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2005年 6月議会
議第12号 県下水道事業に対する知事後援会幹部の働きかけ等に関する
調査特別委員会設置に関する決議(案)について

藤沢議員の反対討論(7/4)
    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 議第12号について反対の討論をいたします。 
 最初に申し上げたいのは、表題および文面に知事後援会幹部とありますが、正式に幹部を辞任されたとしており、元幹部と表現するのが正しいと指摘をしておきます。
 さて、私は三年前の六月県議会、7月5日(明日)、この壇上から長野県議会が強行した 田中知事不信任の暴挙に怒りの反対討論をいたしました。そして、今日、一日違いではありますが、又、不信任にまではいたりませんが、知事の執務執行への疑念に基づく100条委員会の設置に対する反対討論をしなければならないことを大変残念に思います。
 ただ今回、このような状況を作り出した課程には不信任当時の状況とは異なり、知事の側にも責任の一旦があることを率直に指摘しなければなりません。
 ガラス張りで透明という政治姿勢への多くの県民の期待を曇らせ、信頼を損なった情報公開問題を始め、総務委員会で集中審議をせざるを得なかった問題を作り出した不十分な行政執行に対しては真摯に反省をし県民に対しても謝罪をすべきであります。
 党県議団はこれらの問題発生以来、県民の目線で必要な指摘をし続けてきました。 
 県下水道事業に対する知事後援会元幹部の働きかけに関する事項並びに働きかけに関する文書に係わる公文書公開請求に関する事項については、二月県議会で県の下水道事業に地元業者を優先する制度は決して悪いことではなく大切なことではあるが、知事の後援会幹部が知事の後援会幹部だからこそ許される特別扱いと言わざるを得ない働きかけへの扱いはあまりにも慎重さにかけた癒着を疑われても言い訳できない問題として反省を求めたところでありますし、関連文書の情報公開の件では包み隠しない県政と自らうたう田中県政の下で、本来公文書として公開されるべきものが、私的なメモ、不存在として片つけられ公開されなかったことは、あってはならないこととして、県民への謝罪を求めたところであります。
 この指摘に対して、知事は答弁で後援会との関係では「癒着を疑われるような事がないよう襟を正したい、又、働きかけ文書が不存在というのは適切な決定とはいえなかった。情報公開制度のあり方についてもよりよき機能に向けて、更に適切に改善措置を講じて、県政の透明性を図っていきたい」とその改善を約束しております。
 この問題については、これまでの総務委員会の審議を通じても、知事が利権に関わった事実は無く、調査委員会の設置は必要ありません。
 情報公開問題については、電子メールの扱いも含めた時代にふさわしい情報公開の新しいルール作りを執行機関と県議会双方の努力で作り上げていくことこそ、今、県議会に求められていることであります。
 県の人事作業が行われたホテル代金や職員の飲食代が知事後援会から支出されたことに対しては、党県議団の石坂ちほ議員も「公務であれば県費で支払うべき。職員は代金を返還すべき」と主張し、それぞれすでに知事後援会に返還されております。
 私たちは返還したから良しとするということではありません。
 県財政が厳しいから、後援会にお願いしたまでというような公私の区別がつかない知事の認識はきっぱりと改めていただかなければなりません。
 しかし、この問題についても、総務委員会での集中審議の結果、はっきりしてきたのは、公務に関する後援会のかかわり方に対する認識の違いであり、見解の相違の問題は100条委員会を設置すべき問題ではありません。
 次に住民基本台帳ネットワークシステムへの侵入実験に関する事項につきましては、財務規則から外れた手続き上のミスがあったことは明らかであり、今後の改善は必要ですが、100条の対象となるような問題ではありません。
 県が進入実験を実施したことと、実施の過程の問題については、区別して考える必要があると思います。
 進入実験そのものに対しては、党県議団はなんら異論はございません。
 そもそも、住民基本台帳ネットワークシステムは政府が地方自治体に押し付けてきたものであり、個人情報保護の立場から容認できないという国民の声も多く上がりました。
 現に多額な費用負担があるのに、各自治体での利用者は数%に留まり、利用しているのは圧倒的に業者であり、大量の個人情報が次々に流出するなど、この制度が国民の支持を得ていないどころか、大きな問題を生み出していることが証明されているところであります。
 ですから、長野県においてその安全性についての検証をすることは県民の利益を守るという点で正当な対応であったと申し上げるものです。
 以上が特別委員会設置についての反対の主旨ですが、最後に申し上げたいのは、もしも100条委員会設置で明らかになるのであれば、党県議団が100条委員会の設置を求めてきたが県議会が多数で拒否したオリンピックの帳簿問題、県会議員が県受注企業の顧問を努めていた公職選挙法に抵触する問題を始め、元県政会の政務調査費が宴会に使われていた問題、県議一人で150万円も行使した海外視察費などこそ優先的に真相解明をしてほしいと多くの県民が望まれるのではないでしょうか。
 自分たちには不都合な調査、解明にはフタをする県議会が知事に対してだけ100条委員会を設置するというやり方は県民の理解は得られないと私は思います。
 今県議会がすべき事は、不十分な知事の対応を攻め立てるなど、政争の具としての100条委員会の設置ではなく、県民の暮らしを守るためにこそ汗をかくべきであります。
 長引く不況、雇用不安、サラリーマン減税の廃止、高齢者控除の廃止など大増税や介護保険の利用料の引き上げ、障害者サービスへの一割負担の導入など生存権さえ脅かす国による国民いじめの政治の下で、介護サービスから締め出される高齢者や障害者、給食費や授業料が払えないなどの生活苦を強いられる家庭が拡大しているのです。
 暮らしへの応援、福祉の充実こそ県民の願いであります。
 下条村の村長さんは、党県議団が現地調査の折に県と県議会は県民のために力を合わせてほしいと要望されましたが、多くの県民の声でもありましょう。
 不信任採決の折にも私は、県議の皆さんに良識ある判断をと訴えましたが、今回の採決に当たっても良識あるご判断を呼びかけまして反対の討論といたします。


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