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2004年 2月議会 毛利議員の一般質問(3/10)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 農業問題について
  2. しなの鉄道と長野以北の課題について
  3. 高校改革プランについて
  4. 岡谷市の田中線の改良について


1.農業問題について

 最初に農業問題について農政部長に伺います。
 昨年暮れ農水省がはじめて実施した食料自給率に関する意識調査によると将来の日本の食料供給に不安を感じる人が90%、「食料自給率を大幅に引き上げるべきだ」と考える人が85%となっており食料自給率の引き上げは圧倒的多数の国民の声といえます。このことはアメリカ産牛肉の輸入が止まったとたんの牛丼騒ぎでいっそう切実なものになっています。日本の食料自給率は40年前には73%でしたが、いまや40%にまでおちこみました。
 政府は「農業基本計画で」2010年までに自給率を45%にひき上げる目標をかかげていましたが、すでに事実上棚上げしようとしています。
 さらに、WTO・FTAという外圧をテコに農産物のいっそうの輸入自由化をすすめ、米改革の一環として市町村に「地域水田農業ビジョン」作りを押し付け4ヘクタール規模の『プロ農家』への政策と財源の集中で、中小農家をリストラしながら株式会社の参入を含む「農業構造改革」をすすめようとしています。
 この方針で突き進めば自然条件を生かし、急峻な地形を利用して狭い耕地を家族経営で支えあいながら集落を維持してがんばっている長野県の中山間地農業は到底なりたちません。県内の耕作放棄地は全国平均の2倍で1割をこえ、中山間地では2割にもなっており、景観面からも県土保全の面からみても集落そのものが荒れていくという大変な事態です。このような中小農家を切り捨てる「コメ政策」を進めるのか、県としての基本姿勢を伺いたい。
 県内では規模の大小にかかわらず「あきらめてもの作りをやめたら輸入がふえるだけ。元気を出してものをつくりみんなで売ろう」と生き生き取り組んでいる運動があり、全国からも注目を浴びて広がっています。
 一つの例として佐久産直センターと結んだ農民連「佐久楽農倶楽部」の取り組みを紹介します。兼業農家、定年退職による新規就農者、高齢者、女性パート労働者、日曜農業者などおよそ200人が生産の担い手になり、農協の共同販売には加われないが、あれこれの作物を意欲的に作ってスーパーの一角にコーナーをもうけて販売し、「安い、おいしい、新鮮」が消費者にも大いに歓迎され、遊休農地をつぎつぎと耕やしてきているとうかがっています。
 農協に出荷する場合、大手スーパーの規格に合わないものは商品にならなかったのに、この取り組みの中で面白いように売れ、1ヶ月20万円の収入につながる例もあるそうで、農業を辞めようと考えていたお年よりの皆さんも今では、はつらつと耕作に励んでいるとお聞きしています。
県内には産直や直売運動をはじめ、このような取り組みがいくつもあります。
 長野県農業を振興させていくにはたいへんな中でも頑張っている、このような取り組みに光をあてて励まし、応援していくことが大切ではないでしょうか。
 現状では公的な援助の仕組みは何もなく、運営費などを互いの拠出金でまかなっていたり、直売の日よけテントなどを購入しようとしても財政的にかなわず、さらに個人が荒廃農地に手をいれようとしても農地の賃借料や基盤整備費の補助制度もないなど不都合が生じています。
 そこでぜひ自主的な農民グループに対する行政としてのしっかりした位置づけと財政支援、販売スペースの斡旋や確保、成功例の紹介などを行うことを求めますが農政部長の見解を伺います。
 また本県農業の10時間あたりの純生産額は5950円、1時間当たり595円で、最低賃金の646円にも及ばず農業で生活していくことはとても困難です。所得を安定させ、再生産できる農業者の生活を支えるために、農業予算のなかみを公共事業偏重でなく価格安定制度や担い手対策などに重点化するべきではないかと考えますがどのようにお考えでしょうか。

      【答弁 鮎沢農政部長

       順次お答えしたいと思います。
       大きく3つの点でご質問あったかと思いますが、まず、1点目の米政策をこのまま進めるのかという点でございます。米の政策につきましては16年度から新たな方針に変わって、平たく言えば良い米作りをしようとこういうことになったわけです。長野県は中山間地を多く抱えているわけでございまして、そういうところで本当に良い米づくりができるかということになると非常に大きな課題を抱えていることはご承知ひつようなところでございます。
       私たちは、売れる米づくりというのは銘柄米だけではないということで、銘柄米だけでなくて     あるいは、中山間地という特徴を生かして水系が同じであるとかそういうことで栽培方法を統一する中で、低農薬だとかそういうような取組みをして消費者には売っていくことが大事だろうと思います。そこのなかでこれからの米づくりにつきましては、今までのように一律減反ということではございませんで、3つの選択肢があるということでございます。
       1つは、国が進めるメリット処置を受けながら、与えられた生産数量をこなしていくということであります。
      もう一つは当然生産調整には参加してメリット処置を受けるわけでしけども産地間協定というのを使いまして、その分自分で負担するわけでございますけれども、産地間協定で得た数量だけを一生懸命自分で作っていくというそういう人たち。
       それからもう一つは、もうメリット処置はいらないですよということで、自分で米が変動しょうとそういうことに関わらずリスクを承知をして自由に米を作るこういう選択肢が広がったということでございますので、米作りにつきましては、こういう諸々の条件を踏まえて私たちは地域の人たちと一緒になって考えながら進めていきたいこういうふうに考えておるところでございます。
       続いて2点目の、直売所への支援のあり方とこういうことかと思います。直売所につきましては今14年の会計でちょっと古いかもしれませんけども、県内に298の直売所がございます。それから飲食およびスーパーなどの中でグループが販売しているというようなのが165箇所で全体で463箇所農家の皆さんやそういうグループのみなさんが直売所を作って販売しているという施設がございます。こういう施設につきましてはそれぞれのグループのみなさんが自立的に取り組んだり、あるいはJAの直売所として取り組んだり、いろいろその形態はあるわけでございますけども、その中に一部支援をしてきているわけでございますが、ハウスを建てるとかそういうとこまで一部あったかと思いますけども、あまり大きな立派なハウスを建てることによってかえって負担が固定費が増すということで、後が大変になっているとこういう事例もございますので、このへんも販売計画とかそういうものを良く見てやっていかないといけないんじゃないかなと思っているところであります。いずれにいたしましても私たちはこれから地産地消というのを進めていく上でこれは有効な手段の一つであると認識しております。これからも一緒に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
       3点目、公共事業を見直して価格安定、担い手への対策をということでございますけども、公共事業につきましては私たちは必要なものについては、例えば水とか、ちゃんとしっかりやっていけないだろうと思っております。ですから厳選をして公共事業については進めているとこでございますし、見直してということではなく、やるべきことはやっていきたいと思っております。
       価格安定それから担い手対策については、当然担い手対策は重要な対策でございますのでこれについては今定例会にも予算を要求したとおり、担い手対策を充実してこれからも続けていきたいと思っております。尚、価格安定対策については従来よりございます安定対策につきまして引き続き堅持するように国にも働きかけるところでございます。以上でございます。

 農業問題につきまして部長さんの方からご答弁いただきましてありがとうございました。90年代は農業予算の中で、公共事業の占める割合が6割から7割にもおよんで、年間400億円ないし500億円が大型農道やほじょう整備など基盤整備に使われていました。しかし、平成16年度は、最高時の35%になり、はじめて5割をきる編成になって200億円をきるようになっています。この使い方を歓迎するとともに、ぜひ今後とも農業予算は身の丈にあった公共事業に返還をして、価格の安定や担い手対策、農業再生産を支えるものに使ってほしいことを切望いたします。



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2.しなの鉄道と長野以北の課題について

 次にしなの鉄道と長野以北問題について知事にお伺いいたします。
 過日、日本共産党県議団は上田のしなの鉄道本社を訪れ、交渉会派として始めての訪問だと歓迎を受けながら杉野社長と懇談してまいりました。
 しなの鉄道の支援策をどうするかがいま問題になっていますが、そもそもこの問題の根底には長野新幹線開通に際して建設費の地元負担とあわせて、並行在来線をJRから切り離して廃止するという不当な申し合わせが政府・与党の間で決められ、全国ではじめて幹線である信越線に適用されたことにあります。
 私たちはこの不当な「政府・与党申し合わせ」に反対してきました。また全国の第三セクター鉄道としてこれもはじめて鉄道資産の有償譲渡をおしつけられたこと、長野―篠ノ井間を取り上げられたことも、今日のしなの鉄道の困難の原因となっています。
 旧信越本線は文字通り地域住民の生活の足、観光の足として交通権を保障する重要な役割をはたしていました。いま環境を守るという点からも公共交通を維持し充実発展させていくことは時代の流れでもあるのに、このような形で切り捨ててしまったことは本当に許せません。県ではこの間篠ノ井―長野間およびその周辺部における旅客流動調査をJRと共同して実施し情報開示したり、鉄道の未来を語る懇談会を県内私鉄が同じテーブルについて開催したり、「長野県」調査委員会を立ち上げ、しなの鉄道設立経過について調査を開始するなど、前向きな取り組みをおこなってきており、このこと自体は大いに評価するものです。
 以下4点について知事に伺います。
 1つとして、政府・与党合意は長野以北を視野に入れて考える場合でもまったく不当なものであり、整備新幹線の建設がすすむなかで全国の在来線沿線住民と自治体に困難を広げるもので、粘り強く撤回を求めるべきだと思いますがいかがですか。
 2つとして、公表されている資料をみても無償譲渡が有償になった問題、篠ノ井―長野間の問題については結果として、不当で一方的な結論だけをおしつけられています。ことの不当性を明らかにし、改めてJRと交渉すべきと考えますが見解を伺います。
 3つとして、しなの鉄道の処理策は長野以北をどうするかを見通しながらトータルとして考えるべきと思いますがどうでしょうか。
 4つとして、しなの鉄道の支援策は100億をこえる県財政の使い方にかかわることであり、県民の足をどう守るのかという県の責任が問われる問題で、株式化した上で減損会計を適用するという県の考え方を拙速に決めて下ろすのではなく、債権の株式化がいいのか、上下分離方式がいいのか、料金値上げをどうするのかなど、考えられるさまざまな選択肢を示したうえで県民的議論をまきおこし、意見を徴すべきと思います。長野―篠ノ井間の獲得問題を交渉するのに、JR対しなの鉄道の交渉で勝ち目があるのか、JR対県との交渉にするべきではないかという考え方もあります。
 上下分離方式での英国での失敗は、細かく民間に切り売りし、事故があった場合に責任のなすりつけあいになったと聞いています。そのことも教訓とした対応も検討されてよいのではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。

      【答弁 田中知事】
       ご指摘とおりの部分が多くございまして、原理的に考えれば北陸新幹線は開業からまもなく、長野駅新幹線あるいはいま長野新幹線と呼ばれているわけでございます。これの意味するところは長野駅までの新幹線ということでございますので並行在来線ということで申し上げれば、長野駅までが並行在来線なるわけでございまして、篠ノ井新幹線や篠ノ井駅新幹線では断じてないわけでございます。こうした点は、毛利さんのご指摘のとおりでございまして、私どもはこの点に関しまして「長野県」調査委員会というものはオリンピックの帳簿のみならず、この極めて不可解な並行在来線の譲渡の経緯というものこの点について明らかにするべく設けているわけでございます。過日1月29日にですね鉄道の未来を語る懇談会というものを県内の鉄道経営者の方々と行いまして、JR東日本旅客鉄道の長野支社長は取締役でありまして、この斉藤なにがし氏もご出席を頂いて、この場において長野以北の平行在来線、長野以北という形ではなくこれはまさに軽井沢から県境まで、あるいは新潟も含めてでありますが、これを一体化として考えねばならないということは常に申しております。これは地元の方によってご議論いただきたいというようなご発言がありましたので、まさに長野支社長として地元に根付いた鉄道運営をなさっている取締役であり、役員のメンバーでありますから地元の代表であられて一緒にご議論に参加いただくということを私は申し上げているとこでございます。これはすでにホームページでも音声および活字で公開をされているところでございます。したがいまして、長野以北の問題を含めてでもありますし、あるいはそれ以前に1問目のまさに撤回の部分ということはご指摘のとおりであろうと、そのために私どもいままで企画局においてもですね、乗客の流動という調査もしてまいりまして、これは上田方向からご利用になる方が、松本方向からご利用になる方よりはるかに多く、篠ノ井―長野間いるということであります。現実的に考えますと並行在来線はですね、篠ノ井―長野間がJR東日本が保有したまま、長野以北をしなの鉄道もしくは他の会社によっておこなうということになりますと、乗務員はすべて篠ノ井と長野で入れ替わるという形になるわけでございますし、これはJR東日本においても経営効率上も安全上もいかがかと思うわけでございます。
       これらはトータルに考えることですし、トータルに考えるというのは決して10年後の長野以北の運行ということ待ってトータルに考えるということではなく、現時点から行っていくことであります。そのために先般もこの会合を行っておりますし「長野県」調査委員会もそのために発足をしているわけでございます。ある意味ではJR対しなの鉄道ではなく、JR対長野県ではないかとご指摘でございますが、しなの鉄道に関しましては長野県が最大の株主でありですね、それぞれ組織体は違いますけどもJR東日本・国土交通省あえて申し上げれば対長野県・しなの鉄道ということでございます。ただこの対というのは、いたずらに対立をするということではなくですね、ある根底にあるのはそのご利用者の方々にとっての安全や利便性と、またその地域のですね、他の地域に先駆けて、近く九州においても新幹線が開業するわけでありまして、並行在来線がまた生まれるわけでありまして、こうしたところの先駆けでありますしなの鉄道の自立性という観点から考えるというわけです。減損会計のみならず、上下分離等様々あるのじゃないかというようなご議論でありますが、私どもは減損会計という形において行なうことが結果として県民益にかなうということを申し上げてきているわけでございます。そしてこの問いに関しまして減損会計を導入して行けるという形がようやっと昨年の暮れにおいて国の側でも認めて下さる形になってきたわけでございます。仮に減損会計を導入しませぬともですね5億円以上の資本金企業というものに関してはあと2年ほどでですね、減損会計というものをなかば強制的に導入せよという形にはなっているわけです。過日、企画局長の田山が沿線の市町村長の方々にご説明に上がっていますが、長野市の鷲沢正一市長もですね県が主体を持つというような上下分離のやり方は行わない方が良いという貴重なご提言をいただいております。鷲沢市長を私がある意味では考えをいつにしているという大変貴重な接点でございまして、これは大変大事にしたいと、このように思っているところでございます。こうした観点から私どもは減損会計という方向で、これは16年度中においても債権の株式化の予算計上というよな形も行なうべく現在、準備を進めておりますし、幸いに沿線市町村長も上下分離ではなく、減損会計をすることによって市町村の方にも固定資産税というものが入るわけでございまして、現下の大変な交付税の急減というなかにおいてですね、これはその場しのぎというようなものではなくですねやはりこうした固定資産税が入ることによってまさに東北信地域の方々の足であり、そして 方々がご利用になるものでもあるという意識がより高まるのではないかと、このように期待しているところでございます。いずれにいたしましても新年度にはいりまして、この問題に関してもすぐに沿線住民の方々にもきちんとご説明をして自立的にしなの鉄道が運行できるようになっていくということが長野以北の問題が関わってまいりますし、他の都道府県において今後生まれてくる、並行在来線を運営なさる方々の模範ともなることであろうとこのように考えております。いずれにしてもJR東日本、あるいは国土交通省の側と交渉して行く上で明らかにすべき点というのはかかる委員会、あるいは私どもの内部資料においてもきちんと鋭意調査し、把握し、また公表していくところでございます。よろしくお願いいたします。

 つぎにしなの鉄道の問題につきまして、知事からご答弁をいただき私がご提案申し上げたことについて、前向きなお答えをいただきました。こういう点を是非また押さえてほしいというふうに思います。本日の新聞報道によりますと、与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームが北陸新幹線長野―金沢間を平成18年度に開通を目指すとしています。いよいよこの対応が急務となっております。知事は対ということで対立ではなく、国土交通省、JRと話し合いたいとおっしゃっておられましたが、政府・与党合意の中でも「本申し合わせにかかる事項については国、地方公共団体の財政事情、行財政改革の進捗状況、建設費の変動等の社会経済情勢等にてらし、必要になった場合には逐次みなおすことにする」という一項があります。是非、国の三位一体改革の影響で地方自治体はかつてない苦境に陥られているわけですから、この項目自身もぜひ核にとっていただいてですね、強力な交渉にあたっていただきたいと思います。
 それから、先ほど減損会計の問題の中ではですね現行のしなの鉄道の経営の到達のなかでやられているとおもうわけですが、しかし、今後のことを考えれば長野以北も含めて考えていたなかなければなりません。
 政府・与長野・黒姫間は現行のしなの鉄道どころではなく完全に赤字になることは目にみえています。ですからそれらを含めて処理策を考えなければ次々と税金を投入しなければならない仕組みになってしまうわけです。また篠ノ井―長野間をJRに中抜けされたまま、長野以北がまたしなの鉄道の運行になると言う線としてつながらない不正常さはなんとしても解決しなければなりません。
 ここで、ドル箱である篠ノ井―長野間をしなの鉄道にという交渉が避けられないものになるわけで、それができるのは長野県しかありません。改めて、知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。

      【答弁 田中知事】
       先ほど、申し上げましたようにとりわけ、篠ノ井―長野間の問題を含めた信越線、旧信越線区間のしなの鉄道この問題、篠ノ井線区間これは県が率先して取り組んでいくべき問題であると思います。ただ、その場合においてはしなの鉄道あるいはその沿線の市町村、こうした多くの方々が、やはり私どもの一貫した地元の足であり、また遠来から訪れる方々の利便や安全のために私たちが自立的にこの篠ノ井―長野も含めてですね、自立的と言いますか、私たちが主体的に主導権を持って運営していけるということのためにご協力を全県的にいただけるということが基本であります。こうした、皆様のご支援があれば率先してこの問題は他の都道府県においても、都府は関係ないか、他の道県においてもですね今後出てくる問題でありますので先駆けとして奮励努力したいと思っております。



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3.高校改革プランについて

 つづきまして、高校改革プランについておうかがいをいたします。
 本年実施された高校入試の自己推薦制、4通学区制についての十分な検証・検討がされない中で、すでに高校教育の全面的な見直しを含む「高校改革プラン」が示され、検討委員会も発足して論議が始まっています。
 プランは現状の課題を生徒の多様化、社会の変化、生徒数の減少の3つにあるとし、8タイプの魅力ある高校を規定して、1学年平均6学級が望ましいとしながら、適正規模の名のもとに統廃合をうちだしています。そしてこれらの改革プランを今年の11月までには仕上げて、平成17年度から順次着手していく方向を示しています。
 私は今の進め方はあまりに拙速で肝心の高校生や、県民不在のままなされようとしていることに不安を覚えます。
統廃合先にありき、17年からの実施先にありきの対応ではなく、高校教育の制度そのものを大幅に変えていく重要な中身であります。生徒の意見、父母の意見、教師の意見、県民の意見を良く聞いて、多様な形態での論議を重ね、十分時間をかけて取り組んでほしいと思いますが教育長のご所見をお伺いします。

 次に「開かれた学校づくり」についてお聞きします。
 教育基本法には教育の目標を「人格の完成をめざし、平和的な国家および社会の形成者として真理と正義を愛し、個人の価値を尊び勤労と責任を重んじ自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民をめざす」とはっきりうたっています。
 そのために学校は公の性質をもち、教育は「不当な支配に屈することなく、国民全体に対し直接に責任を負う」ものであるとされました。
親や地域が学校のことに口をはさめなかった時代から、いまでは「開かれた学校づくり」はどこの学校でも意識的に取り組まれるようになりました。私は、開かれた学校づくりとは、生徒、教職員、保護者それぞれが対等の立場で言いたいことを言い合える場づくり、学校や地域のさし迫った教育課題、教育方針を徹底して論議し、共通認識を育てる場作り、お互いが抱える重荷をお互いが下ろせる場づくりだと理解しています。中核となる三者協議会も広がりつつありますが教育基本法の精神を具体化し、豊かに展開するものでなくてはなりません。
 過日、辰野高校の取り組みが長野市で開催された全国教育研究集会で紹介され、たいへん深い感銘を受けました。生徒の荒れ、地域住民の不評など学校の困難を三者協議会の中で取り上げ、生徒も父母も教職員も、それぞれが学校づくりの主人公として、粘り強く力をあわせることで、ごみ問題、アルバイト、制服問題、市町村合併問題など次々と解決していき、それが授業改革にも及んで、学校が、とりわけ生徒が自信と誇りをつかみ、劇的に変わっていく様子は本当に見事です。県内には他にも公・私立高校でのこのような生徒を主人公にした取り組みが関係者の努力の中で始まっています。是非こういった取り組みに光をあて、三者協議会を単なる形式ではなくて、学校運営の基本に据えていってほしいと思いますがいかがでしょうか。

      【答弁 瀬良教育長】
       順次お答えいたします。
       先ず、高校改革プランのおたずねでございますけども、16年4月から12通学区を4通学区にし、また自己推薦制を導入したわけでございますけども、そういうふうな改革とともに16年度、17年度、18年度にかけまして高校改革プランを行なうというところでございます。通学区制の改革とか、それから入試の改善というふうなことと併せて、どうして今高校改革プランが急がれるかということでございます。
       第1回目の検討委員会を1月に行ったわけでございますけども、そこでもご説明したわけでありますけども、現在高等学校におきましては生徒の不本意入学であるとか、自主的な学習意欲の欠如、あるいは不登校、また中途退学者というものが大変多く出ているわけでございます。また、一方におきまして少子化によりまして高校生が減っていくというふうな状況の中でまさに高等学校の体制を根本的に見直す時期にまいっております。加えて先ほども中教審の方からもいろいろと問題になっておりますけども、学校の運営そのものもいわゆる地域に運営まかせようとかいうふうな動きもでて来ているわけでございまして、地域や学校が主体的に学校運営に取り組むと、携わるということも非常に必要になってきているわけでございます。そういうふうな中で、教育改革、高等学校改革プランも急いで実施しなければならない、一刻も猶予ならないということでございます。そういう中で急がなければならない課題でありますけども、拙速を旨としているわけではなくて、必要な改革につきましてはそういう事例も含めまして、順次取組んでいきますけども、良く県民のみなさんの意見や地域の方々のご意見、高等学校につきましては公立高校89校ございますけども従来からの地域高校も含めて地域の社会に非常に密着しておるわけでございまして、それぞれの方々のご意見とかご要望そういうものふまえてじっくりと検討して参りたいとは考えているところではございます。

       次に、開かれた学校づくりというおたずねでございます。今も申し上げましたけども、教育というのは今までの日本の教育というのは上意下達的な中でいわゆる教育への権利というものが子どもや保護者にあるのではなくて、どちらかといえば先生の側に教育の権利があったわけでございますけども、これからはまさに教育を受ける子どもや保護者の側に教育の権利があるという視点が大事であるわけでございまして、そういうふうななかでの開かれた学校の運営というのは必要であります。そういうことにつきましては、例えば学校評議員制度の取り組みというのが行なわれておるわけでございまして、現在15年度におきましては、89校全校におきまして学校評議員制度が実施されているところでございます。議員のご指摘されました辰野高校におけるような三者形態、私も本読みましたけども非常に良い取り組むであろうと思っております。そういうふうに各学校が創意工夫して、学校の実情に合って子どもや保護者や先生が協力して、自らの学校は自らでつくるというふうな気合を持って、いろいろな取り組みを行なわれることを私ども期待をしておりますし、またそれを支援してまいりたいと考えておるところでございます。

 教育長の教育改革プランに関わってですが、じっくり時間をかけて取組みたいという答弁については信じます。しかし、その上にたってですね、どういう形で住民意見を入れていくかという点については、まだ先が見えないものがあります。本当に一方的な説明に煽らせることなく、同じテーブルでデイスカッションする機会などもおおいにとっていただいて本当に住民のみなさんのよく反映された形で望ましいものを探っていってほしいと思いますが、それらについての所見を伺います。

      【答弁 瀬良教育長】
       お答えしたします。議員ご質問のように改革は迅速にやるとともに、慎重にやるという姿勢でございます。その中に、もちろんこれほどの大きな高校の改革、見直しでありますから、県民がより多くの意見を集めて、その中身に生かしていくということはもちろんでございます。すでに、高校に上がる前の中学校のお子さんたちのアンケートをすでに取ったりして徐徐におこなっているわけでございますけども、これから16年度、17年度と検討を進める中でそれぞれの必要な時期に  ごとに地域の住民だけでなく学校の関係者、あるいは生徒、中学生や高校に上がって子どもさんたちのアンケート、それから保護者のみなさん、それから学校のそれぞれの関係者のみなさん、様々な各界のご意見を十分お聞きしていきたいと考えております。
       そういう中で県民の意見が充分に反映できるような高校改革プランでなければ実際には実効性のある高校改革にならないことでございますので、その点につきましては肝に銘じて充分に行なってまいりたいと考えているところでございます。



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4. 岡谷市の田中線の改良について

 最後に岡谷市の田中線の拡幅改良について土木部長に伺います。
 岡谷市の南部を下諏訪町に向かって走っている田中線は幹線道路として交通量も激しいわけですが、従来岡谷東高校や田中小学校の通学路であるにも関わらず、歩道もなく冬などは除雪した雪に阻まれて通行にとても危険な状態でした。しかし数年前に、駅側から拡幅改良されて両側に歩道もつき住民の皆さんや利用者からたいへん喜ばれておりました。ところが途中で止まったまま現在にいたっており、このままでは今まで進めてきたことの投資効果も得られず、急に狭くなっているところはかえって危険です。再三工事の再開をお願いしてきたわけですが、その区間は反対運動が根強い市施行の湖畔若宮土地区画整理地内になっており膠着(こうちゃく)状態のままゆきづまっていて、都市計画の網がかかっているからとの理由で放置されたままにされているのです。
 問題の箇所までは用地買収方式で進めてきたのに、継続の場所は住民から土地を無償で提供を受けなければ工事が進められない。こんな理不尽なことはありません。同じ直線道路がどうしてこのような状態であっていいのでしょうか。区画整理地内である、ないにかかわらず、ひとつの幹線道路として中途半端でなく一日も早い工事の促進を望みますが土木部長の見解をお伺いたします。


      【答弁 小市土木部長】
       岡谷市の田中線の改良についてというおたずねです。この田中線、県道でいいますと岡谷下諏訪線ということでありますが、都市計画決定されています街路ということで田中線という名称でございますが、今おたずねにありましたのは若宮地区の区画整理事業の中の未改良区間のお話だと思いますが、この田中線、県道岡谷下諏訪線につきまして若宮地区の約300メートル区間ともう一つ丸山橋の近くの450メートル区間、この2つが未改良区間になっておりまして、それ以外は16メートルの街路で整備がされているとこでございます。
       この2つの未改良区間のうち、この若宮の区画整理内のところでございますが、岡谷市では   JRが立体化になりましてこの若宮地区も面的な整備ということで進めて、土地区画整理事業として面的整備をしていこうということで平成8年に都市区画整理の  決定したところでございますが、その後地元のみなさん方の反対等がございまして、今日に至っている状況でございます。街づくりおきましては現在、街づくり検討会等もつくりまして、地元のみなさん方の意向をふまえこの区画整理事業が成立してですね、事業ができるべくいまいろいろと努力をされ、話し合いを続けているということでございますが、基本的には都市計画区域で決定されておりまして、その中にある街路といいますか、それにつきましては基本的には区画整理事業でやるというのが原則になっておりますが、そういうようなことからいま市の方で一生懸命、そういうみなさん方地区との話し合い進めています。そのへんのところの状況も踏まえて市の方と相談していきたいと思っておりますが、今お話のありましたように整理事業ではなく、直売方式でどんどん整備されてはというこういうご要望も地元からでているようでございますが、いずれにいたしましても市の方と区画整理事業をぜひ立ち上げていくというなそういう話し合いをやっております。そいうことで進めておりますので、また市の方とよく協議をしてまいりたいと思っております。
       一方わたしども先ほど言いました丸山橋の方の450メートル区間、これは街路だけで区画整理は入っておりませんので、この区間の改良を先に整備するということでこれは16年度、来年度から補助事業で着手をいたしまして、整備にかかっていくことにしております。この事業の促進を図りながら、一方若宮地区につきましてはまた市の方と協議してですね、より良い方向に向けて取組んでまいりたいと思っております。

 それから田中線の問題につきましては、先ほど部長さんからもお話ありましたが、ゆきづまっているわけですがこの行き詰まりを打開するためにもぜひ県としても骨を折ってほしい、そのことを切に要望いたします。
 日本が戦後初めて武装した自衛隊を海外に送り、戦後培ってきた平和や憲法25条の栄損県が著しく侵されようとしているいまあるべき税金の使い方、県民参加のあり方を求めて改革を目指す長野県にとって、それを支えるのは県民の皆さんだと思います。県民生活に心をよせ職員とのパートナーシップを大切にしながら頑張っていただきたいことを求め私のささやかですが一石を投じる決意を込めて一般質問を終わります。



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