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2005年 12月議会
2004年度(平成16年度)一般会計決算に対する討論
毛利議員(12/19)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 議第20号平成16年度一般会計決算の認定について賛成の討論をいたします。
 12月では異例とも言える大雪で住民生活に多大な影響を及ぼしているなか、長引く不況に加え、原油の高騰や失業、多重債務や自殺の増大、生活の二極化、相次ぐ幼児の殺害事件など、まさに自民党政治は閉塞的な状況を呈しています。
 いま、国と地方の借金は700兆円を優に越え、この10年間でほぼ倍にふくれあがり、GDP比でみても95年の82%から04年の146.5%とうなぎのぼりに増えており、欧米先進諸国では例を見ない異常なものとなっています。
 そのつけは国民にしわ寄せされ、相次ぐ社会保障の切捨て、庶民大増税へとつながっています。
 このような中で、2004年度長野県の財政運営はどうだったのか、振り返りながら検証したいと思います。

まず、総括的な問題についてです。 
 平成16年度予算編成にあたっては地方分権とは名ばかりの予想を超えた地方交付税の削減で370億円もの財源不足となり、厳しい財政運営を余儀なくさせられました。長野県では平成15年10月に「財政改革推進プログラム」を策定し財政再建団体への転落を回避し、財政の健全化にむけた取り組みを開始していましたが、平成16年10月には更なるプログラムの見直しを迫られる事態となりました。結果として三位一体の影響額は243億円になりましたが繰越金と基金取り崩し、わずかな県税の増収で手立てせざるを得ませんでした。

 財政改革のなかでは職員数の削減や事務事業の見直し、民営化など手放しでは賛同できない慎重を要するものもありますが膨大な借金をつくった投資的経費は1553億円とほぼ前年並みに押さえ、90年代は公共事業費4000億円、社会保障費はその3割の1200億円しか使われなかったのに、平成16年度は公共事業費1553億円、社会保障費は1283億円と8割をこえ、目的別にみても構成比で教育費が22.1%とトップを占め、土木費は15.4%、商工費は8%、民生費は7%台へと逆立ち財政の是正がすすんだことは歓迎できます。
 
 財政改革を進めていく上で、公共投資の総額を抑制することは回避できないことであり、
身の丈にあった事業を選択すること、時間が経過するなか客観的にみて再検討が必要とされていても当初計画のまま進めようとしていること、住民サイドから見てなぜその事業が必要なのかわからないなど、様々な問題点が指摘されていることから、さらにシビアに精査や、工夫、努力を重ねることが求められていると思います。
 入札改革が行われ、公正・公平・透明な方向への改善は進んでおり、公共事業に参画できる業者も広がっていますが、低価格入札による、技術者継承の困難性など、課題もあります。今後とも公共事業は生活密着型で地元業者優先に発注していただきたいことを強く要望しておきます。

 次に県債の問題です。 
 出来得る限り県債発行を抑え、返済の努力を続けた結果、県債残高もピーク時の2000年1兆6537億円から4年連続で減少させ1兆5925億円と一般会計で見た場合全国的にも注目される612億円の減少となりました。
 歳入にしめる県債依存度はピーク時の95年度は19.7%でしたが04年度は10.7%とほぼプログラムできめた1割を維持しています。
 
 一方基金は吉村知事時代の92年から2000年にかけて746億円42%減少させましたが、田中県政となったこの4年間では180億円21%の取り崩しであり、04年度末の財政調整基金、減債基金の残高は685億円となっています。基金をとりくずしているから県債が減って当たり前との言い分がありますがこの数字は決してそう言えないのではないでしょうか。引き続き健全財政強化にむけて一層の努力を期待したいと思います。
 
 具体的な施策をみてみます。
 厳しい中でも福祉・教育・医療・環境・雇用など切実な県民要望の強いものにきめ細かな対応がされたことは歓迎します。
 
 30人規模学級の拡大、身体、知的、精神の三障害に対応する県内10圏域での総合支援センターの設置、自閉症やDV被害者への対応、松本児童相談所移転拡充と一時保護機能強化、緊急雇用創出特別交付金を利用しての障害を持つ子供たちや外国人児童生徒に対する指導員の配置、認可外保育所への認可保育所並みの助成、道路や河川の維持補修、宅幼老所の更なる整備、若者就業支援センター「ジョブカフェ信州」の設置、収入間伐実施のための高性能林業機械導入、紆余曲折はありましたが大きな感動を呼んだスペシャルオリンピックス世界大会への職員派遣と運営費補助、中国帰国者愛心使者事業、また逆差別ともなっていた不公正、乱脈な同和対策事業の基本的な終了、ダムなしによる上川、砥川を含む諏訪圏域河川整備計画の策定などは県当局の努力と関係住民の熱意ある粘り強い協働による新しい形の政治のありかたとして大いに評価するものです。
 
 最後に私達日本共産党県議団は職員は改革のパートナーと常々申し上げておりましたが、短期間での頻繁な異動、任期付職員の大量採用など、本当にパブリックサーバントとして県民の心によりそった行政が出来るか危惧するところです。
 高校改革の進め方をみても開かれた県政といいながら一切県民の声に耳を貸さないやり方は容認できるものではありません。
 県民生活の向上めざし県民が本当に望む施策を県民合意のもとで実践し、更なる努力を重ねていっていただきたい事を要望しながら「平成16年度一般会計及び特別会計決算」の認定に賛成の討論といたします。


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