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2005年 02月議会 毛利議員の一般質問(3/7)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 震災対策について
  2. 大型店出店問題について
  3. 諏訪湖健康学園の改築について
  4. 養護学校の地域化について
  5. 国道19号木曽地域の環境対策について


1.震災対策について

  震災対策について、まず住宅再建支援について知事にお伺いいたします。阪神淡路大震災からすでに10年がたちました。
 10兆円の被害に対し16兆円以上の資金が投入され、鉄道や道路、港湾など公共土木施設ははやばやと再建され、復興住宅は立派にたちましたが、多くの被災者は、住居や仕事場、コミュニティを失い、2重のローンや借財に苦しみながら自らの生活そのものを再生できず、孤独死もすでに560人を越え、復興住宅の家賃すら払えずに立ち退きを求められる事態も生じています。
 個人の生活が軌道にのってこそ、真の復興といえます。
 被災者再建支援では個人補償にきちんと道を開くよう粘り強い取り組みがおこなわれ、ようやく厚い壁に穴が開き「被災者生活再建支援法」が98年に成立しました。しかし、世論調査でも住宅再建に国が補助すべきは8割をこえているのに、国は「私有財産制のもとで個人資産への公的資金の投入は憲法違反だ」ということで住宅本体の建築・補修への支援は依然として拒否し続けています。
 国会では昨年、共産・民主・社民が共同提案したものの「被災者生活再建支援法改正案」が与党の反対で残念ながら廃案になりました。1月21日から開会した通常国会に再び提出して成立を目指しています。
全国知事会も昨年11月、「住宅再建支援については住宅本体の建築費・補修費を支給対象にするなど、制度の拡充をはかるための法律改正を早期におこなうこと」と国に対し緊急提言しています。
 そこで知事に伺います。
 知事は阪神大震災の最大の教訓をどのように考えていますか。
また、昨年12月議会で質問に答え、災害被災者の住宅再建について「県として支援策を構築したい」とのべ独自の支援制度を創設する考えを示しましたが、いま全国では8つの県で独自の支援策を設けているなかで、長野県としても東海地震強化指定地域をもつ県として出来る限り早い時期に制度を創設して欲しいと思いますがいかがですか。検討状況や決意をお聞かせください。
 
 次に住宅部長ならびに危機管理室長にうかがいます。
 新潟中越大震災では長引く余震の中で、不安定な避難所での生活を避け車や車庫で暮らしていた方々がエコノミー症候群で命を落とすなど、悲惨な事態もおこりました。
 防災拠点となる学校、体育館、病院など公共建築物の耐震診断と耐震化が求められています。現状および今後の見通しはどうなっていますか。
 以下、危機管理室長にうかがいます
 1つとして、初動体制の確立のために震度情報をいち早く正確に知らせることについてです。
 現在長野県では気象庁のもの、文科省設置のもの、県設置のものと全ての自治体に震度計が設置されており、その情報が県庁に集約され、さらに消防庁に送られるようになっています。消防庁から発表されたものがテレビのテロップに流れるようになっているようですが、気象庁から設置場所や震度計が適切と認められなければテレビのテロップには出されないということであります。現在、東御市や真田町、坂城町など16箇所は気象庁のネットワークシステムにはのらず、テロップが流れるようになっていません。
 気象庁の基準に合致した震度情報の整備が早急に求められると思いますが未整備地域への対応をどのようにお考えでしょうか。
 2つとして岡谷の震度計設置場所の問題です。
 岡谷市の場合、気象庁の情報ネットワークに乗ってはいるものの、震度計設置場所が市役所の地下灯油タンクの上であり、タンクローリーが来るたびにゆれていて、これで本当に正確な情報がつかめるのか大変疑問です。きちんとした場所に移設を求めますがいかがでしょうか。

      【答弁 田中知事
       順を追ってお答え申し上げます。以前にも申し上げたかもしれませんが、フランスの社会学者のジャンボードリアルという私も大変尊敬する畏友とも呼ぶべき友人でありますけれども、彼が震災直後に「物質的には反映を遂げたはずの日本という国家で何故かくも多くの市民が傷ついてしまったのか」と「それは日本の経済の豊かさが組織のためであり、いかに市民という個人が豊かではなかったかという証だ」ということを述べております。まさに、私が21世紀を物質主義の時代から脱物質主義の時代を目指して、真の私たちの豊かさをもたらそうと、それはスリーバイスリーの福祉・医療・環境という人が人のお世話をして始めて成り立つ領域における21世紀型の雇用を生もうということにもつながる思いであります。同時に、震災からとりわけ住宅再建等で何を教訓とするか、いうご質問でございます。私が非常に感じましたのは、築数年で、また違法建築であったわけでもなかろう鉄筋コンクリートの建物が無残に崩れ落ち、その横に、ガラス窓にひびこそ入れ築数十年を経てるであろう木造の家が凛として建っていると、これは何か超能力があったわけでも、超常現象でもなく、まさに私どもは科学を信じて科学を疑わずと、技術を信じて技術を疑わずというかたちでございましたけれども、私たちは科学の下での技術というものを信じ、しかしながら懐疑的ということではなく、良い意味でそれを疑い続けてこそ、はじめて人間の体温や顔が見える社会が訪れると、直下型という地震がおきた直後に、今度は震度8に耐えたれるような新幹線や高速道路の構造物を造ろうというご意見がありましたけれど、これこそが私たちが被災から何等学ばない大きな不遜ではなかろうかと言う気がしております。震災の際に、例えば神戸市というところは行政区が9つくらいございますけれども、行政区に権限がございませんでしたので、東灘区から須磨区・垂水区に至るまでの方々が六甲山の裏側の西区や北区の仮設住宅に入ったわけでございます。そういたしますと、それぞれの地域の灘区や長田区や東灘区のそれぞれのコモンズの中でくらしていた独居のご老人たちがまったく見ず知らずの方々がシャッフルされて、その造成をされたぬかるみのような場所に建てられた仮設住宅に入るわけでございます。むしろ芦屋市のようなところは非常に面積が狭かったこともあって、浜の方に大きな何百所帯の仮設もできましたが、そこまでも元から暮らしていたところから歩いて15分か20分というかたちだったわけでございます。コモンズが神戸市の場合には逆にすべての地域の人がシャッフルされたことで崩壊してしまった。しかし、そのときにマスメディアも含めて多くの人々も一日も早く仮設住宅に老人をという大きな声の下で、いかなる仮設住宅であるべきかという議論は行なわれなかったわけでございます。仮設住宅に入って2年3年経って多くのボランティアとともにそこにコモンズが出来上がった後復興公営住宅という大変立派な10階建て20階建てのオートロックの建物が神戸の乏しい猫の額の面積の中の余りバスの便も良くないような場所にできるわけでございます。建物だけ見ると大変立派でございます。仮設住宅の時は横の方の咳も聞こえたわけでございます。咳き込んでいた声が聞こえないのでどうしたのだろうかと横の家を訪れて救急車を呼ぶというようなかたちもあったわけでございますが、復興公営住宅になりますとオートロックで横の方は何する人ぞと、まさに非常に断熱の効いた立派な建物でありますけれども、何日も横の方の異変に気付かないと、そしてそこにもまた新たにシャッフルされた方が入るのでコモンズが崩壊してしまうと、ある意味では仮設住宅に私は断熱材をきちんと入れて、各仮設住宅100戸ごとに看護師を常駐させてこそある意味では天寿を全うするまでのささやかながらも終(つい)の温かい棲家に、あるいは震災という被災を越えてもかろうじて得られたかもしれないわけでありまして、そうやって考えますと私が脱物質主義の社会を目指さねばという点は神戸の地での様々な経験からあろうかという気がいたしております。
       それは新潟県の中越地震の際に、私が避難所だけでなく私どもの職員が車で暮らしているテントで暮らしている方、半壊住宅で暮らしている方のもとを訪ねて御用聞きに徹するということを職員と共に行なった理由でもありますし、またお話パケット号を派遣をいたしましてクレヨンと画用紙を持って行って子どもたちに怖かったことを描いてもらうと、そして絵本を読み聞かせをすると、同じ目線に立ったときにはじめてその絵を見ながら私どもの教育委員会のカウンセラーが的確に助言ができるわけでございまして、ただ単に元気を出しましょうと言って伺っても、なかなか心は開いてくれないということも週末ボランティアという現在も神戸で復興公営住宅等をまわっておりますとうじょうけんじという私の友人らの活動から学ばせていただいたことであります。
       こうした中で神戸の地で言われましたのは、「いしょくじゅう」と「いしょくじゅう」というのは通常衣類と食事と住宅というふうに考えてますけど、この「いしょくじゅう」を私の友人たちは「意欲の意」と「職業の職」とそして「住宅の住」と、つまり食べるものや着るものは他の貧しき国に比べれば私どもの国は恵まれているわけでありまして、その中で職業がある、そして住まいがある、そのことによって意欲が沸いて来る、あるいは意欲を持つことで住まいや職業を持とうということであります。ただすまいというものはこれは非常に一瞬にしてすべてを失った方には大変な、乗り越えるのに困難を伴うハードルなわけであります。こうした中で住宅再建支援制度というものこれは鳥取県で被害が阪神淡路に比べれば非常に軽微であったと、犠牲になられたような方もほとんどいられなかったというような僥倖にも恵まれたかもそれませんが、鳥取県の片山善博知事がいち早く始められたものであります。この点は12月議会で永井議員、林議員にも答弁いたしましたように、危機管理室を中心に検討を進めております。仮に本県で発生が現時点で予想されております地震の中で最も被害が大きいであろうと言われております糸魚川静岡構造線北部の被害想定データを基にいたしますと、全壊家屋が約10万1千世帯と大規模半壊家屋が約5万6千世帯とまた半壊家屋が約8万5千世帯というかたちになるわけでございまして、仮にこの場合にその全壊にまたは大規模半壊世帯、実は半壊であろうと全壊であろうと家を建て直すということにおいては同じなわけでございまして、非常にここがこういう区別というのは私も現地に居りまして歯がゆさを感じたわけですが、仮にこの全壊、大規模半壊世帯には100万円、半壊世帯には50万円を支給するという条件で試算をいたしますと、約2千億円が必要となるという結果が得られるわけでございます。無論この金額だけ見ますと非常に検討すべき課題は大きいわけでして、この点が自治体単位ではなかなか難しいのではないかという議論になっております。しかしながら、国家のあるいは行政が必要なことは国民の生命と財産を守るということに尽きるわけでございまして、その意味で現在鳥取県など11県がこれは東京都、新潟県、福井県、岐阜県、三重県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、徳島県、愛媛県で住宅再建策を制度化いたしております。11県の中で住宅本体の建築費に充てられる制度を構築いたしましたのは東京都、新潟県、福井県、岐阜県、京都府、兵庫県、鳥取県、徳島県、の8県でございます。また、この中において、兵庫県、鳥取県、島根県、愛媛県は適応される災害をいわゆる地震等に限らないと限定しない制度というかたちであります。他の4都県に関しましては、大規模災害発生後、その災害に限定した制度となっているわけでございます。制度の対象とする災害、あるいは対象となる被災者の要件や支援金額といった点、あるいは市町村を含めた制度の構築とすべきか、また財源をどうするかというような点はございます。しかしながら、この点に関しましては私も中心になって他の都府県の例を、京都府や東京都といった人口の多いところもこうした制度を設けてきているのでございますので、早急に検討をさらに深め、無論今お話もうしあげましたように、全壊でも100万円ということが住宅という何千万円がかかるものにおいてどのくらいの支援になるのかというようなご議論もあるかもしれません。ただこうしたことが11都府県で行なわれることが全国に広がることで結果として国をも動かすというかたちになろうかと思いますので、この点に関しまして、いたずらに時間をかけることなく、さらに他の都府県の事例を積極的に調べて検討をいたしたいとこのように思っております。

      【答弁 三木住宅部長
       お答え申し上げます。防災拠点となる耐震診断・耐震補強の現状と見通しについてのおたずねでございます。
       まず、耐震診断等の現状についてでございますけれども、平成7年に施行されました建築物の耐震改修の促進に関する法律によりまして、防災拠点となる多数の方々が利用する学校や病院などの建築物の所有者は、耐震診断を行い必要によって耐震改修を行なうように努めることとされております。耐震診断の対象となります昭和56年以前に着工しました建築物の平成16年3月末の状況でございますけれども、学校が543棟、学校におきましては校舎、体育館が含まれております。耐震診断の実施は195棟、耐震改修実施が43棟となっております。病院等につきましては、110棟でございまして、診断実施が13棟、改修が1棟となっております。現在までの取組みと今後の見通しでございますけれども、法律の施行された段階におきまして耐震改修、耐震診断に努めなければならないということで施設所有者に対しまして、法制度の周知を図りますと共に、診断改修の速やかな実施を理解を求めてきたところでございます。
       さらに、建築防災週間、9月と3月でございますけれども、こういった機会などとらえまして制度の周知を図っているところでございます。また地方事務所に耐震診断・耐震改修に関する相談窓口を設けまして県民の皆さんからの相談に応じる体制を整えております。今後でございますけれども、地震による人的な、あるいは経済的な被害を軽減しますためには建築物の耐震化を進めることは非常に重要なことでありますし、不可欠なことであります。平成17年度より国の補助制度等が充実されることをふまえまして、これへの周知とあわせまして、さらなる建築物の耐震化の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。


      【答弁 高山危機管理室長
       まず、災害時の防災拠点となるような建物の耐震診断・補強に関してであります。これにつきましては、今私どものところで行なっております県有施設の耐震化というものがございます。考え方といたしましては、先ほど住宅部長も触れましたが、昭和56年以前、古い建築基準によって建てられた県有施設の耐震化というものが急務という考え方でございます。
       概括的な方針といたしまして、平成17年度末までに東海地震に関わる防災対策強化地域内の拠点施設について診断を実施いたしてまいります。また、耐震補強につきましては、耐震安全性が低いと評価された建物につきましては所管の部局において耐震化の検討を進めるところでございます。これらを踏まえまして、県では昭和56年以前に建築された県有施設のうち災害対策に重要な役割を果たす施設、これは598棟をピックアップいたしまして、県有施設の耐震診断推進事業を行ないまして耐震化を推進しているところでございます。
       現在まででございますが、平成16年度末で耐震診断済みの建物は132棟となりまして、予定数のうち実施率は18.9%でございます。また、見通しでございますけれども、当座平成17年度につきましては高校など93棟を実施する予定といたしまして、予算の計上をお願いしているところでございます。
       次に、震度情報のテロップに関するご指摘です。まず。県の震度情報ネットワークシステムですけれども、これは平成8年から運用開始しておりまして、当時120の市町村と県庁それから消防庁を結んでおります。その後この情報を長野の地方気象台に送るシステムというものが平成11年3月に整備されまして、その年から気象庁によりまして一部発表されているところです。つまり、テロップが流れない震度計ですけれども、これに関しましてまず申し上げましたように、消防庁の事業で整備された後に気象庁がこのデータを公表するという経緯の中で気象庁の基準に合致しなかったところがテロップされていないという状況です。この改修ですけれども、震度計に関しましてはその後毎年度、気象庁の基準に合うように改修を行なってきています。県の設置以外の気象庁の設置の震度計もございますので、現在テロップの出ない市町村は11市町村でございます。県のものにつきましては順次改修を進めておりまして、全箇所が発表に適するものになるように進めてまいりたいと思います。
       それから3点目、岡谷市の震度計についてのご指摘でございます。この経過ですけれども、これは気象庁と消防庁がこれまでのいわゆる知見に基づきまして震度計の設置環境に関する客観的な評価指針というものをつくりまして、16年度にこの指針に基づきまして、個々の震度計の設置環境の再調査というものを実施いたしました。それによりましてご指摘の岡谷市の震度計につきましては設置環境を改善することという評価が出されているところでございます。このままですと、本年の4月以降の震度速報では用いられなくなるように聞き及んでおりますので、県といたしましてもこれ確認をいたしまして、現在適地への移設・改修を進めているところでございましてこれは年度中に完了する予定でございます。以上です。

 岡谷の震度計に関しましては移設していただけるとのことでありがとうございました。また耐震診断や耐震化、震度計に関しては是非迅速に、計画的にやっていただきたい事を強く要望しておきます。
 つぎに住宅再建問題についてですが、知事からは前向きな答弁をいただきました。ただ先ほどのお話の中でも2千億円という試算がされたところでありまして、莫大なお金もかかることも予想されます。是非、全国的な流れでもありますので、国への充実を強力に働きかけていただきたいことと、あわせて県としても財源となるような基金を積み立てるなど具体的に着手して欲しいと思いますがいかがでしょうか。
 過日の新聞報道によりますと、長野県の地震保険への加入率は全国平均34、9%の半分17、9%にしか満たないとの事です。下から6番目です。住宅再建には膨大なお金もかかるので、公的支援だけですべて網羅できるというわけにもいかず、地震保険との組み合わせなども考えたらどうかということを提案させていただきます。
 国と損保各社が共同で運営する地震保険は、周知不足とあわせ保険料が高いということがネックになっています。また長野県は3等地ということで保険料も他地域に比べ割高になっていますので、加入率をアップし、災害に備えるために、長野モデルとして保険料への補助制度も設けたらどうかとおもいますが、知事にお伺いをいたします。

      【答弁 田中知事
       確かに本県は活断層が非常に多く走っているのでありますが、他方で今ご指摘のように地震保険への加入率というのは、残念ながら低い状況にございます。やはりこれを単なる啓蒙啓発ではなく、お入り頂くように、そしてこれはまさにコモンズの問題でありますので地域、市町村とも連携してこの加入率を高めることは必要であろうかと思います。また、こうした加入をしてくださる方々、その意味では自律的に営まれるという方々ですからこうした方々への逆に良い意味でのさらなるインセンティブというようなかたちも考えねばならないかというふうに思っております。
       先ほど申し上げましたように、2千億円という数字に戸惑うことなく、いかなる方法があるのか、大変険しい道のりではあるかもしれませんが、他の都府県が歩みだしているわけでございますから、本県としても努力を、いたずらに時間をかけることなく実現に向けていたしたいと思っております。

 是非前向きに検討していただきたいことを要望いたします。



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2.大型店出店問題について

 次に大型店出店問題について、知事に伺います。
 住民に慣れ親しまれ、暮らしと地域を支えてきた地元商店がつぎつぎに閉店においこまれ商店街に空き店舗やシャッター通りがふえており、地域の衰退傾向は顕著になっています。
 衰退の原因は様々ですが、現在の状況は個々の商店や商店街の努力をはるかに超えたものになっており、相次ぐ大型店の出店攻勢は目に余るものがあります。6月議会でも高村京子議員が上田のイオンの問題を取り上げましたが、県議会としても12月議会で「街づくり3法」の見直しを求め全会一致で意見書をあげたところです。
 県内の市段階での小売面積に占める大型店シェアは60%をこえており、いまや大型店同士が競合し、出店と撤退をくりかえしており、街づくりに大きな問題を投げかけています。
 岡谷市では駅前再開発の核店舗として出店してきたイトーヨーカドーが撤退し、そのあとが埋まらない中で2階、3階を閉鎖したまま、地元権利者が必死の営業を続けてきましたが、これ以上放置できないとして岡谷市が1億7千万円で買い取り、再々開発目指して構想が練られています。地元権利者は「はたしてそれまでもつか」とたいへん心配しています。
 中心市街地ではキーテナントとして東急を呼び、再開発ビルをオープンさせましたがわずか5年で撤退し、巨大な空きビルとなってしまい、これも様々な努力にも関わらず、核となる出店者がいないために、岡谷市が11億6千万円で買い取り、公共施設としての利用も入れながら再オープンさせたところです。こんな状態なのに製造業が移転して空き地になった3箇所の跡地にさらにヤマダ電機やオギノなどの大型店が出店してくる計画があり、すでに工事が始まっているところもあって、「いったい岡谷の街はどうなってしまうのか」と心配がひろがっています。
 このような状況は決して岡谷ばかりでは無く、県内各地、たとえば長野市でも起こっており、再利用しているダイエービルに加え、そごうの跡地は35億の市税を投入して再開発がはじまっているところです。
 その一方あらたに数店の大型店の出店計画があり、これも商連あげて大問題になっています。出店を計画しているひとつであるイオンは日本で最大級のショッピングセンターを作りたいと地元説明会で語ったとされ、中心市街地の商店街がすっぽりはいってしまう25ヘクタールもの開発を行おうとしています。計画されている地域は農業振興地域であり、広大な農地がつぶされ、自然環境や農業振興、均衡ある街づくりの面でも大きな問題となるもので、商連として反対決議をあげ、阻止するために各方面に協力を求めています。
 そこで知事にお伺いします。知事は6月議会で大型店問題は「評価と選択、競争の問題」だといっておられます。しかし、ルールなき大型店の出店攻勢は街こわしにつながっており、知事が言う勤勉で誠実な長野県民を苦しめるものでしかなく、地域社会もなりたちません。このような事態にいったいどう対処するつもりなのか、ご所見を伺います。

      【答弁 田中知事】
       ご存知のように大規模小売店舗立地法というのが改正されたわけでございます。大規模小売店舗法だったものが、立地法になったわけでございますけれども、これは店舗面積が1千平米を超える大規模小売店舗の出店には大規模小売店舗立地法に基づく届出が義務付けられておりますが、この審査というものが交通や騒音・公害など環境に関する項目を審査せよということで、地域における小売業の需給状況、人口等の需給状況を勘案はしないことという決りになっているんでございます。このあたりは是非政権与党に連なる議員諸氏がどのようにお考えかということをお聞きしたい気持ちがございますけれども、これは、前から申し上げているようにとどのつまり、アメリカ型の多量消費社会の郊外型店舗の生活を選択していくのか、まさにヨーロッパも同様の状況がフランスとて現れてきてはおりますけれども、商店街というコモンズのものを大事にしていく形にするのか、ただそれがドイツのように多くの小売店舗に関しましては日曜日の営業禁止というような様々な制約が加わるとそうした小売店舗の活力もそがれていってしまうと言うような点がありますので、この塩梅というのはFRBの金利の調整同様ひじょうに難しいところがあるのかと思っております。ただ本県は、こうした中で「賑わい創出研究会」と言うものを平成13年度に私が就任直後にすぐ立ち上げまして、あるいは「賑わいクリエーター育成塾」やフォーラムを実施してきています。この中で今議会でも申し上げましたように、小布施町における「ア・ラ小布施」のような活動というものは、良い意味でのばか者・よそ者・若者の地域の方々の地域の活力の表れであろうと思っております。これは下諏訪町等でも、あるいは塩尻市等でもこうした動きは出てはきているわけでございます。
       現時点で、この大店法というものの制約がある中で、あるいは私たちの流通生活の形態がアメリカ型になってきている中ではこの「賑わいの街づくり支援事業」というものを実施して、良い意味でのばか者やよそ者の人が輩出されるような土壌設定を私たちがしていく必要性があるじゃないかと思っております。無論そうした中で、街づくり団体や商工会や商工会議所等が行なう環境整備や空き店舗対策事業いうものも、その事業を行なうだけでなく、その先どういう街にしたいのかと夢を具体的にきちんと語れるばか者とよそ者や若者がいるところにご支援を申し上げていくということが大事であろうと思うんです。そのことがそれを見ることによって他の地域の方々への触媒や刺激になるという気が私はしております。
       その意味で、この後さらにご質問ございますか。じゃ現時点でそのように思っているところでございます。大変歯がゆいものがありますけれども、やはり県内のそうした活発な動きをしている地域を私どもがよりご紹介申し上げたりしていくということも、そうした動きにつながるのではないかと思っております。
       小諸市のように市長も非常に良い意味での危機感を持って駅前をと思っていらっしゃるような、具体的に危機感を持って、夢を持って語ろうとしている地域に対して長野県が良いインセンティブを与えていくということが必要なことだとこのように思っております。

 私は消費生活そのものを否定している立場には立っているわけではありません。ただ今、出店攻勢というのは、ひじょうに異常でありまして、本当にルールなき出店攻勢であります。知事が今いくつかのがんばっておられる町おこし、あるいは空き店舗利用の対策についてのご紹介もありました。岡谷市でもニュー維新塾、そして下諏訪町でも匠のショップということで非常に皆さんがんばっておられます。しかし、そういう頑張りが今の大型店のルールなきと言われる出店攻勢のもとでは、なかなか努力が実りにくいというところに非常に問題があると思うわけであります。大型店はルールなき出店で中小小売店をつぶし、儲からなければ「あとは野となれ山となれ」で撤退する。こんな身勝手がまかりとおっていいはずはありません。
 いまや歩いていける商店がなくなりお年よりは本当に困っています。再度知事にお伺いします。
 大店法から大店立地法に変わって出店調整ができなくなったもとで、大型店の出店攻勢はいっそう激しくなってきましたが、出店は企業の自由競争の原理で仕方の無いものということではなく、今全国的には小売商業調整特別措置法いわゆる「商調法」を使って商店街や中小商業者を守る取り組みが広がりつつあり、成果をあげているところも出始めています。
 商調法は大企業者と中小業者の紛争処理を行うもので、第1条でその目的を「小売商の事業活動の機会を適正に確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、国民経済の健全な発展に寄与する」と明確に謳っており、出店計画に際し、14条2にもとづく中小小売団体の申請により、知事は経営に悪影響を及ぼす恐れに対し計画の内容や規模、開始時期などについて調査し、報告することになります。
 また、16条2に基づく申請では中小企業への影響の度合いによって、出店規模の縮小や開店の延期を勧告でき、応急措置として一時停止も勧告できることになっています。
 法の目的からみても中小小売商業者を守り発展させる立場から、積極的にこれを活用すべきと思いますがいかがでしょうか。
 商調法に対する知事の決意をお聞かせください。


      【答弁 田中知事】
       小売商業調整特別措置法、商調法に関してのお問い合わせでございますが、これは法定受託事務となっているわけでございまして、その意味では知事である私が一定の中小小売商団体からの申し出に応じて、これらの方々の経営に悪影響を及ぼす事態に回避することが困難な場合に大企業に対して事業規模縮小の勧告などを行なうことができるというものであります。これに基づいての取り組みというものが最近全国でいくつか現れているわけでございまして、これらの事例をより学習いたしまして、対応いたしたいと思っております。この場合において、まさにいわゆる売り手の方と買い手の方の2者がいらっしゃるわけでございますし、もっと言えば作り手の方、運び手の方というようなそれが三位一体になるわけでございますけれども、その売り手の方も、決して売り手の権利だけを守ろうというのでなく、やはりコモンズの一員として買い手の方々とどう共存するかと、これは大きな店舗の方も小さな店舗の方も同じ覚悟を持たねばなりませんし、買い手の方々もその地域というものがそこに暮らす人々によって構成される、買い手の論理だけではない気持ちを持たねばなりませんし、その間に私どもが入ってきちんと調整をせねばならないと思います。
       その意味で言いますと非常に中小の店舗や商店街が崩壊していくのはよろしくないというふうにどなたもおっしゃるわけでございますが、他方でそのことによってまた一時的な利便性、ローソンに見られるように24時間営業を見直していくというようなチェーンストアの動きも出てくるわけでして、大きな転換期にございますけれども、その利便性ということでむしろ大店舗あるいは長時間営業店舗を望むという方もいらっしゃるわけでございます。ただ、街はどうあるべきかということで言えば私は戦争直後に戦後にすぐ作られました軽井沢町の夜11時から朝6時までは営業はしないというこれは小さな取り決めでございます、拘束力のない、しかしながらこれを地域の人々がみな自発的にコンビニも含めて守っているということは大変大きな本県の私は財産でなかろうかと思います。そうした思いをより多くの方々が抱いてくださることによって私自身が知事としてこの商調法というものもより地域の方にご理解いただける形で私の権限を行使を地域の方のためにしていくことができるのではないかと思っております。

 商調法につきましては、今知事の方から街づくりの観点から事例を調べ、権限を行使していきたいと、そのようなご答弁がありました。是非期待したいところであります。ただこの問題は法定受託事務ということで、知事も冒頭述べられましたが、国の事務を受託しているという内容であります。私はもっと能動的にこんなことをやっていただきたいということで提案をさせていただきますが、いかがでしょうか。福岡県ではこの2月1日、福岡県中心市街地再生検討委員会の設置を立ち上げて、焼畑的な店舗展開をする大型店出店を懸念し、出店を広域的に調整する条例制定も視野に入れて検討が始まったといわれております。また、新潟県では、02年の7月に21世紀新潟県都市政策ビジョンを策定し、その中で大規模商業施設立地委員会を立ち上げて、条例を検討するという段階であるようであります。いずれもそれらの両県につきましては、今の大型店の出店攻勢が中心市街地の商店街を寂れさせ、高齢化社会に向けて大きな課題になっていると、街全体の発展を見たときに問題があると、そういう観点から適切に県としても対応したいということでの取り組みのようであります。知事には是非これらの県にも習って、長野県としても是非能動的に条例等を制定するなど検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

      【答弁 田中知事】
       ただいま、福岡県の事例もご紹介いただきましたので、この点に関しては私ども少し調査も滞っていたいうふうに反省しておりますので、私自らきちんとこの点に関しては他県の事例を調べるだけでなく、本県としてどういうことができるかを具体化をいたしたいとこのように思っております。
       やはり私どもが消費者であったり、あるいは、前から申し上げているより弱きもの、より少数者の側に立つと言う点をこうした商業行政においても考えねばならないと思います。そのことが結果的に持続的なコモンズやあるいは移り住む方や訪れる方増えると思っております。



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3.諏訪湖健康学園の改築について

 つづきまして、諏訪湖健康学園の改築について社会部長に伺います。
 諏訪湖健康学園は県内唯一の情緒障害児短期治療施設であり、保護者から虐待を受けた児童や、いじめ、集団生活に不適応、発達障害、反社会的行動の児童など今現在は男女19人が共同生活を送りながら、関係機関と連携を強めつつ、職員の援助を受けて生活している施設です。
 ここでの入所が1年以上に及ぶものが現入所者の約4割を占めるなど短期療養施設といいながら長期にわたって入所している児童もかなり見受けられます。
 この施設の老朽化、狭隘化、設備の貧困さなどあまりにひどい実態はもう語るまでも無く県としても認識されており、知事も2001年8月に現地を訪問されて十分ご承知いただいているところです。
 私は一日も早い改築を望んでおりましたが、新年度予算ではいまだ方向性がみえず、どうなっているのかと本当に残念な思いでいっぱいです。
 県では昨年10月「子どもの心のケアを支える」作業部会を発足させ検討をはじめたということですが、検討状況と今後の進め方について社会部長にお伺いします。

      【答弁 堀内社会部長】
       お答えいたします。諏訪湖健康学園の改築の検討状況と今後の進め方についてのおたずねでございます。
       議員ご指摘のとおり、諏訪湖健康学園につきましては、昭和42年1月に開設されまして築後38年経過し老朽化がかなり進んでいるという状況でございます。また、開設当初は、小学生を前提として作られたために居室が狭く、男女の生活空間も区切られていないなど、施設面に問題が生じているような状況でございます。このために平成14年度に諏訪湖健康学園のあり方研究会におきまして、学校との連携、通学方法、移動体性、児童生活環境、学園の方向性等検討いたしました。15年度にその結果を受けまして、諏訪湖健康学園改築検討会により、治療相談機能、それから生活指導機能等、施設として整備すべき機能についての検討をしてきたところでございます。最近では情緒障害の原因としては、児童虐待のみならず、自閉症とか発達障害など様々な要因が考えられること、また学校における不登校や集団生活に適応できない子どもたちをどうするかなど、総合的に検討したうえで学園のあり方を考えていく必要が生じてきました。そこで、今年度は学齢期の児童が入所していることから教育委員会とまた児童精神科医の治療も必要なことから衛生部と連携しまして、昨年の10月に「子どもの心のケアに関する部局横断ワーキングチーム」を発足させまして、自閉症、発達障害児に関する基礎知識及び対応方法に関するガイドラインの作成、自閉症自律支援センターとの連携、県立病院との役割・連携など子どもの心のケアに関する必要な検討を行なってきたところでございます。あわせて先進的な取り組みを行なっています他県の情緒障害児短期治療施設につきましても調査を行ってきたところでございます。今後は児童精神科医、情緒障害児短期治療施設関係者、児童養護施設関係者など専門家からアドバイスを受けながら基本構想を策定することとしております。
       策定にあたりましては、単なる入所施設ではなく、相談治療のノウハウを地域に還元することができ、全県に於ける情緒障害児のケアを充実させるための機能を持つ相談治療センターを目指していきたいと考えております。以上でございます。

 さらに、諏訪湖健康学園の改築の問題について改めて知事にお伺いをいたします。
 被虐待児が6割と心に大きな傷を負って入ってくる子供たちも多い中で今の環境はとてもゆっくり心を癒すものにはなっていません。周りを工場に囲まれ緑も少なく狭い校庭、圧迫感のある天井がおおう体育館、冬は隙間風が入って寒く、夏は30度を越す部屋の中で汗だくになりながら2人ないし3人が狭い相部屋でくらしており、居室も男女一緒のフロアーで、廊下には「男子ストップ」と書かれた線が引いてありますが、一応生活圏の区切りはついているけれども、女子のトイレは男子の部屋のまん前で、夜トイレに行くときはとても気を使わなくてはなりません。お風呂はひとつしかなく、男子と女子が時間を区切ってかわるがわる入っている状態です。これで本当により専門的な心のケアを必要とする子供たちに適切な環境を提供していると言えるでしょうか。人権問題です。一日も早い改善を望みます。
 先ほど社会部長、これから検討をしていくということでありまして、今から着手したとしても少なくても2〜3年、あるいはそれ以上かかります。その間、放って置くということは私は、とても待つことはできませんし、許すことはできません。改築を待つまで現状のまま放って置くのでなく少なくとも冬の暖房、夏の冷房の整備はきちんとやって欲しいし、お風呂も早急に何とかして欲しいと思いますが、いかがですか。
 また財政状況も厳しいおり、既存施設の利用を検討することも一案だと思います。岡谷市にある社会保健宿泊施設「ヘルシーパル」は本年度以降国の譲渡予定施設になっています。県としての利用を提案してみたいと思いますが、それについてはいかがですか。

      【答弁 田中知事】
       諏訪湖健康学園の問題でございますが、これは私どもの、社会部の田中透と佐藤たかひろも泊りがけでこの場所に訪れまして、大変に彼らも思うところがあり、私にレポートを寄せてきています。こうした意欲的な職員がいることは私は大変嬉しく思っておりますが、この中で彼らとも議論いたしまして、私も以前に諏訪湖健康学園を訪れて大変に劣悪な状況であるということは十二分に認識しています。これをどういったかたちでここに住まわっている子どもたちの環境を良くするかという検討をしてきておりましたが、この中でやはり愛情に、失礼な言い方になるかもしれませんが、愛情に飢えているというか、愛情に満たされていないというかたちがございまして、この点を早急に、例えば週末でも里親的なホストファミリーと、今回のスペシャルオリンピックスでもそうしたかたちがあったわけでございますが、これを導入したいというふうに田中と佐藤も言っておりまして、これは早急に実現化できるようにいたしたいと思っております。また、今のお話のハードの面での諏訪湖健康学園の状況というものは確かにございますので、こうしたホストファミリーの制度を導入すると同時に、やはりあの場所の改築というかたちというよりも、具体的にはどうできるかということもスケジュールとしてきちんとお示しできるような具合にいたしたいと思っております。その意味で現在、具体的な話を彼らとも持っているわけでございます。嘱託医の派遣回数を増やすということと、それから常勤の看護師を1名新たに配置をするということ、それから児童指導員を増大するというようなかたちはとるとことで17年度に関して予算計上もいたしているところでございます。
       さらに、今ご指摘のありました、トイレやお風呂、あるいは冷暖房という点に関しても、より具体的な検討を加えたいと思っております。

 諏訪湖健康学園の問題について、人的配置を新年度予算の中で強めていただけるということは大変嬉しいことだと思っております。また、ハード面につきましても、今後検討していくということはわかるわけですが、しかし、私も先ほど例を上げさせていただいたように、本当にお風呂ひとつとってもみても、タイルが剥がれていて、そんなところに入って気持ちよくお風呂に入るような気にはとてもなれません。しかも、夜中に男性の部屋の前を通って、その前のことにトイレがあって子ども達の中には性的な問題で入ってきている子どもたちもいるわけですから、そんなことを考えたときに、今後検討していくなんて悠長な問題ではなくて、私は直ちに解決していただきたい。このように求めるところであります。後で知事にお聞きすることがありますので、そのときにあわせてご返答をお願いをいたしたいと思います。
 子ども達は未来に向かって一瞬一瞬かけがえのない時間を過ごしています。よい環境を整えてあげることは大人の責任です。このような環境に押し込めておいていいはずがありません。早急な取り組みを求めます。


      【答弁 田中知事】
        諏訪湖健康学園の件でございますが、様々な遊休施設というものを活用するという方法もあろうかとも思っておりますが、いずれにいたしましても先ほどの人的な増員にとどまらない、抜本的な対応を行なうように改めて担当部署と具体的な話をいたしたく思います。



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4.養護学校の地域化について

 つぎに、養護学校地域化についてお伺いをいたします。
 障害のあるものもないものも共に地域で豊かに暮らすためにノーマライゼーションを進めることは重要なことですが、成果が実るためには学校教職員や地域、生徒やPTA、同窓会などの時間をかけた十分な話し合いや啓蒙、啓発、理解が欠かせません。新年度から更科農業高校に長野養護学校高等部の分教室が開設するわけですが、大変短期間の取り組みの中で駆け込み的に実施されるもので、関係するすべての皆さんが十分理解し、納得しておられるのか気にかかるところです。そこで、今後の地域化にあたっては急ぐことなく、更科農業高校での実施結果を十分検証し、時間をかけて対応していただきたいと思いますが、教育長職務代理者の答弁を求めます

      【答弁 小林教育長職務代理者】
       養護学校の地域化について、お答えいたします。
       養護学校の地域化は、障害のあるこどもたちが地域で学びたいという思いを実現する学校づくり、地域づくりと、一人一人の子どもさんたちの教育的ニーズに応じた画一的でない、最も必要な教育の実現を目指すものでございます。こうした理念の実現に向けまして、教育委員会としまして積極的に取り組んでいるところでございます。今回関係の皆様方のご理解とご協力の下、平成17年4月に更級農業高等学校に長野養護学校高等部分教室が開設いたします。
       これまで、更級農業高等学校と長野養護学校、教育委員会事務局の三者により開設に向けて随時必要な打ち合わせを重ねて参りました。開設後は議員ご指摘のように、モデル事業の成果や、課題を十分検討しまして、分教室の拡大に向けて取り組んでいく予定でございます。以上でございます。


養護学校の地域化の問題につきまして、教育長職務代理者に再度おたずねをいたします。
 先ほど、県教委・高校・養護学校三者が連携しながら、現に今年から行なわれる更級農業高校の実践状況見ながらやっていきたいということでございましたが、長野県の取り組みはあまりに拙速だという思いがいたします。私ども全国的に先んじて実施をしている静岡県に2月視察に行ってまいりました。静岡南高等学校に設置されているものでありますが、ここでは校長は2年かけたいといっておりましたが、1年半かけて実施したわけですけれども、職員会議、連合町内長、初代後援会長、歴代の校長、高校教育課、義務教育課、養護学校高校生、それからPTA会長、同窓会長、保護者ということで、非常に懇切丁寧な説明をしておりますし、実施までも9ヶ月間にわたって、生徒と職員それぞれ双方が該当する養護学校の子どもたちと交流をほぼ毎月に近くおこないながら、心のバリヤフリーを取り除くという努力をしています。そういうような点であまりに拙速だというふうに思いますが、その点について教育長職務代理者のお考えをお伺いいたします。

      【答弁 小林教育長職務代理者】
       お答えいたします。今回のSOのスペシャルオリンピックスの冬季長野大会でも明らかになったように、障害のある方々を苦しめていたものの一つは周囲の人々の無理解と無関心であったと考えております。本当に相互理解を図れれば、障害のあるなしに関わらず、共々ともに学びあい豊かな人間関係を作ることが可能でございます。
       今回、地域化として高等学校の分教室を設けることになったわけでございますけれども、今まで1年間の中で取り組んできた中に盲ろう養護学校の先生方それから更級農業高等学校の先生方との連携等してきたわけでございますけれども、決してこれが十分であったというふうには考えてございません。これらの取り組みを通じましてさらに理解と交流がはかれるようにしてまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきたいと思います。



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5.国道19号の問題について

 つづきまして、国道19号の問題についてであります。
 国道19号の環境の大変さは先ほど村上議員が指摘したとおりであります。このようなものを解消するために、昨年9月から11月までの3ヶ月間、大型車と特大車を対象に高速料金を半分にして19号から高速道に流れを誘導する社会実験が行われました。この結果と今後の対応について土木部長に伺います。

      【答弁 島田土木部長】
       国道19号の社会実験と今後の方向についてお答えをいたします。
       国道19号は基幹道路であり、地域の生活道路であります。また、交通・物流の要衝として通過交通も多くなっております。トラック等の大型車の交通量が多く、しばしば交通渋滞、交通事故等に伴う通行止めを引き起こすとともに、騒音や振動による地域住民の日常生活に重大な影響が及んでいるところでございます。このような状況を改善するために、国に於きまして国道19号交通環境改善協議会を立ち上げまして、トラック等の大型車両を中央自動車道への転換を図る方策を検討するために、お話のように昨年9月1日〜11月30日までの3ヶ月間、社会実験を実施したものでございます。
       対象区間は、中津川インターから塩尻・岡谷・諏訪インター間でありまして、対象の車種は大型車・特大車のうちモニター登録をした者とし、当該区間の通常料金の半額を割り引くものであります。例としまして、中津川インターから塩尻インター間、5,500円が2,750円となったものであります。なお、この協議会には国土交通省、飯田国道事務所、長野県警、木曽広域連合、町村会、日本道路公団、トラック協会、そして長野県が参画をしております。
       社会実験の実施結果についてでございますが、実験中の国道19号から中央自動車道への転換交通量は平日平均355台、これは国道19号の大型車の約5%にあたります。この結果からの検証につきましては、一定の効果は見られたものの、具体的に交通環境に大きな改善を与えるものには至りませんでした。
       なお、今後の見通しにつきましては、現在全国的に実施されています、ETC深夜割引やETCの通勤割引などに加えまして、4月から始まるマイレージ割引、大口多頻度割引による高速道への交通転換が期待されるものでございます。また、ETCの利用率は現在30%程度でございますが、国土交通省では平成18年春までに70%程度まで高めることを目指しており、さらなる効果が期待されるところでございます。
       国道19号の環境改善は、これら料金施策のみでなく、簡易中央分離帯の設置、低騒音舗装、取り締まりの強化、あるいは速度抑制対策等の各種施策を総合的に継続する必要があると考えております。以上です。

国道19号の問題で知事にお伺いいたします。社会実験は今のご報告の中では、私は成功しなかったと思います。
 中央道は営業中の高速道路の中では収支率19と東名高速に次いで全国2位の収益性の高い道路であり、すでに建設費の償還も終わっています。
 平成15年度収支状況から見ても収入が2969億円、支出が578億円、このような状態ですので、ことは命に関わる重大な問題なので道路が無いというなら別ではありますが、高速道があるわけでありますから、迷惑な、本当に皆さんが困っておられる大型車について穀そく道路を通したらどうですか。そのために料金を思い切って引き下げる交渉を国とやっていただきたい。このことをお願いしたいと思いますがいかがですか。以上で私の質問を終わります。

      【答弁 田中知事】
      以前から、私も述べておりますように、高速道路の建設費用というのはイタリアと日本はほぼ同額でございますので、土地代であたっり、人件費を考えますとむしろイタリアのほうが勝っているのかもしれませんが、イタリアの高速道路は民営化いたしましたけれども、最も現在世界で進んでいる高性能の高速道路でございます。日本の金額の5分の1でございますので、ローマとミラノの間がほぼ東京都と神戸の距離数になりますけれども、約3000円くらいというかたちでございます。ですので、私はやはり道路公団民営化の中でこういう議論が行なわれないで、国土交通省の側からむにゃむにゃ議員の選挙区の上程している道路は何番目の優先順位ですというふうになると、各論になるととたんになし崩しになるという日本の悪い形でございます。長野県の改革も各論になって反対にならないようにお願いしたいところでございます。その意味では道路公団のファミリー企業を中心とした、このあたりにメスを入れねばならないと思いますし、その意味では高速道路料金が5分の1になればもっとご利用いただけますし、もっと言えば大型トラックもこれはある意味では日本の無論排ガスの問題はあるかもしれませんけども、極めて公的な物流に供しているということで言えば、むしろ私用で使っている乗用車よりも高速道路を通るトラックの料金というものをもう少し考えるということが結果的に、私どもの佐久の地区をはじめとするような一般道に多くのトラックが通るというようなことが防ぐことにもなるかと思っております。これはすでに私は個人的には述べているところではございますけども、県としてもこうしたこと、あるいは中部県知事会議、関東知事会議もこうした点を具体的に提案として出すように会議では本県から提案いたしたいと思っております。


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