとなっております。今年度、要保護にかかる補助金が市町村に対し一般財源化されたことに伴い、就学援助費の支給対象者の範囲の見直しが行なわれたかどうか、今年1月に調査いたしました。その結果86市町村中82の市町村では支給対象範囲は前年度と同様でありましたが、2市町村では対象範囲を縮小しました。一方拡大した市町村も2ございます。経済的理由から就学できない児童生徒があってはならないとの憲法や教育基本法の趣旨から、市町村の自治事務ではありますが、全国に共通する制度して国が実施しているものでありますので、今後とも趣旨を周知徹底してまいりたいと考えております。


 就学援助についてですけれども、自治体によっては子どもたちの1日入学のおりに保護者に対して、こういう制度があるということを丁寧に説明しているところもあれば、就学援助についてよく知らない自治体もあるというところがあります。それで先ほど、教育長、広報誌などで知らせているというお話ありましたけれども、是非機会を捉えて、特に4月は子どもたちの新入学ということで、新たなステップに向っていく丁度いいチャンスですので、こんな時期にもぜひ丁寧に周知をしていただきたいということをご要望とさせていただきます。



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6.教員研修について

 次に、教員研修について教育長に伺います。
 新年度から教員研修のあり方を大きく見直す案が示され、信濃教育会教育研究所への派遣がゼロということです。
 私はもともと、一民間教育団体に対し、研究員全員を県教委が丸がかえしてきたこと自体が研究所の自主性を損なってきたものと思いますし、その意味で見直しはせざるを得ないものと考えるものです。
 しかし、問題は昨年秋の公募の際に、明確な方針をしめさないまま公募を行ない、今年1月16日になって突然の打ち切りを表明したことがあまりにも乱暴であることです。
 民間教育研究所らしく、自前で研究員を配置する方向にするためにも長年にわたって県教委丸がかえにしてきたことそのものへの県教委自身の深い反省があってこそ自主的な方向への転換ができるものと思いますが、教育長のご見解をうかがいます。

      【答弁 丸山教育長】 
       信濃教育会教育研究所への派遣についてでございますが、信濃教育会教育研究所はひとつの社団法人の中に設置された研究所であり、これまでもご答弁申し上げておりますとおり、この研究員はすべて県教育委員会からの派遣員であり、一人も固有の研究員がいないという特別な形態でした。このようなあり方については以前から議論の対象となっておりましたが、長野県の財政状態が剣が峰でゼロベース予算という全庁的な予算編成方針をきっかけとして白紙の状態で見直すことになりました。
       県教育委員かもう少し前から問題意識を持って行動すべきではなかったかという思いは信濃教育会からの公開質問状への回答にも記載いたしましたとおりでございます。長期研修につきましては今回のような見直しを行なったところでございます。


 この問題につきましては、該当者のほうから非常に県教委のやり方に対して納得できないということで声が寄せられております。いまご答弁をいただいたわけですが、振り返ってみれば、この60年近くにわたって県教委は信濃教育会と一緒になりながら、本当に持ちつ持たれつというような形で研修を続けてきたという事実があるわけですから、それを翻って、今度変えたいというのですから、その問題について県教委として今までのことについてきっちり反省をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。


      【答弁 丸山教育長】 
       先ほども申し上げましたとおり、県教育委員会がもう少し前から問題意識を持って行動すべきではなかったかという思いがございまして、これは信濃教育会からの公開質問状への回答にも記載したところでございます。



 この問題について今のご答弁では私は承服することはできないわけです。それで自分も担当の委員会に所属しておりますので、続きは委員会の方でよろしくお願いいたします。
 長野養護学校の長野市への移管の問題にしましても、今回の突然の中止にしたしましても、高校改革プランの進め方にしましても、あまりに唐突で拙速であり、最も民主主義を尊重しなければいけない教育委員会として取るべき態度とは思えません。教育委員会の説明責任と丁寧な対応を求め私の一般質問を終わります。



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