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2003年 9月議会 藤沢議員の一般質問(10/2)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 住基ネットへの侵入実験について
  2. 消費者保護対策について
  3. 高校の施設整備について
  4. 流域対策について
  5. 福祉医療制度の見直しについて



1.住基ネットへの侵入実験について

 知事にお伺いいたします。昨日、住民基本台帳ネットワークの安全性を検証する県の実験で、インターネットを経由し自治体の住基ネットに対し侵入が可能であるということが判明したということでありますが、事実なのかどうか伺います。
 

      【答弁 田中知事】
       かねて複数の報道機関が伝えておりますように、私どもは片山虎之助総務大臣からのお奨めもあり、県内の町村に関しまして侵入実験ということを行ってまいりました。これはすでに報じられているところでございます。このもともと住民基本台帳ネットワークシステム、これに関係したコンピュータという部分はまさに個人の情報と、この個人の情報が保護されるべきであるこのような観点から私どもの長野県本人確認情報保護審議会においても議論が重ねられて参りまして、また、この委員会からのすすめもあり、おこなったところでございます。従いまして、私どもはこのまさに本人の個人の情報というものに関して、これは万全の配慮を行わねばならないわけでございます。こうした点から現在さらに分析を加えているというところであるとこのように私は認識いたしております。
       

藤沢議員
 心配していることが起こっているようでありますが、更なる検証の取り組みを求めておきます。



2.消費者保護対策について

 次に、消費者保護対策についてお伺いいたします。
 このところの悪徳商法による被害の増大は目に余るものがあり、県下の消費生活センターへの相談も急増しています。
 とりわけ顕著な松本消費生活センターでは、昨年度の相談件数は月500件を越え、前年度比で約1.6倍、今年度は更に増えて4~6月の三ヶ月間の件数が3年前の一年分の件数に匹敵しているのが現状です。
 特に激増しているのがヤミ金や携帯の有料サイト料金の不当請求など情報サービスを利用した悪徳商法です。
 県はこの現状に対し、相談員を増員するなど相談体制の強化をはじめ、知事が提案説明でも述べましたように、昨年12月に開設したヤミ金110番での相談体制、金融機関に働きかけてのヤミ金口座の凍結、廃止など、全国に先駆けた取り組みをされてきました。
 この時宣にあった積極的な取り組みを評価し、相談活動、啓発活動を通じて県民の暮らしを守るために各地で力を尽くしていただいている消費生活センターの尚一層の充実を願うものでございます。
 さて、その上で被害を未然に防ぐ手立てとしてもう一歩踏み込んだ対応が必要ではないかという声が上がっていますが、私も先日その思いを強くいたしました。
 私は先日訪問販売でシロアリ対策として床下換気扇の取り付けを進められ、法外な工事費を請求された方からのご相談でその悪質な手口を目の当たりにいたしました。通気口への虫除けの網取り付けに始まり、掃除をしてやるといって床下に入り、シロアリがいたとシロアリを見せ、今なら間に合うと床下に換気扇を取り付けさせる。請求額は正常の工事費の四倍近くでした。それも専門家に再度床下の点検をしてもらうと全くシロアリは発生していないとのことでした。被害者は消費生活センターのアドバイスもあり、クーリング・オフ制度を利用することができたのですが、その際業者からやくざまがいの怒声で脅されたとのことでした。換気扇を取り外しに来てもらうのに怖いので、警察に立ち合ってもらえないかとお願いしましたが、あっさりことわられたとのことで、相談にこられたのですが、この業者は他でも同じような対応をしていることがわかりました。まじめにシロアリ駆除に取り組んでいる事業者からも一部の悪質業者のおかげで私たちまで同じように見られてしまい、心外です。こういう悪質な業者は氏名を公表してほしいという要望もあるように、被害の拡大を防ぐためにも公表など厳しい措置が必要であります。
 そこで次の二点について生活環境部長に伺います。
 県として悪質業者への対応はどうされているのか。
 特定商取引法など罰則を伴う国の法律や、訪問販売等トラブル情報提供要綱、長野県消費者保護対策要綱など県設置の要綱は活用されているのか以上二点お伺いをいたします。
 

      【答弁 大塚生活環境部長】 
       消費者保護対策についてのおたずねでございます。
       取引形態の多様化、あるいは規制緩和の進展等によりまして、消費者トラブルが急増をしておりまして、また、悪質商法の手口もいまお話がありましたように巧妙化しておるところでございます。消費生活センターに寄せられました平成14年の相談件数は約1万9千件ということで過去最高になっておりまして、対前年度比も30%増ということになっております。県では消費者の未然防止など、次の3つの柱を中心に施策を展開をいたしております。
       まず、不適切事業者の対応でございます。特定商取引に関する法律等に基づき事業者に対する是正指導、トラブル情報の県民への提供による注意喚起を実施しておりますが、必要な場合には業務停止などの行政処分や業者名の公表も実施してまいります。ヤミ金融問題につきましては、平成14年の12月に全国に先駆けてヤミ金融被害者救済緊急対策会議というものを設置をいたしまして、県関係機関と密接に連携しながら対策を進めております。
       それから、次に消費者の自立支援ということでございます。消費者自らがトラブルに巻き込まれない賢い消費者として行動できるように、消費生活大学、消費生活教室など、消費者学習機会の提供や、あるいは消費生活情報誌の発行等による情報提供によりまして、消費者の自立を支援しながら消費者被害の未然防止を図ってきておるところでございます。
       それから、3つ目が消費者相談でございます。県内4ヶ所の消費生活センターにおきまして、消費者へのアドバイスや事業者へのあっせんを行うことにより、消費者トラブル相談に迅速かつ適切に対応してきております。特に処理困難な相談につきましては、消費生活センターに苦情処理専門員と、これは弁護士でございますが、各センターに1名ずつ配置し対応、対処してきているところでございます。また、本年9月1日からはヤミ金融被害者専門相談員を各消費生活センターに配置をしまして相談体制の強化を図っているところでございます。また、市町村に対しましても、相談体制の強化をお願いすると共に市町村の担当職員および相談員を対象とした研修を実施しております。
       それから2点目の関係でございますが、いま申し上げましたように不適切な事業者対策ということで、特商いわゆる特定商取引に関する法律というものにつきまして14年度の実績を申し上げますと、そこまで至らなかったということで、特商法に基づく指示等は改善の指導等はございません。ありますのは不当景品類等の不当表示防止法という法律がございますが、それについては注意を27件行っていますし、また、家庭用用品の品質表示法というものがございますがこれも注意を16件おこなっているということでございます。それから要綱の適用でございますが、消費者保護対策の要綱は特に勧告立ち入り等は行っておりません。訪問販売等トラブル情報提供要綱では、一般情報提供といたしまして27件、是正指導としまして4件の実績がございます。以上でございます。


藤沢議員
 それぞれ対応はしていただいていることに対しては敬意を申し上げたいと思うわけですけども、私はですね、この特定商取引法という国の法律というのは、非常に発動までにはハードルが高いと、ですからいまの生環部長さんのご答弁でもこれに伴う指導というものは1件もなかったというふうにおっしゃっているわけです。
 それから要綱というのはあくまで県としての取り扱いの基準でありますから県民のものにはなっていない、県民にはきちんとした形で知られていないというのが実態ではないかというふうに思います。
 例えば、静岡県や東京都などでは条例を作ってこれを業者の指導に積極的に活用をしたり、また県民参加で消費者保護対策をすすめているというこういう実績もございます。その意味、私はですね、いまの現状をもう一歩踏み込んで対応するには、やはり全国都道府県で唯一条例のないこの長野県におきまして消費者保護、消費者生活条例でもよろしいわけですけれども、この条例設定をしていくべきと考えますが、知事のご見解を伺います。
 

      【答弁 田中知事】
       これは青少年の問題も含めましてですね、長野県はこの消費者の問題というものも条例化するという形でなく一人一人の運動として大きなうねりにするという形でございまして、先に申し上げました森林あるいは環境保全、廃棄物、あるいはまちづくり景観とこうしたものをですね私たちは県民の方からもご支援いただけるような指針を条例として示すということがより必要であろうと思っています。
       私ども県内4ヶ所消費生活センターがございます。またヤミ金110番に関しましては多くの方のご協力もいただき権限が無い中でも、多くの社会的企業市民としての責務を果たすべき金融機関にのべ、ヤミ金口座、ヤミ金とおぼしき口座の閉鎖・凍結ということにご協力をいただきこれはその後金融庁が遅まきながらと言ってはあるいは僭越な言い方かもしれませんが、長野県と同様のことを行われるようになられたと、権限がなくともですね私が最終的な責任を取り同時に心ある職員や県民と共にですね歩めば社会を変えていく事ができるという一例でもございます。
       消費生活のこうした保護と言う問題は非常に複雑多岐にわたるわけでございます。景観の問題あるいは森林・廃棄物ということはこれは指針を示す中で私たちが考えねばならない部分もございます。私は条例を作るということに限られた人数の私ども職員を今エネルギーを注ぐよりもですね、より消費生活センターと連動をしてですね、多くの市民の悩みというものに迅速に対応できるこうした心意気を更に職員と共に持つことが肝要ではなかろうかと思っております。 

藤沢議員
 私は条例を提案させていただいたのは、現状ではやはり補完のできない部分があるということで、条例ということで申し上げたわけですし、県民的にこれを共にすすめていく中で消費保護対策いわゆる消費生活に関する県民の意識改革も進められていくのではないかという立場で質問をいたしましたが、質問をきっかけに前向きにご検討をいただくよう求めていきます。




3.高校の施設整備について

 次に、高校の施設整備について伺います。   
 今、9月県議会に提案された補正予算の中に県民生活に密接に関連した公共施設等の修繕等として、高等学校校舎等緊急維持、修繕事業費が計上されています。校舎、体育館の床改修、電気設備の改修など64校96箇所の改修計画です。
 これは通常の学校施設維持管理費に加え、とりわけ緊急を要するものに対しての抜本的な取り組みということですが、教育現場からの強い要望に応え、地元の建設業への仕事起こしにもつながる身近な公共事業への取り組みとして大いに歓迎、評価をするものであります。
 中信地域の高校には教室の壁が薄くて、授業中に隣の教室で話している先生の声が聞こえてしまうなど教育環境上も早急な改善を求められる学校があるように毎年、各学校からは切実な数多くの改修の希望があがっています。
 しかし、一校当たり平均400万円程度の通常の維持補修費では到底対応できないのが現状です。
そこで、この取り組みは、借金を作らずに県民要望に応える身近な公共事業として、一過性のものに終わらせずに、新年度予算でも引き続きモデル事業としての対応を求めるものですが、教育長の答弁を求めます。

      【答弁 瀬良教育長】
       お答えいたします。議員ご指摘のとおり、当初予算できまして、この維持修繕費につきましては1校400万程度、約3億9200万円の予算計上しておりますが、今回、緊急対策ということで1億9700万余先ほどご指摘の校数を整備することになったわけでございます。これを継続的な事業でというお話ですけれども、学校現場預かる私とすればもちろんそういうふうなことを望みたいところでございますけども、これはあくまでも県全体の財政状況の中での判断にあるわけでございまして、私どもといたしましては、できるだけ多額の予算を獲得できるように努力はしたいとは思うところでございます。


藤沢議員
通常の中での対応の範囲に留まった答弁かなというふうに思うわけですが、高校の施設整備のような学校現場や県民からも喜ばれる身近な公共投資は合わせて小規模事業者へのお仕事を作り出す。これは借金もする必要はございませんし、事業費も少なくて済むという点では、不況と、財政建て直しの長野県においておおいに取り組む施策ではないかと思います。
 砂防ダム事業を私はすべて先送りをしろというわけではございませんが、3億円の砂防ダム事業にかかわる事業者は今は単体発注ということでございますから一社ということになります。下請けを入れても数社です。
 今回の高校施設整備は約2億円の予算で、64校の96箇所工事が実施されるわけですので、少なくても64社はかかわれるわけです。
 長野県の事業所統計によると建設業の総数は16193社ということですが、1人~4人規模の事業所は9526社で58.8%と約6割を占めています。今一番大変だといわれるこの規模の事業者にシフトを移した小規模事業を積極的に進めていくことが必要ではないでしょうか。知事のご見解を伺います。
 

      【答弁 田中知事】
       大変に優れたご意見であられようと思っております。これは過日も申し上げましたが、砂防が県内に7000箇所というふうに言っているのは、これ100箇所ずつやると70年かかると、コンクリートの耐用年数は60年と果たしてこれが本当に事業のための事業、あるいは組織のための事業になってないかということを精査しなくてはなりません。治山も同様でございます。1億円の事業費で雇用が生まれるというようなことは港湾整備や空港といったものは1億円で1200人日でございます。多くの森林整備等は4000人日といった金額でございますが、このいわゆる公共治山というかたちでございますと同様に2000人日に至るか至らないかでございます。つまりこれは、コンクリートや鉄の資材というものはブーメラン現象のダムと同じように、東京や大阪の企業に戻っていくわけでございますから、この点もですね治山や砂防という点も私ども新たな観点でもう一度住民の方に納得していただける、そして喜んでいただける、安心していただける、これを行うわけでございまして、その意味では高等学校の校舎の補修ということは、現在小中学校の床・壁等の木質化というようなことも、また学校の机・イスの木質化とこれもまた粗悪なものではない、きちんとした基準検査が必要と思っています。今の質問も踏まえて今回の補正を組んでおりますが、更に検討を加えるべきかと、これもまたある意味では子どもたちのいわゆる精神的に荒れるといったことを良い意味で抑制できるとゆうこれもまた一つの警察官の方々の増員ということは国にお願いはしておりますがこうしたことのみに、警察官の方々というのはある意味で犯罪が起きてからの捜査を主として担当していただくわけでございまして、そうした社会にならない良い意味での抑止と、いうことで言えばいまのご意見も大変ありがたい点ではなかろうかと思っとります。


藤沢議員
 知事からは大変前向きなご答弁いただきました。公共事業は生活密着型に、これは田中県政の基本姿勢と受け止めております。厳しいこの財政の中での、県民とそして建設事業者への暖かい配慮であろうかと思います。積極的な取り組みを求めておきます。



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4.流域対策について
 次に、流域対策について伺います。
 ダム建設の是非を巡っての激しい論戦を経て県民が選択したダムによらない総合治水、利水対策がいよいよ具体的に進められることになりました。
 県提案の総合治水対策の骨子を住民の立場から検討し、更なる充実を図っていくための流域協議会も四河川に設置をされ、検討が始まっています。
 今議会では治水・利水対策関連事業費としての補正予算も計上されました。
 ダムでなければ水害は解決しないというダム神話から解き放たれて新たな歩みを始めたわが県の治水対策の推進に私は改めて感慨を深くしております。
 もちろん、この間県議会のみなさんからもご意見が出されておりますように、流域対策など対策を進めていく上では地権者の皆さんの同意をはじめ解決していかなくてはならない課題はたくさんあります。
 しかし、行政も県民も県議会も英知を尽くせば道は開かれると確信をするものですし、私たち党県議団はそのために精いっぱいの努力をしてまいります。
 そこで今後の進め方を中心に3点質問いたします。
 先ず、治水・利水対策推進室の役割について伺います。
 党県議団は9月県議会に先立ち、治水・利水対策を統一的に総合調整するため、取り組みを知事に要請いたしましたが、この19日付けで治水・利水対策推進室が経営戦略局政策ティーム内に設置され、総合調整の役割を担うことになりました。
 そこで、お伺いいたします。関係部局や現地機関が研修や、現地調査も徹底し、県民への対応は共通認識を持って、又、統一見解で対応できるように推進室がその役割をしっかり果たしてほしいと思いますが。いかがでしょうか
 二つ目、都市型水害、内水害対策は市町村が主体となるものが多いわけですが、県は、総合治水対策の一環として位置づけ、市町村としっかり連携を取って施策を共に進める役割を果たすべきと思いますがいかがでしょうか。
 三つ目、公募による流域協議会の設置は住民参加の治水・利水対策へと大きく道を開きました。現在設置されたのは浅川、砥川、薄川、上川の四河川で黒沢川は現在会員を公募中で近々発足する予定になっていますが、9流域全部への設置は何時ごろになるのか。知事にお伺います。


      【答弁 田中知事】 
       治水利水対策推進室でございます。これは経営戦略局内に以前長野県治水利水に関しまして室長を努めておりました田中幸男がひき続き、再び担当たいしておりまして、これは全庁的な取り組みでございます。私が本部長でありますし、阿部が本部長代行、また出納長の青山が副本部長でございます。こうした中で経営戦略局に設けましてまさに土木部をはじめとする部署とも連携をとって統一的な見解を示すべく役割を担うわけでございます。
       それから内水対策の部分、これは当該の市町村の方々に私たちがお示しをするものを是非ご理解いただきご一緒に進めると、これは繰り返し述べておりますが、例えば下流域の豊野町の方々からも例えば土手に木を植えると、桜の木を植えるというようなご提言も護岸を強くすることで、これも広い意味で内水対策にはなるわけでございます。またこの点、千曲川に関しましては国土交通省、国の側に対してもですねこれは浅川だけでまかないきれる問題ではないという認識は皆様もお持ちでございますからこの点もお伝えするべきこと、ご協力をいただくべきことはきちんと伝えていくことでございます。
       流域の協議会に関してでございます。これは9流域全部に関しまして今年度中にはですね、設置をし、スタートをするという考えでございます。


藤沢議員
 流域対策についてはそれぞれの立場で知恵を結集して取り組んでいきたいものというふうに思います。具体的な提案は委員会でさせていただきます。


5.福祉医療制度の見直しについて

 次に、最後になりますが、福祉医療制度の見直しについて伺います。
 長野県における福祉医療制度が改正されて三ヶ月がたちました。乳幼児医療の対象年齢の拡大をはじめとする対象者の拡大は県民からも歓迎されており、党県議団としてもこの前進については評価をするものです。
 しかし、一方で今回の改正は福祉医療を大きく後退させたという厳しい声も上がっております。
 そのひとつが生活困窮者をはじめ、すべての受給者が一ヶ月約2万5千円の入院給食費と一レセプトあたり300円の一部負担金を支払わなくてはならなくなったことへの不安と怒りです。
 この制度改正で受給者は入院給食費で:県負担分の縮小だけでも約3億3千万、受給者一部負担金の導入では年間ベースで約3億6千万合わせて7億円以上の負担増となります。経済的、社会的弱者にこれだけの負担増を作り出すことが医療、福祉優先の県政を進める田中県政としてのあるべき施策でございましょうか。
 そして、二つ目が今まで窓口無料であった障害者をはじめ受給者のみなさんが窓口で有料になったことへのやり場のない怒りや悲しみの声であります。
 窓口無料化は確かにすべての市町村で実施をしているわけではありませんし、国保だけという限定も見られます。
 しかし前進をさせたいと障害者をはじめ受給者の皆さんが一生懸命がんばって市町村を動かし実らせてきたかけがえのない制度でした。
 この希望ある制度を全県に拡大してほしい、これは田中県政への大きな期待でありました。それだけに、あり方検討委員会の答申どおり、窓口有料の自動給付方式を導入し、無料化実施の市町村の多くを自動給付方式で有料にさせたことへの失望感が大きかったのではないでしょうか。
 担当課へもたくさんの抗議が届いているとのことでありますし、知事ご本人にも声が届けられているのではないでしょうか。
 この問題については先の七月県議会でもわが県議団、備前県議が取り上げ、対応を求めてきましたが、私は改めて知事にこのみなさんの声を紹介し、県の真摯な対応を求めるものであります。
 お母さんの声です。
 子ども二人 が七月に風邪を引いて病院に通院、二人で薬代まで入れて約4千円かかった。今までは全額戻ってきたが、自動給付方式では一部負担金がかかるようになったといわれ、病院と薬局で二人分の負担金が1200円になるとのこと。三分の一近くが戻らないということにびっくり。何が無料化かでしょうか。納得がいかない。周りのお母さんたちもこんなことなら自分で申請書を書いたほうがましとさえ言っている。

 以上現実に起きている事例をご紹介いたしましたが。知事はこれらの声や願いをどのように受け止められるのでしょうか。ご所見を伺います。

      【答弁 田中知事】 
       この問題に関しましてはですね、市長会・町村会こうした方々と一緒で設置をいたしまして数少なき市町村の意見をきちんと聞いて県の方向を出したのではないかというふうにご評価をいただく方もいればですね、逆にこれは市町村と共同でこのようなものを設置したがためにですね県民の望む結果があらぬではないかとお叱りがあるわけでござまして、なかなか運営というのは難しいものでございます。これは3年をめどに見直すということでございますが、いまご意見がありましたように大変多くの県民からも要望がございます。とりわけこの1レセプト300円ということが、例えばお子さんが1軒の小児科ですべてまかなえるわけではないという中で大変な負担になっているというようなご指摘は受けております。あるいは、いわゆる所得制限のラインというようなものに関してもいくつかの意見ございますし、また、精神障害者の方への助成というのは今までとは違う新しい新設ではございますが、他の方々への配慮と較べるとですねまだ未熟なところがあるのではないかというようなご意見もございます。また、従来窓口無料化をしていた市町村もこう言うと語弊があるかもしれませんが、これを期にですね自動給付方式に切り替えられたという点がご不満というご意見もございます。これは学校教育と同様にですね、ある意味ではそれぞれ地域の市町村というものが福祉医療の担うという部分はあるわけでございまして、それぞれの首長がご判断なれば今回の私どものあり方検討委員会の提言というものにプラスして独自の施策を行なうことは可能ではあるわけでございます。しかしながら皆様が本来望んでいらっしゃった形の窓口無料化ということを望んでいられた観点の方からするとですね、これができたことによって逆にこれを機会にですね変更が加えられたという意見がございます。いずれにしてもこの点も今までの国の厚生労働省施策というものを恒に配慮して行なう社会部の体質ではいけないわけでござまして、この点は今いただいた意見、また逆の意見の方もいらっしゃるわけでございます。3年のめどとなっておりますが、私としては13年11月にスタートして、設置をしたのはそういうことでございます。15年の7月から改正ではございますが、これはより多くの意見をより集約をしてですね、私どもの認識というものを深めると同時に判断を加えてまいりたいと考えております。


藤沢議員
 知事も自動給付方式、また所得制限の導入そして低所得者に対しての負担増とこの問題については認識をしていただいているようでございます。
 私は今回の制度改正にあたって一つやっぱり本当に禍根を残すのはこのあり方検討委員会に当事者である受給者を参画させなかった、ここに制度の改正にあたっての問題が大きくなったと思っております。
 それとですね、先ほどあり方検討委員会のお話がございましたが、あり方検討委員会では、窓口無料これをやらないという理由のなかにこう言っているわけです。「窓口無料は受給者の医療に対するコスト意識が希薄になる。その結果休日、夜間などの安易な受診の増加を招き、医療費の増高を招く。」だれが具合の悪いお子さんを病院にやたら連れて行くお母さんたちいるでしょうか。私はこういうあり方検討委員会の答申はまさに官僚的、そのものだと大変怒りを持つ一人でございます。意見陳述の中で長野県の母子寡婦福祉連合会の会長さんはこうおっしゃっていらっしゃいます。「生活の中で医療費は非常に大きな位置を占めます。子どもが40度近い熱を出しているお母さんが、お財布に一銭もない。隣近所も知っている人がいない。一日中熱のある子を抱えてうろうろしていた。こんな例が私の身近で起きました。窓口での無料化というのは低所得者にとっていかに大切なのか、現物給付の導入を早急に実施いただきたい」と言っているわけです。こういう声に応えて全国では半数の県は窓口無料化に踏みきっているではありませんか。私は今回の見直しにあたり、このさまざまな問題点も踏まえ、先ほど知事がもう一度検討をしていただけるということでございました。3年ごとの見直しということではなく、見直し時期も早め、今度は受給者も含めたまさに県民参加での新たな検討を進め、今度こそ全国に誇る制度へと前進を図っていただきたいと強く求めるものでございますが、この時期の問題も含めて再度知事からご答弁いただきます。


      【答弁 田中知事】
       3年というふうなことをめどにということでお約束をしてきているわけでございます。ただ3年経つまでは私どもが実態の把握に努めないということではございません。実態の把握もあるいは議員からすればまだ至らないところがあるのではなかいというご指摘で、これは大変厳粛に受けとめですね、より実態の把握を県本庁舎の中でですね、現場に出かけないのではなく、あるいは現場に電話すらしないのではなくですね、私がコンシュルジュというものを設けて社会部の人間はそれぞれ福祉施設の担当を持っているわけでございます。ただ昨日も永井議員から大変ありがたいご指摘がありましたように現場に行くということは誰でも時間とお金があればできるわけでございます。公費を使ってできるわけでございます。これを何を感じまた何を提言し、何を自ら自分のできる範囲内で上司が聞いてくれないとなどと言い訳でなくてですね、自分一職員として実践していくかということでもあろうと思います。その意味では私ども福祉に関しまして私を筆頭にしてまだ至らない点があろうと思います。ですから、いずれにしてもですね、親御さんの方々の切なるご意見、そうしたところの保育士看護師等の意見というものもより積極的に広く収集するだけでなく、どのように私が判断をするかというためにもこの情報収集に積極的に取り組みたいとこのように思っております。その上で判断を加えていくことでございます。


藤沢議員
 少し時間残っておりますので、まとめをしたいと思います。
 前吉村県政の時代におきましては、まさに福祉に光が当らなかった。福祉予算というのは全国最低レベルでございました。ですから今県民が田中県政に本当に大きな期待をしているのは経済的弱者・社会的弱者に対する暖かい光を当ててほしいというこの願いです。それに応えて田中県政が本当に県民の期待に応える県政になるよう心から期待し、要望いしまして私の質問終わらせていただきます。ありがとうございました。


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